団扇(うちわ)の意味・読み方・歴史まとめ|起源から丸亀うちわまで

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第1章|この記事でわかること


団扇(うちわ)は“夏の道具”だけじゃない。3000年続く文化の象徴

団扇(うちわ)というと、夏祭りや花火大会のイメージが強いですが、その歴史をさかのぼると3000年以上前の古代文明にまで行き着きます。
エジプトの神殿で儀式に使われた巨大な団扇、中国の宮廷で貴族女性が手にした絹の団扇──。涼を取るだけでなく、権威や信仰を象徴する道具として、団扇は人類の歴史とともにありました。

日本には飛鳥時代、仏教の伝来とともに団扇が伝わり、平安時代には貴族の装飾品として、江戸時代には広告や浮世絵を刷った「うちわ絵」として大流行します。現代では、香川県丸亀市が国内シェア9割以上を誇る一大産地として、伝統と職人技を守り続けています。

そして、「団扇(うちわ)」という名前自体も奥深い意味を持ちます。
「打ち払う羽(うちわ)」──虫や邪気を追い払うための羽根の道具として呼ばれたのが始まりとされ、中国由来の漢字「団扇」は丸い形状を表す言葉。日本と中国、二つの文化の交差点で生まれた言葉なのです。

このブログでは、団扇という何気ない道具の裏にある奥深い文化を紐解きます。

  • 団扇の語源と漢字の由来

  • 世界と日本の団扇の歴史

  • 扇子との違い

  • 丸亀が団扇の名産地になった理由

  • 現代の団扇と印刷・デザインの関係

涼を取るだけのアイテムではない、「文化を届ける道具」としての団扇を一緒に見ていきましょう。


第2章|団扇(うちわ)の読み方と名前の由来


「団扇」の正しい読み方は“うちわ”。語源は「打ち払う羽」

「団扇」という漢字を見て「だんせん?」「たんせん?」と迷ったことはありませんか?
実はこの言葉、日本独自の読み方「うちわ」が根付いています。

「うちわ」という名前の起源は、日本語の古語「打ち羽」または「打羽(うちは)」にさかのぼります。
「打ち」は“打つ・払う”という意味、「羽」は団扇に使われていた鳥の羽根を指し、
つまり「虫や邪気、暑気を打ち払う羽根の道具」が「うちわ」なのです。
この語源から、団扇にはただ涼を取るだけではない“魔除け・清め”の意味が込められていることがわかります。


中国由来の漢字「団扇(団=丸い、扇=あおぐ道具)」

「団扇」という漢字表記は日本で作られたものではなく、中国から伝わった言葉です。
中国語では「团扇(團扇)」と書き、「tuánshàn(トゥアン・シャン)」と発音します。
「団」は“丸くまとまる”を意味し、「扇」は“あおぐ道具”。
つまり漢字そのものが、丸い形の扇を表現しているのです。

中国では団扇は古代から絹や羽を貼った美しい装飾品として貴族女性に愛用され、宮廷文化の一部となっていました。日本のように庶民の生活道具として普及したのとは対照的です。


団扇と扇子の文化ルートは正反対だった

興味深いのは、団扇が中国から日本へ伝わったのに対し、扇子は逆に日本で発明され、中国へ輸出されたという説が有力なことです。
平安時代の日本で登場した「檜扇(ひおうぎ)」が、後に中国や朝鮮半島に伝わり、世界中で広まっていったと言われています。

団扇と扇子は、どちらも「風を起こす道具」でありながら、発祥地・形状・用途・文化的背景まですべて異なる進化をたどってきたのです。


まとめ|団扇の読み方と名前の由来

  • 「うちわ」は日本語起源。「打ち払う羽」が語源

  • 「団扇」は中国語由来で「丸い扇」を意味する

  • 扇子は逆に日本発祥 → 中国・世界へ広がった文化

  • ひとつの道具から、日中の文化交流や歴史の交差点が見えてくる


第3章|団扇の起源はどこ?世界の古代文明と“風を送る道具”の歴史


団扇(うちわ)のルーツを探ると、実は日本や中国に限らず、世界中で独自に発展してきた道具であることがわかります。
人類は古代から「風を起こす」「払う」という行為を、信仰・権力・生活の象徴として活用してきました。


