金・銀・銅は何色?擬似色で読み解く金属色の正体とCMYKでの印刷表現とは

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第1章|金・銀・銅って、そもそも何色?


金、銀、銅──この3つの色は、誰もが知っている「メダルの色」として強く印象づけられています。オリンピックでも表彰式でも、金は一番、銀はその次、銅は三番目。けれど、いざ「それって何色?」と聞かれると、少し迷いませんか?

本物の金属なら、金は光を反射して輝き、銀は鏡のような光沢をもち、銅は独特の赤茶色を帯びています。つまり、私たちが「金色」や「銀色」と呼ぶものは、**単なる色ではなく“光沢を含んだ表面の質感”**を指しているのです。

ところが、印刷物や画面上ではこの「光沢」を再現することができません。金属特有の反射や輝きは、RGBやCMYKの色表現では限界があるからです。そのため、現場では「擬似色(ぎじしょく)」という考え方を使い、あくまで“それっぽく見せる”工夫がされています。

では、金は何色に見せれば「金らしく」なるのか? 銀は? 銅は?
そして、金と銅の違いとは一体なんなのか──。

本記事では、印刷会社の視点から、金・銀・銅という“見た目のメダル”の色の正体をひもときます。

ただの色ではない、でも色でしか表現できない──
この不思議な「金属色」の再現テクニックを、擬似色の観点からわかりやすく解説していきましょう。


第2章|金=黄色じゃない?黄土色こそが“金”っぽい理由


「金色って何色?」と聞かれて、真っ先に「黄色!」と答える人は少なくありません。確かに、金色には黄色のイメージが強くあります。けれど、実際に金を見てみると、それは単なる黄色ではないと気づきます。

金属の「金」は、黄色に少し赤みや茶色が混じったような、深みのある色をしています。これを印刷で再現する場合、単純なイエローでは金らしさは出ません。印刷現場では、黄土色(オーカー)や黄褐色といった「赤みのある黄色」が金色のベースとして使われるのが一般的です。

さらに、金色の印象を作るうえで重要なのが**“明るさ(明度)”と“彩度”**です。金はくすんでいてはいけません。輝きのない金は、ただの茶色に見えてしまうため、彩度を高めて「きらびやかさ」を演出する必要があります。

加えて、金属のような“反射”を演出するには、グラデーション処理が効果的です。たとえば、印刷物で金の模様を描く場合、ハイライト部分を白っぽく、影を茶色っぽく落とすことで、「光を浴びたような質感」を疑似的に表現できます。

つまり、印刷における金色とは──
**「赤みのある黄土色」×「高い明度と彩度」×「光沢を想像させる処理」**によって、ようやく“金らしく”見せられる色なのです。

ただの黄色ではない。
それが“擬似色としての金”の本質です。


第3章|銀=グレーで正解?光のない“銀”はどう見えるか


「銀色」と聞いて、どんな色を思い浮かべるでしょうか。多くの人が、金属のスプーンやアルミホイルのような、鏡のように光を反射する明るいグレーを想像するはずです。

実はこの“銀色らしさ”も、色そのものではなく“反射”によって成立している質感です。
つまり、金と同様に、銀も本来は「色」ではなく「光の反射」を見ているということ。

ですが、印刷物やデジタル画面では、実際の金属のような反射は表現できません。
では、どうするか──
答えは、「明るいグレー=ネズミ色」で代用する、つまり擬似色で“銀らしさ”を演出するしかないのです。

印刷現場では、**明度高めの無彩色グレー(C=0〜10%、K=30〜40%程度)**を基本にし、必要に応じてグラデーションや白ハイライトを加えることで、「銀っぽく」見せます。これは、立体感や光の反射を錯覚的に再現するための手法です。

また、ディスプレイ上でも、銀色のアイコンや文字は、白〜グレーのグラデーションで描かれています。これにより、「金属的な光沢があるように見える」状態をつくっているのです。

つまり、擬似的な銀色とは──
“色を塗る”というより、“光を演出する”ことで成り立つ無彩色表現だと言えます。

銀色とは、ただのグレーではありません。
けれど、グレーをうまく使えば、ちゃんと「銀らしく」見せることができるのです。


第4章|銅=金と何が違う?違いは“赤味”と“深み”


金と銅は、どちらも“黄色系”の金属に見えます。
遠目で見れば似ているとも思えるこの2色ですが、よく見るとその印象はまったく異なります。では、印刷やデザインの視点で「金」と「銅」を分ける要素とは何でしょうか?

