段ボールの「A式」とは? 形式・種類・用途を解説|通称“みかん箱”、JISでは0201形

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0章|A式段ボールとは?最初に結論


A式段ボール(0201形)/ダンボール箱の形状・種類

A式段ボール=もっとも汎用性の高い段ボール箱

A式段ボールは、上下のフラップ(ふた)をテープで閉じるタイプの箱で、段ボールの中でも最も一般的な形状です。
強度・コスト・生産効率のバランスが非常に優れており、引っ越し・通販・農産物の出荷など、あらゆる場面で使われています


「みかん箱」と呼ばれる理由

一般家庭で「みかん箱」という呼び名が定着したのは、昭和時代にみかんの出荷用段ボールがすべてA式だったからです。
オレンジ色のイラストや産地名の印刷が強く印象に残り、業界用語よりも親しみやすい名前として広まりました。


このブログで分かること

この記事では、

  • A式段ボールの定義と構造

  • 「みかん箱」と呼ばれるようになった歴史

  • 用途・選び方・印刷のポイント
    を印刷会社の視点から解説します。

最後まで読めば、「段ボールA式」と「みかん箱」の違いや共通点を理解し、発注や選定で失敗しない知識が手に入ります。


第1章|A式段ボールの定義と特徴


A式段ボールの構造と呼び名の由来

「A式段ボール」とは、上下に4枚のふた(フラップ)がついた、もっとも一般的な形の段ボール箱です。フラップを内側に折り込んでテープで封をするこの箱は、シンプルで強度があり、梱包・保管・輸送に適した汎用型として多くの業界で使われています。

この構造は、現行のJIS規格(JIS Z 1507)では**「0201形」**として定義されています。国際的にも標準化された形式で、海外ではFEFCOコード(European Federation of Corrugated Board Manufacturers)で「0201」として呼ばれます。

では、日本でなぜ「A式」と呼ばれているのでしょうか。

その背景には、旧JIS規格(廃止済み)でこの形状が「A-1式」として分類されていた歴史があります。JISではかつて、段ボール箱の形状をアルファベットと数字の組み合わせで体系化しており、その名残として「A式」という呼び名が定着しました。

現場や仕様書などでの伝達を簡素化するため、「A式」「B式」「C式」などの略称が使われるようになり、なかでも最も基本的な形状である「A式=0201形」は、今でも業界内で広く通用しています。


特徴と汎用性の高さ

A式段ボールの最大の特徴は、強度・コスト・使いやすさのバランスです。

  • 【強度】フルート(波形芯)とライナー(表裏紙)の組み合わせで、重量物にも対応

  • 【コスト】大量生産が容易で単価が安い

  • 【汎用性】食品、工業製品、引っ越し、通販、農産物出荷など幅広く対応

特に、農産物ではみかんやリンゴなどの出荷用として長年使われ、「みかん箱」という通称が全国に広がりました。


第2章|なぜA式は“みかん箱”と呼ばれるのか


みかん箱の通称が生まれた背景

昭和30〜40年代、日本の冬の定番だったのが「みかんの箱買い」です。
当時、みかんの出荷用には全国的にA式段ボールが使われていました。

その理由は、

  • 上下フラップをテープで閉じるシンプル構造で出荷効率が高い

  • 強度があり、重さのある果物でも輸送中につぶれにくい

  • 印刷面積が広く、産地名やブランドロゴを目立たせられる
    という利点があったからです。


消費者の記憶に残った「みかん箱」

当時のA式段ボールには、側面に大きなみかんのイラストや鮮やかなオレンジ色の印刷が施されていました。
このビジュアルと冬の生活習慣が相まって、一般家庭では「A式」という業界用語よりも**「みかん箱」という呼び方のほうが親しまれる**ようになりました。
やがて業者同士の会話でも通じるほど、この通称は全国に定着したのです。


A式=万能箱の象徴

みかん箱として広く使われたことで、A式段ボールは果物出荷にとどまらず、家財や食品、工業製品などあらゆる梱包に使える万能箱としての地位を確立しました。
その普及のスピードと知名度は、段ボール業界における“スタンダード”という立場を揺るぎないものにしました。


