わら半紙とは?なぜ学校で使われ、今は消えたのか|コピー用紙との違いも印刷会社が解説

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第1章|わら半紙とは何か?正式な定義と“懐かしい紙”のギャップ

「わら半紙」と聞いて、すぐにあのザラッとした手触りや、少しくすんだ白色を思い浮かべたあなたは、きっと昭和・平成の学校教育を経験してきた世代かもしれません。テスト用紙、連絡プリント、学級通信──そうした日常的な配布物で、当たり前のように使われていた“あの紙”。しかし、そもそもこの「わら半紙」とは、正式にはどんな紙なのでしょうか?ここではその定義・特徴・名前の由来を正確に解説します。


定義と原料の真実|藁は実際に使われていた?

まず押さえておきたいのは、「わら半紙」という名称が通称にすぎないという点です。日本産業規格(JIS)ではこの用紙に該当する正式名称はありませんが、製紙業界では**「更紙(さらがみ)」**または「古紙配合上質紙」「下級印刷用紙」として分類されることが一般的です。

わら半紙という名前から「藁(わら)」を原料にしていたと思われがちですが、実際に藁(稲藁や麦藁)を主要原料として使用していた時期は戦前〜戦後直後までで、高度経済成長期(1950年代後半〜)以降は主に古紙パルプが中心となり、藁は使われなくなっています(出典:製紙原料懇話会『日本製紙工業史』)。

つまり、「昔はわらが入っていたが、今のわら半紙にわらは入っていない」が正確な答えです。


わら半紙の特徴|白くない・にじむ・ざらつく理由

わら半紙の最大の特徴は、あえて「白く漂白されていない」ことです。原料に使われる古紙や低グレードパルプにはインク成分が混ざっているため、真っ白にはならず、ややグレーがかった黄白色をしていました。光沢はなく、表面も滑らかとは言えず、ペンや鉛筆の筆跡がザクザクと残るような手応えがありました。

また、インクのにじみや裏写りが起きやすいという弱点もありましたが、逆にそれが「間違いが見えやすい」「赤ペンが目立つ」といった利点として、教育現場ではむしろ“味”として受け入れられていた側面があります。


なぜ“わら”なのか?語源と古紙原料の変遷

「なぜ“わら”半紙と呼ばれたのか?」という疑問には、複数の説が存在します。主に有力とされるのは以下の2点です。

  1. 戦前は実際に藁パルプを混ぜて製紙していたため
     → 明治時代末期〜昭和初期、農村部を中心に藁を煮て繊維にし、粗製の印刷紙として利用されていた記録があります(出典:農林省統計資料『日本農業年鑑 昭和8年版』)。

  2. 藁のような色と質感から、俗称として定着した
     → 実際には古紙由来のグレーがかった色であっても、使用者の印象に“藁っぽさ”が強く残り、呼称がそのまま一般化したと考えられます。

いずれにせよ、**正式な商品名や規格名ではなく、あくまで生活の中で育った“俗称”**であるというのが「わら半紙」の正体です。


第2章|なぜ学校で多用されたのか?コストと印刷技術の相性に理由あり

「わら半紙=学校プリント」という印象は、多くの人にとって共通の記憶でしょう。実際、昭和から平成初期にかけて、日本中の小中学校で大量のわら半紙が日常的に使われていました。ではなぜ、数ある紙の中で“わら半紙”が選ばれていたのでしょうか?ここでは、コスト・印刷機器・用途との相性という3つの観点から、その背景を紐解いていきます。


戦後〜平成初期の教育現場とコスト意識

1950年代以降の高度経済成長期、日本の教育現場は全国的な学級増加と教材の大量印刷という課題に直面していました。教員1人あたりの生徒数が40人以上になる「マンモス学級」も珍しくなく、プリント1枚にしても数十部〜数百部を繰り返し印刷する必要があったのです。

1960年代当時、文部省や教育関係機関では、教材の大量印刷に伴うコスト負担を軽減するため、再生紙など安価な用紙の使用が広く奨励されていました。予算制約のある公立学校にとって、わら半紙は“安くて使いやすい紙”として重宝されていたのです。


