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第0章|導入:のし紙って何?ただの飾りじゃない日本の贈る文化
🎁 贈り物の右上にある“赤い印”、あれって何?
結婚祝い、出産祝い、香典返し──どんな贈り物にもほぼ必ず見かける**「のし紙(熨斗紙)」**。
白い紙の中央に紅白の線(=水引)が描かれ、右上には小さな飾りのような印が入っています。
けれど実際、「のしって何?」「熨斗紙ってどんな意味?」と聞かれると、
正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
実はこの小さな紙には、1000年以上の歴史と“日本人の美意識”が凝縮されています。
「包む」「結ぶ」「祈る」という三つの行為を一枚の紙に込めたのが、のし紙なのです。
🧧 のし紙とは?──“紙+熨斗+水引”の三位一体構造
「のし紙」とは、本来 “紙そのもの”のことではなく、
紙+熨斗(のし)+水引(みずひき) の3つを一体化した贈答用の正式な形を指します。
-
紙:贈り物を包み、相手への敬意を表す
-
熨斗(のし):縁起物としての「延命」「繁栄」を願う象徴
-
水引(みずひき):人と人を“結ぶ”祈りの表現
つまり、のし紙とは単なる包装ではなく、
**「贈る心をデザインした日本の文化装置」**なのです。
💡 “印刷された飾り”ではなく、“心を形にした文化”
現代ののし紙は、すべてが印刷で表現されています。
しかし、その起源をたどると──
もともとは「熨斗鮑(のしあわび)」という本物の干しアワビを贈り物に添えていました。
これは神への供え物としての起源を持ち、
相手の幸福・長寿・繁栄を祈る“儀式”そのものでした。
それが時代を経て、和紙や印刷へと姿を変え、
今日のように誰でも気軽に使える「のし紙」になったのです。
だからこそ、のし紙の一枚には、
**“見えない心を可視化する日本人の思想”**が息づいています。
🌸 日本人の「包む」「結ぶ」「祈る」文化の象徴
のし紙は、ただの礼儀や形式ではありません。
包む行為には「相手を思う気持ちを丁寧に包みたい」という想いがあり、
結ぶ行為(水引)には「縁をつなぐ」「幸せを固める」祈りがあります。
そして熨斗(のし)は、「命の延び」「繁栄」「幸福の持続」を願う象徴。
つまりのし紙は、
**“贈り物の形を借りて、相手の幸せを祈る日本文化”**そのものなのです。
🧭 次章からわかること
このブログでは、次のような流れで「のし紙」の全体像を解説していきます。
-
第1章|熨斗(のし)とは?──本来は“のしたアワビ”だった!
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第2章|実物のアワビから印刷へ──のし紙誕生の進化史
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第3章|水引とは?──“結び”で願いを伝える日本のデザイン
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第4章|熨斗紙デザインと地域文化の違い
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第5章|現代ののし紙マナー──形式より「心を伝える」時代へ
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第6章|まとめ:のし紙は「包む・結ぶ・祈る」文化の結晶
第1章|熨斗(のし)とは?──起源は平安時代の“のしたアワビ”
🐚 熨斗(のし)とは?
「のし紙」の“のし”部分にあたる小さな飾り──それこそが、熨斗(のし)です。
けれどこの熨斗、実はもともと食べ物だったことをご存じでしょうか?
