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第0章|導入──イカの色変化はなぜ起きる?
海の中でスッと姿を消す透明なイカ。
水揚げされると真っ白に変わり、茹でれば今度は赤くなる──。
この三段変化を初めて見た人は、きっとこう思うはずです。
「イカって、何色の生き物なの?」
実は、イカの色の正体は、光の反射の仕方にあります。
生きているときは透明に見えたり、虹色に輝いたりするのは、体の表面で光が反射したり通り抜けたりするからです。
逆に、死んでしまうと筋肉の中で光がバラバラに散って白く見える。
そして茹でると、赤い光だけが反射されるようになり、あの美味しそうな赤茶色に変わります。
つまり、イカは生きている間も死んだあとも、光の操り方だけで色を変える生き物なのです。
次の章からは、この色の変化を光学の目でひも解いていきます。
第1章|生きているイカが透明に見える理由
海の中で生きているイカは、まるで水に溶けたように透明に見えることがあります。
これは、体が特別な「光の通し方」をしているからです。
水と同じ屈折率で光を逃がす
私たちが何かを「透明」と感じるのは、光がまっすぐ通り抜けるときです。
ガラスや水が透明なのも、光をほとんど散らさずに通すからですね。
イカの体は、水分がたっぷりで、筋肉や皮膚の**屈折率(水に対する光の曲がり方)**が海水ととても近い構造になっています。
だから海中では、光がほとんど曲がらずに通り抜け、背景の色がそのまま見えてしまうのです。
生きたままの光学迷彩
さらに、イカは必要に応じて体の表面をツルッとした状態に保ち、光が散乱しないようにコントロールしています。
このおかげで、天敵からはまるで消えたかのように見える。
まさに、生きたままの光学迷彩です。
ただし、この透明感は生きている間だけ。
死んでしまうと筋肉の構造が変化し、光があちこちに散ってしまうので、次の章で紹介する「白いイカ」に変わります。
ここで疑問が浮かびます。
なぜ水揚げされた瞬間に、あんなに白く変わるのか?
次の章では、その光学的な理由を解き明かします。
第2章|水揚げで白くなる理由
さっきまで海の中で透明だったイカ。
漁師さんが水揚げした瞬間、急に真っ白に変わります。
この変化の理由も、やっぱり光の反射のしかたです。
死後に起きる「光の乱反射」
生きているイカは、筋肉や皮膚の細胞が水でパンと張っていて、光が素通りできます。
でも、捕まって動かなくなると、筋肉の構造が少しずつ変化します。
-
筋肉に微細なすき間ができる
-
そこに空気や水の層が入り込む
-
光が入るとあちこちで乱反射してしまう
この結果、透明感は消え、全方向に光が散らばるため白く見えるのです。
牛乳や霧と同じ「散乱」の原理
この白さの正体は、科学的には「ミー散乱」と呼ばれる現象に近いです。
牛乳が白く見えるのも、霧が白く見えるのも、光が細かい粒に当たってバラバラに反射するから。
イカも同じで、筋肉の中の微細構造が天然の白いスクリーンに変わるわけです。
透明だったイカが、まるで別の生き物のように白くなるのは、
死後に光をまっすぐ通せなくなったからなんですね。
次の章では、さらに不思議な現象──茹でると赤く変わる理由を解説します。
ここでも鍵を握るのは、やっぱり光の反射です。
第3章|茹でると赤くなる理由
水揚げされたイカをお湯に入れると、
白かった体が、今度は赤茶色に変わります。
実はこれも、やっぱり光の反射の変化で説明できます。
赤い光だけを返す「選択反射」
イカの皮膚には、**クロマトフォア(色素胞)**と呼ばれる赤・茶色系の色素の袋があります。
生きているときは、筋肉の動きでこの色素が広がったり縮んだりして、体色が変化します。
ところが、茹でると筋肉はもう動かないので、色素は広がったまま固定されます。
さらに熱によって水分が抜け、表面がツヤっとして光をよく反射する状態になります。
結果として、
-
赤や茶色の光は反射されやすい
-
青や緑の光は吸収されてしまう
この「赤だけが返ってくる」現象を、科学的には選択反射と呼びます。
これが、ゆでイカが赤く見える正体です。
三段変化はすべて光で説明できる
ここまでの変化を整理すると、イカはこんな色の旅をしています。
-
透明 … 光が通り抜ける(散乱なし)
-
白 … 光があちこちで乱反射(全波長が混ざる)
-
赤 … 赤だけ反射して他は吸収(選択反射)
まるで、海の中で一瞬の光学実験をしているようなもの。
私たちが料理で目にする「赤いイカ」は、光の性質を使った自然のショーの最終形態なのです。
第4章|生きたイカが色とりどりに変化する光学の秘密
生きているイカは、ただ透明なだけではありません。
怒ると赤くなったり、海底に合わせてまだら模様になったり、時には青や緑の光をキラッと反射させます。
まるで体全体が海を泳ぐディスプレイのようです。
3種類の細胞が光を操る
イカは、皮膚にある3種類の「光を操る細胞」を使い分けて、色を変えています。
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クロマトフォア(色素胞)
-
赤・黄・茶色などの色素を持つ小さな袋
-
広げるとその色だけを反射し、他の色は吸収する
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威嚇すると全身が赤っぽくなるのはこの細胞の働き
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イリドフォア(虹色素胞)
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光を反射して虹色や銀色に見せる構造色の細胞
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光の干渉を利用して、青や緑の輝きを作る
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見る角度で色が変わるのはこの層の反射の仕組み