ガリ版・輪転機との相性が決め手だった

もうひとつの大きな理由は、わら半紙が当時の学校用印刷機器と相性が良かった点にあります。

昭和30年代〜50年代の学校では、「ガリ版(謄写版)」や「簡易輪転機(湿式謄写印刷機)」が広く使用されていました。これらの印刷方式は、油性インクやロウ原紙を用いて文字を写し取るものであり、印刷面に強く圧がかかります。表面がザラついているわら半紙は、インクをよく吸い、にじみにくいという特性を持っていたため、再現性が安定しやすく、トラブルが少なかったのです。

また、わら半紙は多少の反りや歪みにも寛容で、印刷機の紙送り不良が起きにくいという利点もありました。実際、当時の教育機器メーカー(理想科学工業など)も、わら半紙を標準用紙として推奨していた記録が残っています。

▶併せて読みたい記事 謄写版とは?なぜ“学校印刷”はガリ版だったのか|違い・仕組み・歴史・今を印刷会社が完全ガイド


手触り・インクのにじみが“学習向け”だった説

意外に見落とされがちですが、わら半紙の筆記感・視認性も、教育上のメリットとして評価されていました。

わら半紙は表面が滑らかではないため、鉛筆やボールペンで書くと筆跡が残りやすく、感触があるのが特徴です。これは特に**小学校低学年において「筆圧を育てる」「読み書き定着を助ける」**という面で有効だったとする教育現場の声もあります。

さらに、赤ペンのインクがにじみやすいという短所は、添削時の視認性を高める効果にもつながり、「間違いが見える紙」として先生方から支持されていた側面もあります。


第3章|どんな場面で使われていた?学校プリント以外にも広がった用途

わら半紙は「学校で使う安い紙」というイメージが定着していますが、その活躍の場は教育現場だけにとどまりませんでした。安価で印刷適性があり、大量配布に向いた紙として、さまざまな分野で広く使われていたのです。この章では、わら半紙の用途を具体的に紹介し、なぜそれが“社会インフラの紙”だったのかを掘り下げます。


テスト・学級通信・おたよりの定番用紙

昭和〜平成初期の小中学校では、わら半紙が印刷プリントの主役でした。たとえば以下のような場面で日常的に使われていました。

  • 学力テスト・確認テスト・漢字ドリル

  • 宿題プリント・予習復習用プリント

  • 学級通信・月例だより・保護者へのお知らせ

これらはすべて、数十人〜数百人分を毎回印刷する必要があり、低コストと印刷機への適応性が必須でした。特にガリ版や輪転機が活躍していた時代には、わら半紙以外の選択肢はほとんどなかったといっても過言ではありません。

当時の先生方は、手書きの原稿をガリ版で印刷しては、わら半紙に刷って一枚ずつ手で切り分けて配布していました。手触り、色、にじみ具合──それらすべてが、“昭和の学び”を象徴する存在だったのです。


公民館・町内会など地域活動の資料にも活躍

教育現場と並んで、わら半紙が多く使われたのが地域社会の印刷物でした。具体的には以下のような用途があります。

  • 回覧板用のお知らせチラシ

  • 自治会・子供会の行事案内

  • ゴミ出しルールや防災訓練の告知

  • 町内運動会・祭りのプログラム

これらは学校と同様に、大ロット・ローコストで印刷が求められる場面であり、市町村が備えていた簡易印刷機で刷ることが多かったため、やはり相性の良いわら半紙が選ばれました。

昭和40年代~平成初期にかけては、役所や公民館の地下にある“印刷室”で、ボランティアが輪転機を回してチラシを刷る光景があちこちで見られたと言います。


安価な紙=“実験・練習・失敗していい紙”

もう一つの特徴的な用途は、「失敗しても構わない紙」としての役割です。わら半紙は非常に安価だったため、「練習用紙」「下書き用紙」「工作の素材」として、遠慮なく使える紙としても愛されてきました。

  • 小学校の図工や書写の下書き

  • 絵の具やスタンプの試し刷り

  • 生徒会新聞のレイアウト練習

特に“本番じゃないけど、ちょっと刷ってみたい・書いてみたい”という場面では、コピー用紙ではなく、あえて**「わら半紙にしておこう」**という判断が日常的にされていたのです。

この「雑に扱っても許される紙」という存在は、子どもたちの創造力や実験精神を支える文化的な役割すら担っていたと考えられます。


第4章|なぜわら半紙は“消えた”のか?現在使われない3つの理由

かつて日本中の学校や地域活動で使われていたわら半紙は、今ではほとんど見かけなくなりました。「あの紙、いつの間にか見なくなったな」と感じている人も多いでしょう。その背景には、単なる時代の流れではなく、3つの大きな理由があるのです。この章では、価格逆転・印刷適性の変化・社会ニーズの変化という観点から、「わら半紙が消えた理由」を正確に解説します。


