輪転機の常識を変えた男──ウィリアム・ブロックと“新聞印刷の自動化”が始まった日

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第1節|60秒でわかるウィリアム・ブロックと新聞輪転機


ブロックってどんな人?

**ウィリアム・ブロック(William Bullock)**は、現在では名前が知られていないかもしれませんが、新聞印刷の仕組みを根本から変えた発明家です。

19世紀アメリカでは、新聞の発行部数が膨大に増える中、印刷所は手差し給紙・手作業での折りに追われていました。
そんな背景の中、ブロックは考えました。
「印刷をもっと速く、ラクに、そして確実にできる仕組みをつくれないか?」と。


何がそんなにすごかったの?

彼が1863年に完成させたのは、ロール紙を連続供給し、印刷・裁断・折りまで1台で行える“全自動新聞輪転機”
それまでは夜中に刷っては折る――そんな作業を繰り返すしかなかった新聞社が、この機械を導入した瞬間、数百部を数分で刷って折りたたまれたまま排出できるようになりました。

これは単に速さを求めたわけではありません。
供給・印刷・加工・排出──すべてを“つなげて整える”ことで、新聞の配達時間すら前倒しできた。印刷の歴史において画期的な意味を持つ改良でした。


なぜ今、ブロックなのか?

彼の真骨頂は、単なる発明に留まらず、“現場の課題”をまるごと仕組みで解決した点にあります。

たとえ印刷速度が速くても、手作業が介在すれば流れは止まってしまう。
ブロックはそこに着目し、「人の手を介さずとも自動で回る機械」を設計しました。

この発想は、現代の印刷現場でも通用する原理ではないでしょうか?
操作をシンプルに、工程をムダなく──彼の挑戦は150年以上経った今でも、**製造業全体にとって“流れを整える思想”**を再認識させてくれます。


第2節|ホー式ロータリー印刷機が切り拓いた高速化の夜明け


1.大量印刷の扉を開けた“ライトニング・プレス”

19世紀半ばまで、新聞やチラシは1枚ずつ紙を差し込み、1面ずつ刷るしかありませんでした。
そんな停滞を吹き飛ばしたのが、**リチャード・マーチ・ホー(Richard March Hoe)**です。

  • 1846年──ホーは**世界初の回転式印刷機「ライトニング・プレス」**を完成させ、翌1847年に特許を取得【1847 U.S. Patent No. 3687】。

  • 円筒(シリンダー)に版を巻き付け、連続回転させる発想により、当時の手引き平圧機をはるかに超える時速8,000枚(片面)の出力を実現しました。

このスピードは、発売部数が急増していた新聞社にとって“救いの神”だったのです。

▶併せて読みたい記事 リチャード・マーチ・ホーとロータリー印刷機の革命|“止まらない印刷”が新聞と社会を変えた日


2.「紙が流れてくる」時代の始まりと限界

ホーはその後も改良を続け、1850年代に多胴式(6〜8シリンダー)モデルを開発。
しかし 給紙は単票(シート紙)のままで、印刷された紙を裁断・折りたたむのは依然として人力でした。
高速になればなるほど、後工程がボトルネックになる――これがホー式の最大の弱点だったと言えます。

いまで言えば「印刷ラインだけ自動化しても物流が止まれば意味がない」状況。
だからこそホーの革命は眩しかった反面、“完全”とは言えませんでした。


3.速さのバトンを受け取ったブロック

ホーが起こしたのは**「速さ」の革命**。
そしてその速さを、“人の手を介さずワンパスで完結させる”方向へ押し進めたのがウィリアム・ブロックです。

このバトンの受け渡し──
すなわち「高速」から「全自動」への進化こそが、新聞印刷を根底から塗り替えていく物語の核心なのです。


第3節|1863年、“完全自動輪転機”の設計図が動き出す


ブロックが見つめた“現場の本当の問題”

ウィリアム・ブロック(William Bullock)が挑んだのは、「速く刷る」ことではなく、**「止まらずに流れる仕組みをどう作るか」**という問いでした。

新聞の発行部数が急増するなかで、印刷速度を上げても、裁断や折りなどの手作業がボトルネックとなり、結局は人が疲弊していく――。それが現場のリアルだったのです。

ブロックはこの状況を根本から変えるために、印刷そのものではなく、**印刷後の“全体の流れ”**にメスを入れようとしました。


新聞が“機械の中で完成する”という発想

1863年、ブロックはそれまでにない全く新しい印刷機の設計図を完成させ、同年4月14日付で米国特許第38,200号を取得します。

その仕組みは次のようなものでした:

