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第1章|印刷インクの原料は“石油”!?知られざるつながりをやさしく解説
「印刷と石油、関係あるの?」
そんな疑問を持ったあなたは、すでに“印刷の本質”に気づきかけています。
じつは私たちが日常的に目にする印刷物――そのほとんどに石油由来の材料が使われているのです。
インク、合成紙、ラミネートフィルム、PP加工、さらにはトナーやUVインクまでも、実は“石油なしには作れない”と言っても過言ではありません。
このブログでは、
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インクの主成分がなぜ石油なのか
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合成樹脂や溶剤と印刷のつながり
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石油危機と印刷業界の歴史的変化
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サステナブル印刷は本当に実現できるのか
といったテーマを、印刷会社の視点からやさしく・くわしく解説していきます。
「えっ、環境に悪いの?」と心配になる方もご安心を。
後半では、植物由来インクや脱石油に向けた取り組みもしっかり紹介します。
第2章|インクの主成分は石油から作られている?
インクは「顔料+樹脂+溶剤」でできている
印刷インクは、単なる「色の液体」ではありません。
一般的なインクは、以下の3つの要素で構成されています:
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顔料(または染料):色そのもの
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合成樹脂(バインダー):色を紙などに定着させる接着剤のような役割
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溶剤(ソルベント):インクを液体状に保ち、印刷中の流動性を確保するもの
このうち、合成樹脂と溶剤の多くが石油化学製品からできています。
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合成樹脂バインダー=石油から生まれた“のり”
バインダーには、アクリル樹脂・ポリエステル樹脂・酢酸ビニル樹脂などがよく使われます。
これらはいずれも、石油を原料とする化学合成物質。紙やフィルムの表面に色をしっかりと定着させる“のり”の役割を果たします。
つまり、インクが「紙にちゃんと印刷される」ためには、石油製のバインダーが欠かせないのです。
溶剤も石油ベース!油性・溶剤系インクの正体
印刷用インクの多くに含まれる「溶剤」は、石油由来の有機溶剤です。
代表的なものにトルエン、キシレン、IPA(イソプロピルアルコール)などがあり、これらは石油を精製する過程で得られる化合物です。
特に屋外広告やパッケージ印刷で使われる**溶剤系インク(ソルベントインク)**は、耐久性・速乾性に優れる反面、揮発成分による環境負荷が問題視されています。
UVインクやトナーも石油なしでは成り立たない
「環境にやさしい」とされるUVインクでさえ、そのベースは石油由来の樹脂。
また、オンデマンド印刷に使われるトナー(粉末インク)も、石油から作られる熱可塑性樹脂と顔料の混合物でできています。
つまり、現在のほぼすべてのインク技術は“石油化学”の賜物なのです。
▶併せて読みたい記事 トナーとは?インクとの違いと印刷方式の仕組みをやさしく解説
第3章|印刷物の素材も“石油まみれ”?紙以外のケース
「紙」以外の素材には石油製品が多用されている
私たちは「印刷=紙にインクをのせるもの」と考えがちですが、実際の現場では紙以外の素材にも多くの印刷が行われています。
その多くに使われているのが、石油由来のプラスチック素材です。
たとえば…
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シールやステッカーに使われる合成紙
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ポスターやPOPの光沢加工に使われるPPフィルム
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商品ラベルのラミネート加工
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PETボトルのシュリンクフィルム印刷
など、身の回りの“非紙系”印刷物の多くは、石油を原料としたプラスチック製品で成り立っています。
合成紙(ユポ・PET)は石油から作られた“紙のようなプラスチック”
合成紙とは、見た目や手触りは紙に近いものの、ポリプロピレン(PP)やポリエステル(PET)などの樹脂で作られた素材です。
中でも有名なブランド「ユポ紙」は、PPを主原料とした耐水性・耐久性の高い用紙として、屋外ポスターやマニュアル、ラベル印刷などに使われています。
→ 水に濡れても破れない!=“紙じゃない”証拠です。
▶併せて読みたい記事 ユポ紙とは?耐水・耐久に優れた合成紙を印刷会社がわかりやすく解説|株式会社新潟フレキソ
ラミネート・PP加工は「石油製の膜」でコーティングしている
印刷物の表面を保護したり、光沢・マット感を出すために行う「ラミネート加工」や「PP加工」。
これも実は、石油由来のフィルムを圧着・貼り付けている加工技術です。
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ラミネート加工:PETフィルム+接着層(樹脂系)
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PP加工:ポリプロピレンフィルムを圧着
見た目を美しくし、耐久性を上げるためには石油製の“膜”の力が必要なんです。
▶併せて読みたい記事 PP加工とは?新潟で高品質な印刷表面加工・PPフィルム加工・光沢・マット仕上げなら新潟フレキソへ!