コピー用紙との価格逆転|1990年代以降の価格動向

最も大きな転換点は、上質紙(コピー用紙)の大量生産と流通によって価格が逆転したことです。1980年代までは、わら半紙(再生紙・古紙配合紙)は「安い紙」の代名詞でしたが、1990年代に入ると以下のような構造変化が起こりました。

  • 古紙原料の価格が上昇(環境規制や古紙需要の高まりによる)

  • 上質紙の製造コストが下がり、ホームセンター等で安価に流通

  • 学校でもOA機器導入が進み、コピー用紙の一括購入が当たり前に

実際、1993年〜1995年ごろを境に、「コピー用紙の方が安価になり、わら半紙はむしろ割高」とする声が教育現場で広まり、使用の見直しが進んでいきました。


印刷適性の問題(裏写り・にじみ・プリンター不適合)

次に問題となったのが、現代の印刷環境とわら半紙との相性の悪さです。

  • コピー機・レーザープリンターでトナーが定着しにくい

  • インクジェットではにじみ・波打ちが発生する

  • 厚み・吸湿性の不安定さが紙詰まりの原因になる

これらの問題は、印刷物のクオリティを求める時代になったことと完全に逆行するものです。結果として、「便利だけどトラブルが起きる紙」として敬遠されるようになったのです。

特に、2000年代以降に普及した家庭用インクジェットプリンターでは、**用紙との相性が「紙選びの大前提」**とされるようになり、わら半紙のような吸収性が高く、表面が粗い紙は不適とされるようになりました。


再生紙や上質紙の普及・環境意識の変化

最後の要因は、**社会全体の“紙に対する価値観の変化”**です。

  • 再生紙が「エコで高品質な紙」として普及

  • 中性紙・白色度の高い紙が“信頼の証”として評価される

  • 行政や教育現場でも「白い紙=正式文書」という意識が定着

わら半紙は、確かにエコ素材である一方、見た目の粗さやにじみといった印象が**「時代遅れ」「読みづらい」「フォーマルでない」**とされるようになりました。

つまり、価格・性能・印象すべての面で“白くてきれいな紙”に負けたというのが、わら半紙が姿を消した根本的な理由なのです。


第5章|「わら半紙」と混同しやすい紙との違いとは?【比較表付き】

「わら半紙って、再生紙のこと?」「クラフト紙と同じ?」──そんな混乱を感じたことはありませんか?
実は、わら半紙とよく似た紙には、性質も用途も異なる種類がいくつか存在します。この章では、更紙・再生紙・クラフト紙・普通紙といった、わら半紙と混同されがちな紙の違いを、印刷会社の視点から明確に比較・整理します。


更紙/クラフト紙/普通紙/再生紙との違い

それぞれの紙には明確な定義と役割があります。以下に簡潔に説明します。

✅ 更紙(さらがみ)

わら半紙とほぼ同義。古紙パルプを主原料とした漂白なし・低白色度・低坪量の印刷用紙で、新聞やチラシ、簡易印刷などに使用される。
→ 製紙業界の正式名称は「更紙」、俗称が「わら半紙」。

✅ 再生紙(リサイクルペーパー)

使用済み紙(古紙)を再生処理して作られる紙。白色度や品質のバラつきはあるが、用途によって中〜高品質な製品も存在。コピー用紙にも使われる。
→ わら半紙は再生紙の一種だが、「再生紙=わら半紙」ではない。

✅ クラフト紙

木材パルプから作られる、強度に優れた褐色〜黄土色の包装用紙。漂白すれば白クラフト紙となる。封筒、紙袋、米袋などに使用される。
→ 色が似ていても、“丈夫さ重視の包装紙”であり、印刷には不向き

✅ 普通紙(コピー用紙)

高白色・中性紙・滑らかで両面印刷に適した汎用紙。主にオフィス文書や教材などに使用。トナー定着性や厚さに優れ、現代の標準用紙となっている。
→ わら半紙と比べると、見た目・質感・価格帯すべてが異なる


