クリアファイルの歴史|いつからある?日本発祥の文房具が進化した理由とは

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第1章|このブログでわかること|クリアファイルの歴史と未来

1961年に誕生し、1970年代に普及した“日本発の文房具”

いまや学校や職場、病院など、どこでも当たり前に使われているクリアファイル。
しかし実は、その歴史はまだ60年にも満たない**“比較的新しい文房具”**です。

クリアファイルの原型は1961年、日本で最初に登場したとされています。
当時は塩化ビニル製の透明な書類フォルダーで、「中身が見える」という当時としては画期的な利便性が評価されました。ただし、素材が高価で加工にも手間がかかることから、当初は一部の業務用途にとどまり、一般への浸透には時間がかかります。

転機が訪れたのは1970年代後半。軽くて加工しやすく、透明度も高いポリプロピレン(PP)素材が文具製造に普及し、コストを抑えた大量生産が可能に。さらに、A4用紙の標準化やオフィス業務の効率化ブームと相まって、“中身が見えるファイル”という需要が爆発的に拡大しました。
こうして、クリアファイルは文房具の定番として一気に広まっていったのです。


いまでは“配れる広告メディア”としても進化中

現在のクリアファイルは、単なる書類整理道具にとどまらず、企業の販促品やアニメグッズ、自治体の広報ツールとしても活用されています。印刷技術の進化によりフルカラーの写真やイラストも美しく再現できるため、**“見せる文房具”かつ“配れるメディア”**としてその存在感を高めています。


このブログでわかること

本記事では、以下の視点からクリアファイルの誕生と進化の物語をひも解いていきます:

  • なぜ透明だったのか?|誕生の背景と素材技術の進歩

  • どうやって普及したのか?|製造技術と社会ニーズの変化

  • 今どんな風に使われているのか?|ノベルティ・キャラグッズとしての発展

  • 世界ではどうなのか?|海外文化との違いと逆輸出現象

  • これからどうなるのか?|環境素材と未来の可能性

身近すぎて見過ごされがちなクリアファイル。その背景には、素材開発、印刷技術、社会の変化が凝縮されたストーリーがあります。
ぜひ最後まで読んで、“透明な文具”の奥深さを体感してみてください。

▶併せて読みたい記事 クリアファイルとは?用途・種類・名入れ印刷を徹底解説


第2章|なぜ紙ではなく「透明」だったのか?|クリアファイル誕生の背景

紙製フォルダーが主流だった時代、なぜ“透明”が選ばれたのか?

1960年代〜70年代初頭までは、書類の整理といえば厚紙製の二つ折りフォルダーやバインダーが一般的でした。しかし高度経済成長にともない、オフィス業務のペーパーワークが急増。書類の山から目的の資料を探し出す手間や時間が大きな課題となっていました。

そんな中で注目されたのが、“中身が見える”透明素材を使った書類ホルダーです。実は1960年代にはすでに一部で使われ始めていましたが、当初は価格や加工性の問題から限定的な存在でした。

それが1970年代後半に入り、ポリプロピレン素材の登場や製造コストの低下によって普及が一気に進みます。紙のフォルダーでは表紙を開けなければ中身がわからなかったのに対し、透明なクリアファイルは「見える」という視認性とスピード感が高く評価され、オフィスや教育現場で急速に支持を集めていったのです。


素材の進化が“透明ファイル”の実現を後押し

透明なファイルが実現できた背景には、素材技術の進歩があります。特に登場当初に採用されたのは「ポリ塩化ビニル(PVC)」や「ポリプロピレン(PP)」といったプラスチック素材。これらは軽くて丈夫でありながら、透明性が高く、繰り返し使用しても劣化しにくいという特徴を持っていました。

1970年代後半、これらの素材が安価に安定供給できるようになったことが、製品化を現実のものにしました。さらに、加熱によって形状を安定させたり、印刷を乗せたりする技術も進化しており、クリアファイルの量産が可能になったのです。


日本の“見せる”文化と視認性重視のニーズが合致した

日本では、整理整頓や見た目の美しさに対する意識が高く、デスクの上や書類棚も「きちんと整って見える」ことが重視されてきました。透明なクリアファイルは、書類の中身を隠さずに保管できるうえ、タイトルシールやラベルと組み合わせれば視認性も抜群。こうした“見せる収納”の文化ともマッチし、日本のオフィス文化に深く根付いていきました。