古くは「熨斗鮑(のしあわび)」と呼ばれ、アワビを薄くのばして乾燥させた縁起物を指しました。
日本では古来より、神様への供え物を「贈り物の起源」と考えます。
食材の中でもアワビは特に長寿・繁栄・延命の象徴。
これを贈り物に添えることで、「あなたの幸せが長く続きますように」という祈りを込めたのです。
🏛️ 平安時代の宮中儀礼がルーツ
熨斗の起源は、**平安時代(8〜12世紀)**にさかのぼります。
貴族たちが朝廷への献上品にアワビを添えるのが正式な作法とされていました。
アワビを薄くのばして乾かしたものを「熨(の)した鮑(あわび)」と呼び、
この“熨す”という行為がそのまま「熨斗(のし)」という言葉になったのです。
当時の人々にとって、“のばす”という言葉には「延ばす」「長く続く」という縁起の意味がありました。
つまり、熨斗とは「幸福や縁を長くのばす」ことを象徴する贈り物だったのです。
⚔️ 武家社会でも「熨斗」が格式の証に
やがて時代が武家社会に移ると、熨斗は礼法や身分を表す格式の象徴として定着します。
将軍や大名が贈る進物には、必ず熨斗鮑が添えられました。
これがないと「正式な贈り物」と見なされないほど、重要な存在でした。
また、贈答品をまとめた包み紙に熨斗を貼り付ける位置も決まっており、
右上に置くのが最上の礼儀とされました。
(右手=差し出す手=敬意を示す位置という日本独自の作法です。)
🧧 熨斗の“形”に込められた意味
現代ののし紙に印刷されている熨斗は、
赤や金色の飾り紐のように描かれた「袋+帯」の形をしています。
この形こそ、かつてアワビを包んだ紙袋を模したデザインなのです。
-
紙袋部分:神聖な供物を包む“浄化”の象徴
-
赤帯部分:生命・繁栄・祝福を表す“陽”の色
-
右上配置:差し出す側の敬意・礼儀
つまり、今日の「のしマーク」はただの印刷記号ではなく、
**1000年前の宮中儀礼を簡略化して受け継いだ“信仰の形”**なのです。
🕊️ 熨斗が語る、日本人の“祈りのデザイン”
熨斗とは単なる飾りではなく、
「贈り物=祈り」という古代日本の価値観を今に伝える文化遺産です。
贈り物に添える小さな紙片の中には、
**「あなたの幸福が長く続くように」「このご縁が末永く結ばれますように」**という想いが宿っています。
のし紙は、そんな**“見えない祈りを可視化したデザイン”**。
その象徴が、この熨斗なのです。
🔖 まとめ:熨斗=のばす文化の象徴
-
熨斗とは「熨(の)す」=“のばす”から生まれた言葉
-
起源は平安時代の宮中贈答で使われた熨斗鮑(のしあわび)
-
長寿・繁栄・延命を願う供物として贈り物に添えられた
-
現代では印刷デザインとして残るが、**意味は「幸福を延ばす祈り」**そのまま
第2章|実物のアワビから印刷へ──のし紙誕生までの進化史
🏮 江戸時代、贈り物が“庶民の文化”になった
平安〜室町時代までは、熨斗(のし)は貴族や武家の格式高い作法でした。
しかし江戸時代に入ると、商業が発展し、町人文化が花開きます。
「贈り物」は庶民の生活の中にも広がり、感謝や付き合いの証として贈る文化が定着していきました。
商人は取引先に「お礼の品」を贈り、近所同士では「おすそ分け」「お中元」「お歳暮」などが一般化。
贈答文化が“日常の礼儀”へと変化していったのです。
💰 でも、アワビは庶民には高級すぎた
本来の熨斗=「熨斗鮑(のしあわび)」は、海辺でしか採れない高級食材。
庶民が贈り物ごとに干しアワビを添えるのは、現実的には難しいものでした。
そこで考え出されたのが──代用品としての「紙熨斗(かみのし)」です。
和紙を小さく折り、その中に紅紙や細い糸を入れて“アワビの象徴”とし、贈り物に添えるようになりました。
実物ではなくても、「相手を思う心」を形にしたいという庶民の知恵がそこにありました。
📜 江戸後期──印刷技術が「のし紙」を生んだ
江戸後期になると、木版印刷が広く普及し、文字や模様を和紙に印刷する技術が進歩しました。
この頃から、熨斗や水引を印刷で表現した掛紙が作られるようになります。
これが、のちの「のし紙」の原型と考えられています。
高価な実物を使わず、印刷によって“正式な体裁”を保てる──
