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第1章|印刷物の「日焼け」ってどういう現象?
日焼けは「熱」ではなく「化学変化」
「日焼け」という言葉を聞くと、紙が焼けて焦げるようなイメージを持たれるかもしれませんが、実際はそうではありません。印刷物が日焼けするという現象は、紫外線や酸素との化学反応によって、紙やインクの色素が変質・分解することを指します。
色あせ・黄ばみ・白飛び…それって全部“日焼け”
時間が経つと、ポスターやチラシ、書類の一部が色あせて見えにくくなったり、全体が黄ばんだりした経験はありませんか?これはすべて**「光」と「空気」による化学変化=日焼けの一種**です。
特に窓際や照明の強い場所に印刷物を掲示した場合、紫外線の影響でインクの色素が壊れ、鮮やかさが失われていくのです。
紫外線と酸素、ダブルの攻撃にさらされる印刷物
日焼けの主な要因は以下の2つです:
-
紫外線(UV):インクの分子を破壊し、色を失わせる
-
酸素(O₂):紙やインクの酸化を引き起こし、黄ばみや劣化を進める
このように、印刷物は常に「光」と「空気」のダブルパンチにさらされているため、何も対策をしなければ、確実に色あせていく運命にあります。
印刷物を守るには“原因の理解”がカギ
印刷物の日焼けは避けられない宿命ではありません。劣化の仕組みを正しく理解すれば、効果的な対策が打てるのです。
次章では、その日焼けの元凶である**「紫外線の正体とインクへの影響」**について、科学的に詳しく見ていきましょう。
第2章|紫外線がインクを壊す!光のエネルギーの正体
紫外線=目に見えない“高エネルギーの刃”
印刷物が日焼けする最大の原因、それが紫外線(UV)です。紫外線は人間の目には見えませんが、波長が短く非常に強いエネルギーを持っています。このエネルギーがインクの色素分子に衝突することで、分子構造を破壊し、色を失わせるのです。これが「退色」と呼ばれる現象です。
色が抜けるメカニズム:光化学反応とは?
紫外線による退色は、“光化学反応”と呼ばれる分子レベルの変化によって引き起こされます。
とくに暖色系(赤・オレンジ・黄色)の色素は、構造が繊細なため壊れやすく、青や黒に比べて圧倒的に退色しやすい傾向があります。店頭のポスターなどで「赤い文字だけが消えている」現象、見たことありませんか?それは紫外線の仕業です。
染料インクと顔料インク、どちらが強い?
インクには大きく分けて「染料」と「顔料」の2種類があります。
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染料インク:色素が液体に完全に溶けていて発色が鮮やか。ただし、紫外線に非常に弱く、短期間で色あせやすい。
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顔料インク:色素が微粒子として浮いており、紙の表面に定着するため、紫外線に比較的強く、屋外印刷に向いている。
つまり、用途に応じて“どのインクを使うか”が色持ちに直結するというわけです。
インクだけでなく、紙も壊される
紫外線はインクだけでなく、紙の繊維構造自体にもダメージを与えます。そのため、色あせだけでなく、紙がパリパリになったり、変色したりするといった症状も出てきます。
▶併せて読みたい記事 インクとは何か?種類・仕組み・作り方・色の原理・環境課題・未来技術まで完全網羅|印刷会社が徹底解説【図解・保存版】
第3章|実は空気(酸素)も敵だった?酸化による劣化メカニズム
日焼けは光だけじゃない?“酸素”による静かなダメージ
印刷物の日焼け=色あせ現象の犯人は紫外線だけではありません。**もう一つの見えない敵が「空気中の酸素」**です。
酸素は非常に反応性が高く、インクや紙と化学反応(酸化)を起こすことで、色素や繊維をじわじわと劣化させていきます。
特に屋内保管や照明下の掲示であっても、紫外線の影響が少ない環境でも劣化が進むのは、酸素による「酸化退色」や「紙の黄ばみ」が原因です。
リグニンの酸化が“紙の黄ばみ”を引き起こす
紙の原料であるパルプには、**「リグニン」**という植物由来の成分が含まれています。
このリグニンは酸素と反応しやすく、時間が経つと黄ばみや茶色っぽい変色を引き起こすのです。新聞紙や再生紙が数週間で黄色くなるのはこのためです。
印刷用紙の種類によってもリグニンの含有量は異なり、保存性が求められる文書や資料には“無酸性紙(アシッドフリーペーパー)”が使用される理由はここにあります。
インクも酸素に分解されていく
酸化の影響は紙だけでなく、インクにも及びます。とくに染料インクは構造が繊細なため、空気中の酸素と反応して色素が分解されやすいのです。
一方、顔料インクは粒子状のため酸化にはやや耐性がありますが、それでも長期間空気に触れていれば劣化は避けられません。
さらに、都市部では排気ガスなどに含まれる窒素酸化物やオゾンも、印刷物の酸化を促進する要因になることがあります。
“日陰に置けば安心”は間違い
「日光が当たらないから大丈夫」と思っていても、空気にさらされているだけで日焼けは進行します。これが、“静かな日焼け”=酸化劣化の怖さです。
第4章|日焼けしやすい紙・しにくい紙の違いとは?