🔹 古代エジプト:王権の象徴としての団扇

最古の団扇の記録は、紀元前3000年頃の古代エジプトまでさかのぼります。
神殿儀式や王の権威を示すために、大型の羽扇が使用されていました。
素材には孔雀やダチョウの羽、宝石や金属を使い、風を送るというよりは権威を表す道具として重要な役割を担っていました。
ファラオの背後で従者が団扇を掲げる様子は、古代の壁画やレリーフでも確認できます。


🔹 古代中国:羽扇・軍扇の象徴性

中国では紀元前の戦国時代から、竹や羽根を使った団扇が登場しました。
特に有名なのが、三国志の諸葛亮孔明が愛用した羽扇(うせん)
これは単なる道具ではなく、知恵や冷静さを象徴するアイテムとして描かれています。
唐・宋の時代には絹を貼った華やかな団扇が流行し、宮廷の女性たちの必需品に。
この頃、漢字の「団扇(団=丸い+扇=あおぐ道具)」という呼び名が広まりました。


🔹 インド・東南アジア:宗教儀式での使用

インドや東南アジアでは、ヤシの葉や布を使った団扇が古くから使われ、特に仏教儀式で重要な役割を果たしていました。
僧侶が手に持つ**払子(ほっす)**や団扇型の道具は、虫や邪気を払うだけでなく、**神聖な空気を整えるための“宗教的シンボル”**だったのです。


🔹 日本:仏教伝来とともに団扇も上陸

日本に団扇が伝わったのは飛鳥時代。仏教文化の流入とともに、儀式で使う団扇が僧侶の間で使われ始めました。
その後、貴族の装飾具や庶民の実用品、広告媒体へと発展し、現代のうちわ文化につながります。


まとめ:団扇は人類共通の“文化の風”だった

  • エジプト:権威の象徴としての豪華な団扇

  • 中国:軍略や知性を象徴、宮廷文化の中核アイテム

  • インド・東南アジア:宗教儀式に欠かせない道具

  • 日本:飛鳥時代に伝来 → 庶民の実用品・広告ツールに進化

団扇は、涼をとる単なる道具ではなく、人類の歴史・信仰・権力・美意識を映し出す文化的アイコンだったのです。


第4章|日本における団扇の歴史|飛鳥時代から江戸までの進化


団扇(うちわ)が日本に登場したのは飛鳥時代(6〜7世紀)頃とされます。
仏教の伝来に伴い、中国やインドから**儀式用の団扇(払子や羽団扇)**が僧侶の手に渡ったのが始まりです。
当初は宗教や宮廷の儀式で使われる高貴な道具で、庶民の生活とは無縁の存在でした。


🔹 平安時代:貴族社会の装飾具として定着

平安貴族の間では、団扇は美しい絵や装飾を施した工芸品として扱われました。
同時期に折りたたみ式の「檜扇(ひおうぎ)」も登場し、

  • 団扇=丸く広がる固定式

  • 扇子=折りたたみ可能な式典用
    という役割分担が明確に。
    団扇は儀礼や装飾用として、貴族文化の象徴となっていきました。


🔹 鎌倉・室町時代:武士社会へ広がる

中世になると団扇は武士階級にも取り入れられ、軍扇や采配として戦場で活躍します。
指揮官が合図や威厳を示すために使った団扇は、単なる涼を取る道具を超え、戦略のシンボルに変化しました。


🔹 江戸時代:庶民文化と広告メディアに進化

江戸時代、団扇は庶民文化の中で一気に花開きます。
木版技術を使った**「うちわ絵」**が流行し、団扇は夏祭りや芝居小屋で配られる広告メディアとしても普及しました。
商店や劇場はオリジナルデザインの団扇を配布し、
「あおげる広告」=実用+情報発信ツールという新しい価値を持つようになったのです。


まとめ|日本の団扇文化は“宗教・貴族・庶民”を繋いだ

  • 飛鳥時代:仏教儀式の道具として伝来

  • 平安時代:貴族社会で装飾品・礼儀道具に

  • 中世:武士の軍扇として戦場で使用

  • 江戸時代:浮世絵団扇が庶民文化・広告メディアに

日本の団扇は、宗教的な象徴から庶民の必需品・広告ツールへと進化し、
あらゆる階層と文化を横断する日本独自のデザイン史を築きました。


第5章|団扇と扇子の違い|形・歴史・文化背景で読み解く2つの“風の道具”


