書体の種類と違いを完全解説!セリフ体・サンセリフ体・ブラックレター・明朝体・ゴシック体まで

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第0章|導入──「書体の違いがわからない」を解決する記事


書体の世界は専門用語だらけでわかりにくい

フォントの名前を選ぶとき、「セリフ体」「サンセリフ体」「ゴシック体」「明朝体」…といった単語を見かけるけど、違いを正確に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
さらに、欧文と和文で呼び方が違ったり、歴史的背景が複雑だったりするため、初心者にはとっつきにくい世界に感じられるかもしれません。


実は書体の基本はシンプルに整理できる

実際には、欧文書体は大きく分けてセリフ体・サンセリフ体・ブラックレターの3種類、日本語は明朝体・ゴシック体が基礎となっています。
この分類を押さえれば、デザインや印刷での書体選びがぐっと楽になり、フォントの特徴や印象を理解できるようになります。


印刷業の視点で“書体の見方”をわかりやすく解説

この記事では、印刷会社ならではの視点で書体の分類や歴史、デザインの使い分けまで徹底解説します。
「なんとなく雰囲気で選んでいた」フォントも、背景や用途を知ると選び方に自信が持てるはずです。
さらに、欧文と和文書体の呼び方の違いや、ブラックレターのような歴史的書体まで掘り下げ、**一度で体系的に理解できる“書体入門”**を目指します。


第1章|欧文書体の基本3分類(セリフ・サンセリフ・ブラックレター)


セリフ体(Serif)──文字端の“飾り”が美しさと読みやすさを生む

セリフ体(Serif)は、文字の端に小さな「飾り線(serif)」が付いた書体です。
古代ローマ時代の石碑に刻まれた文字が起源で、石碑に刻む際、筆の動きをなぞった線に自然な“フレア”が生じ、それがセリフ(飾り線)の原型と考えられています。
歴史的に最も古く、可読性に優れるため、書籍や新聞など長文印刷物で多用されてきました。

代表的な書体には以下があります:

  • Times New Roman:新聞印刷のために設計された代表的セリフ体

  • Garamond:16世紀に誕生し、今も使われる歴史的名書体

  • Baskerville:コントラストの強い上品なデザイン

セリフ体は「伝統的」「格調高い」イメージを与え、ブランドロゴや雑誌の見出しなどでも重宝されます。


サンセリフ体(Sans Serif)──装飾を削ぎ落としたモダンな文字デザイン

サンセリフ体は、文字端の小さな飾り線(セリフ)を省いたシンプルな書体です。
名前の「Sans」はフランス語で「〜がない」を意味し、直訳すれば「セリフがない文字」。

欧文サンセリフ体の最初期例は1816年頃、イギリスのCaslon IVが制作した**“Two Lines English Egyptian”で、これは28ptサイズの新しいサンセリフ書体**を指す名称でした。
「Egyptian」は当時流行した“エジプト風”の意匠を意味するマーケティング的な呼び方で、無飾書体やスラブセリフ体を指すのにも使われていました。
ただしこの試みは当時あまり普及せず、サンセリフ体が一般化したのは19世紀中頃、産業革命期の広告やポスターの大量印刷需要によってでした。

20世紀には、幾何学的デザインのFuturaや中立性を追求したHelveticaが登場し、サンセリフ体はグラフィックデザインや公共サインの世界標準に。
現在ではWebやスマホのUIでも定番となり、視認性の高いモダンな文字として生活のあらゆる場面で使われています。

代表的なサンセリフ体:

  • Helvetica:世界中の公共サインに使われる定番フォント

  • Gill Sans:英国発祥、やわらかい印象のサンセリフ

  • Futura:幾何学的デザインでモダンさを表現

サンセリフ体は「シンプル・現代的・視認性が高い」イメージがあり、デジタル環境でも読みやすいのが特徴です。


ブラックレター(Blackletter)──中世ヨーロッパの原点となった文字

ブラックレター(Blackletter)は、中世ヨーロッパで修道院写本に使われた角張った文字です。
「黒々とした文字」という意味の名前通り、文字の線が密集し、豪華で厳かな印象を与えます。
15世紀、グーテンベルクが活版印刷で最初に印刷した聖書も、このブラックレターの一種「Textura(テクスチュラ)」を使いました。