紙の種類によって“色あせスピード”が変わる
印刷物の日焼け・変色はインクだけの問題ではありません。実は「紙の種類」も色あせの進行に大きく影響します。
同じデザイン・同じインクでも、紙の素材・成分・表面加工によって退色のスピードは大きく異なるのです。
黄ばみやすい紙=リグニンを多く含む紙
最も日焼けに弱いのが、新聞紙や再生紙など、リグニンを多く含む紙です。
リグニンは植物繊維に含まれる成分で、紫外線や酸素と反応しやすく、数日〜数週間で黄変や茶色化が進行します。短期掲示ならコスト優先で構いませんが、中〜長期の用途には不向きです。
日焼けに強い紙=塗工紙・アシッドフリーペーパー
対して、日焼けに比較的強いのが**塗工紙(コート紙・アート紙)**や、**アシッドフリーペーパー(中性紙)**です。
-
塗工紙は紙の表面にコーティング加工が施されており、紫外線や湿気をある程度ブロックできます。
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アシッドフリーペーパーは酸性物質を含まないため、紙そのものが酸化しにくく、黄ばみにくい特性があります。図書館や美術館などでよく使われています。
コストと保存性のバランスを考える
すべての印刷物に高級紙を使えば安心…とはいきません。使用期間や用途に応じて、コストと劣化リスクのバランスを考えた紙選びが重要です。
-
短期掲示:再生紙や上質紙でもOK
-
中〜長期:塗工紙 or アシッドフリー推奨
このように、紙の選定ひとつで印刷物の寿命は大きく変わります。
第5章|日焼けを防ぐには?現場でできる対策まとめ
紫外線対策が最重要!掲示環境を見直そう
まず最優先すべきは、紫外線から印刷物を守る工夫です。屋外はもちろん、室内であっても窓際や蛍光灯の下では紫外線の影響を受け続けます。
対策として有効なのは以下の通り:
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UVカットフィルムを窓に貼る
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遮光カーテン・ブラインドで日射を防ぐ
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直射日光が当たらない壁面に掲示する
特に夏場は紫外線量が増えるため、掲示場所の選定が印刷物の寿命を左右します。
印刷物自体を守る加工・素材選び
掲示環境だけでなく、印刷物そのものの耐候性を高める工夫も効果的です。
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PP加工(ポリプロピレン加工):透明フィルムで覆うことで、紫外線や湿気、酸素から印刷面をガード
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ラミネート加工:耐水・耐久性をさらに高め、屋外でも使用可
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耐光インクの使用:顔料インクやUVインクなど、退色しにくいインクを選ぶ
特に長期間使用するポスターや案内表示には、こうした加工を組み合わせることで色あせを大幅に遅らせることができます。
原本保存+複製掲示という発想も有効
大切な原稿や作品をそのまま掲示して劣化させてしまうのは避けたいもの。そこでおすすめなのが、**「原本は保存、掲示にはコピーや複製を使う」**という運用方法です。
原本はアーカイブ保管し、光と空気にさらされる場面では“使い捨て可能な複製”を活用することで、リスクを最小限に抑えることができます。
第6章|コストを抑えて退色リスクを減らす工夫とは?
