第1章|ペーパーレスって何?──まずは要点と、自社チェックから始めよう
「ペーパーレス」という言葉、最近よく耳にしませんか?
なんとなく「紙を減らすことかな?」というイメージはあるけれど、実際に“何をどうすれば”ペーパーレスなのか、正確に説明できる人は案外少ないのが現実です。
しかし今、ビジネスの現場ではこの“なんとなく”が通用しない時代に入っています。
📌 電子帳簿保存法の改正で「紙保存」が原則NGに
2024年1月の法改正により、電子取引(PDF請求書など)のデータを紙で保存することは原則禁止となりました。
つまり、いままでのように「とりあえず印刷してファイリング」が許されないケースが急増しているのです。
この改正を知らずに旧来の運用を続けていると、税務調査時に保存要件違反となるリスクすらあります。
🌱 紙の使用は環境負荷にも直結する
ペーパーレスは、法律対応だけでなく環境面からも大きな意味を持ちます。
たとえばA4用紙1枚の製造・廃棄にかかるCO₂排出量は約7g。
月1万枚を印刷している企業であれば、年間の排出量は 約840kg にもなります。
これは、杉の木約95本が1年間に吸収するCO₂量に相当します(※林野庁試算に基づく)。
✅ 3行で押さえるペーパーレスの基本
-
ペーパーレスとは?
紙で行っていた業務をデジタルに置き換え、保存・共有・運用を効率化する仕組み。
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なぜ今すぐ必要?
電子帳簿保存法の改正で、紙保存が認められないケースが増加中。
-
環境にも影響?
紙1枚でもCO₂は発生。積み重ねが企業の環境責任につながる。
🧭 自社チェック|2つ以上当てはまったら、見直しのチャンス
✔ チェック項目 |
📉 背景にあるリスク |
電子請求書を印刷してファイル保存している |
税法違反リスク(※電子保存が義務) |
会議資料や稟議書を紙で回している |
印刷・人件費・時間のロス |
書類探しに毎回5分以上かかる |
業務効率の低下・情報共有の遅延 |
社外とのやり取りに押印+郵送が必要 |
スピード感の欠如・郵送コスト増 |
PDFの最新版が分からなくなることがある |
ファイル混乱・誤送信・作業の二度手間 |
この中で2つ以上該当する項目があれば、貴社には「ペーパーレス化の余地」が大きくあります。
このブログでは、そうした方に向けて、
-
「ペーパーレスって、実際どういうこと?」
-
「なぜ“今”なのか?」
-
「導入すると何が変わるのか?」
-
「全部紙をやめるべきなのか?」
といった疑問に、印刷会社としてのリアルな視点から丁寧にお答えしていきます。
ペーパーレス=紙ゼロ、ではありません。
**本当に必要な紙と、そうでない紙を見極めて残すこと。**それが、いま求められる“選択的ペーパーレス”です。
次章では、その定義と誤解されやすいポイントを深掘りしていきましょう。
第2章|「ペーパーレス」とは?──言葉の成り立ちと、本当の意味
1️⃣「紙を使わないオフィス」は、50年前から構想されていた
“ペーパーレス”という言葉は、ここ最近の流行ではありません。
実は**1975年、アメリカのビジネス誌『Business Week』**が、未来の働き方を特集した記事で「紙を使わないオフィス(paperless office)」という概念を紹介しました。
そこでは、「1990年には、ほとんどの社内文書が紙ではなく電子で管理されるようになる」と予測されていたのです。
さらに1983年には、アメリカの企業が “THE PAPERLESS OFFICE” という言葉を商標登録しようとしたほど、この考え方は注目されていました(のちに取り下げ)。
デジタル化が進む前から「紙を減らす」という課題意識は存在していたということです。
2️⃣ ペーパーレスは「紙ゼロ」ではない
“ペーパーレス”というと、紙を一切使わない極端なイメージを持たれがちですが、実際にはそうではありません。
本来のペーパーレスとは、
「業務上で不必要に使われている紙を見直し、必要な情報を電子で処理・共有できる環境をつくること」
を意味します。
つまり、「紙を全廃する」のではなく、「紙を“使わずに済むところ”から減らす」ことが目的です。
