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第1章|なぜ「点(ドット)」で解像度を表すのか?
● すべての画像は「点の集まり」でできている
テレビの画面、スマホの写真、パソコンに表示されるアイコン。これらの「画像」は、すべて**無数の小さな点=ピクセル(pixel)**で構成されています。ピクセルは「picture(絵)」と「element(要素)」を組み合わせた言葉で、その名のとおり、画像を構成する最小単位です。
この「点」が集まって、私たちは画像を見ているのです。
● dpiとは何か?どれくらい細かく点が詰まっているかの単位
画像の精細さ(きめの細かさ)を示す単位が**dpi(dots per inch)です。
これは「1インチの中に、何個の点が入っているか」**を表します。
例えば:
-
72dpi → 1インチあたり72個の点(粗い)
-
300dpi → 1インチあたり300個の点(細かい)
印刷の世界では、300dpiが基本の目安とされています。これより低いと、画像がボヤけたりギザギザに見える(ジャギる)原因になります。
● なぜ「点」で表すのか?人の目は“滑らか”に騙されるから
私たちの目は、近くに並んだ点を**「線や面」として自然に認識する性質があります。これを「網膜の統合作用」**といいます。
つまり、1つ1つの点を意識して見ているわけではなく、全体としての“まとまり”で見ているのです。
そのため、点が細かくなればなるほど、滑らかで高精細に見えるという仕組みが成立します。
● Web画像と印刷画像のdpiは違う
用途 | 一般的なdpi | 理由 |
---|---|---|
Web・スマホ | 72〜96dpi | 画面表示には十分/軽いデータが必要 |
印刷 | 300dpi以上 | 細部まで高精細に出力する必要がある |
画面上でキレイに見えても、72dpiの画像は印刷すると荒れるというケースは非常に多いです。これは、画面の“光”で補正されていた粗さが、印刷すると“点の粗さ”として露呈してしまうためです。
● dpiが高ければいいってわけではない?
dpiは高いほどキレイ…ではありますが、高すぎるdpi=重たいファイルにもなります。
例えば:
-
名刺やチラシ → 300dpiで十分
-
A1ポスターなど遠くから見るもの → 200dpiでもOK
-
看板など10メートル先から見るもの → 100dpiでも目視では十分
使用目的やサイズに合わせて、適切なdpiを選ぶことが大切です。
● まとめ:dpiとは、「目に見えない点の細かさ」を数値化したもの
-
画像=点の集まり → その密度がdpi
-
300dpi=1インチに300個の点 → 滑らかな画像に見える
-
印刷では300dpiが目安。Web用画像はそれよりずっと低い
-
dpiが高すぎても意味がないことも。適切な数値を見極めよう
第2章|なぜ「線(ライン)」で印刷の細かさを表すのか?
● 印刷は“インクを紙にのせる技術”である
画像は点(ピクセル)で構成されますが、印刷の世界ではそれを紙に「どう表現するか」が別問題になります。
印刷機は、画面のように光で点を表示するのではなく、インクを使って濃淡や色を表現します。
しかし、印刷には技術的な限界があります。フルカラー写真のような**“なめらかなグラデーション”**をそのままインクで再現することはできません。
● 網点(スクリーン)という技術が誕生した
この課題を解決するために使われるのが「網点(あみてん)」と呼ばれる技術です。
写真やグラデーションを印刷する際、濃淡を細かい点の大小で表現する処理が行われます。これをスクリーン処理、またはハーフトーン処理と呼びます。
濃い部分=大きな点
薄い部分=小さな点
まったく白=点がない
というように、密度とサイズで明暗を再現しているのです。
▶併せて読みたい記事 網点とは?ハーフトーンの意味・仕組み・歴史を徹底解説|印刷と写真を変えた“点”の革命を新潟の印刷会社が紹介
● 線数(lpi)は“網点をどれだけ細かく配置できるか”の単位
ここで出てくるのが**線数=lpi(lines per inch)**です。
これは「1インチの幅に、何本の網点のラインを引けるか」を意味します。
-
100lpi=1インチに100本の線状に網点が並ぶ → やや粗い
-
175lpi=1インチに175本の線 → 非常に細かい・高品質
“線”という表現は、網点が規則正しく格子状に並んでいる様子から来ています。実際には点ですが、それが線のように見える配列であることから「線数」と呼ばれるようになりました。
● 線数が高いとどうなる?低いとどうなる?
