紅白とは?なぜ日本人は「赤白」ではなく紅白をめでたい色にしたのか──神話・日の丸・文化から解説

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第0章|導入──紅白とは?なぜ日本人にとって特別な色なのか


紅白は日本人にとっての「祝いの色」

年末のテレビといえば「紅白歌合戦」。おめでたい席では「紅白饅頭」。式典や祭りでは「紅白幕」が必ず掲げられます。私たちにとって紅白はあまりにも当たり前の色であり、祝いを象徴する存在です。


なぜ「赤白」ではなく「紅白」なのか

しかし、改めて考えると疑問が浮かびます。なぜ赤白ではなく、わざわざ「紅白」と呼ぶのでしょうか。どうして紅白が“めでたい色”とされるようになったのでしょうか。


紅=女性、白=男性という文化的イメージ

さらに「紅は女性、白は男性」という暗黙のイメージもあります。これは婚礼衣装や化粧文化、さらには神話の天照大神にまでつながる深い背景があります。


紅白は日本文化の“記憶色”

紅白は単なる色の組み合わせではなく、日本人の文化、信仰、デザイン感覚にまで染み込んだ“記憶色”です。本記事では、紅白の起源から日の丸との関係、男女イメージ、赤白との違い、さらにはデザイン的な相性までを掘り下げていきます。


第1章|紅白の起源──神道儀礼と古代の色彩観


赤は「生命」と「魔除け」の色

古代の日本人にとって、赤は特別な意味を持つ色でした。血や火を連想させる赤は、命の力強さを象徴すると同時に、邪悪なものを追い払う力があると考えられていました。神社の鳥居や祭祀に朱色が多く使われるのも、この「魔除け」と「生命力」を込めた表現です。


白は「清浄」と「神聖」の色

一方で、白は「穢れのない清らかさ」を表す色として扱われました。神道の儀式で神官が白衣を着るのは、神聖さと潔白を示すためです。古代の人々にとって白は、天と神に近づくために不可欠な色でした。


赤と白が結びついた理由

この二つが組み合わさることで、赤は「力を与える」、白は「清める」という役割を果たしました。古代の祭礼や神事では、注連縄(しめなわ)や紙垂で結界を示し、祝儀の場では紅白幕や水引が場を寿ぐために用いられました。そこには「魔を祓い、場を清め、神を迎える」という意味が込められていたのです。


中世までに確立した「紅白=祝い」の感覚

こうした背景から、紅白は単なる色の組み合わせではなく、めでたい場や神聖な儀式に欠かせない色となっていきました。平安時代の公家文化や中世の祭礼でも紅白が多用され、今日の「祝い=紅白」という感覚が広く共有される下地となっていきます。


第2章|神話と紅白──天照大神と赤の意味


太陽神が女性であるという特異性

多くの地域では太陽神は男性として描かれることが多い一方、日本神話では太陽を司る最高神は天照大神という女性神です。ここに、日本人の色彩観や文化に大きな影響を与える独自性があります。


赤は太陽と生命を象徴する色

太陽は昇るときも沈むときも赤く染まります。古代人にとって、赤は太陽そのものの色であり、命を与える力の象徴でした。天照大神が女性神として語られることで、赤は「女性=生命力の色」と結びつき、のちの紅化粧や花嫁衣装にも受け継がれていきます。


巫女・花嫁に受け継がれた「紅の象徴」

神社で巫女が身につける袴は赤。結婚式で花嫁がまとう打掛には鮮やかな紅が使われます。さらに、平安時代から女性の化粧には紅が欠かせませんでした。こうした習慣は、(由来には諸説あるものの)現在も巫女装束は白衣+緋袴が標準で、太陽・魔除け・未婚の象徴など伝統的解釈と結びつけて語られることが多いのです。


白は男性の潔さを示す色に

一方、白は「清浄・潔白」を表す色として男性と結びついていきました。武士の白装束、男性の礼服である白紋付はその典型です。紅と白が男女の対比として定着した背景には、神話的な太陽=紅と、清浄を象徴する白の組み合わせがあったと考えられます。


第3章|紅白と日の丸──国旗に宿る色彩観


日の丸は「赤」ではなく「紅」

現在の日本の国旗「日章旗」は、正式には「白地に紅色の日の丸」と規定されています。つまり「赤」ではなく「紅」。これは、単なる赤よりも深みと鮮やかさを持つ紅を選ぶことで、国の象徴としての格調を示すためです。