請求書、稟議書、会議資料、納品書など、紙でなければならない理由がない業務から順に見直していく──これがペーパーレスの本質です。
3️⃣ 「ペーパーレス」と「ペーパーレス化」はちがう意味を持つ
ふだん意識せずに使っているこの2つの言葉。実は明確に使い分けられています。
用語 |
意味するもの |
例文で理解する |
ペーパーレス |
すでに紙を減らした“状態” |
「うちは勤怠管理は完全にペーパーレスです」 |
ペーパーレス化 |
その状態に向かって進める“過程・行動” |
「まずは請求書からペーパーレス化します」 |
このように、「ペーパーレス」はゴール、「ペーパーレス化」はその道のりを指します。
導入段階の企業では、まず「化」からスタートするのが一般的です。
4️⃣ よくある誤解を整理する
よくある誤解 |
実際はこうです |
紙を一切使えなくなる? |
必要な紙は残してよい。「ゼロ」にするのが目的ではない |
印刷代を減らすだけの話? |
コスト削減だけでなく、法令対応・業務効率・環境配慮もセットで考える必要がある |
ペーパーレス化は「紙を減らす施策」というより、業務全体を最適化する取り組みです。
5️⃣ 印刷会社だからこそ語れる“紙の再定義”
私たちは印刷の現場にいるからこそ知っています。
紙には、情報以上の価値があります。
たとえば…
-
販促用チラシやポスターは、「体験として伝える」力がある紙媒体。
-
契約書のように、「書面性」や「証拠性」が重要な場面では、紙が安心感と信頼を生む。
-
一方で、日常的な稟議書や出勤簿、PDF請求書のように、紙である意味が薄い文書もあります。
だからこそ、ペーパーレスとは「紙を捨てること」ではなく、
「紙を使うべき場面」と「デジタルで完結すべき場面」を整理していくこと──この視点がもっとも重要だと考えています。
🔑 まとめ|この章で伝えたかったこと
-
ペーパーレスは1975年から続く、業務の理想像。
-
意味するのは「紙をゼロにする」ことではなく、不要な紙を減らすこと。
-
「ペーパーレス(状態)」と「ペーパーレス化(行動)」は別モノ。
-
紙には価値がある──だからこそ戦略的に使い分ける時代へ。
第3章|なぜ今「ペーパーレス」が急務なのか?──法改正・テレワーク・社会背景から解説
1️⃣ 2024年1月、電子帳簿保存法が大きく変わった
🔍重要ポイント:紙で受け取った書類や社内作成文書の保存は引き続き可能ですが、電子で受け取った取引書類は電子保存が唯一の方法となっています。
2️⃣ テレワーク普及の波と業務文化の変化
3️⃣ SDGs・脱炭素視点でも「紙を減らす」は重要
4️⃣ この環境下で「ペーパーレス」が必要な理由まとめ
-
✅ 法的義務:2024年以降、電子取引データを電子保存しないと法違反。
-
✅ 業務変革:テレワークには「紙を中心とした業務スタイル」が足かせに。
-
✅ 社会的責務:環境負荷を抑えるため、企業の社会的評価が高まる。
この背景を押さえることで、ペーパーレス化は**「やるべき理由が3つ揃った」**、まさに今の時代に必須の取り組みであることがクリアになります。
次章では、これらの変化を踏まえた具体的なメリットを、数字と実例で深掘りしていきます。
第4章|“数字で納得”ペーパーレスの3大メリット──コスト・効率・環境、全部に効く
ペーパーレス化は「いいらしい」では終わりません。
コストがいくら削減できるのか、業務がどれほど速くなるのか、環境にどう貢献できるのか──そのすべてが数字で説明できます。
この章では、誰が見ても納得できる実測値ベースの3大メリットを、具体例とともにわかりやすくご紹介します。
① コスト削減|「紙にかかるお金」は、想像以上に重い
▶︎ 印刷1枚のコストは、単価だけじゃない
項目 |
単価(概算) |
コピー用紙(A4) |
約0.7円/枚 |
トナー代・メンテ費用 |
約3円/枚 |
ファイル・保管スペース・人件費 |
約2円/枚 |
合計 |
約5.7円/枚 |
▶︎ 例えばこのケース:
ある従業員30人の事業所で、月間印刷数が1万枚 → ペーパーレス導入で3,000枚に削減。
その結果、年間約51万円のコスト削減につながったと中小企業庁の報告書でも紹介されています。
✅ 見えない「印刷の間接費」こそが、ペーパーレス最大の節約ポイント。
② 業務効率|“探す・回す・待つ”がごっそり消える
▶︎ まだ紙で探してる?
