段ボール印刷の印版は“樹脂のスタンプ”!フレキソ印刷の仕組みと工程を解説

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第0章|段ボールの印刷ってどうなってるの?スタンプみたいなアレの正体


段ボールに印刷されている文字やロゴ、どうやって作ってる?

通販の箱やスーパーのバックヤードに積まれた段ボール。
よく見ると、会社名やロゴ、注意マークまでしっかり印刷されています。
でも、あれってどうやって印刷されているのか、考えたことはありますか?

多くの人は「大きなプリンターで印刷してるのかな」と思いがちです。
けれど実際は、プリンターではありません。


印刷の主役は「印版」という巨大なスタンプ

段ボール印刷の現場では**「印版(いんばん)」**と呼ばれる、大きなスタンプのような道具を使います。
印版にインクをつけ、段ボールに押し当てて絵や文字を転写しているのです。

しかも、この印版はゴムではなく**「感光性樹脂」**という特殊な素材で作られています。
光でデザインを焼き付け、精密に加工された印版は、ブランドロゴや細かい文字もくっきり再現できます。


印版は段ボール印刷の“心臓部”

つまり、段ボールの見た目を決める重要なパーツが、この印版です。
印版の精度が高ければ、印刷の仕上がりも美しくなります。
次の章では、この印版の正体と、段ボール印刷に欠かせない「フレキソ印刷」という方式について、さらに詳しく解説します。


第1章|印版ってなに?──段ボールに使われる“樹脂のハンコ”の正体


印版は段ボール印刷専用の「スタンプ」

印版(いんばん)とは、段ボールや紙袋などの印刷に使う“版”のことです。
形状はスタンプに似ており、デザイン部分が盛り上がっているため、インクをつけて押すと段ボールにそのまま模様や文字が転写されます。

この方法は「フレキソ印刷」と呼ばれ、段ボールのように表面がデコボコした素材にも、はっきりとした印刷を行うために最適化されています。


ゴムじゃない?印版の素材は「感光性樹脂」

一般的なスタンプはゴム製ですが、段ボール印刷で使う印版は感光性樹脂で作られます。
これは光に反応して固まる特殊な樹脂で、細かい文字や複雑なロゴも精密に再現できます。

印刷会社によって使用する材料は異なりますが、品質の良い印版ほどインクのにじみやカスレが少なく、ブランドロゴの印象をきれいに保つことができます。

段ボール印刷用の樹脂版/フレキソ版


印版の精度が印刷品質を左右する

段ボールの印刷は、版が直接素材に触れるため、印版の精度が仕上がりに直結します。
少しでも版が劣化していると、文字が太ったり、細い線が潰れたりします。

だからこそ、印版の製作精度や素材選びは非常に重要。
この「版のクオリティ」が、実は段ボールの見た目を決める最大のポイントなのです。


第2章|フレキソ印刷とは?──段ボール印刷に使われる特殊な印刷方式


フレキソ印刷は“柔らかい版”で印刷する方法

フレキソ印刷(Flexographic printing)とは、柔軟性のある版(フレキシブル版)を使って印刷する方式のことです。
段ボールや紙袋、ビニール袋など、表面に凹凸がある素材にもきれいに印刷できるのが特長です。

この「フレキソ」という名前も、英語の“Flexible(柔らかい)”が由来。
段ボールのデコボコに沿って版がしなやかに密着し、インクをきれいに転写してくれます。


水性インク+高速乾燥=環境にも優しい

フレキソ印刷では水性インクを使うのが主流です。
溶剤系インクに比べて匂いが少なく、乾きも早いので、大量生産に向いています。
さらに環境への負荷も小さいため、食品や医療関係のパッケージにも広く採用されています。


段ボール印刷にフレキソ印刷が選ばれる理由

  • 凹凸のある段ボール表面にも、にじみやかすれを抑えて印刷できる

  • 高速生産に対応し、大量ロットでもコスト効率が良い

  • インクや版を替えることで、色やデザインの変更も柔軟に対応可能

こうした特性から、段ボール業界ではほぼ標準として使われているのがフレキソ印刷です。
そして、このフレキソ印刷を支えているのが、前章で紹介した感光性樹脂でできた印版なのです。