この発想は庶民の贈答文化にぴったりでした。
見た目は簡略化されても、「祈りを形に残す」心はそのまま。
印刷のし紙は江戸の町で評判を呼び、誰もが使える礼の象徴となっていきました。
🧭 なぜ右上なの?──礼儀と美意識の位置関係
熨斗を右上に描くのは、今日では“定番”ですが、由来には諸説あります。
一般には、右側=差し出す手=敬意を示す位置とされ、
贈り物を渡すときに“相手に近い側”に熨斗を添えるという考え方が根底にありました。
この位置づけが江戸の印刷のし紙にも取り入れられ、
右上配置は礼儀の象徴として定型化。
以後、現代のデザインにも変わらず受け継がれています。
🏛️ 明治時代──印刷のし紙が全国に定着
明治時代に入ると、近代的な印刷技術(活版印刷・石版印刷)が登場します。
これにより、のし紙は大量生産と全国流通が可能になりました。
百貨店や呉服店では「のし包装サービス」が始まり、
贈答品を包む際の“正式なマナー”として、印刷のし紙が広く使われるようになります。
この頃から、印刷された熨斗=正式な礼儀という認識が定着。
本物のアワビ(熨斗鮑)は次第に姿を消し、
「印刷のし紙」が全国共通の贈答文化として確立したのです。
📖 年表で見る「熨斗」から「のし紙」への進化
時代 | 熨斗の形態 | 背景・特徴 |
---|---|---|
平安〜室町 | 本物の乾燥アワビ(熨斗鮑) | 宮中・武家の献上品 |
江戸前期 | 紙袋+赤紙(紙熨斗) | 庶民が簡略化して使用 |
江戸後期 | 熨斗+水引を印刷(のし紙の原型) | 木版印刷の普及、庶民文化の成熟 |
明治〜大正 | 印刷のし紙が全国に定着 | 百貨店の包装文化・商業流通の拡大 |
✨ のし紙とは、“想いを受け継いだデザイン”
熨斗が“祈り”を象徴するなら、のし紙はその祈りを誰もが使える形に翻訳したデザイン文化です。
庶民の知恵と印刷技術が融合し、
「贈り物を通して心を伝える」という日本人らしい美意識を広めました。
現代の印刷のし紙も、ただの印刷物ではありません。
その一枚には、1000年前の祈りと美意識が、今も静かに息づいているのです。
第3章|水引とは?──「結び」で願いを伝える日本のデザイン
🎀 水引(みずひき)とは?
のし紙の中央に描かれた“赤と白の線”。
それが「水引(みずひき)」です。
一見ただの飾り紐に見えますが、実はこれ、人と人との縁を「結ぶ」祈りの象徴なんです。
もともとは、贈り物を包む和紙をほどけないように留めるための紐でした。
しかし時代を経て、その結び方や色に意味が込められるようになり、
今では「想いを形にするデザイン」として日本文化の中に深く根づいています。
🏯 起源は飛鳥時代──紅白の麻紐から始まったという伝承
水引の起源は、飛鳥時代に遡ると伝えられています。
遣隋使・遣唐使が中国から帰国した際、贈り物を紅白の麻紐で結んだ包みに入れて献上したという記録があり、
その紅白の紐が後に「水引」と呼ばれるようになったとされています。
この時代、紅白には「陰陽の調和」「魔除け」「浄化」の意味があり、
「安全に帰るように」「縁が続くように」という祈りが込められていました。
つまり、水引は当初から“祈りの紐”としての役割を担っていたと考えられます。
🔗 結び方で変わる「意味」
水引の最も大切な要素は、結び方によって意味が変わることです。
それぞれの形には、贈り物に込められた願いが表れています。
結び方 | 意味 | 主な用途 |
---|---|---|
🎀 蝶結び | 何度あっても良い喜び | 出産、進学、長寿祝いなど |
🔒 結び切り | 一度きりであってほしい出来事 | 結婚、快気祝いなど |
💞 あわじ結び | 強い絆・長いご縁を象徴 | 結婚・長寿・感謝など |
⚫ 玉結び・輪結び | 神仏への供物や祭事 | 神事・仏事関係 |
どれも単なる「装飾」ではなく、
人と人との関係をどう願うか──その気持ちを“結び”という形で表したものなのです。
🌈 色でわかる「感情と場面」
水引の色にも、それぞれ意味と用途があります。
色 | 意味 | 主な用途 |
---|---|---|
🔴 紅白 | 喜び・祝い事 | 結婚、出産、進学、お中元など |
