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第0章|導入──「特色」ってなに?印刷のプロが解説するスポットカラーの世界
印刷物には「特色」という秘密の色がある
チラシや名刺、会社案内やブランドパッケージ。
どれも同じロゴカラーが毎回ズレずに印刷されているのは、実は**特色(スポットカラー)**という仕組みのおかげです。
「特色」という言葉は印刷業界では当たり前ですが、一般の人にはちょっと馴染みがないですよね。
「CMYK印刷」とは違う、“インクそのもの”の色
多くの印刷物は**CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)**の4色を細かい網点で重ねてフルカラーを表現します。
一方で特色は、「混ぜて作ったインクそのものの色」をそのまま印刷に使う方法です。
例えば、企業ロゴのブランドカラーや金・銀・蛍光色などはCMYKでは表現しづらいため、特色で刷ることで色の正確さを守っています。
読んでいただいている方に届けたいポイント
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デザイナーさんや発注担当者向け
印刷所とやり取りするときに「特色でお願いします」と言われても、何が違うのか迷わないように。 -
印刷や色に興味のある方へ
「色ってインクで作るんだ!」という裏側を知ると、パンフレットやパッケージの見え方が変わります。
この記事でわかること
この記事では、
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特色の基本的な意味とCMYK印刷との違い
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PANTONEやDICカラーなどの色見本帳の仕組み
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合成顔料で作られる現代の特色インク
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現場の職人による調色の世界
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特色のメリット・デメリットと賢い使い分け
をやさしく解説します。
読み終えるころには、「特色」という言葉がぐっと身近になり、印刷やデザインの面白さがもっと見えてくるはずです。
第1章|特色とは?──CMYKにはない“インクそのものの色”
特色(スポットカラー)の基本
「特色(スポットカラー)」とは、あらかじめインク自体を調合して作った単色インクを、そのまま印刷に使う方法のことです。
多くの印刷物は「CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)」という4色のインクを微細な網点で重ね合わせ、写真やグラデーションなどを表現します。これをプロセスカラー印刷と呼びます。
一方で特色印刷は「その色が欲しい!」という色を直接インクに調合し、網点ではなく“色そのもの”で刷るのが特徴です。
CMYKとの違いをわかりやすく
CMYKは4色を組み合わせて何百万色も作り出せる一方で、インクの重ね合わせには限界があります。
例えば「鮮やかな企業ロゴの青」や「金・銀のメタリックカラー」「蛍光ピンク」などはCMYKでは完全再現が難しく、色が沈んでしまうことも。
そこで登場するのが特色印刷。色見本帳(PANTONEやDICなど)で番号を指定すれば、その通りのインクを使って刷れるため、常に安定した色が得られるのです。
オフセット印刷機での特色の扱い
オフセット印刷では、印刷機の1つの印刷ユニット=1色を担当します。
通常は4ユニットでCMYKをセットしてフルカラー印刷しますが、特色を使う場合は専用のインクをセットしたユニットを追加します。
たとえば、
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写真部分はCMYK4色
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ロゴやタイトルだけ特色1色
というように組み合わせることで、写真もきれいに印刷しつつ、ブランドカラーはしっかり守れます。
まとめ
特色は、**「その色をそのまま印刷する」**ための技術です。
プロセスカラー(CMYK)では難しい色や、ブランドカラーの厳密な再現に欠かせない存在として、オフセット印刷の現場で今も活躍しています。
第2章|CMYKと特色の違いを徹底比較
CMYKは「点の組み合わせ」で作る色
フルカラー印刷の主役であるCMYKは、**シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)**の4色を網点で重ね合わせ、さまざまな色を表現します。
カメラやパソコンで見ている写真のような、何百万色という微妙な色合いも、わずか4色の組み合わせで作れるのが魅力です。
ただし、どれだけ精密に重ねても、インクの重なりや紙の白さに左右されるため、完全に狙った色を再現するのは難しいのが現実です。
特色は「インク自体が完成した色」
特色は、CMYKのように点を重ねるのではなく、最初からその色になるように調合したインクを使うため、刷り上がりの色が明確で、ブレがほとんどありません。
特に企業ロゴやブランドカラーのように、**「どこで印刷しても同じ色」**が求められる場面で効果を発揮します。
また、メタリック(金・銀)や蛍光色、パールなどCMYKでは表現できない特殊な色も、特色なら鮮やかに印刷可能です。
使い分けのポイント
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CMYK向き:写真やグラデーション主体のカタログ・雑誌・ポスター
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特色向き:ブランドカラーや特殊色を重視するロゴ・パッケージ・高級印刷物
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CMYKと特色を併用するケースも多く、4色+1色や4色+2色など柔軟な印刷設計が可能です。