団扇(うちわ)と扇子(せんす)は、どちらも風を起こす道具ですが、構造・発祥・用途・文化背景がまったく異なります。
この章では、それぞれの特徴と違いを整理します。


🔹 団扇:固定式で中国由来の道具

団扇は竹の骨に紙や布を貼った固定式の扇具で、折りたたみはできません。
古代中国で生まれ、日本には仏教とともに飛鳥時代に伝わりました。
江戸時代には木版浮世絵を刷った「うちわ絵」が庶民文化で流行し、広告メディアとしても大活躍。
祭りやイベント、神事など、実用と文化の両面で根付いた道具です。


🔹 扇子:折りたためる日本発祥の携帯道具

扇子は細い骨を重ねて作る折りたたみ式の扇具で、平安時代の日本で誕生しました。
初期の檜扇(ひおうぎ)は宮中儀式の必需品で、その後中国や朝鮮に伝わり、世界各地に広がった日本文化の代表格です。
茶道・舞踊・歌舞伎などの芸能や礼儀作法でも重要な役割を果たし、実用+様式美を象徴するアイテムとなりました。


🔹 団扇と扇子の比較表

項目 団扇(うちわ) 扇子(せんす)
構造 固定式・折りたためない 折りたたみ可能
発祥 中国 日本
主な素材 竹+紙・布 木+紙・糸など
主な用途 涼、広告、神事、祭り、販促 芸能、茶道、贈答品、礼儀作法
形状 丸型・楕円型 扇型・線対称

🔹 まとめ|似て非なる“風の文化”

団扇と扇子は、同じ「風を送る道具」でありながら、

  • 発祥国も進化の方向性も真逆

  • 団扇=中国由来 → 日本で庶民文化に定着

  • 扇子=日本発祥 → 海外へ広がった芸術品
    という対照的な歴史を持っています。
    2つの道具を知ることで、東アジア文化の交差点としての日本の歴史も見えてきます。


第6章|なぜ香川県・丸亀市が「うちわ王国」になったのか?


丸亀うちわの歴史と、産地としての理由

団扇の国内生産シェアの9割以上を占めるのが、香川県丸亀市です。
この街は、江戸時代から現代まで日本最大の団扇産地としての地位を築いてきました。
では、なぜ丸亀がこれほどまでに団扇づくりで有名になったのでしょうか?


🔹 金刀比羅宮の参拝土産として人気に

江戸時代、西日本一帯で信仰を集めた**金刀比羅宮(ことひらぐう)**への参拝は「一生に一度は訪れたい」とされる旅の目的地でした。
参拝客が増えるにつれて、旅の途中の必需品であり記念品でもある団扇の需要が急増し、丸亀の町では団扇づくりが盛んになりました。


🔹 豊富な竹資源と港町の立地が後押し

丸亀周辺には団扇の骨に最適な良質の竹が豊富に自生しており、
さらに瀬戸内海沿岸の港町として物流の拠点になったことで、
原材料の調達から製品の出荷までスムーズな流通網が整いました。
これが団扇産業の発展を大きく後押ししたのです。


🔹 分業制の確立で量産体制が完成

明治時代になると、丸亀では職人がそれぞれの工程を担当する分業制が確立されました。

  • 骨をつくる職人

  • 紙を貼る職人

  • 絵柄を印刷する職人

  • 柄を仕上げる加工職人

この分業体制により、効率よく大量生産できる産業基盤ができあがり、全国からの注文に応えられるようになりました。


🔹 現代も続く伝統工芸品「丸亀うちわ」

高度経済成長期を経ても団扇産業は衰退せず、
1997年には経済産業大臣指定の伝統的工芸品に認定されました。
現在では観光客向けの手仕事品や高級工芸品も多く、
海外からのインバウンド需要やエコ素材対応など、
時代のニーズに合わせた新しい挑戦も続いています。


まとめ|丸亀が「うちわ王国」と呼ばれる理由

  • 江戸時代:金刀比羅宮参拝土産として需要増

  • 豊富な竹資源+港町という立地の強み

  • 分業制で全国流通に対応できる生産体制を確立

  • 現代は伝統工芸として国内外で再評価

丸亀うちわは、自然資源・歴史・職人技が融合した地域文化そのもの
1本の団扇には、香川県の産業と伝統の誇りが込められています。


第7章|現代の団扇|印刷技術と伝統工芸が融合した“進化形ツール”