線数 | 特徴 | 印刷物の例 |
---|---|---|
85lpi | 粗め、濃淡が強く出る | 新聞、段ボール印刷 |
133lpi | 一般的な印刷精度 | チラシ、冊子、カタログ |
175lpi | 高精細、ディテールが綺麗 | 写真集、化粧品パンフ |
200lpi以上 | 超高精細(アート印刷) | 美術印刷、高級写真集 |
線数が高いほど、画像がよりなめらかに・美しく見える一方、
・印刷機の精度が必要
・用紙の品質も問われる
・インクのにじみ対策が必要
などの課題も生じます。
● なぜ「点」ではなく「線」で表すのか?
dpiが画像の“点の密度”なのに対し、
lpiは印刷の“再現密度”であり、網点が線状に並ぶことに意味があります。
「この紙に、どれくらい細かく並べられるか?」という視点で考えると、線(lpi)で測る方が現実的なのです。
また、かつては製版作業で実際に“スクリーン線”を敷いていたことから、「線数」という呼び方が定着しました。
● まとめ:印刷は“点を線で表現する”世界
-
写真などのグラデーションを「点の集合」で表現する印刷技術=網点
-
網点が1インチに何本並べられるか → 線数(lpi)で表す
-
dpi=画像、lpi=印刷現場。どちらも重要
-
「点」と「線」の概念の違いは、媒体(画面か紙か)による
第3章|dpiと線数(lpi)の違いと関係|どちらが重要?
● dpiと線数は、まったく別物。でも切っても切れない関係
まず前提として、dpiと線数(lpi)は、用途も意味も違う単位です。
指標 | 単位 | 意味 | 適用される対象 |
---|---|---|---|
dpi | dots per inch | 画像の密度(どれだけ点が詰まっているか) | デジタル画像、スキャン、出力解像度 |
lpi | lines per inch | 印刷の網点の細かさ | 印刷機・製版の設定、用紙特性 |
つまり:
-
dpiは「どれだけ細かく作ったか」
-
lpiは「それをどれだけ再現できるか」
という関係です。
● dpiが高すぎても意味がない?その理由とは
画像を350dpi、600dpi、1200dpiで作ったとします。
でも、印刷の線数(lpi)が133lpiだったら…違いはほとんど出ません。
なぜなら、再現できる情報量(印刷の限界)はlpiで決まるからです。
画像がいくら高精細でも、印刷が粗ければ、その分カットされてしまうというわけです。
よくある例:
-
名刺やチラシを600dpiで作っても、133lpiの印刷なら300dpiと大差なし
-
Web画像を印刷用に流用 → 72dpiのまま → 画像が荒れる原因に
● 適正な関係式|dpiは「線数の2倍」が目安
印刷業界では、適切な画像解像度(dpi)は、線数(lpi)の2倍が基本とされています。
目安早見表:
印刷線数(lpi) | 推奨dpi |
---|---|
85lpi(新聞) | 170dpi |
133lpi(チラシ) | 266dpi(≒300dpi) |
175lpi(高精細カタログ) | 350dpi |
200lpi(アート印刷) | 400dpi |
※Photoshopなどでも、解像度の自動計算時にこの「2倍ルール」が適用されることがあります。
このルールを守ることで、
-
無駄に重いデータにならず
-
印刷で再現できる限界までしっかり描写される
という効率と品質の両立が可能になります。
● 重要なのは「どちらか」ではなく「最適な組み合わせ」
dpiだけ高ければよいとか、線数が高ければ完璧という考え方は間違いです。
-
解像度不足(dpiが低い)→ 網点が粗く見える
-
線数不足(lpiが低い)→ 精細画像も再現されない
-
解像度過剰 → ファイルが重く、処理が遅くなる
最適な関係を見極めるのが、印刷会社やデザイナーの仕事です。
目的・印刷方式・閲覧距離・コストによって、最適なバランスを選ぶ必要があります。
● 印刷の種類によって、線数も変わる
前章でも触れましたが、線数は印刷方式によって上限があるため、使用する印刷機に合わせてdpiを設定することも重要です。
-
オフセット印刷 → 133〜200lpi → 300〜400dpi推奨
-
フレキソ印刷 → 60〜133lpi → 150〜266dpiが現実的
-
インクジェット → dpi制御だが、元画像のdpiが低いと荒れる
● まとめ:dpiと線数の“相性”が、印刷のクオリティを決める!
