血の色は本当に赤いのか?──色の正体を生物・視覚・RGB・CMYKから解き明かす完全ガイド

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🩸第1章|血はなぜ赤い?──色の正体は“酸素と鉄の出会い”


赤い色の源は、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」

血液の色の中心にあるのは、「赤血球」と呼ばれる細胞です。
その中に含まれているのが、“酸素を運ぶたんぱく質”として知られるヘモグロビン(Hemoglobin)。この物質には鉄分が含まれており、肺で酸素を取り込むと「酸化ヘモグロビン」という形になります。

このとき、血液は私たちの目に“鮮やかな赤色”として映ります。
つまり、血が赤くなるのは、鉄と酸素が出会ったときに起きる化学変化の結果なのです。


動脈と静脈で、血の“赤さ”は違う?

体の中を流れる血液には、大きく2つのルートがあります。
ひとつは心臓から全身に酸素を送る「動脈」、もうひとつは酸素を使い終えた血液が戻ってくる「静脈」です。

この2つで、血の色は微妙に違います。
動脈血は、酸素をたっぷり含んだ状態のため明るく鮮やかな赤になります。
一方で静脈血は、酸素を手放したヘモグロビン(還元ヘモグロビン)が主成分となり、赤黒く沈んだ色になるのです。

この色の違いは、医療現場でも重視されており、採血や手術中にも視覚的な手がかりとして使われています。


でも、血管は青く見える──それってどういうこと?

腕や手の甲を見てみると、血管が青っぽく透けて見えることがあります。
これについては、「静脈の血は青いのか?」という疑問がよく出ますが、実際の血液は静脈でも赤黒い色をしています。

青く見えるのは、皮膚を透過する光の波長や、脳が色を処理する仕組みによる“錯覚”です。
このテーマは次章でさらに詳しく掘り下げます。


🩸第2章|青い血・緑の血もある?──生物によって異なる“血のカラーパレット”


赤い血は“当たり前”じゃない──地球にはカラフルな血が流れている

「血=赤」という感覚は、人間が赤い血を持つからこその“思い込み”です。
地球上の生物たちを見渡すと、実は赤くない血を持つ種がたくさん存在します。

たとえば、**タコ・カニ・イカなどの軟体動物や甲殻類は“青い血”**を流しています。
さらには、緑の血、紫の血、透明の血まで──まるで絵の具のパレットのような多様性が広がっているのです。

ではなぜ、生き物によって血の色がこんなにも違うのでしょうか?
その答えは「酸素を運ぶ仕組みの違い」にあります。


青い血の正体は「ヘモシアニン」──銅と酸素がつくる“青の化学”

人間の血が赤いのは「鉄」を含んだヘモグロビンが酸素と結びつくからでした。
これに対して、タコやイカの血が青いのは、「ヘモシアニン(Hemocyanin)」という銅を含む酸素運搬たんぱく質を使っているためです。

酸素がヘモシアニンと結合すると、構造が変化して青色になります。
銅と酸素が作る青──まさに化学が生んだ天然の色素なのです。

特にヘモシアニンは、冷たい海水中でも酸素を効率よく運べるという特徴があり、海洋性無脊椎動物にとっては非常に都合の良い進化的選択だったと考えられています。


緑の血もある?──バナナムシと“ビリベルジン”の世界

さらに興味深いのが、“緑の血”を持つ生物の存在です。
たとえば、パプアニューギニアの一部に生息する**バナナムシ(Prasinohaema属)**というトカゲの仲間。
この生き物は、血液・筋肉・舌・骨まで緑色をしており、その原因は「ビリベルジン(biliverdin)」という色素にあります。

ビリベルジンは、人間にも一時的に現れることのある代謝副産物(黄疸やあざの緑色部分)ですが、通常はすぐに分解されてしまいます。
ところがバナナムシは、それをあえて体内に高濃度で保つよう進化したと考えられており、毒素から身を守る役割があるのではないかという仮説もあります。


