【導入】
「ユポ紙」と聞いて、すぐにピンとくる方は意外と少ないかもしれません。
けれど実は、私たちの日常生活のあちこちで活躍している、とても優れた素材なんです。
例えば、雨の日でも破れずに掲示され続けるポスター。
屋外のイベントで使われる、しっかりとしたメニュー表。
お風呂場に貼られた、カラフルな知育ポスター。
こうしたアイテムに使われているのが「ユポ紙」なのです。
ユポ紙は、普通の紙とはまったく異なる性質を持っています。
耐水性・耐久性に優れ、破れにくく、屋外や水まわりでも安心して使用できる万能な素材。
さらに、最近では環境に配慮した「エコユポ」なども登場し、ますます注目が集まっています。
今回は、そんな「ユポ紙」について、
基本情報から特徴、活用シーン、印刷時の注意点まで、
印刷会社目線でわかりやすく・たっぷりとご紹介していきます!
1. ユポ紙とは?
ユポ紙とは、正式には「合成紙」と呼ばれる特殊な紙の一種です。
原料は木材パルプではなく、ポリプロピレン樹脂(プラスチックの一種)。
つまり、見た目や手触りは紙に近いけれど、実は“紙ではない紙”なのです。
1970年に、日本の企業(王子製紙と三菱油化、現・三菱ケミカル)が共同開発したのがユポ紙のはじまり。
当時から「水に強く、破れにくい紙」が求められており、ユポはそのニーズに応えるべく生まれました。
ユポ紙は、微細な空気孔を持つ多孔質構造をしているため、
・しなやかな柔軟性
・表面に筆記できる適度な粗さ
を備えています。
さらに、見た目の白さや印刷適性の高さから、「普通の紙と同じ感覚で使える」という大きなメリットも。
一般的な「合成樹脂フィルム」とは違い、ユポ紙は「紙らしさ」にこだわった設計がされており、
屋外広告やメニュー表、地図、ラベルなど、実に幅広い分野で使われています。
2. ユポ紙の特徴まとめ
ユポ紙が「ただの紙」とは違う存在感を放っている理由。
それは、驚くべき性能の数々にあります。
ここでは、ユポ紙が持つ代表的な特徴をまとめてご紹介します!
耐水性・耐湿性バツグン
ユポ紙の最大の特徴は、なんといっても水に強いこと。
水に濡れてもまったくふやけず、強度を保ったまま使えます。
屋外ポスターやメニュー表、お風呂場のポスターなど、水濡れリスクの高いシーンで大活躍。
雨風にさらされても破れず、劣化しにくいので、長期間掲示する用途にもぴったりです。
高い耐久性・破れにくさ
ポリプロピレン由来の強靭な繊維構造により、
普通の紙のように簡単には破れません。
引っ張りや折り曲げにも耐え、扱いやすさは抜群。
特に、子どもが触る絵本や知育ポスターなどでは、この「破れにくさ」が大きな安心材料になります。
筆記性もしっかり確保
「プラスチック系なら、ペンで書けないんじゃないの?」と思われがちですが、ユポ紙は違います。
ボールペンや鉛筆などでの筆記も可能。
特に、油性ボールペンや油性マーカーとの相性が良く、メモや記入が必要なラベルや地図にも使われています。
高い印刷適性
ユポ紙は、表面に微細な凹凸(ミクロレベルの空気孔)を持つため、インクの定着が良好です。
オフセット印刷、オンデマンド印刷、UV印刷など、幅広い印刷方式に対応。
また、発色も良く、写真やイラストも鮮やかに表現できます。
環境配慮型タイプも登場
近年では、リサイクル性を高めた「エコユポ」シリーズも開発されています。
再生可能エネルギーで作られた製品や、リサイクル原料を活用したタイプも登場。
印刷物の「環境負荷を減らしたい」というニーズにも応えています。
静電気に注意(裏話!)
ユポ紙はポリプロピレン系素材なので、どうしても静電気を帯びやすい性質があります。
印刷機の搬送中に吸着してしまったり、重ねた用紙が離れにくくなったりすることも。
このため、印刷現場では「湿度管理」や「除電対策」が必須!
普段使っている人にはなかなか見えない、プロのひと工夫がここにあります。
3. ユポ紙が活躍するシーン
ユポ紙は、ただ水に強いだけじゃありません。
その耐久性・印刷適性の高さから、私たちの身の回りのさまざまな場所で活躍しています。
ここでは、代表的な使用例をシーン別に紹介していきます!