🟡 金銀 | 格調・高貴 | 結婚式、叙勲、表彰など |
⚫ 黒白 | 哀悼・弔事(主に関東) | 葬儀・法要など |
🟡 黄白 | 慎み・別れ(主に関西) | 弔事・お悔やみなど |
💗 ピンク・青・緑など | 現代的・カジュアル | ギフト、インテリアなど |
紅白は「陽と陰」「昼と夜」「男と女」など、
対となるものの調和を象徴しています。
したがって、紅白の水引は**“調和と幸せ”の色**として使われているのです。
🧶 現代の水引アート──伝統からモダンデザインへ
近年、水引は「伝統工芸」から「アート」へと進化しています。
手作りアクセサリー、インテリア、ギフト包装など、
その用途はどんどん広がり、“結ぶ文化”が現代のライフスタイルにも息づいています。
職人の手によって作られる水引は、紙紐に糊と糸を重ね、
一本一本を手作業でよじりながら形を整えます。
その仕上がりは繊細でありながら強靭で、
**「強くてやさしい線」**という日本らしい美を象徴しています。
また、近年はSDGsの流れを受けて、
水引が**「紙素材のサステナブルデザイン」**としても注目されています。
プラスチック製リボンではなく、自然素材で“心を結ぶ”──
この姿勢こそ、現代における新しい“礼の形”といえるでしょう。
🌸 水引が伝えるメッセージ
贈り物を受け取る人は、包み紙を開ける前にもう気づいています。
「この水引の結び方、なんだか特別だな」──と。
その一瞬に、言葉では伝えられない想いが届く。
それこそが水引の魅力です。
解いてほしくない絆を、解けない結びで表現する。
そんな“祈りのデザイン”が、日本人の贈り物文化を支え続けているのです。
🔖 まとめ:水引=「想いを結ぶ線」
-
起源は飛鳥時代の紅白の麻紐に由来すると伝えられる
-
結び方で「何度でも」「一度きり」「強い縁」など意味が変わる
-
色によって祝事・弔事・格式を表現する
-
現代ではアートやエコ素材として再評価されている
👉 **水引とは、人と人を結ぶ“祈りの線”**です。
第4章|熨斗紙デザインと地域文化の違い
🗾 のし紙にも“方言”がある?
日本全国どこでも見かける「のし紙(熨斗紙)」。
けれど実は──地域によってデザインや色の使い方が微妙に違うのをご存じでしょうか?
同じ「のし紙」でも、関東と関西では「水引の結び方」「色」「名前の書き方」に独特の文化差があります。
これは、単なるデザインの違いではなく、
**“贈り物に対する考え方の違い”**が反映されているんです。
🗼 関東ののし紙──白地にすっきり、格式重視のスタイル
関東地方では、のし紙のデザインは**「清潔」「簡潔」「整然」**が基本。
白地に紅白の水引を中央に描き、右上に小さなのしを入れる──これが最も一般的な形式です。
-
配色は明るく、赤がやや濃い
-
水引は細く、結び目が小さい傾向
-
名前や贈答目的(御中元、御礼など)は黒文字で明確に記載
これは江戸文化の特徴でもある「見た目の整然さ」「無駄を省く美意識」に通じています。
言うなれば、“理性的で機能的なのし紙”です。
🏯 関西ののし紙──華やかで情緒あるデザイン文化
一方、関西では**「彩り」「華やかさ」「縁起の重視」**が際立ちます。
-
赤ではなく朱色や金銀を使うことが多い
-
水引が太めで、結び目を大きく見せる
-
背景に模様や家紋をあしらうこともある
また、弔事用では関東が黒白を使うのに対し、
関西では黄白の水引を使うのが一般的。
これは「土に還る=黄」を弔いの色とする古い風習に基づくもので、
まさに「色で祈る」日本文化の一端です。
🧧 紙質にも地域性があった
昔ののし紙は、どの地域でも手漉き和紙を使っていました。
しかし紙の産地によって質感が違い、
関東では楮(こうぞ)紙のように白く繊維の細かい紙、
関西では三椏(みつまた)紙や少し黄味のある和紙が多用されていました。
そのため、同じ「白いのし紙」でも、
地域によってわずかに色温度が違うのです。
印刷が普及した現代でも、この微妙な差が名残として残っています。
🖨️ 印刷技術が“統一”と“多様化”を生んだ
明治〜昭和にかけて、印刷技術の発展により、のし紙は大量生産が可能になりました。