トナーやサーマルペーパーも“石油原料”で動いている
オンデマンド印刷やレーザープリンターで使うトナーも、石油由来の熱可塑性樹脂が主成分です。
この粉末は、熱で溶けて紙に定着するため、紙よりもトナーに石油成分が多く含まれると言ってもいいほど。
また、レシートなどに使われる**感熱紙(サーマルペーパー)**には、石油系のコーティング剤が塗布されています。
これにより、熱で色が変化する=印刷が可能になる仕組みです。
つまり、紙以外の“印刷素材”に目を向けると、印刷は石油化学製品の集合体であることがよく分かります。
次の章では、それが社会にどう影響したか――石油危機と印刷業界の歴史をひも解きます。
第4章|石油ショックが印刷業界に与えた衝撃とは?【歴史から見る教訓】
1973年、第一次石油危機。印刷業界はパニックに
1973年、世界を震撼させた第一次オイルショック(石油危機)。
OPEC(石油輸出国機構)による価格操作と供給制限により、原油価格が4倍近くに跳ね上がったこの出来事は、あらゆる産業に大打撃を与えました。
印刷業界も例外ではありません。
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インクの原材料(樹脂・溶剤)価格が急騰
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印刷機械や加熱装置のエネルギーコスト増
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紙以外の資材(PP・PETなど)の供給不安定
といった問題が一気に表面化し、印刷コストの高騰と資材不足に直面したのです。
省資源・省エネ・再利用が求められる時代へ
この危機を機に、印刷業界では以下のような動きが始まります:
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ソルベント(溶剤)の節約・代替化
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インクの使用量削減(薄膜化・濃度調整)
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紙の再利用(リサイクル紙の普及)
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短納期・少部数対応の台頭(デジタル印刷の助走)
つまり、石油ショックはただの経済問題ではなく、印刷のあり方そのものを見直す契機となったのです。
1990年代〜は環境配慮とSDGsの波へ
その後、地球温暖化や環境保全が国際的なテーマとなり、“脱・石油”を意識したインク開発や資材の選定が本格化します。
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大豆油インクの登場(植物由来油の活用)
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VOC(揮発性有機化合物)の削減インク
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水性インク・UVインクの改良
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非塩ビフィルムや生分解フィルムの利用
この流れは、SDGs(持続可能な開発目標)時代の印刷にもつながっていく重要な布石となりました。
石油ショックは“経済危機”として語られることが多いですが、印刷にとっては、依存と自立、化学と環境のバランスを考え直す分岐点でした。
次章ではその延長として、今注目されている**「脱石油・サステナブル印刷」**の実態を見ていきます。
第5章|脱石油・サステナブル印刷は進んでいるのか?
大豆油インクは“脱石油”の希望となるか?
1990年代以降、注目されてきたのが植物由来のインクです。
特に有名なのが「大豆油インク(ソイインク)」。その名のとおり、石油系溶剤の代わりに大豆油を使用したインクで、環境にやさしいインクとして評価されています。
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低VOC(揮発性有機化合物)
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リサイクル紙でも色落ちしにくい
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再生紙への適性が高い
こうした利点があり、新聞や書籍、一部パッケージでは普及が進んでいますが、全印刷分野での置き換えにはまだ課題もあります(コスト・乾燥時間など)。
水性・UVインクの進化も“脱石油”を後押し中
一方で、石油系溶剤を使わない技術として進化してきたのが以下の2タイプ:
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水性インク:水を溶剤とする環境配慮型。主に段ボールや紙カップなどに使用
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UVインク:紫外線で硬化させる樹脂系インク。溶剤不要でVOCも少ない
UVインクは石油由来の樹脂を使っているものの、乾燥に熱や溶剤を使わないことで、総合的な環境負荷を下げることが可能です。
最近では「植物由来樹脂×UV硬化」という技術も開発されており、少しずつ“脱石油型UV”にも近づいています。
バイオマスフィルム・非塩ビ素材など素材側でも進化中
インクだけでなく、印刷する“素材”そのものも変わりつつあります。
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バイオマスフィルム:サトウキビ由来樹脂などで作られたラベル用フィルム
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PLA(ポリ乳酸):生分解性プラスチックの一種。ポスターや名札に使われることも
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非塩ビシート:塩化ビニル(環境負荷が高い)を使わない印刷素材が拡大中
これらはすべて「石油に頼らない印刷資材」を目指した製品で、企業の環境配慮方針やSDGs対応の一環として選ばれています。
課題は“価格”と“性能の壁”
ただし、これら環境配慮型インクや素材は、価格が高い・加工性に課題がある・供給が不安定など、現実的なハードルもあります。
そのため現時点では、脱石油=選択肢のひとつという位置づけが正確です。
完全な「脱石油印刷」はまだ道半ば。
それでも、確実に技術と意識は進んでいます。
印刷会社やデザイナー、発注者それぞれが「石油に頼る部分」と「代替できる部分」を理解し、適切な選択をしていくことが、これからの印刷のスタンダードになるでしょう。
第6章|まとめ|私たちの印刷物、その多くは“石油から生まれている”
この記事をここまで読んでいただいたあなたは、もう気づいているはずです。
私たちの身の回りにあるチラシ、パッケージ、冊子、名刺──そのほとんどが「石油の恩恵」で成り立っているということに。
インクの原料である合成樹脂や溶剤、フィルムや合成紙、さらには加工用の素材やトナーまでも。
印刷とは、言ってしまえば石油化学の上に成り立つ複合技術なのです。
だからこそ“選ぶ目”が求められている
「石油=悪」と決めつけるのではなく、
・どこに石油由来の資材が使われているのか
・どこから環境配慮型に切り替えられるのか
を知った上で、目的に応じた選択ができることが、いま一番大切です。
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サステナブルを意識したいイベント用には、大豆油インク+再生紙
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耐久性が必要な屋外ポスターには、合成紙やUV印刷
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エコな見せ方を重視する企業案内には、非塩ビフィルムやバイオマス素材
など、印刷=選び方で環境配慮ができるツールに変わってきています。
印刷業界の未来は「石油からの脱却」ではなく「共生と最適化」
今後、完全に石油を手放すのは現実的ではありません。
しかし「どこで使い、どこで減らすか」という視点を持ち、印刷を通じて社会と環境の両立を図ることは十分に可能です。
そのためには、発注する人・使う人・つくる人すべてが「素材・技術・背景」を知っておく必要があります。
この記事がその第一歩になれば幸いです。
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