屋外ポスター・案内看板
雨や風にさらされる屋外でも、ユポ紙なら安心。
イベントポスター、観光地の案内板、駐車場のサインなど、
「天候に左右されずに情報を届けたい」という場面で大活躍しています。
選挙ポスター
選挙期間中、街中にずらりと並ぶ候補者のポスター。
実はこれ、ユポ紙が使われる代表例です。
屋外掲示が基本で、期間中ずっと掲出されるため、破れにくく、色褪せにくいユポ紙が最適なのです。
お風呂ポスター・知育ポスター
家庭のお風呂場に貼られている「ひらがな表」や「九九表」。
これらも多くがユポ紙製!
水に濡れても剥がれにくく、破れないので、小さなお子さまがいるご家庭で重宝されています。
飲食店のメニュー表
飲み物をこぼしたり、汚れたりしやすい飲食店のメニュー。
耐水性の高いユポ紙で作れば、汚れてもサッと拭き取れて衛生的!
ラミネート加工不要で、メンテナンスもラクラクです。
登山地図・アウトドアマップ
登山やアウトドアで使う地図は、過酷な環境下でも耐える必要があります。
ユポ紙なら、雨に濡れても破れず、ぐしゃぐしゃになりにくいので、
アウトドア愛好家たちからも高い信頼を集めています。
商品タグ・ラベル
アパレル商品や工業製品などのタグやラベルにもユポ紙は活躍中。
耐水性・耐久性が求められる現場では、紙よりもユポ紙の方が安心です。
また、見た目もきれいに印刷できるので、商品のイメージを損なわないメリットも。
4. ユポ紙印刷の注意点
ユポ紙は万能な素材ですが、「印刷のとき」にはいくつか独特のコツがあります。
ここでは、印刷会社だからこそ知っているユポ紙ならではの注意ポイントを紹介します!
インクの選び方に注意
ユポ紙は普通の紙と違い、ポリプロピレン系の表面を持っています。
そのため、一般的な水性インクだと定着しづらい場合も。
オフセット印刷では、専用の「ユポインク」を使用するのが基本。
オンデマンド印刷やUVインクジェット印刷なら、ユポ紙に適したインクを選べば問題なくきれいに仕上がります。
ラミネート加工が不要なケースも
普通の紙は耐水性を高めるために「PP加工(ラミネート)」をすることが多いですが、
ユポ紙はそのままで高い耐水性を持っています。
わざわざラミネートをかけなくても、メニュー表や屋外掲示物として十分に使えるため、
コスト削減や納期短縮にもつながります!
折り加工にはちょっとしたコツが
ユポ紙は柔軟性がありながらも弾力性が高いため、
普通の紙と同じ感覚で折ろうとすると、元に戻ろうとする「反発」が出ることがあります。
折り加工をする際は、事前にスジ入れ(筋押し)を行ったり、
適切な厚みのユポ紙を選ぶことで、きれいな折り目が作れます。
静電気対策はプロの必須テクニック
ユポ紙はポリプロピレン系素材なので、静電気を帯びやすいという特徴があります。
印刷工程では、紙同士がくっついて搬送トラブルが起きたり、
紙送りがうまくいかないことも…。
これを防ぐために、印刷現場では「静電気除去装置」を使ったり、
湿度管理を徹底したりと、細かな配慮を欠かしません!
ゴミ捨て・リサイクル時は要注意!
ユポ紙は「紙に見えるけど、紙じゃない」素材。
原料がポリプロピレン樹脂なので、自治体によっては「可燃ゴミ」ではなく「プラスチックごみ」扱いになる場合があります。
また、リサイクルにも注意が必要で、
通常の古紙回収には出せず、専用の回収ルートや一般ゴミ扱いになることも。
【ポイント】
・地域ごとのゴミ分別ルールを確認する
・大量に廃棄する場合は、印刷会社や産業廃棄物業者に相談する
特に業務用途(イベント終了後のポスター大量処分など)では、
「どう処分するか」も計画に入れておくと安心です!
5. まとめ
耐水性・耐久性に優れ、破れにくく、美しい印刷ができるユポ紙。
普通の紙とは違う「特別な強さとしなやかさ」を持った素材です。
屋外ポスターやメニュー表、お風呂ポスターや地図など、
「水に強い」「長くきれいに使いたい」そんなニーズがある場面では、
迷わずユポ紙を選びたくなりますよね。
ただし、印刷や加工、さらには廃棄方法に至るまで、
普通の紙とは少し違うポイントがあるのも事実。
ユポ紙ならではの特性を理解して、正しく活用していくことが大切です!
もしユポ紙を使った印刷物を作りたい、
あるいは「こんな用途に使えるかな?」と迷ったときは、
ぜひ専門の印刷会社にご相談ください。
新潟フレキソでは、ユポ紙印刷にも対応可能!
用途に合わせた最適なご提案から、印刷・加工・納品まで、トータルでサポートいたします。
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