それぞれの用途と印刷適性の違い

以下に各用紙の違いを比較表形式でまとめます。

紙の種類 主原料 白色度 厚さ(坪量) 特徴 主な用途
わら半紙(更紙) 古紙 低い 薄い ザラつき・にじみやすい 学校プリント・地域チラシ
再生紙 古紙+薬剤 中~高 白色度に差・価格変動あり コピー用紙・報告書
クラフト紙 木材パルプ 低い 厚め 強度・耐久性に優れる 封筒・袋・パッケージ
普通紙 木材パルプ 高い 滑らか・両面印刷OK 文書印刷・教材・レポート

「白さ・厚さ・コスト」で選ぶ紙の見分け方

最後に、ユーザーが紙を選ぶ際に迷いやすい3つのポイントで比較してみましょう。

  1. 白さで選ぶなら → 普通紙/白色再生紙
     → 白色度80%以上の用紙が好まれる文書や公式印刷物に。

  2. コストを最優先するなら → 更紙(わら半紙)※現在は入手困難
     → 低価格を優先したいが、品質は気にしない場面に。

  3. 強度・耐久性を求めるなら → クラフト紙
     → 梱包・包装・保管資料など長期使用前提の用途に。


第6章|今も買える?現代の“わら半紙”事情と代替用紙

「最近、わら半紙って見かけなくなったけど、今も買えるの?」「コピー機で使える類似の紙ってある?」──そんな疑問を持つ人は少なくありません。
実は、わら半紙は製造自体が激減し、流通もほぼ消滅していますが、一部の業者や代替品を通じて、“似た紙”はまだ入手可能です。この章では、現時点での流通状況、類似紙、印刷現場での代替例を具体的に紹介します。


ダイソー・無印・ヨドバシなど市販状況(2025年最新)

かつては文具店や教育資材カタログに必ず載っていた「わら半紙」ですが、2020年代現在、一般流通での単独商品としての取り扱いは激減しています。

  • ダイソー・セリア・キャンドゥ(100均):かつて「わら半紙風A4用紙」があったが、現在はほぼ取り扱い終了。

  • 無印良品:白色度の低い再生紙ノートやコピー用紙はあるが、「わら半紙」と明記された商品は存在しない。

  • ヨドバシカメラ:ヨドバシカメラでは、現在も「更紙(わら半紙相当品)」としてA4サイズ・500枚入りの用紙が販売されています(※2025年)ただし取り扱いは限定的で、店舗によっては入手が難しい場合もあるため、購入時には注意が必要です。

なお、一部教育教材専門店や地方の文具問屋では、「更紙」または「古紙配合プリント紙」の名で近似品が扱われていますが、発注単位が大きく、個人が気軽に買うにはハードルが高いのが現状です。


学校現場では何に置き換わったのか?

現代の小中学校では、わら半紙の代わりに以下の用紙が主流となっています。

  • 白色再生紙(中質紙):コピー用紙よりやや薄く、白色度75〜80%程度。プリンター対応の教材用紙として広く使用。

  • OA対応上質紙:白色度90%以上、レーザー・インクジェット両対応。おたより・テストにも使われる万能紙。

  • 両面コピー用紙(エコ対応):環境配慮型ながら、印刷品質が高く、紙詰まりしにくい設計。

これらはいずれも**「プリンターで安定して刷れること」「見た目が“きれい”であること」**が重視されており、わら半紙が得意としていた“紙質の味わい”や“手書きの相性”よりも、スムーズな大量処理と見た目の清潔感が優先されています。


エコ素材としての再評価・環境面での注目

一方で、「白くない紙=環境負荷が低い」という再評価の動きもあります
漂白工程を省いた紙(ノンブリーチペーパー)は、以下のような環境指標の面で注目されています。

  • 漂白薬品を使わないことで廃液が少ない

  • 古紙のインク残留を活かし、再漂白の工程を省略できる

  • 製造エネルギー・水使用量を抑えられる

こうした背景から、自然系カフェのメニュー表や、環境イベントの配布資料に“わら半紙風再生紙”があえて使われるケースも出てきました。

つまり、わら半紙そのものは消えつつあるものの、**その思想=「手触りのある、無駄のない紙」**という価値観は、次世代の“エコ紙”の文脈で生き続けているのです。


第7章|コラム|「わら半紙」が私たちに残したもの

わら半紙は、今やほとんどの学校やオフィスから姿を消しました。
それでも、あの紙に触れた記憶は、なぜか心のどこかに残っている──。それは単なる“紙の話”ではなく、時代の空気を含んだ文化の記憶だからかもしれません。