代表的なブラックレター:

  • Textura:最も角張ったブラックレター。グーテンベルク聖書の書体

  • Fraktur:16世紀以降、ドイツ語圏で広まった書体

  • Schwabacher:Fraktur以前の丸みを帯びたスタイル

現在では新聞「The New York Times」の題字やビールのラベル、ブランドロゴなどで「伝統・格式」を象徴するデザインとして用いられています。


第2章|日本語書体の分類と欧文の対応

明朝体──セリフ体に相当する日本語書体

明朝体は、日本語の標準的な本文用書体であり、欧文のセリフ体に相当します。
縦線が太く横線が細い「縦太横細」のデザインと、文字端にある「うろこ」と呼ばれる小さな飾りが特徴。
この「うろこ」が、欧文書体におけるセリフ(serif)の役割を果たしています。
江戸時代の木版印刷の書風をベースに作られ、可読性に優れるため書籍や新聞の本文に使われることが多いです。


ゴシック体──視認性を求めて誕生した日本版サンセリフ

ゴシック体は、均一な太さの線で構成されたシンプルな日本語書体で、欧文のサンセリフ体に相当します。
19世紀後半、明治期の印刷文化が西洋式に移行する中で生まれ、ポスターや新聞の見出し、看板など「遠くからでも読めるデザイン」を意識した文字として普及しました。

興味深いのはその呼び名です。当時のアメリカ英語ではサンセリフ体を“Gothic”と呼ぶことがあり、日本もそのまま輸入して「ゴシック体」という名称を使い始めました。
ヨーロッパでは“Gothic”は中世のブラックレターを意味するため、この呼び方は日本独自の言語文化から生まれたサンセリフの呼称ともいえます。


日本語書体特有のバリエーション

日本語の書体には、明朝体とゴシック体以外にもさまざまなスタイルがあります。

  • 丸ゴシック体:角を丸くした柔らかい印象の書体。看板や子ども向け印刷物で多用。

  • 楷書体・行書体:毛筆文化に由来する書風で、筆の美しさを表現。

  • 教科書体:学習用に読みやすく整えられた書体。

このように、日本語書体は文字文化の歴史を反映し、欧文書体とは違った進化を遂げています。


第3章|書体の歴史:石碑文字からデジタルフォントまで

古代ローマの石碑に刻まれたセリフの起源

セリフ(Serif)の起源は古代ローマ時代にさかのぼります。
石碑や建築物に刻まれた文字には、筆の動きをそのまま彫った跡が残っており、そのハネや止めがセリフの原型になりました。
この書風はローマン体として受け継がれ、ルネサンス時代の印刷文化の基盤になります。


中世ヨーロッパで生まれたブラックレター

中世の修道院では写本作業が行われ、羊皮紙の節約や作業効率のために、縦長で詰まった文字スタイル「ブラックレター」が広まりました。
15世紀、グーテンベルクが活版印刷で最初に印刷した聖書も、このブラックレターを使用。
文字の美しさと威厳を表す書体として長く愛されました。


ルネサンス時代のGaramondとローマン体の普及

16世紀になると、フランスのクロード・ギャラモンが美しいローマン体をデザインし、ヨーロッパ中の印刷所で広く使われるようになりました。
「書体デザインを売る」というビジネスが成立し、印刷文化の発展とともにローマン体が欧文書体の基本として定着します。


近代印刷の進化とBodoni・サンセリフ体の登場

18世紀には、印刷技術の精密化により極端な縦横コントラストを持つ「モダン・セリフ体(Bodoni体)」が登場。
19世紀にはポスターや広告の需要増加に合わせて、飾りを省いたサンセリフ体(Sans Serif)が誕生します。
このころから「文字デザイン」がビジネスやブランド戦略の一部となり、書体の多様化が加速しました。


日本の書体史:木版印刷から明朝・ゴシック体へ

日本では江戸時代の木版文化を基盤に、明治時代に欧文書体の影響を受けて明朝体が整備されました。
同時期にサンセリフを参考にしたゴシック体も登場し、看板や広告に利用されます。
この時代、日本語書体は毛筆文化を残しながらも、欧文のデザイン理論を取り入れて体系化されました。