紫や透明の血も──進化の過程で“色”が選ばれた

その他にも、ピーナッツワームは紫色の血を持ち、氷点下の海に生きる南極の魚「アイスフィッシュ」は、透明の血を持っています。
アイスフィッシュには、なんとヘモグロビンが存在せず
、血の中には酸素を運ぶ色素すらありません。それでも、冷たい水には酸素が多く含まれており、拡散だけで生存が可能なのです。

このように、血の色はその生物の環境適応や進化の履歴と深く結びついています。
赤い血は“優れた仕組み”である一方、あくまで数ある選択肢のひとつにすぎません。


血の色は「生き方の証明」──命を運ぶための最適解

赤、青、緑、紫、透明──これらは単なる色ではなく、それぞれの生き物が「どう生き延びてきたか」を物語る証です。
血の色を通して見ると、生き物たちの体は、酸素とどう向き合ってきたかの進化の記録そのものなのです。


🩸第3章|“体の中の血”は青く見える?──視覚の錯覚と皮膚のフィルター


血管が青く見えるのは“本当に青いから”ではない

自分の腕や手の甲を見て、「血って青いんじゃないの?」と疑問に思ったことはありませんか?
肌の下を走る血管が青く見える──だから“静脈の血は青い”と、なんとなく信じている人も少なくありません。

けれど、これは誤解です。実際の血液は、体の中でも“赤黒い色”をしています。
では、なぜ青く見えるのでしょうか?

その答えは、「人間の目と脳の見え方のクセ」にあります。


青く見える理由①|皮膚が“フィルター”の役割を果たしている

皮膚の上から血管を見るとき、私たちは“血そのもの”を見ているわけではありません。
光が皮膚に当たって、一部は吸収され、一部は散乱して、残った反射光が目に届く──そのときに、波長の長い赤い光よりも、波長の短い青い光の方がわずかに届きやすい性質があるのです。

さらに、青い光は皮膚の浅い層で散乱しやすく、反射も強くなります。
こうして、**赤いはずの血管が“青っぽく見える”**という現象が起きているのです。


青く見える理由②|脳の“補正処理”が色を変えている

人間の脳は、「周囲の光」や「肌の色」との相対的な違いをもとに、色を“知覚的に補正”する仕組みを持っています。
明るい肌の中に、暗い筋があれば、それを“青”として解釈しやすい傾向があるのです。

これは「色の恒常性」と呼ばれる心理的現象で、たとえば白い紙はどんな光の下でも白く見える、というのと同じ仕組みです。
つまり、血そのものの色ではなく、脳が“青っぽい”と認識しているだけということになります。


実際に出血すると“赤く”なる──つまり、色は見え方次第

同じ静脈でも、採血で針を刺せば、出てくる血はちゃんと暗赤色です。
血が“青い”のではなく、「皮膚越しに見ると青く“錯覚”してしまう」のが正しい理解なのです。


色は絶対ではない──光と脳が作り出す“主観の現実”

このように、血の色は決して一枚岩ではありません。
“実際の色”と“見えている色”は、必ずしも一致しない──むしろズレていることの方が多いのです。

「血は赤い」という当たり前も、視覚科学の視点から見れば、“赤く見えているだけ”の主観的な現実でしかないのかもしれません。


🩸第4章|RGBで見る“血の赤”──光の三原色がつくる人工のリアル


ディスプレイで見る「血の赤」は、作られた“光の色”

スマホやパソコンで見る「血の赤」は、実際の血と同じ色なのでしょうか?
答えは「似ているけれど、まったく違う仕組みで作られている」です。

ディスプレイは、「RGB(Red・Green・Blue)」と呼ばれる光の三原色を使って色を再現しています。
この方式では、赤・緑・青の光をそれぞれ組み合わせることで、何千色、何百万色もの色が表現できます。
血の赤も例外ではなく、「赤の光」をメインに、わずかに緑や青を加えて作り出されているのです。


RGBで“血の赤”を表す代表値は?