一言でいうなら、それは**「赤味」と「深み」**です。

金は、明るく鮮やかな黄土色(オーカー)系の色味。
それに対して銅は、同じ黄系でも、赤みが強く、ややくすんだ色調を持っています。

具体的に印刷で擬似的な銅色を作るときは、CMYKでマゼンタ(M)とイエロー(Y)を多めに配合し、ブラック(K)も適度に足すことで、レンガ色や赤茶色に近いトーンをつくります。たとえば「C=0 M=60 Y=100 K=20」などが定番配色です。

また、金は「光沢のある華やかな色」として演出されるのに対し、銅は「重厚で温かみのある色」として使われることが多く、印象的な違いもはっきりしています。

たとえば、金は賞や表彰、豪華さを象徴する一方で、銅は歴史的な風合いやクラフト感、古びた味わいなどを演出する場面に向いています。

つまり、金と銅の違いとは──
「黄と赤のバランス」「明るさ」「用途イメージ」の総合的な差なのです。

色だけでなく、与える印象まで異なる。
擬似色としての銅は、決して“金の暗い版”ではなく、独立した個性を持つ表現色だということを忘れてはいけません。


第5章|金属光沢はなぜ再現できない?RGBとCMYKの限界


金、銀、銅といった金属色が、なぜ“擬似色”でしか表現できないのか──。
その理由は、RGBやCMYKという色の仕組みに「光沢」という概念が存在しないからです。

本物の金属が放つ光沢感は、表面に当たった光が**鏡のように反射する性質(鏡面反射)**によって生まれます。この反射によって、見る角度によって色や明るさが変化する「メタリック感」が表現されているのです。

ところが、RGBもCMYKも「光そのもの」や「反射」ではなく、色を数値で固定して再現する方式。RGBは光の三原色、CMYKはインクの三原色に基づいています。どちらも、“一定の色”を表示・印刷するには適していますが、見る角度によって変化するような「光の反射感」までは表現できないのです。

このため、金属の光沢を印刷や画面で再現しようとすると、実際には存在しないハイライトや陰影を人工的に作り、擬似的な立体感や輝きを演出するしかありません。

たとえば、Webデザインでは銀色のボタンやロゴを描くとき、白からグレーへのグラデーションや、反射光を模した線や光の筋を入れることで“メタリックに見えるようにする”工夫がされます。

印刷では、金属光沢を本当に再現したい場合、通常のCMYK印刷では不可能なため、特色インキ(メタリックインキ)や箔押し加工といった特殊印刷技術が必要になります。

つまり、こうした表現が必要になる理由は明快です。
RGBもCMYKも、物質としての「金属」ではなく、「色の情報」しか持たないから。

金属色を本物のように見せるには、“色”以上の工夫が求められる。
それが、印刷やデザインにおける「金属の擬似色再現」が難しく、かつ面白い理由なのです。


第6章|印刷で再現する“金・銀・銅”のCMYK配色とは?


本物の金属光沢は再現できなくても、印刷では“それっぽく見せる”ための配色の工夫が重要です。ここでは、金・銀・銅それぞれの色味を、CMYKの擬似色でどう表現するかを見ていきましょう。

