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0章|導入|春の空が、やわらかくにじみ始める頃
冬の終わりが近づくと、遠くの山や街並みが、どこか白くぼんやりと見える日が増えてきます。
空気は冷たさを残しながらも、どこかやわらかく、光も少しずつ春の色を帯びていきます。
この「にじむような景色」を、昔の人はとても繊細な言葉で表しました。
それが、「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」です。
これは、単なる美しい表現ではなく、日本の暦と自然観察から生まれた、れっきとした季節の言葉でもあります。
本記事では、「霞始靆」の意味や由来、歴史的背景、文化的な意味までを、わかりやすく解説していきます。
1章|霞始靆とは?意味と読み方
■ 読み方
霞始靆(かすみはじめてたなびく)
■ 意味
春になり、霞が横にたなびき始める頃を表す言葉です。
「霞」は春特有のぼんやりとした大気の状態を指し、「靆(たなびく)」は、雲や霧が横に長く流れる様子を意味します。
つまり、「霞始靆」とは、
春の空に、霞がゆるやかに広がり始める時期
を表した言葉なのです。
単なる天気用語ではなく、自然の変化を感覚的にとらえた、日本独特の季節表現といえます。
2章|二十四節気・七十二候における位置づけ
■ 七十二候とは何か
七十二候とは、二十四節気をさらに三つずつに分け、約5日ごとに自然の変化を表した暦です。
一年を72の細かな季節に分けることで、
-
草が芽吹く
-
鳥が鳴く
-
氷が解ける
-
霞が広がる
といった微細な変化を記録してきました。
■ 霞始靆の時期
霞始靆は、七十二候の第五候にあたり、二十四節気「雨水」の次候(じこう)、すなわち真ん中の時期に位置します。
おおよそ、
-
2月24日頃〜28日頃
にあたることが多い時期です。
まだ寒さは残りますが、確実に春へ向かって進み始める節目といえます。
■ 何を観察していたのか
この頃になると、
-
気温が上がり始める
-
水蒸気が増える
-
遠景が白くかすむ
-
空がやわらかく見える
といった変化が現れます。
霞始靆は、こうした自然の兆しを言葉にしたものなのです。
3章|「霞」「靆」の漢字が持つ意味と語源
■ 「霞」という漢字
「霞(かすみ)」とは、遠くの景色がぼんやりとかすんで見える状態を表す言葉です。
古くから使われてきた日本語であり、大気中の水分や微細な粒子によって、山や空の輪郭がやわらかく見える様子を指します。
とくに日本では、春になると気温の上昇とともに空気中の水分が増え、このような現象が起こりやすくなります。そのため、「霞」は次第に春の景色を象徴する言葉として定着していきました。
和歌や古典文学の中でも、
-
山にかかる霞
-
遠くを包む霞
-
空にたなびく霞
といった表現で用いられ、春の訪れを示す代表的な季節語として扱われています。
■ 「靆」という漢字
「靆(たなびく)」は、雲や霧、霞などが横に長く伸び、空に漂う様子を表す漢字です。
現代の日常生活ではあまり使われませんが、古くは空の状態や大気の動きを繊細に表現するために用いられてきました。
同じ字を含む「靉靆(あいたい)」という言葉も、空気がかすみ、遠くがぼんやりと見える様子を意味します。
この漢字は、単に存在するだけでなく、空の中でゆるやかに広がり、流れていく動きまでを含んで表現することができる文字です。
■ 「霞始靆」という言葉が表しているもの
「霞始靆」は、
霞が現れ始め、空にゆるやかに広がっていく頃
を意味する言葉です。
ここで表現されているのは、はっきりとした変化ではなく、気づかないほどゆるやかな季節の移ろいです。
冬の澄んだ空気から、少しずつ水分を含んだ春の空気へと変わっていく。その変化が、遠くの景色をやわらかく包み始めます。