  • ロール紙が連続的に供給される

  • 両面同時印刷により見当(表裏の位置)を正確に合わせる

  • 印刷された紙をギロチン式の裁断装置で自動的にカット

  • 最後に折り加工まで一体化して、完成形の新聞が排出される

この構造により、印刷・加工・仕上げまでの工程がすべて“ひとつの機械の中”で完結するという、画期的な自動印刷のかたちが誕生したのです。


設計図から読み取れる“完成度の高さ”

ブロックの特許図面には、給紙ローラー・印刷シリンダー・裁断刃・折りユニットといった主要部品の配置が明確に示されています。
それらが連動して動く構造になっており、処理が止まらないように考え抜かれていることがわかります。

この一体設計は、現代の新聞輪転機と比べても基本構造に大きな違いはなく、この時点ですでに“輪転機の原型”が完成していたことを示しています。


“新聞輪転機の完成者”と呼ばれる理由

ホーが発明したのは、印刷速度を飛躍的に高める「ロータリー印刷」という革新でした。
それに対してブロックは、印刷後のすべての工程を自動化し、印刷そのものを“完結した仕組み”にした人物です。

彼の設計が登場したことで、新聞印刷はついに「刷って終わり」ではなく、読者に届けられる“完成形”として排出されるものへと進化したのです。

だからこそ、ブロックは**“新聞輪転機の完成者”**と呼ばれ続けているのです。


第4節|技術解剖:ブロック機が実現した5つの革新 ✨


ウィリアム・ブロックが発明した“新聞輪転機”は、単なるアイデアではありませんでした。
実用性を徹底追求した設計によって、現場で実際に「使える」機械として完成されていたのです。

ここでは、その技術的な中核をなす5つの革新をご紹介します。
現代の印刷技術者も思わず「なるほど」と唸る、先進的な仕組みばかりです。


① ロール紙のテンション制御で“ズレ”を防ぐ仕掛け

ブロック機では、ロール紙を常に一定の張力で引き出す機構が搭載されていました。
紙が緩むと印刷のズレ(見当ずれ)が発生しやすく、品質にも影響が出ます。

そこでブロックは、ローラーとブレーキを連動させたテンション制御を設計。
この考え方は、のちのテンションセンサーやダンサーローラーの基本原理にも通じています。


② 両面同時印刷(パーフェクティング)で工程を半分に

現在では当たり前となった両面同時印刷も、当時は革新的でした。
ブロックは2つの印刷シリンダーを対向配置することで、用紙が1回通るだけで表裏を同時に刷れる構造を完成させたのです。

これにより、印刷工程が1ステップに短縮され、効率が格段に向上しました。


③ ギロチン式自動裁断で“手作業ゼロ”を達成

印刷された用紙は、決まった長さで自動的に裁断されます。
ブロック機にはギロチン刃とカム機構が内蔵されており、紙が送られるタイミングに合わせて正確にカット。

しかも、印刷の区切りと連動する仕組みにより、記事の途中で紙が切れてしまうような事故も防止されていました。


④ センターV字折りで仕上げまでワンパス

裁断された紙はすぐに、新聞らしい形状に折られていきます。
ブロック機にはセンター折りのユニットが組み込まれており、最終工程の「折り」までが機械の中で完結。

印刷 → 裁断 → 折りという工程が、すべて一台の機械で“ワンパス”処理されていたのです。


⑤ 安全設計の課題とその後の波紋

ただし、これだけ完成度の高い機械であっても、安全性の課題は残っていました。
実際にブロック本人がこの機械の整備中に事故に遭い、命を落とすという悲劇も起きています。

この出来事は、のちの輪転機開発に「非常停止」や「安全カバー」などの発想を促す契機となりました。
安全設計の教訓については、第6節であらためて詳しく掘り下げます。


まとめ:「人の手をなくす設計」を徹底した結果

これら5つの革新は、単なる高速化ではなく、「人の手作業を排除する」ために練り上げられたものです。
ブロックは印刷工程のひとつひとつを見直し、「どこに人が必要か」「どうすれば機械化できるか」を突き詰めて考えました。