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ロイコフォア(白色素胞)
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入ってきた光を全方向に散らす、天然の白い反射板
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他の色を明るく見せたり、体を白く目立たなくしたりする
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光学的には「動く多層反射フィルム」
この3種類の細胞を重ねて使うことで、イカは光の反射状態をリアルタイムで変えます。
-
赤や茶色はクロマトフォアの選択反射
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青や緑の光はイリドフォアの構造色
-
白や明るさはロイコフォアの乱反射
言い換えると、生きたイカは多層反射フィルムを自在に操作している生物です。
背景に溶け込む迷彩も、仲間への光のサインも、全部この光学的な仕組みで説明できます。
生きている間だけ、イカは光を操る小さな魔術師。
次の章では、この透明→白→赤、そして虹色にまで変わる性質をまとめて、イカという生き物がどれだけ光学的に面白いか振り返ります。
第5章|まとめ──イカは生きた光学実験キット
ここまで見てきたように、イカの色変化はすべて光の反射の変化で説明できます。
生きている間も、死んだあとも、イカはまるで海の中の光学実験装置です。
イカの色変化は光が決めている
イカは、次のように光の扱い方を変えることで、姿を変えてきました。
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透明
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光をまっすぐ通す
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海水と体の屈折率が近く、散乱が起きない
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生きているときだけの光学迷彩
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白
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光があちこちで乱反射する
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死後、筋肉に微細なすき間ができて光が散る
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牛乳や霧と同じ散乱現象
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赤
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赤系の光だけ反射して、他の色は吸収
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クロマトフォアの色素が熱で固定される
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料理でおなじみの赤茶色は選択反射の結果
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生きている間は動く反射ディスプレイ
さらに、生きたイカは光を操る3種類の細胞を使い分けています。
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クロマトフォア(色素胞) … 赤・黄・茶を反射
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イリドフォア(虹色素胞) … 青・緑・銀の構造色
-
ロイコフォア(白色素胞) … 明るさを出す乱反射
この3つを組み合わせることで、体全体を使った光のショーを演じられるのです。
生きたイカは、まさに海を泳ぐ生きた光学実験キット。
透明・白・赤、そして虹色
イカの体は、光を通し、散らし、選び、干渉させる──。
この一連の変化は、光学の基本原理がすべて詰まった自然の教材そのものです。
私たちが料理で目にする赤いゆでイカも、科学で見れば光のショーのラストシーンなのです。
これで透明→白→赤の三段変化と生きた光学がすべてつながりました。
もし光学の偉人たちがイカを観察していたら、もっと早く光の秘密に気付いていたかもしれませんね。
📝コラム|なぜ人はイカを白く描くのか?
絵本や食品パッケージで見るイカは、たいてい真っ白です。
でも実際のイカは、透明だったり、虹色に光ったり、ゆでると赤くなったりと、色の変化が激しい生き物。
では、なぜ人は「イカ=白」と記憶し、白く描くのでしょうか?
理由は大きく3つあります。
1. 私たちが見るイカは白いことが多い
ほとんどの人がイカに出会うのは、水揚げされた後か、料理された状態です。
-
漁港やスーパーで見るイカ → すでに白い
-
寿司や刺身のイカ → 白く切られた身
生きたままの透明や虹色のイカを目にする機会はほとんどありません。
2. 食文化で「イカ=白い食材」が定着
刺身、塩辛、干物、フライ──どれも白っぽい見た目です。
食卓で繰り返し目にする色が、記憶としてのイカの色になります。
3. デザインでは白のほうが分かりやすい
透明やまだら模様を描くと、イカだと分かりにくくなります。
白なら、子どもでも一目でイカと認識できるし、清潔感や食欲も演出できます。
こうして、科学的には「透明や虹色」が本当の姿でも、
文化とデザインの中では「イカ=白」が定番になったのです。
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