団扇(うちわ)は「昔ながらの道具」と思われがちですが、令和の時代でも販促・工芸・環境意識の最前線で活躍しています。
印刷技術やデザインの進化によって、団扇は広告ツールからアート作品まで、幅広い価値を持つアイテムに生まれ変わりました。


🔹 企業ノベルティ・イベント配布の定番アイテム

現代の団扇は、夏の販促グッズや地域イベントの広告ツールとして欠かせない存在です。

  • ロゴやキャッチコピーを印刷した企業用PRうちわ

  • QRコードやSNS情報を載せた販促ツール

  • 音楽フェスや祭りのオリジナルデザイン団扇
    など、「あおげる広告」=持ち歩かれるメディアとしての価値は健在。
    Tシャツやタオルより安価に製作でき、小ロットにも対応できるのも魅力です。


🔹 伝統工芸の魅力を守る「丸亀うちわ」「京うちわ」

一方で、職人の手仕事による高級団扇も国内外で注目されています。

  • 丸亀うちわ:骨組みを一本ずつ手作りし、美しい手貼り仕上げ

  • 京うちわ:柄を後付けする独特な構造で紙面に歪みがなく芸術的
    こうした団扇は観光土産や贈答品、海外のコレクションアイテムとして人気が高まっています。


🔹 環境対応型の“エコうちわ”も登場

環境意識の高まりに伴い、再生紙や竹由来樹脂を使ったエコ団扇が増えています。

  • プラスチック削減を目的とした紙製うちわ

  • 植物性インキやバイオマス素材を使ったエコ印刷
    自治体や企業のCSR活動の一環として、環境対応型の団扇が広く活用されています。


🔹 「印刷×伝統技術」のハイブリッド進化

団扇は、オフセット印刷やオンデマンド印刷による大量生産から、
シルクスクリーンや箔押しなどの職人技まで幅広く対応可能な珍しいツールです。
消耗品から工芸品まで、同じ“団扇”という形で表現できる多様性は、印刷業界と伝統産業が共に支えてきた強みです。


まとめ|団扇は現代でも“文化と広告をつなぐメディア”

団扇は古代から変わらぬ形を持ちながら、

  • イベント販促や企業PRのための印刷ノベルティ

  • 職人の手で仕上げる伝統工芸品

  • 環境に配慮したエコ商品
    といった多彩な用途で、現代社会に適応し続けています。
    **時代の価値観や技術を反映できる「進化し続ける文化の象徴」**こそ、団扇の最大の魅力です。


第8章|まとめ|団扇は「風を送る道具」であり「文化を届けるメディア」


団扇(うちわ)は、シンプルな形をした夏の道具のようでいて、
その歴史をたどれば、3000年以上前の古代文明から続く文化の象徴です。

  • 紀元前のエジプトや中国では、権威や神聖さを表す道具として

  • 日本では、飛鳥時代に仏教とともに伝来し、貴族の装飾具・武士の軍扇・庶民の広告メディアとして進化

  • 江戸時代には浮世絵や広告を刷った「うちわ絵」が流行し、情報発信の最前線に

  • 現代では印刷技術や環境対応素材を活かし、販促物・贈答品・アート作品に進化

さらに、団扇という名前自体も象徴的です。
「打ち払う羽(うちわ)」という日本語の語源は、邪気や暑さを祓う意味を表し、
「団扇(団=丸く、扇=あおぐ道具)」という漢字は中国文化由来。
たった一枚の団扇に、東アジアの歴史と文化交流の軌跡が込められているのです。


団扇は「時代の価値観」を写すメディアだった

丸亀市の団扇産業に象徴されるように、団扇は単なる日用品ではなく、
職人の手仕事・分業制・印刷技術・地域文化の結晶として、時代ごとの価値観を反映し続けてきました。

  • 庶民の広告ツール

  • 伝統工芸品

  • 環境配慮型の商品

これらすべての顔を持つ団扇は、時代の変化を受け入れながら進化する稀有な道具です。


あなたの手元の一枚にも、3000年の物語が宿る

今、あなたが手にしている団扇も、遠い昔の人々の知恵や文化の積み重ねでできています。
風を送るその動作には、暑さをしのぐ実用性だけでなく、
祈り・美意識・伝統・想いを運ぶ意味が込められているのです。

団扇はただの紙と竹ではなく、**「文化を届けるメディア」**としてこれからも私たちの暮らしを彩り続けるでしょう。


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