🥇 金=黄土色ベース+高彩度

金色は、黄土色をベースにした高彩度のイエロー系が定番。明るく華やかな印象をもたせるために、マゼンタ(M)とイエロー(Y)を強めに使います。

  • 例:C=0 M=25 Y=75 K=10

  • 印象:暖かく明るい“高級感”を演出

さらにハイライトやグラデーションを加えることで、光を反射しているかのような質感を擬似的に再現できます。


🥈 銀=グレー(無彩色)+中明度

銀色は色味を持たないため、中明度のグレーが基本。ブラック(K)の濃度で調整します。

  • 例:C=0 M=0 Y=0 K=30〜40

  • 印象:冷たくシャープな“クールさ”を表現

コントラストの効いた白〜グレーのグラデーションや、金属的な“光の線”をあえて入れることで、より“銀らしさ”が増します。


🥉 銅=赤みのある茶色+重厚感

銅色は金と似ていますが、赤味と深みが特徴。マゼンタとイエローをしっかり使い、Kで落ち着かせるのがポイントです。

  • 例:C=0 M=60 Y=100 K=20

  • 印象:あたたかく落ち着いた“重厚感”を演出

同じ茶系でも、赤の配合が強いことで「金とは違う表情」を出すことができます。


🎨 実際の印刷での応用例

  • チラシのメダルイラストや表彰マーク

  • 商品ラベルのプレミアム感演出

  • 冠婚葬祭の案内状・招待状などの格式表現

これらの印刷物では、疑似的なCMYK金属色がよく使われています。
どう見せるか、どこまでこだわるか──印刷会社の腕の見せ所です。


第7章|まとめ:色の正体を知ると、印刷がもっと面白くなる


金・銀・銅──私たちが当たり前のように使っているこれらの色は、よく考えるととても不思議です。なぜなら、どれも**「光沢」や「質感」までを含んだ“印象”としての色**だからです。

本物の金属が持つ光の反射や、見る角度で変わるツヤ感は、RGBでもCMYKでも再現できません。だからこそ、印刷やデザインの世界では、限られた色の中で**“それっぽく見せる技術”=擬似色**が発達してきました。

  • 金は、黄土色に近い明るく高彩度な黄色

  • 銀は、無彩色グレーで光の質感を再現

  • 銅は、赤味のある茶色で重厚な印象を演出

どれも「本物の色」ではありません。けれど、だからこそ配色のバランスや印象操作が鍵になるのです。

色の正体を知ることは、印刷の限界を知ること。
そして同時に、限界の中でいかに「それらしく見せるか」を工夫する、印刷という表現の奥深さを知ることでもあります。

単なる色ではない。
けれど、色でしか表現できない。

そんな“擬似色の世界”を理解すると、メダルの色ひとつとっても、印刷やデザインがぐっと面白く見えてくるはずです。


🧠 コラム|RGB、CMYKではない“光沢を表す色”の体系は未来に誕生するのか?

現代の色表現は、主に**RGB(光の三原色)CMYK(インクの三原色)**という2つの体系に支配されています。どちらも色を数値的に扱うには便利ですが、どちらにも“ある決定的な弱点”があります。

それは──「光沢」や「金属感」といった物質的な“質感”の再現ができないということ。

私たちが“金っぽい”“銀っぽい”と感じるのは、単に色の問題ではなく、光の反射や視覚的な錯覚を含んだ総合的な感覚です。RGBやCMYKはその土俵に立てない。だからこそ、いまだに「メタリックな色」は“擬似色”としてしか扱えないのです。


💡 では、未来には“光沢専用の色体系”が生まれるのか?

技術の進歩を考えれば、答えは**「YESに近い」**でしょう。

たとえば、以下のような可能性が見えてきます:


✔ 1. BRDF(双方向反射分布関数)ベースの色情報

光が物体表面に当たり、どのように反射されるかを数値化する**BRDF(Bidirectional Reflectance Distribution Function)**という考え方があります。現在は3DCGやVRの世界で使われていますが、将来的に「色と質感」を一体として定義するカラーコードが誕生するかもしれません。


✔ 2. 量子ドットやマイクロ構造を利用した“物理的に再現可能な色”

物体の構造色(たとえば蝶の羽やシャボン玉のような干渉色)を人工的に制御する技術も進んでいます。これにより、**光の屈折や干渉を数値的に設計する「構造色インデックス」**のような体系が登場する可能性もあります。


✔ 3. XRやホログラム技術と連動した“光沢表現のメタデータ”

将来的にディスプレイが「色」ではなく「光線」を制御する時代が来れば、RGBではなく**“反射角度”や“表面反応性”を定義した色データ**が標準化されるかもしれません。たとえば「金属質感の#FFD700」のように、質感付き色コードが普及する未来も十分考えられます。


🤖 まとめ:色の定義は、いずれ“質感”を含むようになる

私たちが見ている“色”は、光の波長だけでは決まりません。
反射、拡散、透明感、凹凸──**「色+質感」こそが人間が感じる“見た目の本質”**です。

RGBやCMYKは、その一部を切り取った表現にすぎません。

だからこそ、未来の色体系はきっと、“光沢”や“触感的な印象”までを含んだ複合的な定義へと進化していくはずです。

金は、黄色ではなく「輝く黄色」
銀は、グレーではなく「光を映すグレー」

そんな風に、“光の操作”までを色として扱う時代が来たとき、私たちはようやく「本当の金色」を、RGBやCMYKに頼らずに再現できるようになるのかもしれません。


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