-
dpi=画像の解像度、lpi=印刷の精度
-
理想の関係は「dpi ≒ lpi×2」
-
どちらが欠けてもダメ、両方が噛み合って初めて美しい印刷物に
-
無駄に高解像度で作らない。目的に応じた最適解を選ぼう!
第4章|印刷方式によって変わる線数と限界
● 線数(lpi)は、印刷方式によって“上限”がある
どんなに高解像度の画像を用意しても、それを印刷する機械がその精度に対応していなければ意味がありません。
印刷には様々な方式がありますが、それぞれに対応できる線数(lpi)の限界が異なります。
この章では、代表的な印刷方式ごとに「線数の特徴」や「得意分野」を整理します。
● オフセット印刷|高精細に強い万能印刷方式
-
線数目安:133〜200lpi
-
特徴:網点の再現性が高く、微細なトーン表現が可能
-
用途:カタログ、パンフレット、写真集、雑誌、美術印刷など
オフセット印刷は、版にインクをのせてブランケット(ゴム)を介して紙に転写する方式。
きめ細かい網点を正確に表現できるため、写真やグラデーションの再現力が非常に高いです。
高精細な印刷を求めるなら、オフセット印刷が王道です。
● フレキソ印刷|段ボールや簡易包装に強い柔軟型
-
線数目安:60〜133lpi
-
特徴:柔らかい版で、段差のある素材にも印刷可能
-
用途:段ボール、紙袋、米袋、簡易包装など
フレキソ印刷は、柔らかい樹脂版を使って印刷する方式です。
段差のある素材、吸水性の高い紙などにも対応できますが、インクのにじみや版の変形が起きやすく、高線数の再現には限界があります。
ただし、近年の技術進化により80〜100lpi以上の精細表現も可能になってきました。
● 新聞印刷(輪転機)|スピード重視で粗めの再現
-
線数目安:85〜100lpi
-
特徴:大量・高速印刷向け/インクの乾きが早い必要がある
-
用途:新聞、折込チラシ、大量流通系の印刷物
新聞印刷は「とにかく速く、安く、大量に」が基本。
速乾性の高いインクを使うため、滲みやすく、あえて粗めの網点で印刷します。
その分、細かい写真表現や細字には向きません。
● インクジェット印刷|線数ではなくdpiで制御する方式
-
線数:概念がやや異なる(lpiで測らない)
-
特徴:画像データを直接インクで再現(ドロップ制御)
-
用途:ポスター、ラベル、小ロット印刷、オンデマンド印刷
インクジェットは網点処理を必要とせず、dpi単位で制御するデジタル方式です。
そのため、線数ではなく解像度(dpi)そのものが印刷品質を左右します。
設定によっては1200dpi以上の高解像度も可能で、オンデマンド印刷の分野では主流となっています。
● 比較まとめ|印刷方式ごとの線数・適正dpiの目安
印刷方式 | 線数(lpi) | 推奨dpi | 主な用途 |
---|---|---|---|
オフセット | 133〜200 | 266〜400 | 写真、冊子、高級印刷物 |
フレキソ | 60〜133 | 150〜266 | 段ボール、パッケージ |
新聞印刷 | 85〜100 | 170〜200 | 新聞、折込チラシ |
インクジェット | ―(dpi制御) | 300〜1200 | ポスター、小ロット印刷 |
● 線数と用紙の相性も忘れてはいけない
-
高線数はインクのにじみに弱い → 表面が滑らかな用紙が必要
-
粗い用紙(上質紙・クラフト紙) → にじみやすく低線数向き
-
コート紙やアート紙 → 高線数でも精細に再現可能
つまり、「印刷方式 × 用紙 × 線数 × dpi」の組み合わせ全体で最適化する必要があるのです。
第5章|身近な印刷物で見る“点と線”の違い
● ルーペでのぞいてみよう。印刷の「正体」は網点だった!