紙の書類を探す時間は、1人あたり1日平均約20分。年間にすると約80時間、丸10営業日分の損失になります。
一方、デジタル保存ならキーワード検索で10秒以内に目的のファイルへ。
全社員がこの差を生むと、年間で100時間以上の時間を再投資できる計算になります。
▶︎ 稟議や回覧もスピードアップ
✅ 「書類が今どこにあるか」問題が、そもそも発生しなくなります。
③ 環境負荷軽減|1万枚減らせば、木10本分のCO₂を削減
▶︎ 実測データ:
▶︎ つまり──
月1万枚の印刷を削減 → 年間12万枚
= CO₂ 約840kg削減
= 杉の木 約95本分の吸収量
✅ ペーパーレス化は、数字で“環境対策”を示せる手段にもなります。
🔍 まとめ|「紙を減らす」は、合理性で選ばれるべき施策
項目 |
Before(紙運用) |
After(ペーパーレス) |
印刷コスト |
年間 約60万円 |
年間 約10〜15万円 |
業務時間 |
1人あたり 年80時間ロス |
“探す時間”がほぼゼロに |
環境負荷 |
CO₂ 約840kg排出 |
木 約95本分の相殺 |
ペーパーレスは、「やっておいた方がいい」から、「やらないと損をする」フェーズへ。
特に中小企業や印刷関連の現場では、数字で語れる改善策としてこれほどわかりやすいものはありません。
次章では、こうしたメリットの裏側にある“見落としやすいリスク”と、その対策をお伝えします
第5章|ペーパーレス化の「落とし穴」と賢い対策──紙が優位な場面もある
ペーパーレス化には明確なメリットがありますが、一方で注意すべきポイントも存在します。
ここでは、「導入前にぜひ知っておきたい5つのリスク」と、印刷会社として現場で役立つ実践的対策を対になる形で解説します。
① セキュリティリスク:クラウドも安全ではない
リスク説明:
クラウド保存は便利ですが、セキュリティ対策が甘いと不正アクセスやデータ暗号化型攻撃(ランサムウェア)などの被害に遭う可能性があります。
対策:
-
パスワードだけでなく、**スマホで確認するワンタイムコード(多要素認証)**を入れる
-
定期的にデータのバックアップを取り、過去版も残す設定にする
-
誰がいつ、どのファイルを操作したか履歴が見られるツールを選ぶ
② 導入コスト:ゼロではないが分散が可能
リスク説明:
クラウド型システムは初期費が少ない場合もありますが、継続的に月額料金やスキャナ導入、ネット回線の充実などが必要です。
対策:
③ デジタル抵抗:高齢者やIT慣れしていない人が取り残される
リスク説明:
高齢者層ではネットやクラウド操作に慣れていない方も多く、完全デジタル移行では混乱の恐れがあります。
対策:
④ 目・集中力の負担:紙には負ける場面も
リスク説明:
富山大学の調査では、学生の多くが「深く集中して記憶する」「長時間読む」場合は、紙のほうが優れていると回答し、PCなどでは眼の疲労も強く感じるとしています(紙vsデジタル学習 – 富山大学)
⑤ システム障害・停電:完全デジタルは危険
リスク説明:
クラウド障害や停電でシステムにアクセスできず、緊急対応や監査資料がすぐに出せないケースもあります。
対策:
🛠まとめ|「紙ゼロ」ではなく、最適配置が勝ち
リスク |
対策まとめ |
セキュリティ |
多要素認証・履歴管理・定期バックアップ |
コスト |
段階導入+既存ツール活用 |
デジタル抵抗 |
マニュアル + 併用ルール + サポート体制 |
目・集中疲労 |
長文印刷 + 電子インク活用 |
障害・停電 |
ローカル保存 + バッテリー端末 + 紙テンプレ |
👉 結論として重要なのは、「デジタル万能」ではなく、状況に応じて“紙とデジタルを混ぜる”設計力です。
これこそが、現場に優しく、結果として長続きするペーパーレス化の鍵となります。
第6章|ペーパーレス化のリアル事例──“紙とどう向き合うか”を学ぶ4つのストーリー
「ペーパーレス化って、うちの現場にはまだ早い話では?」
そう感じている方にこそ知ってほしいのが、実はもう私たちのすぐ隣で、それが“当たり前”になりつつあるという事実です。
行政、教育、製造、印刷──それぞれの分野で起きている“変化”を、確かな一次情報をもとに紹介します。
静岡県庁では、会議資料18,000枚分がタブレットへと移行
2022年、静岡県では庁内の会議資料をすべて電子化する実証実験を行いました。紙に印刷して配っていた資料は、タブレット端末に置き換えられ、クラウド経由で職員に共有されるようになったのです。