デジタルの世界でよく使われる「血の赤」の代表的なRGB値は、次のようなものがあります。

  • RGB:138, 7, 7(HTMLカラーコード #8B0707)

  • RGB:102, 0, 0(#660000)

  • RGB:153, 0, 0(#990000)

これらは、暗く濃い赤=「深紅(deep red)」や「バーガンディ」「ダークレッド」などと呼ばれ、血液のような印象を持たせたいときに用いられる色です。
ホラー映画のポスターや、ゲームの演出、さらには医療教材の中でもよく使われています。

ただしこれは、あくまで**“人の目にそう見えるように作った色”**であって、実際の血液の物理的な色を正確に模倣しているわけではありません。


明るさや光源で、“血の色”は変化する

面白いのは、同じRGBの数値であっても、見るディスプレイの種類・明るさ・照明の色温度によって、「血の赤」の見え方はガラリと変わるということです。

たとえば、暗い部屋で見ると真っ赤に見えていたものが、日光の下ではくすんだ茶色に見えることもあります。
これは、「血の赤」という色が絶対的なものではなく、**“環境と目の条件で変わる印象色”**であることを示しています。


RGBでは“本物の血”は作れない──リアルを“それっぽく”する技術

どれだけ高精細な4K・8Kディスプレイであっても、本物の血液の質感や粘性、奥行きまでは再現できません。
だからこそ、ゲームや映画ではCGやエフェクト処理、さらには“影”や“グラデーション”を使って「血っぽさ」を演出しています。

つまり、RGBで表現される“血の赤”は、あくまで人間の感情に訴えかけるための再現色なのです。
それは「赤い血を描く」のではなく、「血のように見える赤を作る」という全く別の技術的な作業とも言えます。


🩸第5章|CMYKで印刷すると“血の色”はどう変わる?


印刷の色はRGBじゃない──CMYKという“インクの世界”

スマホやパソコンで見る画像はRGB(光の三原色)で構成されていますが、印刷の世界ではCMYKという全く異なる仕組みが使われます。

CMYKとは、**C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=ブラック(Key plate)**の略。
これは“光を加える”のではなく、“光を吸収して色を作る”減法混色の方式です。
つまり、RGBが「発光」で色を作るのに対し、CMYKは「インクと紙」で色を作る──仕組みそのものが違うのです。


“血の赤”をCMYKで再現するには?

では、印刷で血のような赤色を出したい場合、どう表現すればいいのでしょうか?

一般的な「血の赤」に近いCMYK値は以下のような構成が基本です:

  • C=0 / M=100 / Y=100 / K=10〜30程度(印刷条件によって調整)

この配合では、マゼンタとイエローを重ねて“赤”を作り、ブラックを少し加えることで暗さと深みを出します。
とくに“濃く沈んだ赤”を出すには、K成分を加えるのがポイントです。

しかし、印刷現場ではこの数値をそのまま使うわけではなく、用紙の白さ、インキの濃度、印刷機の設定、湿し水の量など、複数の要素を微調整しながら“血っぽさ”を追求しています。


CMYKでは“本物の血の質感”は出せない?

実際の血液には、粘度、光沢、透け感、濃淡など、非常に複雑な質感があります。
CMYKの標準4色では、これを完全に再現するのは困難です。

たとえば:

  • 血液のツヤ感や粘り気 → インクでは表現できない

  • 立体感や奥行き → 網点やグラデーションでは限界がある

  • 濡れたような光の反射 → 光沢ニスやPP加工を追加する必要あり

そのため、よりリアルに血を表現したいときには、**特色インキ(スポットカラー)や加工技術(ニス・箔・厚盛など)**を使って演出することもあります。


印刷の“血の赤”は、技術力の証

ポスター、医療教材、ホラー映画のチラシなど、血の赤は“強烈な印象色”として多用されます。
だからこそ、印刷現場ではわずかな色ズレも許されず、職人たちは目視と経験と機械設定を駆使して、“狙った赤”を作り上げるのです。

CMYKの“赤”は、「どの色をどれだけ重ねるか」の世界。
そして“血の赤”は、再現が難しいからこそ、印刷技術の粋が問われる色なのです。


🩸第6章|文化としての“血の赤”──なぜ人はこの色に強く反応するのか?