このようにして、紙でもなく布でもなく「透明なプラスチック」という選択肢が時代にぴたりとハマり、クリアファイルは一躍、定番文房具としての地位を確立したのです。


第3章|1970年代〜90年代|クリアファイル普及の裏にあった技術革新

素材は何?ポリプロピレン(PP)の進化が鍵だった

クリアファイルの普及に最も貢献したのが、素材として使われた「ポリプロピレン(PP)」の存在です。PPは軽くて柔らかく、かつ透明性があり、コストも安く、大量生産に向いています。1970年代後半〜80年代にかけて、このPPの供給が安定したことで、クリアファイルは一気に大衆化の道をたどります。

それまで使われていた塩ビ(PVC)はやや硬く、加工にもコストがかかりましたが、PPの登場により、よりしなやかで使いやすいファイルが作れるようになったのです。


製造技術の進化|超音波溶着が「縁を閉じる」革命を起こした

素材が良くても、加工が複雑では製品化は難しい。そこで登場したのが「超音波溶着」という製造技術。これは超音波振動によって素材同士を圧着する方法で、接着剤を使わずとも縁をぴたりと閉じることができるのです。これにより、低コスト・短時間・高精度な製造が可能になり、全国の文具メーカーが一斉にクリアファイル市場に参入しました。

この加工法の確立は、まさに“透明な袋状ファイル”を現実のものにした技術的ブレイクスルーだったと言えます。


オフィスと教育現場で“標準装備”へと進化

1980〜90年代にかけては、日本社会にパソコンがまだ普及しておらず、書類中心の業務が続いていました。役所・企業・学校・病院など、どこでも紙資料が山のように使われ、その整理・分類にクリアファイルは最適でした。

さらに、学校教育でも配布プリントの保管に役立つことから、生徒向け・先生向け・保護者向けとさまざまな場面でクリアファイルが浸透。安価で大量配布が可能なため、企業や団体のノベルティとしても注目され始めたのがこの時代です。


こうして、素材・加工・社会ニーズという3つの条件がそろったことで、クリアファイルは“あって当然”の存在へと成長していきました。


第4章|ノベルティとしての進化|印刷技術が変えた“見せるファイル”

企業ロゴからアニメグッズまで。印刷で変わった“価値”

90年代以降、クリアファイルは「ただの書類入れ」ではなく、「見せる文房具」へと進化を遂げていきます。その背景には、オフセット印刷やシルク印刷、そしてオンデマンド印刷の発達がありました。透明なPP素材にフルカラーで美しく印刷できるようになったことで、企業ロゴ、イラスト、写真などを自由にデザインできるようになったのです。

企業は展示会やキャンペーンのノベルティとして、学校は行事案内や配布物のパッケージとして、さらには出版社やアニメ業界では“推し”や作品のビジュアルを全面に押し出したコレクショングッズとして、クリアファイルを活用しはじめます。


オンデマンド印刷が“小ロット×高品質”の時代を実現

特に注目すべきは、オンデマンド印刷の登場です。従来の大量ロット印刷と異なり、必要な数だけすばやく印刷できるこの方式は、学校・イベント・同人・企業販促など、多様な用途にマッチ。ローカルなニーズや一時的な配布にも対応できるようになったことで、クリアファイルの“カスタム性”と“機動力”が格段に向上しました。

この技術革新により、大企業だけでなく中小企業や個人事業主でも、オリジナルデザインのクリアファイルを手軽に作れるようになり、市場は一気に活性化していきます。


販促ツールから“ファンアイテム”へ|感情を動かす文具に

現代では、クリアファイルはただの整理道具ではなく、“伝えたいことをのせる媒体”として広く受け入れられています。アニメやゲームでは限定イラストを載せた特典ファイルが販売促進の鍵を握り、ミュージシャンやスポーツチームではファン向けグッズとしての役割も担います。

つまり、クリアファイルは“感情に届く文房具”へと変貌を遂げたのです。整理だけでなく、記憶に残す、届ける、飾るといった新しい使われ方が広がり続けています。


第5章|海外では?日本と世界のクリアファイル文化の違い

欧米では“紙のフォルダ”が主流。透明ファイルは少数派?

アメリカやヨーロッパのオフィス・学校では、いまだに紙製または厚手のボール紙製の「フォルダ」や「リングバインダー」が主流です。中身は見えず、表紙にラベルやインデックスを貼って管理するスタイルが一般的。そのため、「透明な状態で中身が見えるファイル」は、実はあまり浸透していません。

日本のように、書類が見えること自体を機能として重視する文化は珍しく、欧米ではむしろ「中身が隠れるほうが良い」とされる場面も多いのが現実です。


なぜ日本でだけ“透明”がこれほど普及したのか?