まとめ
CMYKは「効率よく多色表現をする技術」、特色は「正確で特別な色を出す技術」と言えます。
印刷の仕上がりにこだわるなら、この2つの違いを理解することで、発注時の選択肢も広がります。
第3章|特色が活躍する印刷シーン
ブランドロゴやコーポレートカラー
企業のブランドロゴやCI(コーポレートアイデンティティ)の色は、どこで印刷しても同じ色であることが求められます。
CMYKでは紙質や印刷条件によって微妙な色ズレが出やすいですが、特色なら「PANTONE〇〇」「DIC〇〇」のように番号指定でインクを作るため、世界中どの印刷所でも同じ色味を再現可能です。
これが、ブランドイメージを正確に守る大きな理由です。
高級感を出すパッケージや書籍
高級ブランドのパッケージや特装本など、差別化や高級感を演出したい印刷物には特色がよく使われます。
たとえばマットな黒や深い紺など、特色ならインク自体で濃度や質感を調整でき、CMYKでは出せない「しっとりした色合い」を表現できます。
特殊色:金・銀・蛍光・パール
特色の大きな魅力は、CMYKでは不可能な色や質感を再現できること。
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金・銀(メタリックカラー):箔押しや特殊加工に頼らず、インクで金属感を表現
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蛍光色:目立つチラシやポスターに使われる発色の良い蛍光ピンクや蛍光グリーン
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パールやメタリック調の色:高級感を出したい化粧品パッケージなどで人気
イベント用・限定版印刷
展示会や新商品発表など、ここぞの印刷物には特色の存在感が光ります。
小ロットでもインパクトのある色が出せるため、広告・プロモーションの印象付けにも効果的です。
まとめ
特色は「正確な色を出す」だけでなく、**「目を引く」「高級感を演出する」**といった付加価値を持った印刷の武器です。
ロゴやパッケージのほか、特別感を出したいチラシ・パンフレット・イベント印刷にも積極的に使われています。
第4章|色見本帳(PANTONE・DIC)で色を指定する仕組み
世界共通の「色番号」で色を伝える
デザイナーが特色を指定するときに使うのが色見本帳(カラーチャート)です。
世界で最も有名なのはPANTONE(パントン)、日本ではDICカラーガイドがよく使われます。
この見本帳には一つひとつの色に固有の番号が付いており、印刷会社やインクメーカーはその番号に基づいて同じ色のインクを再現します。
これにより、デザイナー・クライアント・印刷所の間で色の認識がずれることなくやり取りできるのです。
PANTONEとDICの違い
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PANTONE(パントン)
世界中の印刷業界やデザイン業界で標準化されている色指定システム。
海外のクライアントやブランド案件ではPANTONE番号が基本です。 -
DICカラーガイド
日本の印刷業界で広く使われるカラーチャート。
日本市場向けパッケージや広告、出版物などではDIC指定が多く採用されます。
見本帳から印刷までの流れ
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デザイナーが色を選ぶ
PANTONEやDICの色見本帳から希望の色を指定。 -
番号で印刷会社へ指示
例:「PANTONE 186Cでお願いします」 -
インクメーカーや印刷所がインクを用意
その番号に従って調合済みの特色インクを手配、または現場で調色。 -
印刷機にセットし、そのまま刷る
色番号で管理されているため、別の印刷所でも同じ色を出せます。
まとめ
色見本帳は、**世界共通の“色の辞書”**のような存在です。
特色を正確に使うためには、この番号指定の仕組みが欠かせません。
デザインデータに「PANTONE番号」「DIC番号」を入れておけば、印刷所とのやり取りがスムーズになり、思い通りの仕上がりが実現できます。
第5章|特色インクの中身──合成顔料で作られる現代の色
印刷インクの主役は「合成顔料」
特色インクは、ただの「色つきの液体」ではありません。
インクの色の正体は顔料という非常に細かい粉末で、この顔料を樹脂や溶剤で分散させて液状にしたものがインクです。
現代の印刷インクは、ほとんどが**合成顔料(化学合成で作られる人工的な顔料)**を使用しています。
これは、天然鉱物や植物から採取した顔料に比べて以下のメリットがあるためです。
合成顔料が主流になった理由
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色の安定性が高い
天然顔料は産地やロットによって色味が変わりやすいですが、合成顔料は分子レベルで均一なため、印刷物でも常に同じ色を再現できます。 -
耐光性・耐久性に優れる
紫外線や湿度による退色を防ぐため、現代の印刷には高い耐候性が必要です。 -
大量生産が可能
天然素材由来の顔料は希少で高価ですが、合成顔料なら安定供給ができ、コスト面でも優れています。 -
鮮やかな色が作れる
蛍光やメタリックなど、天然には存在しない色の表現も可能です。
代表的な顔料の例
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フタロシアニンブルー(Phthalocyanine Blue)
鮮やかなシアンの青色。耐光性が高く、印刷業界で広く使用。 -
キナクリドン(Quinacridone)
鮮やかなマゼンタや赤系に使われる顔料で、彩度が非常に高い。 -
カーボンブラック(Carbon Black)
黒インクの代表的顔料で、微粒子の炭素を利用。
科学とデザインをつなぐ「インクの設計」
特色インクは、デザイナーの指定色を忠実に再現するために、インクメーカーが科学的なレシピで合成顔料を組み合わせて作り上げています。
つまり、特色とは化学とデザインの協力によって誕生した色であり、ブランドや商品の魅力を支える重要な技術です。
まとめ
特色インクは「合成顔料の科学」と「職人の調整力」が合わさって初めて成立します。
