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0章|導入──なぜテニスボールは黄色いのか?
テニスと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、あの鮮やかな黄色いボールです。
しかし、よく考えてみると疑問が湧きませんか?
「なぜ“黄色”なのだろう?」
サッカーのボールは白黒が多く、野球やゴルフボールも白が基本。
スポーツの中でも、テニスの“黄色”はかなり個性的な存在です。
実はこの選択には偶然ではなく、
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視認性を高めるための科学的視点
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テレビ放送の普及という時代背景
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心理的な見え方の違い
といった複数の要素が関わっています。
あなたが観戦中に、選手の高速ショットをしっかり追えるのは、
まさにこの黄色のおかげと言っても過言ではありません。
では、その理由を順にひもといていきましょう。
1章|歴史──実は“白”から始まったテニスボール
伝統の白いテニスボール時代(〜1970年代)
現在では黄色が定着していますが、テニスボールは長い間「白」が主流でした。
草のコートでは白がよく映え、観客も選手も見やすい色とされていたためです。
しかし、1960年代後半になると状況が変わります。
カラーテレビ放送が一般化し始めたことで、“白いボールが見えづらい”という課題が浮上したのです。
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ボールが高速で動く
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観客席や広告の色が複雑
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画面上で白が背景に溶ける場合がある
こうした理由から、テレビ向けに「より見えるボールの色」が検討されるようになりました。
黄色テニスボールの正式採用は1972年
研究と試験が重ねられた結果、
テレビ画面上で特に視認性が高かったのが 黄色(正確には “optic yellow”) とされています。
その流れを受け、
1972年、国際テニス連盟(ITF)はボールの規定を改定し、
『白または黄色』のどちらかを公式色として認めました。
それまでは白一色だった規定に、黄色が追加された形です。
ウィンブルドンは伝統的に白ボールを長く使い続け、
黄色への切り替えは1986年になってからでした。
このことからも、黄色ボールの歴史は半世紀ほどと比較的若い文化だと言えます。
2章|科学①──人の目は黄色を“見つけやすい”
「黄色がよく見える」という感覚には、視覚の仕組みが関係しています。
私たちの網膜には、光の波長を感じ取る 錐体細胞 があります。
その明るさ感度のピークは 黄緑〜緑(およそ555nm付近) にあります。
つまり、
黄色〜黄緑に近い色は、人間の目がとくに明るく感じやすい傾向がある。
ということです。
テニスボールは高速で飛ぶため、見つけやすさは試合の質に直結します。
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サーブは時速200km前後
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選手は一瞬で回転と軌道を判断
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観客や審判もボールを追う必要がある
その中で、黄色は他の多くの色より視認性が高いとされ、競技に適した色となったわけです。
✍️コラム:蛍光イエローは“明るく見える色”
テニスボールに用いられている “optic yellow(オプティック・イエロー)” は、
一般に 蛍光性を持つ黄色として扱われる色域 です。
蛍光色は、光の当たり方によって 通常の黄色より明るく見えやすい傾向 があり、
そのため屋外でも室内でも視認性が高い色として利用されています。
こうした“蛍光色の性質”が、
テレビ中継や高速ラリーの中でボールを追いやすくする一因になったと考えられています。
3章|科学②──テニスボールの軌道と回転が読み取りやすい色
テニスの戦術で欠かせないのが 回転(スピン)。
トップスピン、スライス、キックサーブなど、回転の種類によってボールの軌道は大きく変化します。
黄色は、
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芝・クレー・ハードなどほとんどのコートで背景と良いコントラストを持つ
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フェルトの毛羽立ちが回転による模様の変化を強調しやすい
といった理由から、
スピンや弾道を視覚的に捉えやすい色 とされています。
仮にこれが暗い色だった場合、
回転の違いが分かりにくく、判定やプレーに影響が出る可能性もあります。
競技としての公平性を保つ上でも、黄色は適した色と言えるでしょう。
4章|心理学──黄色は「注意を引く色」
黄色は、交通標識や注意表示などにも多く使われます。
これは、黄色が「目立ちやすい」「注意を促しやすい」色とされているためです。
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高い視認性
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明るい印象
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エネルギッシュなイメージ
こうした心理的効果もあり、
テレビでの観戦時にも黄色ボールは画面上で存在感を放ちます。
結果として、競技を“見せるスポーツ”として成立させる上でも黄色は理にかなっているのです。
5章|テニスボールの素材と技術──黄色を保つための工夫
テニスボールの表面には、
ウールとナイロンを組み合わせたフェルト が使用されています。
このフェルトは、
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適度な摩擦で回転をかけやすくする
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空力特性を安定させる
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表面の適度な毛羽で視認性を保つ
といった役割を担っています。
一方で蛍光色は紫外線や摩擦で退色しやすいため、
ボールメーカーは「色が長持ちする染料」や「耐摩耗性」を改良し続けています。
単に“黄色く塗る”だけではなく、
見やすさと耐久性を両立させるための技術 が背景に存在するのです。
6章|例外と多様性──黄色じゃないテニスボールもある
すべてのテニスボールが黄色というわけではありません。
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赤・オレンジ・緑の低圧ボール
→ キッズや初心者向け。スピードとバウンドを抑えた段階的な練習用 -
白いボール
→ 一部インドア施設や伝統的な場面では現在も用いられることがある
(ITFルール上、白も公式色として認められている)
このように、目的や環境に合わせて使い分けが行われています。
ただし、国際大会や一般的な競技では黄色が圧倒的に主流です。
7章|まとめ──黄色は視覚科学が選んだチャンピオン
テニスボールが黄色いのは、単なるデザインではありません。
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カラー放送の時代に合わせた歴史的経緯
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視覚科学にもとづく「見やすさ」
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回転や軌道が把握しやすいコントラスト
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観客にとっての分かりやすさや心理効果
これらが組み合わさって、
黄色はテニスの“最適解”として定着していきました。
次にコートでボールが弾む様子を見るとき、
その裏にある科学や歴史を思い出すと、競技がさらに面白く感じられるかもしれません。
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