百貨店や文具店が共通デザインを採用したことで、全国的な「標準のし紙」が生まれます。
それが今、私たちが目にする白地+紅白水引+右上の熨斗という形です。
しかし近年では逆に、“地域色”を活かしたデザインも増加。
金沢では金箔入りののし紙、京都では和染め風、
新潟では雪の結晶模様入りなど、ご当地のしとして進化しています。
さらに印刷の進歩で、
企業ロゴ入りやオリジナルカラー水引など、
「ブランドの個性を出すのし紙」も登場しています。
🌸 デザインに宿る“見えないマナー”
のし紙のデザインは、単なる美しさの問題ではありません。
色、線、配置──それぞれが相手への敬意を形にするルールです。
-
水引の太さ:強い絆、深い感謝
-
のしの位置:敬意の象徴
-
白地の余白:清らかさと誠実さ
これらすべてが、日本人が大切にしてきた「見えないマナー」。
それを一枚の紙で表現できるのが、のし紙の魅力なのです。
🔖 まとめ:のし紙デザインは“地域のこころ”を映す鏡
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関東=簡潔・理性的・洗練された印象
-
関西=華やか・情緒的・伝統を重んじる印象
-
紙質や色にも地域文化の痕跡が残る
-
印刷技術が統一化を進めつつ、今また“個性化”の時代へ
つまり、のし紙とは全国共通のマナーでありながら、
**地域ごとの美意識を映し出す“文化の鏡”**でもあるのです。
第5章|現代ののし紙マナー──形式より「心を伝える」時代へ
💻 のし紙が“印刷からデジタルへ”進化している
「のし紙」と聞くと、和紙に紅白の水引が印刷された昔ながらの包装を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、近年はオンラインギフトや電子カタログギフトの普及により、
“のし紙=紙の印刷物”という常識が変わりつつあります。
百貨店やECサイトでは、注文時に「のし種類」「表書き」「名前」を選ぶと、
自動的にデジタルのし紙画像が生成される仕組みも一般化。
メールやスマホの画面上でも“贈り物の礼儀”を再現できる時代になりました。
それでも多くの日本人がのし紙文化を手放さないのは、
そこに**「形式を超えた心のメッセージ」**があるからです。
💌 形式よりも「思いが伝わる」ことが大切に
現代では、「正しい形式」よりも**“相手に伝わる気持ち”**が重視されています。
たとえ多少の形式違いがあっても、そこに真心があれば失礼にはなりません。
たとえば:
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結婚祝いに蝶結びを使ってしまっても、「お祝いしたい気持ち」が伝われば問題ない
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名前を手書きで書けば、印刷よりも温かみが感じられる
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包装紙よりも「一言メッセージ」付きののし紙が印象に残る
つまり、**のし紙の本質は“マナー”ではなく“思いやりの表現”**なのです。
📦 ギフト文化の変化とともに、“形なきのし”が増えている
若い世代を中心に、「形式ばらず、気持ちを伝えたい」というニーズが増えています。
その結果、**“のし風デザイン”や“メッセージタグ”**といった新しい形が登場しました。
-
水引柄を印刷したシールやカード
-
デジタルギフト用の「のし画像」
-
メッセージカードに水引モチーフをあしらう
これらは、伝統をやめるのではなく、**時代に合わせて“形を変えて残す”工夫です。
日本人は、礼儀を形式ではなく“心のあり方”**として継承してきた民族とも言えるでしょう。
🌸 フォーマルとのバランスを取るのが現代マナー
もちろん、すべての場面で簡略化して良いわけではありません。
結婚式・葬儀・公式な贈答などでは、今ものし紙が欠かせません。
大切なのは、TPOに応じて形式と気持ちのバランスを取ること。
場面 | のし紙の扱い |
---|---|
結婚式・香典返し・叙勲など | 形式を整えた正式なのし紙が基本 |