この取り組みにより、わずか1年間でおよそ18,000枚分の紙が削減されたと、県の公式資料にも明記されています。
出典:静岡県庁会議のデジタル化資料(PDF)
配布の手間がなくなっただけでなく、資料を探す時間も減少。職員アンケートでは、「紙よりも便利」と評価する声も多く寄せられました。
GIGAスクール構想が、学校の“紙仕事”を変えていく
学校現場でも、ペーパーレス化の波は確実に広がっています。国が推進する「GIGAスクール構想」の一環で、教員が使う校務資料のクラウド化が進みつつあります。
資料の印刷や配布、出欠確認、成績管理といった日常業務が、徐々にデジタルに置き換わっているのです。
文部科学省が公表した資料でも、**「印刷・配布の手間が削減され、教職員の負担が軽減されている」**と記載があります。
出典:校務DXチェックリスト(PDF)
この変化によって、授業準備や児童との関わりに時間を割けるようになったという報告も出ています。
製造業では、“図面の紙離れ”が急速に進行中
製造の現場では、これまで紙の図面や検査表が当たり前のように使われてきました。しかし今、その前提が大きく変わろうとしています。
経済産業省の『ものづくり白書2023』によると、トヨタやダイキンなど大手企業を中心に、図面や工程情報をクラウドで管理する動きが加速していることが報告されています。
出典:ものづくり白書 2023(PDF概要)
紙を使わないことで、設計変更がリアルタイムに反映され、現場での伝達ミスや二度手間が大幅に減少。
スピードと正確性の両立が進み、作業者のストレスも軽減されているとのことです。
印刷会社も、自らの“紙ワークフロー”をデジタルへ
「印刷会社は紙を使ってなんぼ」──そんなイメージを持たれているかもしれません。ですが、実は印刷業界こそ、社内のペーパーレス化が急速に進んでいる業種のひとつです。
製版・校正・指示出しといった工程を中心に、PDF入稿やオンライン校正、クラウドでの面付け共有が標準化されつつあります。
JAGAT(日本印刷技術協会)も、そうした変化を業界全体の動きとして紹介しています。
出典:JAGAT公式解説ページ
これにより、校正紙のやり取りや物理的な出力指示が減少し、時間とコストが圧縮されるだけでなく、ヒューマンエラーの減少や顧客対応のスピードアップにもつながっています。
ペーパーレスの成功に共通する3つの視点
このように、分野を問わずペーパーレス化が着実に成果を出している背景には、次の3つの共通点が見えてきます。
1つ目は、「まずは紙の多い業務から」始めること。いきなり全社導入ではなく、会議資料や図面など負荷が高いところから手をつけるのが王道です。
2つ目は、「現場の声」を起点にすること。操作性や実用性を無視しては、どんなツールも定着しません。
そして3つ目が、「紙をゼロにしようとしない」こと。契約書やDM、紙で渡すべき資料など、“残すべき紙”はあえて残すことが、逆に成功への近道なのです。
✅ この章のまとめ
ペーパーレスは遠い話ではなく、すぐ隣で成果が出始めています。
行政も、教育も、製造も、そして私たち印刷業界も――“紙をどう使うか”を見直すことによって、新たな効率や価値を見出しているのです。
次章では、「じゃあ自分たちはどこから始める?」という問いに、印刷会社の立場から具体的な実践ステップを提案していきます。
第7章|印刷会社が伝えたい「ペーパーレス化」の心得と進め方
「印刷会社がペーパーレスを語るのは矛盾では?」と思うかもしれません。
しかし私たちは、紙を深く理解しているからこそ、紙の“強み”と“不要な紙”の見極め方を誰よりも知っていると自負しています。
ここでは、印刷のプロ視点で、ペーパーレス化を成功に導く考え方と実践のステップをお伝えします。
① 目的は“紙ゼロ”ではない。「紙の最適配置」が正解
ペーパーレス=紙をなくす、ではありません。
印刷現場でも、こんな判断がされています。
書類 |
ペーパーレス化すべき? |
理由 |
会議資料 |
◎ デジタル化推奨 |
検索・共有が前提/印刷は後回しでもOK |
契約書 |
△ 状況次第 |
電子契約が進む一方、取引先によっては紙が必要 |
商品マニュアル |
△~◎ |
長期保存不要ならPDFでOK/紙は必要最小限に |
社内指示書(印刷指示など) |
◎ |
クラウドで即時共有・ミス低減に効果大 |
📌 ポイント:「なくす」より「残す紙を選ぶ」視点で進めるのが現実的で成功率も高い。