その思想が詰まったブロック機は、後の新聞輪転機の原型となり、印刷産業の未来を切り開く礎となったのです。


第5節|年表でたどる“高速→全自動”への進化ロードマップ


ウィリアム・ブロックが生んだ新聞輪転機は、突然登場したわけではありません。その背後には、「もっと速く」「もっと効率的に」と挑み続けた技術者たちの試行錯誤が積み重なっています。

この節では、新聞印刷が“手作業”から“完全自動”へと進化する過程を、6つの歴史的ターニングポイントを通じて振り返ります。


🗓️1846年|ホーが「ロータリー印刷機」を発明

ニューヨークの技術者、リチャード・マーチ・ホーが、世界で初めて回転シリンダー方式のロータリー印刷機を実用化。
それまで主流だった平圧式と比べ、格段に高速化され、1時間に8,000枚以上の印刷が可能となりました。
印刷工程が「回転して刷る」という発想に転換された、まさに歴史的な瞬間です。


🗓️1863年|ブロックが“全自動新聞輪転機”を設計

ウィリアム・ブロックが、給紙・両面印刷・裁断・折りまでを一体化した全自動構造で米国特許第38,200号を取得。
この年を境に、印刷機が単なる「刷る機械」から「完成形の新聞を生み出す装置」へと進化を始めます。


🗓️1865年|初の商用導入、フィラデルフィア・レジャー社

ペンシルベニア州の新聞社「The Philadelphia Public Ledger」が、ブロック機を本格導入。
当時の報道では、1分あたり300〜400部の印刷性能を誇り、新聞の印刷・配達リードタイムが大きく短縮されたと伝えられています。


🗓️1867年|ブロック、印刷機の事故で死去

ブロックは自身の設計した輪転機の調整中、機械に足を巻き込まれ破傷風を発症し死亡
その悲劇は、技術の裏にある「安全設計の必要性」を突きつけ、後続の機械開発における“安全思想”の礎となりました。


🗓️1870年代以降|欧米の新聞社に急速に普及

ブロックの思想を受け継いだ各社が、新聞印刷機の実用化と改良を進め、ヨーロッパを中心に輪転機の導入が一気に加速
「一晩で数十万部」という大量印刷が、現実のものとなっていきました。


🗓️1871年|ホー社が“Web-fed press”を完成

リチャード・ホーの後継技術として、**ロール紙を使った連続印刷方式(web press)**が実用化。
ホー社が開発した“ウェブ・パーフェクティング・プレス”は、毎時18,000部の出力性能を誇り、ニューヨーク・トリビューン紙などで使用されました。
印刷から裁断・折りまでが一連で行える構造となり、ようやく「人の手による給紙や後加工」が機械に置き換わっていきます。


こうして見ると、ウィリアム・ブロックは単なる発明者ではなく、“新聞輪転機という完成形”を時代に与えた人物だったことがわかります。

彼の登場によって、新聞印刷は「人手に頼る工程」から「全自動で完結するメディア流通」へと、大きな進化を遂げたのです。


第6節|ブロックの悲劇と“自動化思想”の連鎖反応


ウィリアム・ブロックが設計した新聞輪転機は、印刷業界にとってまさに革命的な発明でした。
しかし、その輝かしい功績の裏には、決して忘れてはならない“ある出来事”が残されています。

それは──彼自身が、自ら設計した輪転機によって命を落としたという事実です。


完成の代償としての死

1867年、フィラデルフィアの新聞社で機械の調整を行っていたブロックは、不運にも機械に足を巻き込まれてしまいます。
重傷を負った彼は、破傷風(テタヌス)を発症し、そのまま帰らぬ人となりました。

奇しくもその機械は、彼が数年前に設計し、米国特許第38,200号を取得した**“完全自動新聞輪転機”**だったのです。

この出来事は、当時の印刷現場において「機械のスピード」と「人の安全」がまだ両立していなかったことを象徴するエピソードとして、現在も語り継がれています。


技術は、どこへ向かうのか

ブロックの死は、のちの印刷機開発において**“安全設計”**という新たな視点を芽生えさせる契機となりました。

たとえば以下のような仕組みは、彼の事故を機に重視されるようになったといわれています:

  • 非常停止レバーの搭載

  • カバーを開けると機械が自動停止するインターロック機構

  • 手元・足元に安全マージンを確保した危険回避ゾーンの設計

これらの発想は、「人が巻き込まれない機械」を目指す上で不可欠な概念となり、徐々に業界全体へと浸透していきました。


それでも彼の思想は生き続けた

ブロックの発明は、彼の死によって終わったわけではありません。
むしろその構造や思想は、次世代の開発者たちに受け継がれていきました。

たとえば、ドイツのマンローランド社やアメリカのゴス社は、ブロックの設計をベースにさらなる改良を重ね、より高速で安全性の高い新聞輪転機を開発。
彼の発明は、**“産業の次なる基準”**として世界に広がっていったのです。

ブロックが本当に見ていたのは、「速く刷ること」そのものではありませんでした。
彼が問い続けていたのは──
「人の手を必要としない仕組みとは何か」
「機械に任せられる仕事とはどこまでか」──という根本的な視点。

だからこそ、ブロックの発明は単なる機械技術にとどまらず、**“仕組みそのものを変える力”**を持っていたのだと思います。


第7節|ホーとブロックを正しく位置づける──“高速化”と“自動化”の2大革命


「ロータリー印刷機を発明したのはホー?それともブロック?」
印刷史において、しばしば議論されるこの問いに、正しい答えを出すには両者の貢献をしっかり整理する必要があります。

結論から言えば──どちらが「上」ではなく、それぞれが異なる視点から印刷の未来を切り拓いた**“革命の担い手”**だったのです。


ホーが切り開いたのは「高速化の革命」

1846年、アメリカの技術者リチャード・マーチ・ホーは、世界初の回転シリンダー方式によるロータリープレスを実用化しました。
それまで主流だった平圧式印刷に比べて大幅なスピードアップが可能となり、1時間に8,000部以上という当時としては驚異的な処理能力を誇りました。

さらにホー社はその後、**ロール紙を使った連続給紙方式(Web-fed press)**の開発を進めます。
これにより給紙の手作業が省略され、印刷速度は飛躍的に向上しました。

ただしこの時点では、印刷後の裁断や折りは手作業に頼っており、全体の自動化にはまだ距離がありました。


ブロックが成し遂げたのは「完全自動化の完成」

ホーの登場からおよそ15年後、ウィリアム・ブロックは印刷工程に“もうひとつの革命”を起こします。
彼が目指したのは、1人でも扱える“全自動”の新聞輪転機でした。

ブロックの設計は、給紙・両面印刷・裁断・折りまでを1台の機械の中で完結させるという、かつてない構造。
1863年には米国特許第38,200号を取得し、新聞制作がついに**「人の手を介さずに完結する」時代**が始まります。

彼の発明は、単に速度を上げるだけでなく、「仕組みそのもの」を合理化した点で、ホーとは異なる革命性を持っていました。


2人の功績を図で整理すると…

比較項目 リチャード・M・ホー ウィリアム・ブロック
活躍時期 1840〜1860年代前半 1860〜1867年頃
主な発明 回転式ロータリープレス 完全自動新聞輪転機
技術の特長 高速化/ロール紙による連続給紙 自動化/印刷→裁断→折りまでの一貫処理
処理範囲 印刷まで 印刷+裁断+折り
社会的影響 印刷スピードの飛躍的向上 新聞制作の“人手ゼロ化”を実現
歴史的評価 「ロータリー印刷の父」 「新聞輪転機の完成者」

両者がいて、初めて“新聞大量印刷”が成立した

ホーが「回転させれば速くなる」と気づき、印刷速度の壁を突破したことで、ロータリー印刷という概念が誕生しました。
一方でブロックは、「工程を一体化すれば自動化できる」と考え、新聞制作そのものの“仕組み”を変革しました。

どちらが欠けても、新聞が“社会の情報インフラ”として機能するまでには至らなかったでしょう。

──ホーが切り開いた道に、ブロックが橋を架けた。
この2人の視点と技術が交差したとき、新聞印刷は“産業”から“社会の動脈”へと変貌を遂げたのです。


第8節|印刷会社が学ぶべき“全自動化”の本質


ウィリアム・ブロックが全自動新聞輪転機を生み出してから、すでに150年以上。
今や輪転機はフルカラー対応、遠隔操作、品質管理センサーも搭載され、驚くほどの進化を遂げました。