第3章|A式段ボールの構造と部位名称


A式段ボールの基本構造

A式段ボールは、一枚の段ボールシートを切り抜き・折り曲げて作られたシンプルな箱型構造です。
平らな状態で納品され、使用時に折り起こして上下のフラップ(ふた)を閉じ、テープで固定します。
この構造は生産・輸送・保管の効率が高く、組み立てが簡単なのが特徴です。


段ボールの三層構造

段ボールは、以下の3つの層で構成されています。

  • ライナー(表ライナー・裏ライナー)
    表面と裏面を覆う板紙。強度と印刷適性を左右します。

  • フルート(中芯)
    波形に成形された芯材。段の高さによって強度やクッション性が変わります。

  • 接着層
    ライナーとフルートを貼り合わせるための糊層。耐水性や耐久性にも影響します。


フラップ(ふた)とその役割

A式段ボールの上下には、それぞれ4枚の**フラップ(ふた)**があります。

  • 上フラップ(トップフラップ):商品を入れたあと封をする部分

  • 下フラップ(ボトムフラップ):底面を形成し、荷重を支える部分

これらをガムテープやクラフトテープで固定することで、箱としての機能を発揮します。


フルートの種類と選び方

A式段ボールに使われるフルートには、主に次の種類があります。

  • Aフルート:厚さ約5mm、強度と緩衝性が高い

  • Bフルート:厚さ約3mm、印刷適性が良く、細かいデザイン向き

  • Eフルート:厚さ約1.5mm、薄く軽量で、ギフトや小物向け

  • Wフルート:異なるフルートを二重にした高強度仕様

用途や輸送条件に応じて、フルートの種類を選ぶことで、無駄なコストや破損リスクを減らせます


第4章|A式段ボールのメリットとデメリット


A式段ボールのメリット

A式段ボールが最も普及している理由は、強度・コスト・汎用性のバランスが優れているからです。

  • 高い強度
    フルートとライナーの組み合わせにより、重い荷物や積み重ねにも耐えられる。

  • 低コスト
    製造工程がシンプルで大量生産が容易なため、単価を抑えられる。

  • 用途の広さ
    農産物、工業製品、引っ越し、通販など幅広く対応可能。

  • 再利用・リサイクルが容易
    環境面でも評価が高く、企業のSDGs活動にも貢献。


A式段ボールのデメリット

  • 組み立ての手間
    上下フラップをテープで封緘する作業が必要。

  • 小ロットでは割高
    生産効率が高い反面、小数量発注では単価が上がる場合がある。

  • 形状の自由度が低い
    基本形状が決まっているため、特殊形状の梱包には不向き。


他形式との比較表

項目 A式(0201形) B式(キャラメル箱) C式(身蓋式)
組立作業 テープで上下を封緘 差し込みで組立 蓋と身を別パーツで使用
強度 高い 中程度 低〜中
印刷適性 良い(Bフルートで高精細対応) 非常に良い 良い
コスト 低い(大量生産向き) 中程度 高め
主な用途 農産物・工業製品・通販 菓子箱・軽量物 高級品パッケージ

総評

A式段ボールは万能型のスタンダードです。
他形式より強度・コスト・量産性で優れており、特殊用途でない限りほとんどの梱包に対応できます。
ただし、デザイン性や開封のしやすさを重視する場合はB式やC式を検討すると良いでしょう。


第5章|A式段ボールの主な用途


農産物の出荷(“みかん箱”の原点)

冬の柑橘類をはじめ、リンゴ・野菜など重量×通気×積み重ねが必要な場面で強みを発揮します。AフルートやWフルートで底抜けを防ぎ、側面に産地ロゴを大きく入れる設計が定番。湿気が気になる流通では耐水系ライナーの選択が有効です。

通販・EC(宅配サイズ最適化)

ネット通販ではコスパと作業性が命。0201形はフラット納品→起こしてテープ留めの動線が短く、梱包作業の標準化に最適です。ゆうパケット・宅配60/80/100サイズに合わせた内寸設計で、緩衝材コストと送料を同時に圧縮できます。

工業部品・日用品の梱包(強度と積載効率)

ネジ・樹脂部品から家電小物まで、棚卸し・出荷・保管の全工程で扱いやすいのがA式。パレット段積み前提なら、Bフルートで印刷性を確保しつつ、底面は内貼り補強やWフルートで荷重対策──が現場の定石です。

