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0章｜導入──そもそも「文字」とは何か？
私たちは毎日、当たり前のように「文字」を使っています。
スマホで文章を打つときも、メモを書くときも、SNSを見るときも。
けれど、「文字」という言葉そのものが
どこから来た語なのか？
なぜ“もじ”と読むのか？
「字」とは何が違うのか？
と聞かれると、案外説明できない人が多いはず。
実は「文字」という語には、
古代の記録文化、漢字の導入、日本語の音変化など、
長い歴史が静かに埋め込まれています。
1章｜語源──「文」＋「字」で“意味のある形”
「文字」は、
文（ふみ／もん）＋字（あざ／じ）
が合わさった熟語です。
●「文」＝意味のある模様
本来は“模様・文様”の意味。
そこから「ふみ（文章）」→「意味をもつ記号」へと広がりました。
●「字」＝形として書かれた記号
“生まれる”を原義とする象形文字で、
後に「形のある記号」「書かれた形」という意味に発展。
この2つが合体し、
意味（文）を持つ形（字）＝文字
という、非常にシンプルで本質的な語になったわけです。
2章｜歴史──いつ「文字」という概念が日本に生まれた？
●日本に「文字」が持ち込まれたのは弥生後期〜古墳時代
漢字が大陸から伝来したことで、日本列島は初めて“文字を持つ社会”になります。
●“もんじ → もじ”の音変化で、今の呼び方に
奈良時代、『万葉集』などに
「文字（もんじ／もじ）」 が登場。
音読みの「もんじ」が、連声によって「もじ」へと変化。
この“日本語らしい音の変化”が、現在の呼称を生みました。
3章｜辞書的な意味──「文字」はどこまでを指す？
辞典などでは「文字」は次のように説明されることが多いです。
① 言語を記録・伝達するための記号
ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット…
すべて「文字」。
② 最小の書記単位
文章を構成する“一つ一つ”の記号のこと。
③ 表記体系そのもの
文字コード（UTF-8）
日本語の文字体系（仮名＋漢字）
→ 記号の“システム”も含む。
④ 筆跡・文章のこと（古い用法）
「きれいな文字を書く」の“文字”。
⑤ 自然の兆しを“記号化”して読む古義
「天の文字」「星の文字」など比喩的な用法。
こうして見ると、「文字」は
記号・単位・体系・筆跡 を包み込む、かなり広い概念であることが分かります。
4章｜「字」との違い──日常では混同するが、本来は別物
実は「文字」と「字」は、
日常ではほぼ同じように使われていますが、
本来の意味は明確に違います。
● 文字
＝言語を記録する記号の“体系・種類”
（抽象的で広い）
● 字
＝書かれた“1つの形”
（具体的で狭い）
❖ 例で見ると一発で分かる
-
「ひらがなは日本語の文字」
-
「この字、なんて読む？」
-
「字が汚い」は言うけど、「文字が汚い」とは言わない
-
プログラミングでは「文字列」「文字コード」を使う（体系の話は“文字”）
つまり、
文字が“カテゴリ”、字が“パーツ” という構造。
日本語では日常的に混同されるため気づきにくいですが、
言語学的には明確に区別される概念です。
5章｜まとめ──「文字」は“意味を形にする技術”の象徴
「文字」は、
意味（文）と形（字）が合わさってできた言葉。
古代の漢字文化と日本語の音変化、
さらに平仮名・片仮名の誕生を経て、
現代のスマホの文字コードまでつながっていく。
“もじ”という響きの中に、
数千年の記録文化の進化が詰まっています。
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