それでも、私たち印刷業が改めて向き合うべきなのは、ブロックがなぜ“自動化”に挑んだのかという原点です。

彼の思想には、現代の印刷現場が抱える課題にもつながる“本質”が息づいています。


1|自動化とは“速さ”ではなく“流れ”を整えること

ブロックが見据えていたのは、ただスピードを上げることではありませんでした。
彼の関心はむしろ、「新聞が完成するまでの全工程」をひとつの“流れ”として整えることにありました。

どこか1カ所でも人の手作業が残っていれば、全体のテンポが乱れ、ミスや遅延が生まれます。
だからこそ彼は、「刷る・切る・折る」すべてを1台の中に組み込んだのです。

これは、今の印刷会社でも変わりません。
どれだけ最新機種を導入しても、前後工程がバラバラであれば、“速さ”は生きないのです。


2|“人手を減らす”のではなく“人を疲弊させない”設計へ

「自動化」と聞くと、つい“人がいらなくなる”という冷たい印象を持ってしまうかもしれません。
しかしブロックの発想は、まったく逆でした。

彼の輪転機は、**「人を過酷な労働から解放するための装置」**でした。
夜通しの手折り、重たい紙の搬送──そうした作業を“機械が代わりにやってくれる”ことで、
作業者は次の準備に集中でき、現場の負担が軽くなったのです。

つまりブロックが目指したのは、「人が本来やるべき仕事に専念できる環境」
これは今も、印刷会社の“目指すべき自動化”の方向性そのものです。


3|“仕組みそのものを変える”という視点が未来を開く

ブロックの発明が画期的だったのは、単なる機械の進化ではなく、“仕組みの再設計”だった点です。
インキの流れ、紙の動線、折り加工の順序まで──彼はすべてを一連の動作として組み直しました。

この発想は、設備導入に悩む現場にも通じます。

「新しい機械を入れるかどうか」で迷う前に、
“なぜ滞っているのか” “どこに無駄があるのか”という全体の流れを見直すことが、本質的な改善につながるのです。


ブロックが残したのは“思想”だった

ブロックの輪転機は、単なるメカニズムではありません。
彼が本当に残したのは、「人と機械の関係はどうあるべきか」という問いでした。

その答えが、いまも私たちに問いかけてきます。

速くすることがゴールではない。
流れを整え、負担を減らし、人を活かすこと。

この思想こそが、今の印刷会社が抱える課題を突破するヒントになるのではないでしょうか。


まとめ|“速さ”を超えて“ワンパス化”へ──ブロックが残した教訓


新聞印刷が“ただの作業”だった時代に、ウィリアム・ブロックはその仕組み全体を“ひとつの流れ”へと変えました。

従来は「給紙 → 印刷 → 裁断 → 折り → 配達」と分断されていた工程を、
彼はたった一台の機械で**“ワンパス化”**し、印刷の在り方そのものを再定義したのです。

この考え方は、単なる“スピード競争”とはまったく異なるものでした。

本当に大事なのは、**「人の手を煩わせない仕組み」**をつくること。
ブロックは、それを150年以上も前に実現しようとしていたのです。


ホーが作った道、ブロックがつないだ未来

リチャード・ホーが生み出したのは、紙を回して速く刷るという**“回転印刷という仕組み”**。

そしてウィリアム・ブロックが完成させたのは、
それを人の負担なく完結させる**“仕組み全体を一体化する思想”**でした。

この2人の功績が重なり合ったからこそ、私たちは今日、
新聞を“毎朝当然のように届く情報源”として手に取ることができるのです。


技術は“速い”だけでは意味がない

いまも印刷業界では、「より速く」「より少人数で」「より安定して」──という課題に向き合い続けています。

けれど、何を優先すべきか迷ったときは、ブロックの思想を思い出してほしいのです。

彼が考えていたのは、
「どうすれば人が無理せず、自然に動けるか」
「機械が人にどう寄り添えるか」という問いでした。

その答えは、いまの私たちが「次に何を変えるべきか」を考えるときの、確かな指針になるはずです。


“全体の流れを整える”──それが、次の改善のヒントになる

ブロックが遺した教訓は、ただの「発明の記録」ではありません。

それは、“人と機械のあるべき関係”を考えるきっかけであり、
“スピードよりも流れを整えること”が真の効率につながるという事実です。

いま、自社の現場にどんな“手詰まり”があるか。
それを一歩引いて見直すことで、ブロックが見ていた未来と、私たちの今がつながっていくのではないでしょうか。


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