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🌈 導入|赤と緑は同時に見えない?──色は脳が作る「幻」
あなたは、赤と緑を同時に強く見たことがありますか?
クリスマスのイルミネーションを思い出しても、赤は赤、緑は緑。
その中間の「赤みがかった緑」や「緑みがかった赤」は、なぜか見えません。
実はこれ、人間の色覚の不思議な仕組みが関係しています。
そして、この不思議を解き明かしたのがヘリングの反対色説です。
人間の目はまずRGBで世界を見る
まず前提として、人間の目はカメラのようにRGBの三色センサーで光を受け取っています。
網膜には3種類の錐体(光センサー)があり、それぞれ特定の波長に反応します。
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L錐体(赤) … 長波長の光に強く反応
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M錐体(緑) … 中波長の光に反応
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S錐体(青) … 短波長の光に反応
この3種類の信号が組み合わさることで、無限の色を区別できる──
これがヤング=ヘルムホルツの三色説です。
しかし、私たちが感じる“色”は、この信号がそのまま届いたものではありません。
網膜はただのスキャナーであり、本当の色づけ作業は脳の中で行われているのです。
▶併せて読みたい記事 RGBと三原色の原理──ヤング、ヘルムホルツ、マクスウェルが導いた“色の本質”
第1章|ヘリングの反対色説とは?
19世紀、ドイツの生理学者**エヴァルト・ヘリング(Ewald Hering)は、
人間の色覚に不思議な「反対関係」**があることに気づきました。
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赤と緑は同時に強く見えない
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青と黄色も同時に強く見えない
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でも赤と青、緑と黄の組み合わせは共存できる
彼はこの現象をもとに、次のように考えました。
網膜で受け取ったRGBの信号は、
脳の中で3つの“反対色チャンネル”に変換されて処理されるのではないか?
その3つのチャンネルとは、
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赤-緑チャンネル
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青-黄チャンネル(※黄は赤+緑の合成信号)
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白-黒(明暗)チャンネル
この処理により、人間の脳は無限の色を効率よく識別できるとヘリングは考えました。
現代科学が証明した「脳内RIP」
現代の神経科学では、ヘリングの仮説はほぼ正しいことが確認されています。
網膜で受けたRGB信号は視神経を通る途中で反対色チャンネルに組み替えられ、
脳で最終的に「色」という心理的な製品になります。
印刷屋の言葉で言えば、
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網膜=スキャナー(RGB入力)
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視神経=RIP(反対色変換)
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脳=印刷工場長(色の完成品を作る)
まさに、脳は小さな印刷工場なのです。
次の章では、この脳内印刷工場がどんな流れで色を作るのか、
オレンジ色の印刷物を例に、RGB→反対色チャンネル→脳の色知覚まで追いかけます。
第2章|網膜はRGB、脳は反対色RIP
色の正体を知るには、まず光の旅路をたどってみるのが一番です。
ここでは、オレンジ色の印刷物を見たときに、光と脳がどんな会話をしているのかを追いかけてみましょう。
1. 空気中には色は存在しない
まず、太陽光は赤・緑・青をすべて含んだ白色光です。
この光が部屋や街中を飛び交っていますが、まだこの段階では世界に色は存在しません。
光はただの電磁波であり、脳に届かない限り「色」という概念は生まれないのです。
2. 印刷物で光が“削られる”
机の上に置いたオレンジ色のチラシを想像してみましょう。
印刷のオレンジは、CMYKでいうと**M(マゼンタ)+Y(イエロー)**の重ね刷りで作られています。
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Yインク … 青い光を吸収し、赤と緑を反射
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Mインク … 緑の光を吸収し、赤と青を反射
この2つが重なると──
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青はYインクに吸収される
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緑はMインクに吸収される
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赤だけが反射される
つまり、オレンジ色の印刷物は、実際には赤寄りの光だけを返しているのです。
▶併せて読みたい記事 RGBとCMYKの色はなぜ違う?赤・青は似て見えて緑・黄は全然違う理由をわかりやすく解説
3. 網膜はRGBスキャナー
反射した赤寄りの光が目に入ると、網膜に並ぶ3種類の錐体が反応します。
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L錐体(赤) … 強く反応
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M錐体(緑) … 少し反応
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S錐体(青) … ほとんど反応しない
ちなみに、緑用のM錐体も少し反応するのは、錐体の感度カーブが重なっているからです。
人間の目は、波長の順に 青(S)→緑(M)→赤(L) の3種類のセンサーを持っていて、
赤い光でも、緑用のセンサーが端っこでちょっと信号を拾うのです。
この時点で目は、ただのスキャナーのように光を電気信号に変換しているだけです。
送られているのは、赤強め+緑ちょっと+青なしという生データ。
4. 視神経がRIPで反対色変換
ここで登場するのが、ヘリングの反対色説が説明する脳の色変換工場です。
視神経は、網膜のRGB信号を3つの「反対色チャンネル」に変換します。
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赤-緑チャンネル … 赤優勢 → 「赤寄り!」
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青-黄チャンネル(※黄は赤+緑の合成信号) … 青ゼロ+赤緑あり → 「黄寄り!」
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白-黒チャンネル … 光があるので「明るい!」
この2つの色チャンネルが合成されて、脳はこう判断します。
赤寄りで、黄寄りで、しかも明るいな…
よし、これはオレンジ色だ!
5. 脳は小さな印刷工場だった
この一連の流れを印刷屋の言葉で言えば──