白は清浄、紅は太陽と生命力

日の丸に込められた意味はとてもシンプルで、日本人の色彩感覚に直結しています。

  • 白=清浄・潔白・神聖

  • 紅=太陽・熱・生命力

この組み合わせこそが、古代から続く「紅白=清めと力」の感覚を国旗に昇華したものです。


室町から江戸を経て国旗に定着

日の丸のデザインは室町時代の武家の旗印として登場し、戦国時代には武将たちの間で広がりました。江戸時代には徳川幕府が船の印として「日の丸」を公式に採用。明治時代に入ると、近代国家の象徴として正式に国旗に定められました。


日の丸が紅白文化を後押しした

日の丸が国旗となったことで、「紅白」は単なる祝いの色から、日本全体を象徴する色へと格上げされました。運動会や祝祭行事で「紅白」が用いられる背景には、国旗としての「紅白」が国民意識に浸透する一因になったと考えられます。


第4章|紅白と赤白──なぜ言い方が違うのか


「赤」と「紅」は別の色名

日本語では「赤」と「紅」は似ていても意味が異なります。

  • … 一般的な色名で、広い範囲の赤色を指す基本語

  • … 染料や装飾に使われる、深みと艶のある赤。美称的で格調を伴う

祝い事や格式ある場では、日常的な「赤」よりも美的で高貴な響きを持つ「紅」がふさわしいとされました。だから「紅白幕」「紅白饅頭」「紅白歌合戦」と呼ばれるのです。


運動会で「赤白」と呼ぶ理由

一方、学校の運動会や相撲などでは「赤組」「白組」という言い方が一般的です。これは明治以降の教育現場で、子どもに分かりやすく「赤」と「白」と教えたから。さらに国旗の赤丸を「赤」と説明する流れも重なり、「赤白」の言い方が広まりました。


格調か日常か──言葉の使い分け

  • 紅白=祝い・慣用句・格式ある場(結婚式、正月、歌合戦)

  • 赤白=教育・スポーツ・日常の勝負ごと(運動会、相撲)

同じ組み合わせでも、言葉の選び方によって「祝い」か「日常」か、場の格や空気感が変わるのです。


第5章|紅白と男女──和合を象徴する色


紅は女性の艶やかさを象徴

古代から紅は女性の象徴とされてきました。

  • 平安時代の貴族女性は、唇や頬に紅をさすことで美を表現した

  • 十二単では「表白・裏紅」と呼ばれる衣装の組み合わせが用いられた

  • 江戸時代には紅が高級化粧品として重視され、婚礼の際には「紅差し」が必須の嫁入り道具だった

こうして紅は「艶」「若さ」「生命力」を象徴する女性の色として定着しました。


白は男性の潔さを象徴

一方で、白は男性的な価値観と結びつきました。

  • 武士が切腹の際にまとう白装束

  • 男性の礼服「白紋付」

  • 神事における白衣

白は「潔白」「清浄」「誠実」を意味し、男性の生き方や美意識と重なっていったのです。


婚礼に刻まれた紅白の対比

結婚式では、花嫁が紅の打掛をまとい、花婿は白紋付を着る習慣が長く続いてきました。ここには「紅=女性」「白=男性」という文化的イメージが明確に表れています。


紅白は男女和合・繁栄の色

紅は女性の艶、白は男性の潔さ。その二つが一つになることで「夫婦円満」「子孫繁栄」を意味しました。紅白饅頭や紅白幕も、単なる祝いの象徴ではなく、男女の調和を背景にした文化的表現なのです。


第6章|紅白の二面性──祝いと勝負の色


紅白は「祝いの色」

日本人にとって紅白といえば、まずは「めでたい色」。結婚式で配られる紅白饅頭、お正月のしめ縄や鏡餅に施される紅白の飾り、開店祝いで掲げられる紅白幕。これらはすべて「清らかで力強いものを呼び込む」という意味を持っています。紅白は人生の節目や祝祭に欠かせない色として、長く定着してきました。


紅白は「勝負の色」

一方で紅白は、単に祝うだけの色ではありません。運動会の「紅組・白組」、相撲の勝負を分ける紅白の表示。こうした場面では紅白が「対立」と「勝敗」を象徴する色として使われます。紅白歌合戦もその流れを受け継ぎ、男女の対抗を「紅=女性」「白=男性」に分けて演出しているのです。


対立の先にある調和

紅白は「祝い」と「勝負」という一見相反する二つの意味を持ちながら、どちらも最終的には「調和」に行き着きます。運動会では競い合った後に全体が一つになり、紅白歌合戦も勝敗を超えて年の瀬を祝う行事となります。紅白は「戦いと和合」を同時に表す、日本独自の色彩観なのです。


第7章|紅白の美学──赤と白の相性


赤と白は互いを引き立てる補完関係

赤は「情熱・生命力・熱」を象徴する強い色であり、白は「清浄・無垢・静けさ」を象徴するニュートラルな色。この二つを組み合わせることで、赤の強さは白によって和らぎ、白の無機質さは赤によって華やかさを得ます。互いに欠けた要素を補い合うことで、最強のコントラストを生み出すのです。