赤は“本能に訴える色”──血の色だからこそ、強烈に意識される

人は「赤い色」に特別な感情を抱きます。
それは、視覚的な鮮やかさ以上に、赤=血=生命や危機という本能的な結びつきが背景にあるからです。

進化心理学の視点では、血を見ることはけが・争い・命の危機に直結しており、そこに強く注意を向けることが生存に有利だったと考えられています。
だからこそ、赤い色は本能的に“目立つ”色であり、無視できない色でもあるのです。


世界の文化と“血の赤”──宗教・戦争・国家に宿る色

血の赤は、古くから戦争や儀式、信仰の色として用いられてきました。
たとえば:

  • 古代ギリシアでは、赤は「戦の神アレス」を象徴

  • キリスト教では、殉教や自己犠牲の象徴として赤が使われる

  • 国旗の赤は「血と自由」「犠牲と革命」を表すケースが多い(例:フランス、アメリカ、日本の紅)

さらに、仏教圏でも赤は「生命力と怒り」の象徴として描かれ、地獄絵や魔除けの色として定着しています。
こうした文化的背景をたどると、血の赤は“聖なる色”と“恐ろしい色”の両極を併せ持つことがわかります。


“赤を見ると鼓動が早くなる”──生理反応としての色彩効果

実際に、赤い色は人間の身体にも影響を及ぼします。
心理学・生理学の実験では、赤を見ると心拍数や血圧がわずかに上昇する傾向が報告されており、「戦闘モード」「緊張状態」を誘発する色とも言われています。

この現象はスポーツや広告でも活用され、たとえばサッカーでは赤いユニフォームのチームが勝率が高くなる傾向があるというデータもあります。
赤はただ目立つ色ではなく、「心と体を動かす色」として機能しているのです。


“血の赤”は、記憶に残る色

広告や映画でも、赤は最も多用される色のひとつです。
その中でも“血の赤”は特に記憶に焼きつきやすく、感情や場面を強烈に印象づけます。

たとえば:

  • 医療広告では「献血」「命」「再生」のイメージ

  • ホラーでは「死」「恐怖」「暴力」の象徴

  • ファッションやコスメでは「情熱」「誘惑」「強さ」の記号

これらはすべて、“血の赤”が持つ文化的・心理的な蓄積に根ざしています。
色というより経験に結びついた記憶装置としての赤──それが、人に最も強く作用する理由なのです。


🩸第7章|血の色は「見えている赤」にすぎない


赤く“見える”──それは光と脳がつくった仮の現実

血は赤い──けれど、それは「本当に赤い」わけではありません。
赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結びついた結果、光の波長が変化し、私たちの目には“赤く見える”。
そこには化学・物理・視覚・心理が複雑に関わっていて、私たちは“そう知覚するよう設計された”だけとも言えます。

同じ血でも、体内では青っぽく見え、ディスプレイではRGBの仮想赤で表現され、印刷ではCMYKの重ね刷りで“それっぽさ”を演出する──
つまり「血の赤」とは、その場その場で見せかけられた“印象の赤”にすぎないのです。


生物・環境・文化で、血の“色”はまったく違って見える

生物によっては、青い血や緑の血も存在し、なかには色のない血すらあります。
人間にとって“赤い血”は当たり前でも、それは地球全体から見ればひとつの進化の偶然に過ぎないのです。

そして文化や時代によって、「血の赤」が意味するものも変わります。
戦い、命、犠牲、情熱──あらゆる記憶がそこに込められてきました。
そう考えると、血の色は**“生き方そのものを映す鏡”**とも言えるかもしれません。


色とは、物質ではなく“経験”である

このブログの最初で、「血は赤い」とは何か?という問いを立てました。
それを最後にもう一度、言い換えてみるとすれば──

「血の色」とは、
光の反射であり、化学の現象であり、知覚の錯覚であり、文化の象徴であり、命の記憶でもある。

そのすべてが重なって、ようやく「赤い血」が見えている──そう考えると、
色とは“目に見えるもの”というより、“心に残るもの”なのかもしれません。


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