② いきなり全社導入はNG。小さく始めて育てる
ペーパーレス化で失敗しやすいのが、「全社一斉導入で混乱する」パターン。
おすすめは以下のステップです。
-
紙が多い部署から選定(例:経理/営業/製造指示)
-
1業務単位でスモールスタート(例:見積書だけ、稟議書だけ)
-
成果と課題を全社にフィードバック
-
社内ルール・テンプレを整備しながら拡張
📌 ポイント:「まずやってみる」→「見える化」→「仕組み化」の3段階が鉄則
③ ルールがないと「紙より非効率」に。運用設計が命
ツールやクラウドを入れても、“運用ルールが曖昧”だとむしろ混乱します。
印刷業の事例でよくある課題と対策は以下の通り:
課題 |
解決策 |
ファイル名がバラバラ |
「日付_社名_用途」など命名ルールを決める |
誰がいつ校了したか不明 |
電子校了の履歴付きフォームを導入 |
データが探せない |
ディレクトリ構成と検索キーワードの統一 |
📌 ポイント:デジタル化=情報整理がすべて。紙以上に“整える”力が問われます。
④ 「紙の価値」を知る者こそ、紙を減らす本質を語れる
印刷会社にとって、紙はただの素材ではありません。
情報の“伝わり方”を最大化するための手段です。
だからこそ、
「なんでもかんでもPDFで送ればいい」ではなく、
「本当に届けたいものだけを、必要な形で届ける」という視点が重要です。
ペーパーレスとは、紙を捨てることではなく、“選ばれた紙”だけを残すためのプロセスです。
🎯まとめ|紙のプロが伝えたい「失敗しないペーパーレス化」の心得
-
ゼロを目指さない。選び抜くことが本質
-
スモールスタートで成功体験を積む
-
デジタル化の鍵は、運用設計と情報整理
-
印刷会社は「紙を減らすプロ」としても支援できる
第8章|ペーパーレスの未来──アナログとデジタルの共存が生む最適解とは?
ここまでペーパーレス化の現状・課題・成功例・実践方法を見てきました。
最終章では、「結局、紙はなくなるのか?」という問いに、印刷会社の立場から現実的な答えを出します。
① 紙はゼロにならない。だからこそ“価値ある紙”が残る時代へ
紙は今も、そしてこれからも必要とされます。
-
目が疲れにくく、読書や熟読に適している
-
書き込みや折り目など、“身体的な操作”ができる
-
受け取った瞬間に“重み”や“丁寧さ”が伝わる
だからこそ、印刷物は“情報”というより“体験”を伝えるメディアへと進化しています。
② デジタルは加速する。だからこそ“使い分け”のセンスが問われる
一方で、企業・行政・教育現場では、今後も確実にデジタルシフトが進行していきます。
-
効率性、検索性、共有性、バックアップ性
-
AIとの連携や自動化との親和性
-
テレワーク・モバイルワークへの対応力
これらの点で、紙はデジタルに敵いません。
つまり、“すべてを紙でやる”という時代は完全に終わるのです。
③ アナログ×デジタルが生む「最適化」が新常識
重要なのは、アナログとデジタルのバランス感覚です。
これから求められるのは、「紙か?デジタルか?」ではなく、**「この情報は、どちらの形が最適か?」**という判断力です。
情報の種類 |
最適な伝達手段 |
長期保存・検索 |
デジタル(PDF, クラウド) |
心を動かすDM・カタログ |
紙媒体(高品質印刷) |
社内業務指示 |
デジタル(クラウド運用) |
顧客プレゼン資料 |
両方(タブレット+紙バックアップ) |
④ 印刷会社の未来も、紙に頼らない力が問われる
印刷業界も今、転換期に立っています。
ペーパーレス化を単なる“脅威”とせず、情報設計・メディア設計の支援者としての立場へ進化する必要があります。
私たち印刷会社も、これからのペーパーレス社会において、**“紙のプロ”としての再定義が始まっているのです。
✅ 結論|ペーパーレスはゴールではない。最適化への入口である
ペーパーレスとは、単に紙を減らすことではありません。
それは、情報と人の関係をもう一度設計し直すことです。
最後に、あなたがペーパーレス化を進める立場であるなら――
「紙をゼロにすること」ではなく、
「紙とデジタルを使い分けて、最も伝わる方法を選ぶ」こと。
これが、未来に選ばれる企業・組織になるための最短ルートです。
\株式会社新潟フレキソは新潟県新潟市の印刷会社です。/
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