普段私たちが見ている印刷物は、遠目にはなめらかで美しく見えます。
しかし、拡大してルーペでのぞいてみると…驚くべき発見があります。
写真やグラデーションが「無数の小さな点=網点」で構成されているのです。
黒、シアン、マゼンタ、イエローの点が並んでおり、近くで見ると「点の集合」ですが、遠目には滑らかな画像に見えるようになっています。
● 実例比較|こんなにも違う!dpiと線数の“見た目”
印刷物 | 線数(lpi) | 見え方の特徴 |
---|---|---|
新聞 | 約85lpi | 網点がはっきり見える。ザラついた印象。 |
チラシ | 約133lpi | 網点がやや細かく、写真がそれなりに再現されている。 |
写真集 | 約175lpi〜 | 網点は肉眼ではほとんど見えず、写真そのもののように見える。 |
ポスター(インクジェット) | dpi制御 | 網点なし。微細なインク粒で写真のような再現が可能。 |
この違いを“体感”するには、新聞と写真集を比べてみるのが一番わかりやすいです。
● スマホやパソコンの画面は“dpiの世界”
紙の印刷物は「点(dpi)→網点(lpi)」の変換が必要ですが、
ディスプレイに表示される画像は、最初から点=ピクセルの世界です。
-
スマホ画面 → 300〜500dpi相当の高精細
-
画像をズームすると、「四角い色のついた点」が並んでいるのがわかる
-
点の密度=表示のなめらかさ
これに比べて印刷物は、インクと紙という物理素材で再現する分、網点という工夫が必要になります。
● 印刷における「点」と「線」の役割を再確認
-
dpi(点)=どれだけ情報を持った画像か?
-
lpi(線)=その情報をどれだけ細かく表現できるか?
この2つが高水準でバランスしていると、印刷物の完成度は一気に上がります。
つまり、「きれいな印刷物」とは、
-
高解像度(高dpi)な画像を用意し、
-
適切な線数(lpi)で印刷し、
-
用紙や印刷方式と相性のいい設定を選ぶ
という複数の要素がうまくかみ合った成果物なのです。
● まとめ:あなたの身の回りには“点と線の芸術”があふれている
新聞、チラシ、カタログ、パッケージ…
それらはすべて「点と線の技術」によって、私たちの目を楽しませています。
一見ただの印刷物でも、その裏には「画像(dpi)と印刷(lpi)」という緻密な掛け算の世界が広がっていることを、ぜひ覚えておいてください。
第6章|印刷データを作るときに気をつけるポイント
● 解像度設定は“最初から”が鉄則
画像データを作るときに最も重要なのが、「最初に正しい解像度で作成すること」です。
-
PhotoshopやIllustratorで新規作成する際、解像度を300dpiに設定
-
途中でサイズ変更や拡大をすると、dpiが下がって画像が劣化する
「あとで拡大すればいいや」はNG!
画像は後からdpiを上げても、画質がよくなるわけではありません。(※ただの補間処理)
● 引き伸ばしに注意!実寸でdpiを保つ
たとえば、600×600ピクセルの画像があります。
-
名刺サイズ(約5cm)に使う → 約300dpiでOK
-
A4サイズ(21cm)に拡大 → 約72dpiしかない! → 粗くなる!