「霞始靆」という言葉は、そうした春の空の微細な変化を、視覚的な印象として丁寧にすくい取った表現なのです。
4章|霞始靆が生まれた歴史的背景
■ 七十二候という暦の起源
「霞始靆」は、七十二候と呼ばれる季節区分のひとつです。
七十二候は、太陽の動きを基準とした二十四節気をさらに細かく分けたもので、もともとは古代中国で考案された暦の体系に由来します。季節の移り変わりをより具体的な自然現象で表すことで、人々が日々の変化を実感できるように工夫されたものでした。
この暦は日本にも伝わり、宮廷や暦の制度の中で用いられるようになります。そして次第に、日本の自然や生活感覚に寄り添った季節表現として定着していきました。
■ 日本の自然の中で受け継がれた言葉
中国から伝わった暦は、そのまま使われたわけではありません。
日本は山が多く、湿度が高く、季節の変化が視覚的にもはっきりと現れる地域です。とくに春先には、大気中の水分が増え、遠くの景色がぼんやりと霞む現象が各地で見られます。
こうした環境の中で、「霞始靆」という言葉は、日本の春の空の特徴をよく表す季節語として受け継がれてきました。
それは単なる暦の記号ではなく、実際の風景と結びついた、生きた言葉として使われてきたのです。
■ 暦を通して季節を感じる文化
七十二候は、日付を知るためだけのものではありませんでした。
自然の変化を言葉として記録することで、人々は季節の進みを意識し、暮らしの中でその変化を受け止めていました。
「霞始靆」という言葉もまた、冬から春へと移り変わる空の変化を示す、季節の節目を表す表現として伝えられてきました。
暦は単なる時間の区分ではなく、自然とともに生きるための指標でもあったのです。
5章|文学・文化に見る「霞」と日本人の感性
■ 和歌・俳句との関係
「霞」は、和歌や俳句で頻繁に登場します。
例としては、
-
山にかかる霞
-
遠くを隠す霞
-
都と故郷を隔てる霞
など、さまざまな情緒を表してきました。
■ 春=霞という感覚
日本文化では、
-
冬=澄んだ世界
-
春=にじむ世界
という対比があります。
春は、新しい始まりでありながら、不安定で曖昧な季節でもあります。
霞は、そうした心情を映す象徴でもあったのです。
■ 現代との違い
現代では都市化や大気環境の変化により、昔ほど「自然な霞」を感じにくくなっています。
その分、言葉としての霞の価値は、より貴重なものになっているといえるでしょう。
6章|現代での霞始靆の使い方と例文
■ 現代での使用場面
霞始靆は、主に以下の場面で使われます。
-
季節の挨拶文
-
俳句・短歌
-
和風エッセイ
-
コラム文章
日常会話ではあまり使われませんが、文章表現では今も生きています。
■ 例文
① 解説文
この時期は、七十二候でいう霞始靆にあたり、春の霞がたなびき始める頃とされています。
② 文章表現
遠くの山々に霞始靆の気配が現れ、春の空がやわらかく見えるようになってきました。
③ 日常描写
今日の景色は、霞始靆という言葉がふさわしい、ぼんやりとかすんだ春の空でした。
④ 随筆調
霞始靆の頃となり、空の色や光のやわらかさに、季節の移ろいを感じます。
7章|まとめ|霞始靆が教えてくれる春のはじまり
霞始靆とは、単なる古い言葉ではありません。
それは、
-
自然を細かく観察する眼差し
-
季節を言葉にする文化
-
生活と結びついた知恵
が結晶した表現です。
忙しい現代では、季節の変化を意識する機会は減りがちです。
しかし、「霞始靆」という言葉を知ることで、空の色や空気の変化に、ふと目を向けるきっかけが生まれます。
春は、ある日突然来るのではなく、静かに、ゆっくりと始まります。
その最初のサインこそが、霞始靆なのかもしれません。
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