この背景には、日本特有の価値観と社会的要請があります。たとえば:

  • 仕事や教育の現場で「書類の見た目」や「整然と並んでいること」を重視する文化

  • 行政や企業での“紙文化”の根強さと、配布資料の多さ

  • オフィスでの限られたスペース内で、効率よく管理するための“視認性”のニーズ

  • 文房具に対するこだわりや、文具好きな国民性

これらが複合的に絡み合い、「透明ファイル」が“ただの道具”ではなく“選ばれる文具”として進化する土壌ができていたのです。


逆輸入?いま、世界が“日本のクリアファイル”に注目しはじめている

面白いのは、アニメグッズや日本文化のグローバル化により、いまや海外でも“日本式クリアファイル”が人気を集め始めていることです。アニメイベントやコンサートグッズとして登場する「A4クリアファイル」は、アメリカやフランスなどでもファンアイテムとして定着しつつあり、逆に“クールジャパン”的な文房具として輸出されている現象も見られます。

もともとは日本のオフィス文化が生んだ実用品が、いまではカルチャーの一部として世界に拡がっている。これこそが、クリアファイルの奥深い進化の証といえるでしょう。


第6章|これからのクリアファイル|サステナブルと未来素材への進化

プラスチック離れが加速。クリアファイルはどうなる?

ここ数年、世界的に“脱プラ”の流れが急速に広がっています。海洋汚染・マイクロプラスチック問題が注目されるなか、企業や自治体はノベルティや文房具の素材にも厳しい目を向け始めました。クリアファイルも例外ではなく、「環境に優しい素材かどうか」が選定基準になりつつあります。

従来のポリプロピレン(PP)は燃焼時に有害ガスを出さず再資源化しやすいという特徴はあるものの、「石油由来=使い捨てプラ製品」として批判されやすく、今後のあり方が問われています。


注目される新素材|再生PP・紙ファイル・バイオマス素材など

現在、各社が取り組んでいる次世代クリアファイルの素材は主に以下の3つです:

  • 再生ポリプロピレン(再生PP):使用済みクリアファイルなどをリサイクルした素材。透明性はやや落ちるが、環境負荷は大幅に軽減。

  • 紙製ファイル:プラスチックを一切使わず、紙で作られたファイル。印刷適性や防水性には課題が残るが、エコを訴求するには最適。

  • バイオマスプラスチック:とうもろこしなど植物由来の原料を使い、石油資源に頼らないプラ素材。高機能・高価格帯で注目。

これらの新素材を活用した製品は、特に環境意識の高い企業や教育機関、行政向けノベルティとして導入が進んでいます。


“デジタル時代”でも消えないアナログの価値

クラウド化や電子資料が進む中で「紙を使わないオフィス」も増えていますが、完全にペーパーレスになるには時間がかかるのが現実です。書類のやり取りや配布が日常的に行われる限り、物理的な整理道具としてのクリアファイルはまだまだ現役。

むしろ、印刷物に「質感」や「温度」を感じる人が増えている現代だからこそ、エコ素材×デザイン性のあるアナログツールが再評価されているともいえるでしょう。

未来のクリアファイルは、「使い捨て」ではなく「大切に使い続けるもの」へ。その進化は、私たちの意識次第でさらに加速していきます。


まとめ|クリアファイルは“時代を映す”文具だった

クリアファイルは、1961年に日本でその原型が誕生し、1970年代後半からポリプロピレン(PP)の素材進化とともに一気に普及した、比較的新しい文房具です。
中身が見えるという機能性は、それまでの紙フォルダーにはなかった画期的な特徴であり、整理性・視認性を重視する日本のオフィス文化と完璧にマッチしました。

その後、印刷技術の進化によって、企業ロゴやアニメイラストを載せた“見せる文具”としても注目され、ノベルティやグッズとしての活用が拡大。
クリアファイルはただの書類整理ツールから、「情報を届ける」「思いを伝える」コミュニケーションツールへと進化していったのです。

そして現代では、脱プラスチックやSDGsへの関心の高まりとともに、再生PPや紙素材、バイオマスプラスチックなどを使った**“サステナブルなファイル”**へのシフトも始まっています。
さらに、デジタル化が進んでも、紙と触れ合いながら情報を“物理的に整理する”というアナログな行為は、やはり私たちの暮らしに必要とされ続けています。

クリアファイルは、透明であるがゆえに時代のニーズや価値観を映し出す存在でした。これからもその姿を少しずつ変えながら、私たちのそばで“伝える・整える”役割を果たし続けていくでしょう。


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