つまり、画像を引き伸ばすほどdpiは下がるため、使う予定のサイズで考えておくことが重要です。
● Web用画像は印刷には使えない?
よくある失敗例がこちら:
「会社のWebサイトに使ってるロゴを、そのままチラシに使ったらボヤけた…」
→ これは、Web用ロゴ(72dpi)を印刷用(300dpi)に流用した結果です。
Web用画像は軽さを優先しているため、印刷には不向きです。
できるだけ元のaiデータやベクター形式のロゴデータを使うようにしましょう。
● Illustratorで画像を配置する時の注意点
Illustratorに画像を配置する際、リンク配置と埋め込み配置の2通りがありますが、どちらでも大事なのは:
-
配置画像の解像度を必ず確認(リンク先を開く)
-
300dpi未満なら再スキャン・再取得を検討
-
Photoshopで事前に調整しておくのがベター
また、画像を縮小して配置するときも「実寸で何dpiか」を確認しましょう。
(見た目が小さくても、dpiが低ければ荒れる)
● フレキソ印刷ならではの注意点も
フレキソ印刷(特に段ボールやクラフト紙など)で使う場合は、以下にも注意:
-
網点が粗めなので、細かすぎる文字や画像は潰れる可能性
-
ベタ面や太めの線画の方が向いている
-
解像度は150〜266dpi程度が現実的な上限(紙質や版にもよる)
このように、印刷方式によってデータの作り方や期待できる精度が変わるため、あらかじめ印刷会社に相談するのがベストです。
● 最終チェックリスト(デザイナー向け)
チェック項目 | OK基準 |
---|---|
解像度設定 | 300dpi以上(使用サイズに応じて) |
使用画像 | 拡大しすぎていない?荒れていない? |
ファイル形式 | ai、psd、tiff、epsなど高解像度対応形式 |
リンク画像 | 解像度やパスの確認済み? |
印刷方式 | オフセット?フレキソ?インクジェット? |
用紙の種類 | にじみや質感を考慮したデザインになっている? |
● まとめ:印刷データは“最初の設定”で9割決まる!
-
dpiは後から上げても意味がない。最初から正しく設定しよう
-
印刷サイズに対して「実際に何dpiあるか?」を常に意識
-
フレキソなどの印刷方式には、画像の向き・不向きがある
-
困ったときは、遠慮なく印刷会社に相談を!
第7章|まとめ|点と線を理解すれば、印刷はもっと上手くなる!
● dpiとlpi、それぞれの役割はまったく違う。でも、どちらも超重要
このブログで繰り返しお伝えしてきたのは、次のポイントです:
-
**dpi(ドット・パー・インチ)**は、画像そのものの解像度=“点の密度”
-
**lpi(ライン・パー・インチ)**は、印刷における網点の細かさ=“線の密度”
つまり、「作る側(画像)」と「刷る側(印刷)」の基準が違うということ。
この2つが適切にかみ合ったとき、はじめて美しい印刷物が仕上がります。
● 高ければいいわけじゃない。大切なのは“バランス”
-
画像を600dpiで用意しても、印刷が100lpiでは宝の持ち腐れ
-
一方で、高線数で印刷できる環境に、72dpiの画像を入れたら台無し
-
だからこそ、「どの印刷方式に、どの解像度で臨むか」の設計がカギ
これは、料理でいうところの「食材(dpi)と調理法(lpi)」の関係に似ています。
良い素材を、良い手法で、バランスよく使えば最高の一皿=印刷物ができるのです。
● 印刷を「見抜く目」が養われると世界が変わる
このブログを読んで、印刷物を見る目が変わった方もいるはずです。
-
新聞は粗めの網点で、濃淡が大胆
-
写真集はまるで紙に“画像が染み込んでいる”ような滑らかさ
-
看板やポスターは遠くから見た時に美しく、近づくと粗さがある
そんなふうに、印刷物の裏側にある「点と線の工夫」を知ると、ありふれたチラシ一枚も“技術の塊”に見えてくるのです。
● 最後に:プロの印刷会社は「点と線の翻訳者」
印刷会社の仕事は、画像データという“点の世界”を、インクと紙という“線の世界”に落とし込むこと。
私たちは、点と線のバランスを整え、最適な表現を引き出す職人です。
もしあなたが印刷で困っていたり、もっと美しく仕上げたいと思っているなら、ぜひ一度ご相談ください。
新潟の印刷会社「新潟フレキソ」が、あなたの“点”を最高の“線”に変えてみせます。
【まとめ一覧】
用語 | 意味 | 関連性 |
---|---|---|
dpi(dots per inch) | 画像の解像度 | 作成側が設定する数値 |
lpi(lines per inch) | 印刷の線数 | 印刷側が再現できる限界 |
関係性 | dpi ≒ lpi × 2 | 適切なバランスが仕上がりを決める |
印刷方式 | オフセット、フレキソ、新聞、インクジェット | それぞれ線数に限界がある |
注意点 | 画像の拡大に注意、Web画像の流用NG | 最初の設定が超重要 |
📝 コラム|線数って呼ぶなら「点数」って言わないの?
