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0章|導入──毎日使う「ことば」、でも不思議な字と読み
私たちは毎日のように「言葉」という言葉を使っています。
話す、伝える、考える。あらゆる営みの土台にある存在です。
しかし、改めて考えると、いくつかの疑問が浮かびます。
-
なぜ 「言+葉」 と書くのか
-
なぜ読みは 「こと“ば”」 と濁るのか
音を表すなら「言音」でもよさそうですし、意味を表すなら「言意」でも違和感はありません。
それでも日本語は、「葉」という自然物の字を選び、「ことば」と読ませてきました。
この選択の背景には、日本語特有の言語観と、長い歴史の積み重ねがあると考えられています。
1章|結論から──ことばの語源は「こと(言)+は(端)」が有力
まず、現在もっとも有力とされる語源説を整理します。
「ことば」の語源は、
「こと(言)」+「は(端)」であるとする説が有力
とされています。
「こと」とは何か
古代日本語における「こと」は、
-
発せられた言(言明・言いつけ)
-
出来事や事柄(事)
の両方を含む、非常に広い意味を持つ語でした。
そのため、古い日本語の感覚では、
言と事は、必ずしも明確に分けられていなかった
と考えられています。
「は(端)」とは何か
「端(は)」は、
-
中心から分かれ出た先
-
物事のはし・先端
を意味する語です。
この二つを合わせると、「ことば」とは、
言(こと)から分かれ出た、言の端・断片
といった意味合いを持つ語であったと解釈できます。
2章|今の読みの由来──なぜ「こと“ば”」と濁るのか
多くの人が疑問に思うのが、この点です。
語源的には、もともとの形は
「こと+は」=「ことは」
であったと考えられています。
では、なぜ現在は「ことは」ではなく「ことば」と読まれるのでしょうか。
これについては、日本語の音の変化によるものと説明されることが一般的です。
日本語では、
-
語と語が結びつく過程で
-
後ろの音が濁る
という現象がたまに起こります。
その結果、
こと+は → ことは → ことば
という読みが定着したと考えられています。
重要なのは、
「葉」という漢字があるから濁ったのではなく、
読みの変化が先にあり、漢字表記は後から整えられた可能性が高い
という点です。
3章|古典ではどう書かれていた?──万葉集の「ことば」
実は、「言葉」という漢字表記は、古代から一貫して使われていたわけではありません。
古典では、
-
言羽
-
辞
といった漢字で「ことば」と読ませている例があります。
これは、
-
読みとしての「ことば」は共有されていた
-
しかし、どの漢字を当てるかは定まっていなかった
ことを示しています。
つまり、「言葉」という表記は、
後の時代に意味や感覚の面で最も納得されやすい形として定着した
と考えられます。
4章|なぜ最終的に「葉」が選ばれたのか
では、なぜ最終的に「葉」という字が選ばれたのでしょうか。
ここで関わってくるのが、
「言の葉(ことのは)」という日本語的な美意識です。
古くから日本では、言葉を、
-
風に揺れるもの
-
重なり合って意味を成すもの
-
やがて散るもの
として捉える感覚が育まれてきました。
和歌や物語の世界では、
-
言の葉
-
言の葉の露
-
言の葉を紡ぐ
といった表現が自然に使われています。
「葉」は、
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軽やかで
-
数が多く
-
連なり
-
美しさを持つ
存在です。
こうした比喩的な感覚が、「言葉」という漢字表記の定着を後押しした
と考えられています。
5章|よくある誤解──「言葉=葉っぱ由来」ではない
ここで、一度整理しておきましょう。
-
語源(成り立ち)
→ 「こと(言)」+「は(端)」とする説が有力 -
表記(漢字の選択)
→ 「言の葉」という比喩的感覚が強く影響
つまり、
語源と、漢字表記の由来は、必ずしも同一ではない
という点が重要です。
「葉」は偶然選ばれた字ではありませんが、
最初から語源そのものだったと断定するのは慎重になるべきかと思います。
6章|現代にも残る「こと/ことば」の感覚
現代日本語にも、古い感覚は残っています。
-
「そんなこと言うな」
-
「一言二言のことば」
-
「言葉が独り歩きする」
ここで使われる「こと」には、
言と事が分かれていなかった時代の名残が感じられます。
言葉は単なる音ではなく、
現実と結びつく“何か”として扱われ続けてきたのです。
コラム|なぜ「ことのは」とも言うのか?
「ことば」と並んで、
「ことのは(言の葉)」 という言い方があります。
これは、
-
「言葉」をより詩的・象徴的に言い換えた表現
-
和歌や文章の世界で育まれた雅語
とされています。
「端(は)」という語源的にやや硬い感覚が、
時代とともに「葉」という美しい比喩へと重ねられていった
と考えることもできるでしょう。
その結果、
-
ことば=日常語
-
ことのは=美意識としての言語
という、ゆるやかな使い分けが生まれました。
まとめ|ことばの由来を一文で言うなら
ことば(言葉)とは、
「こと(言・事)」から分かれ出た「は(端)」が、
やがて「葉」という比喩をまとい、定着した言葉だと考えられます。
だから日本語では、
言葉は生え、重なり、散るものとして捉えられてきました。
次に「言葉」という言葉を使うとき、
その一つひとつを、少しだけ意識してみてください。
日本語の見え方が、きっと変わってくるはずです。
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