お礼・季節の贈り物・内祝いなど | カジュアルなデザインでもOK |
つまり、**「どう見せるか」よりも「どう伝わるか」**が大切。
形式を守りつつも、心を込めた選び方が現代のマナーです。
💬 贈る相手を思い浮かべて選ぶ、それが“心のデザイン”
のし紙を選ぶとき、結び方や色、書き方に迷うこともあるでしょう。
けれど本当に重要なのは、贈る相手の顔を思い浮かべて選ぶこと。
「おめでとう」
「ありがとう」
「これからもよろしく」
──そんな言葉の代わりに、のし紙が想いを語ってくれます。
手書きでも印刷でも、あるいはデジタルでも。
“贈る心”がこもっていれば、それがいちばん美しいのし紙なのです。
🔖 まとめ:のし紙は“心を包むメディア”へ
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デジタル化が進んでも、「礼を尽くす」文化は変わらない
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形式よりも“思いが伝わる”ことが重視されている
-
TPOに合わせて、丁寧とカジュアルを使い分ける
-
のし紙は、人の心を包むコミュニケーションデザイン
🪶つまり──
のし紙とは、時代を超えて“心を贈る”ための日本的メディアなのです。
第6章|まとめ:のし紙は「包む」「結ぶ」「祈る」文化の結晶
🕊️ たった一枚の紙に込められた、千年の祈り
のし紙(熨斗紙)は、単なる包装でも、飾りでもありません。
その一枚の中には、平安時代から受け継がれた「贈る」という祈りの文化が息づいています。
-
熨斗(のし)は、「幸福や長寿を祈る」供物の象徴
-
水引(みずひき)は、「縁を結ぶ」「絆を固める」祈りの形
-
紙は、「思いやりを包む」心の器
この三つが重なって初めて“のし紙”が完成します。
つまり のし紙とは、「包む」「結ぶ」「祈る」を一枚に込めた日本文化の象徴といえます。
🌸 形式を超えて「心を伝える」道具へ
江戸時代の紙熨斗、明治の印刷のし、そして現代のデジタルのし──
時代によって形は変わっても、そこに込められた想いは変わりません。
「あなたの幸せが続きますように」
「このご縁が長く結ばれますように」
のし紙は、そんな言葉を使わずに伝える“心のデザイン”。
日本人は昔から、形の中に感情を込め、
礼の中にやさしさを忍ばせてきました。
のし紙はその代表格。
形式を学ぶよりも、まず**「誰のために包むのか」**を考える。
そこに日本文化の真髄があります。
🖨️ 伝統と印刷の融合──「想いを印す」文化へ
現代の印刷技術によって、のし紙は全国どこでも手に入るようになりました。
それは単なる利便性ではなく、“思いやりを誰もが形にできる”時代が来たということ。
印刷は「大量に同じものを作る技術」ではなく、
「誰もが祈りを表現できる手段」になったのです。
のし紙は、印刷文化とともに進化してきた“感情を印すメディア”でもあります。
💬 贈り物の本質は「気持ちを届けること」
のし紙の形やマナーを正しく使うことも大切。
でももっと大切なのは、そこに**“心”があるかどうか**です。
たとえ手書きの一枚でも、印刷でも、オンラインでも。
その人の想いが伝われば、それがいちばん美しいのし紙。
のし紙とは、「人の想いを包み、結び、祈る文化」。
それが、1000年以上も続いてきた理由なのです。
🔖 まとめのまとめ:のし紙は“心をデザインする文化”
要素 | 意味 | 文化的役割 |
---|---|---|
熨斗(のし) | 延命・繁栄の祈り | 神への供物の象徴 |
水引(みずひき) | 結び・縁・絆 | 人と人を結ぶ表現 |
紙 | 包む・守る・届ける | 思いやりを形にする器 |
印刷 | 広げる・伝える | 祈りを誰もが持てる手段 |
➡ のし紙とは、“贈る心”をデザインする日本の伝統文化。
その一枚に、日本人のやさしさと美意識が宿っているのです。
パンフレットやチラシ・各種商業印刷、シールや販促物の制作まで柔軟に対応いたします。ぜひご相談ください。
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