● えっ、「線数」って言うなら「点数」って言わないの?
印刷やデザインの現場でよく登場する専門用語に「線数(lpi)」と「dpi(解像度)」があります。
ここで、多くの人が一度はこう思うのではないでしょうか?
「線数って“線の数”なんでしょ?じゃあdpiは“点の数=点数”って呼ばないの?」
…実はこの感覚、半分正解で半分不正解。
この“違和感”の正体をここで明らかにしておきましょう。
● 線数は「網点の並び密度」=線で表せるから線数
「線数(lpi)」は、印刷で使用される網点(ハーフトーン)の並びの密度を示す単位です。
-
網点を線状に並べて再現する印刷技術(スクリーン処理)に基づいて
-
1インチあたりに並ぶ“スクリーン線”の数 → lines per inch
つまり**「並び方」が主役なので、「線の数」として数えるわけです。**
● 一方dpiは「画像の点の密度」だけど、“数”としては扱わない
一方、dpi(dots per inch)は、デジタル画像の**解像度(=密度)**を表します。
-
「1インチ内に何個のドットがあるか?」という密度の単位
-
表示の滑らかさや印刷再現に影響する
たしかに、1インチあたりの「点の数」を示しているので、「点数」と呼びたくなる気持ちはよくわかります。
ですが、dpiは“物理的な数”ではなく“密度”の概念。
「点数が300ある」ではなく「300dpiの解像度がある」と言うのが正しい表現です。
● さらにややこしい「点数」という言葉の別の意味
印刷業界では「点数」という言葉自体がまったく別の意味で使われます。
たとえば:
-
「このページには写真が3点(=3枚)あります」
-
「商品点数が100点あります」
このように、**「点数=掲載物の個数や種類」**としての意味が定着しているため、
dpiを「点数」と言ってしまうと、別の意味に誤解されるリスクがあるのです。
● まとめ:呼び方の違いには、“測りたい対象”の違いがある
用語 | 単位 | 測っているもの | なぜこの呼び名? |
---|---|---|---|
dpi | dots per inch | 点の密度(画像の細かさ) | 点の“密度”を表すので、数ではなくdpi |
線数(lpi) | lines per inch | 網点の並び密度 | 並びが“線”で見えるため「線数」 |
点数(業界用語) | ― | 図版や商品の数 | 「何点使ってるか」を数える表現 |
● 用語のズレに気づくと、印刷が一気におもしろくなる
印刷業界やデザイン現場には、直感とはズレた専門用語が多くあります。
でも、そのズレにはすべて理由があり、技術や歴史に裏付けされた言葉選びなのです。
「なぜ線数なのに点数じゃないの?」と感じたあなたは、すでにプロの視点に近づいています!
\株式会社新潟フレキソは新潟県新潟市の印刷会社です。/
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