このコラムでは、わら半紙が持っていた意味や、いま改めて注目したい価値について考えてみます。


紙文化と学校教育の接点

日本の学校教育において、紙は単なる印刷媒体以上の存在でした。
プリントをもらう、書き込む、折る、貼る、提出する──この一連の流れの中に、「手を動かして学ぶ」「記録に残す」「記憶を整理する」といった学びのプロセスが自然に組み込まれていました。

わら半紙は、その一端を支える**“最も身近で、最も地味な教材”でした。
先生が自分の手で原稿を作り、印刷し、配り、赤ペンで添削して返す。そこには
「人と人が紙を通じてつながっていた」**時代ならではの温かさがあったのです。


なぜ今こそ“紙の手触り”が大切なのか?

デジタル化が進んだ今、学習や業務の多くがディスプレイ上で行われています。
確かに効率的で便利ですが、「触れる」「書く」「感じる」体験はどこかに置き去りにされつつあるのではないでしょうか?

わら半紙のザラっとした手触り、にじみやすさ、鉛筆が引っかかる感覚──それらは単なる物理的特徴ではなく、「身体を通して情報にアクセスする」という重要な感覚刺激でもありました。

近年の教育心理学でも、紙に手書きする学習の方が記憶定着率が高いという研究結果が報告されています(出典:Pam Mueller & Daniel Oppenheimer, 2014, Psychological Science)。

つまり、わら半紙のような「書くことに手応えのある紙」は、感覚と記憶を結びつける教育的価値を持っていたと言えるのです。


デジタル時代に考える「学びと記憶」の関係

今、教育界でもビジネス界でも「アナログ回帰」が静かに進んでいます。
たとえば:

  • 手帳にメモを取る人が増えている

  • 紙の資料を印刷して読む方が理解しやすいと感じる

  • 小学校では“タブレット×紙の併用学習”が推奨され始めている

こうした動きは、単なるノスタルジーではありません。情報を扱う力=リテラシーには、視覚だけでなく、触覚や動作の関与が不可欠だという理解が広まっているのです。

わら半紙の役割を単に「古くて粗い紙」と片付けるのではなく、“手と脳をつなぐ紙”としての記憶と意義を、次の世代にも伝えていく価値があるのではないでしょうか。


まとめ|わら半紙とは“学びの原点”を支えた紙だった

わら半紙──それは、教室のざわめきと、先生の赤ペン、そして子どもたちの学びを静かに支えていた紙でした。
安価で質素、印刷にも不向き、コピー機にも合わない。だけど、わら半紙には、他の紙にはない役割と存在意義が確かにありました。

このブログでは、「わら半紙とは何か?」という問いを起点に、以下のような側面を深掘りしてきました。


教育現場・地域社会を支えた“日陰の主役”

わら半紙は昭和〜平成にかけて、学校プリントや町内チラシといった、日々のコミュニケーションと学びを支える実用紙として不可欠な存在でした。
その素朴さ、にじみやすさ、手触りの粗さが、「教える・伝える・覚える」という行為と自然に結びついていたのです。


消えていったのは、合理化と美化の果てに

コピー用紙の価格低下、印刷環境の変化、そして「白くてきれいな紙=正しい」という価値観。
こうした流れの中で、わら半紙は徐々に姿を消していきました。

しかしその“消え方”は、単に古くなったからではありません。現代の価値観が「手触り」や「不完全さ」を許容できなくなったからでもあります。


安い紙が持っていた、本当の価値

わら半紙は“安い紙”でした。でもそれは、「安物」という意味ではありません。
大量に配れる、自由に書ける、失敗を恐れず試せる紙だったからこそ、創造性や表現を育む土壌になり得たのです。

今の教育現場や地域社会にも、そうした“余白”や“雑さ”を受け入れる文化が、もう一度必要とされているのではないでしょうか。


最後に:紙が記憶をつなぎ、人をつなぐ

わら半紙は消えても、私たちの記憶には残り続けています。
その紙の上に書かれた字、添削の赤、ガリ版のインクのにおい──それらは、一人ひとりの学びの原点として、今もどこかに息づいているはずです。

そしてこの紙の存在が、デジタル時代における「紙の意味」をもう一度問い直すきっかけになれば──
それこそが、わら半紙が今もなお残している最大の価値なのかもしれません。


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