この科学的な基盤があるからこそ、世界中どこでも同じブランドカラーが再現できるのです。
第6章|特色の調色方法──職人が生み出す色の精度
特色インクは2つのルートで手に入る
特色インクを使うとき、印刷現場には2つの方法があります。
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インクメーカーから調合済みインクを購入する
PANTONEやDICなどの色番号を指定すると、メーカーが正確に調合した特色インクを缶で納品してくれる方法です。 -
現場で調色する
印刷所や職人が自分たちで基本色を混ぜ合わせて特色を作る方法。小ロットや試作品でよく使われます。
職人の技が光る「調色」
現場調色では、印刷所が持つ基本色インク(赤・青・黄・黒・白など)をベースに、レシピや職人の経験を頼りに色を作ります。
「マゼンタを10g、シアンを3g、黄をほんの少し…」といったメモがあり、実際に刷って微調整を繰り返します。
同じレシピでも紙質や湿度によって見え方が変わるため、最終判断は職人の目が頼りです。
調色工程の流れ
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レシピを参考に調合
過去のデータや色見本帳をもとに基本色を混ぜる。 -
試し刷りで確認
実際の印刷用紙に刷り出し、色の出方をチェック。 -
微調整
紙の種類や乾燥後の見え方を計算しながら、1%単位で色を調整。 -
完成した特色を印刷機にセット
必要な量だけを作れるため、小ロットの案件にも対応可能。
職人調色の魅力
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必要な量だけ作れるのでコスト削減
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試作品や少量印刷でもすぐ対応できる柔軟性
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「経験と感覚」でしか出せない微妙なニュアンスの再現
このように、特色はインクメーカーの技術と現場の調整力が組み合わさった「印刷ならではの色作り文化」といえます。
まとめ
特色の調色には、科学的レシピと職人の目という2つの技術が融合しています。
カラーマネジメントツールが普及した今もなお、この現場の調色技術があるからこそ、世界中どこでも同じブランドカラーが再現できるのです。
第7章|特色とCMYKの賢い使い分け
CMYKが得意な印刷物
CMYKは「4色の組み合わせでフルカラー表現をする技術」です。
写真やグラデーションの再現性に優れており、雑誌・チラシ・ポスターなど大量印刷や写真中心のデザインに最適です。
一度データを作れば、そのまま印刷機で大量に刷れるためコスト面でも有利です。
特色が真価を発揮する場面
特色は、正確さとインパクトが求められる場面で威力を発揮します。
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企業ロゴ・ブランドカラー
どんな環境でも同じ色で印刷できるため、ブランドイメージを守れる。 -
高級感のあるパッケージや冊子
深みのある特色インクやメタリック、パールで差別化。 -
蛍光色や特別な演出
ポスターやDMで「目立つ色」を表現したいときに便利。
両方を組み合わせた「ハイブリッド印刷」
近年は、CMYKで写真を印刷しつつ、ロゴや一部の要素だけ特色を使うハイブリッド印刷も増えています。
例:
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写真はCMYK
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ロゴやタイトルは特色で印刷
これにより、コストを抑えながらブランドカラーの再現性も確保できます。
判断の目安
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印刷物全体が写真やグラデーション中心 → CMYKで十分
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ブランドカラーや特別な色表現が必須 → 特色を導入
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両方の要素がある → CMYK+特色の併用
まとめ
CMYKは「万能で効率的な印刷」、特色は「ブランドと個性を支える印刷技術」。
この2つを使い分けることで、コストとクオリティの両立が可能になります。
印刷の発注時には、デザインの目的や仕上がりイメージを踏まえて最適な方式を選ぶことがポイントです。
第8章|まとめ──特色はオフセット印刷の“色を守る技術”
特色は「ブランド価値を支える色の技術」
特色(スポットカラー)は、CMYKでは表現しきれない色を忠実に再現するために生まれた、印刷の高度な色管理技術です。
特に企業ロゴやブランドカラーのように「絶対に色ズレできないデザイン」では欠かせない存在であり、世界中どの印刷所でも同じ色を再現できるという信頼感があります。
科学と職人技の融合
特色インクは、合成顔料の科学的な精密さと、現場の調色技術の両方があってこそ成立します。
数値で管理できる時代になっても、「最後の仕上げは人の目で確認する」というアナログな工程が生きており、特色はまさに印刷業界のクラフトマンシップの象徴ともいえる存在です。
使い分けで印刷の可能性が広がる
CMYKは効率的でコストを抑えた大量印刷に強く、特色はブランドや特別な表現に強い。
この両者を理解して使い分けることで、コストとクオリティの両立ができ、印刷物の仕上がりに大きな差が出ます。
最後に
パンフレット、パッケージ、名刺、ポスター──。
私たちが手にする印刷物の美しい色は、こうした技術と経験の積み重ねで支えられています。
特色という仕組みを知れば、印刷の奥深さや面白さが一段と見えてくるはずです。
次に印刷物を手にしたときは、**「この色はどうやって出しているんだろう?」**と少しだけ想像してみてください。
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