▶併せて読みたい記事 液状感光性樹脂版とは?ダンボール印刷に革新をもたらす技術


第3章|なぜ印版が必要?プリンターでは印刷できない理由


段ボールは家庭用プリンターでは印刷できない

家庭やオフィスで使うインクジェットプリンターやレーザープリンターは、基本的に薄くて平らな紙専用です。
段ボールのように厚く、表面がデコボコしている素材は、プリンター内部を通すことができません。
仮に通せたとしても、インクが均一に乗らず、文字やロゴがかすれてしまいます。


印版なら段ボールの凹凸にも対応できる

印版を使うフレキソ印刷では、版がしなやかにたわみながら段ボール表面に密着します。
そのため、家庭用プリンターでは難しい「段差や凹凸を越えての印刷」が可能です。
特に段ボールのフルート(波型芯材)による段差を吸収できるのは、大きなメリットです。


大量印刷に向いた“スタンプ方式”

印版による印刷は、仕組みとしてはスタンプに近く、1回の転写で広い面積を一気に印刷できます。
これにより、何千枚・何万枚という大量生産でもスピードを落とさず、均一な仕上がりを保てます。
プリンターのように1枚ずつゆっくり吐き出す必要がないため、大ロットの段ボール生産には最適です。


品質を保つには印版の精度が重要

段ボールの印刷品質は、ほぼ印版の精度で決まります。
版が劣化していれば、どんなに優れた印刷機を使っても仕上がりは崩れてしまいます。
だからこそ、高精度で耐久性のある印版を選ぶことが、長期的な品質維持に直結します。


第4章|印版はどうやって作る?──光で焼き付ける“版”の製造工程


感光性樹脂を使った精密な版づくり

段ボール印刷で使われる印版は、感光性樹脂と呼ばれる特殊な素材で作られます。
これは光に反応して硬くなる性質を持っており、細かい文字や繊細な模様を正確に再現できます。
一般的なゴムスタンプと違い、ミリ単位の精度が求められるのが特徴です。


製造工程は“光で絵柄を焼き付ける”

  1. 版の原板を準備
     感光性樹脂を機械にセットします。

  2. デザインを焼き付け
     データをフィルムに出力し、樹脂に重ねてセットし、光を照射します。
     光が当たった部分だけが硬化し、盛り上がって残ります。

  3. 不要部分を洗い出す
     硬化していない樹脂を洗い流し、デザイン部分だけを残します。

  4. 乾燥・仕上げ
     残った版を完全に乾燥させ、エッジ(輪郭)を整えて完成です。


材料による品質の違い

感光性樹脂の種類や硬度によって、印刷の仕上がりや耐久性は大きく変わります。
弊社では旭化成の**テナフレックス™**を採用し、細い線や小さな文字もつぶれにくい高精度な印版を製作しています。
こうした品質の違いは、印刷後の見た目やブランドイメージに直結します。


職人技とデジタル技術の融合

現代の印版づくりは、デジタル製版機による精密な光学加工と、最終的な手作業による調整が組み合わされています。
細部にまでこだわった版があるからこそ、段ボール印刷は美しく、均一な仕上がりを保てるのです。


第5章|まとめ:段ボール印刷の裏にある“技術のスタンプ”


段ボール印刷は、見えない技術の積み重ね

普段何気なく目にしている段ボールの文字やロゴ。
そのきれいさや読みやすさは、印版という見えない存在によって支えられています。
感光性樹脂で作られた精密な版が、段ボールの凹凸に合わせてしなやかに密着し、インクを美しく転写しているのです。


印版の質がブランドの印象を決める

段ボールは単なる梱包材ではなく、商品や企業の顔でもあります。
もしロゴがかすれていたり、文字がつぶれていたりすると、ブランド全体の印象が損なわれかねません。
だからこそ、印版の精度や素材選びは、デザインと同じくらい重要な要素なのです。


最後に──印版までこだわるという選択肢

段ボール印刷の仕上がりは、機械やインクだけでなく、版のクオリティで大きく変わります。
発注者が「印版にもこだわる」ことで、商品の価値やブランドイメージはより高まります。
段ボールを発注する際は、ぜひ印版の質にも注目してみてください。
それが、見えない部分での差別化につながります。


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