デジタルフォント時代の到来

20世紀後半、写植からDTP(デスクトップパブリッシング)へ移行し、書体は物理的な活字からデジタルデータへ。
現在ではクラウドフォントやGoogle Fontsなどの無料文化も広がりましたが、本質的には書体は職人やデザイナーの技術資産としての価値を持ち続けています。


第4章|デザインと印刷での使い分け方

セリフ体は長文印刷や高級感の演出に最適

セリフ体(Serif)は小さな飾り線が文字をガイドする役割を持ち、可読性が高く長文向きです。
書籍や新聞、雑誌、会社案内などで多用され、信頼感や伝統的な雰囲気を演出できます。
ブランドロゴや高級商品の広告でもセリフ体は効果的です。


サンセリフ体はモダンで視認性の高いデザイン向け

サンセリフ(Sans Serif)は装飾をなくしたシンプルな書体で、モダンでクリーンな印象を与えます。
看板やポスター、スマホアプリやWebサイトなど、視認性が重要なシーンで使われることが多いです。
HelveticaやFuturaなどは世界中の公共サインや企業ロゴで定番となっています。


ブラックレターは伝統・ブランドイメージを表現

ブラックレター(Blackletter)は中世ヨーロッパを想起させるクラシックで格式高いデザインです。
新聞の題字、ビールのラベル、ブランドロゴなど、重厚感や歴史を演出したいデザインに向いています。
普段の本文では使いにくいですが、ワンポイントで効果的に使えます。


日本語書体の使い分け:明朝体・ゴシック体

  • 明朝体:書籍や新聞本文に最適。縦太横細のデザインが紙面に安定感を与える。

  • ゴシック体:看板やチラシなど視認性が重要なデザインに向く。均一な太さでインパクトが出やすい。

  • 丸ゴシック体:柔らかい印象を出したいときに便利。子ども向け教材やポップ系広告で活躍。


フォント選びは「読者体験」と「ブランド価値」に直結する

書体は単なるデザイン要素ではなく、文章の可読性やブランドのイメージを左右する重要な要素です。
印刷物・Web・広告など用途ごとに最適な書体を選ぶことは、デザインの品質を大きく高めるポイントとなります。


第5章|まとめ


書体は文化と歴史を背負った「デザイン資産」

セリフ体やサンセリフ体、ブラックレター、日本語の明朝体やゴシック体──これらは単なる装飾や選択肢ではなく、社会の価値観や歴史を映す重要なデザイン資産です。
古代ローマの碑文から中世の写本文化、ルネサンス期のガラモンによる活字デザイン、産業革命の広告文化、そしてデジタル時代の膨大なフォント群まで、書体は500年以上にわたって技術革新と文化の影響を受けながら進化してきました。


書体の体系を改めて整理

本記事では、書体の進化を時代の流れと分類ごとに整理しました。
古代ローマの碑文文字は後のローマン体やセリフ体の基礎となり、中世には宗教文化を背景にブラックレターが隆盛します。ルネサンスではガラモンのローマン体が美しさと可読性を兼ね備えた標準書体として普及。
18世紀にはバスカヴィルやボドニが印刷精度を活かした精緻な書体を生み出し、19世紀の産業革命期には広告やポスター用に視認性を重視したサンセリフ体や装飾書体が登場しました。
日本に目を向ければ、江戸時代の木版印刷から明朝体が整い、明治期には欧文書体の影響を受けたゴシック体が誕生し、現代では多彩なデジタルフォントが一般化しています。


書体を理解するとデザインの見方が変わる

こうした歴史を踏まえると、書体は「セリフ体」「サンセリフ体」「ブラックレター」「日本語の明朝体・ゴシック体」という大きな分類で捉えられます。
書籍や新聞には可読性を重視したセリフ体や明朝体、広告やポスターにはインパクトのあるサンセリフ体、伝統や権威を示すデザインにはブラックレターが使われるなど、用途に応じた選択には必ず意図があるのです。
書体を単なる文字の形ではなく歴史や文化を背負った資産として理解すると、デザインを見る目は一気に深まります。身近な文章や広告、ブランドロゴにも、選ばれたフォントの背景にある物語が見えてくるでしょう。


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