すべてに高コストはかけられないのが現実
日焼け対策として、耐光インク・PP加工・中性紙などを組み合わせれば効果は高まります。しかし、すべての印刷物にフルスペック対策を施すのは予算的に難しいという現場も多いのではないでしょうか。
そこで重要になるのが、掲示期間・用途に応じて「かけるところ・省くところ」を見極める工夫です。
短期掲示には割り切りとコスパ優先が正解
例えば、イベントやセール告知などのポスターで掲示期間が1〜2週間程度の場合、そこまで日焼けのリスクは大きくありません。
この場合は:
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一般的な上質紙やコート紙でOK
-
加工なしのインクジェット出力でも問題なし
その分、印刷コストを抑えて部数を増やしたり、デザインに力を入れたりすることで訴求力を高める戦略が有効です。
長期用途には初期投資で結果的にお得に
一方、3ヶ月以上の掲示や常設案内、屋外サインなどの場合は、初期費用をかけてでも耐候性仕様を選ぶ方がコストパフォーマンスに優れます。
たとえば:
-
顔料インク+PP加工で長期間美しさを維持
-
UVインク+合成紙で屋外掲示も安心
-
再印刷の頻度が減り、結果的にコスト削減につながる
つまり、**「短期=安く・早く」「長期=強く・長持ち」**が基本ルールです。
印刷会社に相談するのが一番効率的
仕様選びに迷ったときは、現場の状況を印刷会社に相談するのが最も効率的な方法です。
新潟フレキソでも、「予算はこれくらい、掲示は何日、場所は屋外」などの条件に合わせて、最適な用紙・加工・印刷方式をご提案できます。
📝コラム|本当に色あせに強いのは?染料 vs 顔料 vs トナー 比較!
色あせに強いインク・トナーはどれ?
印刷物の耐久性は、「どんなインクやトナーを使っているか」で大きく変わります。ここでは**染料インク・顔料インク・トナー(レーザープリント)**を比較し、それぞれの退色耐性と用途適性を整理します。
染料インク:鮮やかだが退色は早い
染料インクは、水に完全に溶けた色素分子を使っているため、発色が非常に鮮やかで写真印刷やグラデーションに強いのが特長です。
しかしその反面、紫外線や酸素に弱く、短期間で色あせる傾向があります。
室内の短期掲示や一般家庭のプリントには適していますが、長期掲示や屋外使用には不向きです。
顔料インク:耐光性・耐水性に優れたバランスタイプ
顔料インクは、微粒子状の色素を紙の表面に定着させる構造のため、紫外線や湿気に強く、長期間の掲示に向いているのが特長です。
鮮やかさはやや劣るものの、ポスター・看板・商品パッケージなど「劣化NG」な印刷物には最適です。
トナー:最も退色に強いが表現力はやや限定的
トナー(レーザープリンターで使用)は、粉状の顔料を熱で紙に圧着させる方式で、非常に高い耐光性・耐水性を誇ります。
特に黒の定着力は強く、屋外掲示や長期保存に強いです。ただし、粒子が粗いため写真や繊細な表現には不向きな場面もあります。
結論:退色の強さ順とおすすめ用途
色あせに強い順に並べると:
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1位:トナー(レーザー印刷)
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2位:顔料インク
-
3位:染料インク
それぞれの特性を理解し、**「どこに掲示するのか」「どれくらいの期間使うのか」**に合わせて選ぶことが、後悔しない印刷物づくりの第一歩です。
まとめ|「日焼け=紫外線×酸素×時間」印刷物を守るには
印刷物の劣化は“化学変化”の積み重ね
ここまで解説してきたように、印刷物が日焼け・色あせする理由は、単なる「古くなったから」ではなく、光(紫外線)と空気(酸素)による化学変化が進行した結果です。
そしてそのスピードは、インクの種類・紙の構造・掲示環境によって大きく左右されます。
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紫外線は色素分子を破壊(退色)
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酸素は紙やインクを酸化(黄ばみ)
-
時間の経過が両者の影響を強める
つまり、「光 × 空気 × 時間」こそが日焼けの正体です。
印刷物の寿命を延ばす3つの対策
大切な印刷物を少しでも長持ちさせたいなら、次の3点を意識することが重要です。
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光の遮断:UVカットフィルムや遮光カーテン、掲示位置の工夫で紫外線を防ぐ
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酸素の遮断・加工:PP加工やラミネートで印刷面を保護
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素材と仕様の選定:顔料インク、中性紙、レーザープリントなど用途に合った選択をする
この3点を実践することで、色あせの進行を大きく抑えることができます。
用途別に、最適な印刷方法を選ぼう
すべての印刷物に最高仕様を施す必要はありません。
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短期使用ならコスト優先、長期掲示なら耐候性優先。
-
屋内用・屋外用で使い分けるだけで、無駄なコストと再印刷のリスクが減らせます。
新潟フレキソでは、**「いつ、どこで、どれくらい使うのか」**をヒアリングした上で、最適な印刷仕様をご提案可能です。
「印刷物を長くきれいに保ちたい」そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
\株式会社新潟フレキソは新潟県新潟市の印刷会社です。/
あらゆる要望に想像力と創造力でお応えします!
印刷物のことならお気軽にお問い合わせください。
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