白多めに赤──上品で荘厳な印象

白をベースにして赤をアクセントにすると、清らかで格式高い雰囲気が生まれます。国旗の日の丸、結婚式の白無垢に差す紅、紅白饅頭などがその代表例です。「清浄な白に生命の赤が映える」という、日本的な美意識を体現しています。


赤多めに白──熱気と勢いを伝える

逆に赤をベースにして白を添えると、迫力と賑やかさが際立ちます。お祭りの紅白幕、スポーツ応援の旗、セール広告の赤地に白文字などがその典型。人を盛り上げ、動きを感じさせる色使いです。


印刷・デザインで生きる紅白の相性

印刷物や広告でも紅白は効果的に使い分けられています。

  • 白多め=高級感・清潔感(和菓子パッケージ、ブランド広告)

  • 赤多め=勢い・大衆性(チラシ、イベントポスター)
    紅白の配分を調整するだけで、場の空気や受け手の印象が大きく変わるのです。


第8章|赤白ストライプと青白ストライプ──文化的対比


赤白ストライプは祝祭と熱狂の象徴

赤と白のストライプは、とにかく目立ち、賑やかさを演出します。日本では祭礼や式典で掲げられる紅白幕が代表例です。また西洋でもクリスマスのキャンディケインや警告表示などに使われ、強いコントラストが「注目」「熱気」「めでたさ」を伝えます。赤白ストライプは人の感情を盛り上げる「動」の色使いなのです。


青白ストライプは清涼感と秩序の象徴

一方、青と白のストライプはまったく違う印象を与えます。ギリシャ国旗やマリンボーダーに見られるように、海や空を連想させる爽やかさが特徴です。医療や衛生の現場でも「青+白」は清潔感と誠実さを表す組み合わせとして定着しています。青白ストライプは安心や秩序を感じさせる「静」の色使いといえるでしょう。


赤白と青白の対比が示す文化的意味

  • 赤白=熱狂・祝祭・勝負(日本の祭り、応援旗、セール広告)

  • 青白=爽やか・誠実・清潔(海の象徴、医療、日常の安心感)

同じ「白との組み合わせ」でも、赤か青かで意味は大きく変わります。赤白は人を盛り上げ、青白は人を落ち着かせる。まさに「動」と「静」という文化的対比が色に刻まれているのです。実務面でも安全標識では赤/白は「立入禁止・停止」系、青/白は「指示」系の意味づけが用いられるなど、“動”と“静”の性格差が運用に現れています。


第9章|現代の紅白──国民文化としての象徴


紅白歌合戦に見る国民行事化

年末の風物詩「NHK紅白歌合戦」は、単なる音楽番組ではありません。紅=女性、白=男性という文化的イメージを引き継ぎながら、勝負形式を取り入れ、最後には一年を締めくくる「祝祭」へと昇華させています。ここに紅白の二面性──勝負と和合──が凝縮されています。


正月行事に宿る紅白の意味

新年を迎えるしめ縄や鏡餅にも紅白の飾りが施されます。白は清浄を表し、紅は生命力や太陽を表す。これらを組み合わせることで「新しい年を清らかに迎え、力強く生きる」という祈りが込められています。紅白は年末年始の行事に欠かせない色なのです。


紅白=日本らしさの象徴

紅白幕、紅白饅頭、紅白歌合戦──紅白は祝いの色であると同時に、日本らしさそのものを示す記号になりました。国旗の日の丸と同じ色であることも相まって、紅白は「日本文化の色」として普遍的に認識されるようになったのです。


第10章|まとめ──紅白は日本文化の縮図


紅白は単なる色の組み合わせではない

赤は生命力や太陽を象徴し、白は清浄や潔白を示す。二つが組み合わさることで、魔を祓い、場を清め、祝いを強調する特別な意味を持ちました。神話から祭礼、現代の国民行事まで、紅白は常に日本人の暮らしを彩ってきました。


男女、勝負、和合を同時に表す色

紅=女性、白=男性という文化的イメージは婚礼衣装や紅白歌合戦にまで受け継がれています。また、運動会や相撲では「勝負の色」として、祝い事では「和合の色」として使われます。紅白は「対立と調和」「勝負と祝祭」を同時に象徴できる稀有な色の組み合わせです。


日本文化の縮図としての紅白

古代神話に登場する天照大神から、日の丸、そして現代の紅白歌合戦に至るまで、紅白は日本文化の流れを映し出してきました。紅白とは、日本人の精神と価値観が凝縮された“文化の縮図”であり、今もなお「日本らしさ」を最もわかりやすく示す色なのです。


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