引っ越し・長期保管(再利用性の高さ)

衣類・書籍・食器など内容物のばらつきに強い万能箱。使用後の折り畳み保管・リサイクルが容易で、自治体の資源回収にも乗せやすい設計。ガムテープ1本で運用できるのも非現場スタッフに優しいポイントです。

ギフト・店頭ディスプレイ(見た目と機能の両立)

E/Bフルートを使い分ければ、印刷の精細感×堅牢性を両立。内装に仕切りや中枠を追加して**“開けて美しい”体験を設計できます。外装はA式で物流を安定化、内箱はB式やC式の意匠箱──という二層構成**も王道です。


第6章|失敗しないA式段ボールの選び方


サイズは「内寸基準」で決めるのが基本

段ボールのサイズは、「内寸」と「外寸」のどちらで考えるかが重要です。
商品や荷物が中に入るかどうかを考える場合は、必ず**内寸(内側の寸法)**で判断しましょう。

たとえば、商品がピッタリ入りそうに見えても、段ボールの厚みによって内寸が狭くなり、実際には入らないこともあります
とくに通販や保管用途では「内寸基準」が失敗しないコツです。


フルートの種類は「中身の重さ」で選ぶ

段ボールの真ん中にある波形の芯材部分を「フルート」と呼びます。
このフルートの種類によって、箱の強さやクッション性が変わります。

フルート種 厚みの目安 特徴 向いている用途
Aフルート 約5mm 強度・緩衝性が高い 果物・重い荷物の発送など
Bフルート 約3mm 強度と軽さのバランス 通販・雑貨・保管用など
Eフルート 約1.5mm 薄くて軽量 小物・軽量品・ギフト用
Wフルート 約8mm 二重構造で強度が最強 工業部品・重量物・輸出用

荷物が重い場合はAやW、軽量で省スペース重視ならBやEというように、中身に合わせてフルートを選ぶことが大切です。


材質によって印象も耐久性も変わる

段ボールの表面には、「ライナー」と呼ばれる紙が使われています。
このライナーには種類があり、用途によって見た目や性能が変わります。

  • クラフト紙(茶色) … 強度が高く、コストも抑えられる一般的な素材

  • 白ライナー紙 … 見た目が明るく、清潔感やブランド感を出したいときに使われる

  • 耐水紙 … 野菜や水産物など、湿気に強くしたい場合に使用される

とくに保管・流通が長時間に及ぶような場面では、見た目以上に材質選びが重要です。


発注時のチェックポイント

段ボールを選ぶ際には、以下の3点を押さえると失敗を防げます。

  1. 入れたい物のサイズに合っているか(内寸基準)

  2. 重さに対して十分な強度があるか(フルート選び)

  3. 保管や輸送環境に適した材質になっているか

これだけ確認しておけば、たとえ初めての発注でも大きなミスにはつながりません。


第7章|まとめ:A式段ボールは“万能箱”


一番使われているには、理由がある

段ボール箱にはさまざまな形がありますが、その中でもA式段ボールが最も多く使われているのには、しっかりと理由があります。
構造はシンプル、組み立てやすく、強度も十分。しかも保管や輸送の効率も高い──梱包資材として理想的なバランスを備えているからです。


みかん箱から始まった“暮らしの定番”

昭和の時代、多くの家庭に届いた「みかん箱」。
それこそが、今でいうA式段ボールの姿でした。

あのオレンジ色の箱を覚えている人も、最近ネット通販で届いた荷物を開けた人も、知らず知らずのうちにA式段ボールに触れています。
そう、A式は**誰もが一度は使ったことのある“生活の定番形”**なのです。


選ぶときは「サイズ・強度・材質」の3点だけ意識

どんなに使い勝手が良くても、選び方を間違えればトラブルの元。
A式段ボールを選ぶときには、以下の3点をチェックしておけば安心です。

  • 中に入れるもののサイズに合っているか(内寸基準)

  • **重さや用途に応じた強度(フルート)**が選ばれているか

  • 輸送や保管に適した材質が使われているか

この3つさえ押さえれば、あとは箱があなたの仕事をしっかり支えてくれます。


A式は、これからも“箱のスタンダード”であり続ける

時代が変わっても、荷物がある限り「段ボール箱」は必要です。
そしてその中でもA式は、もっとも信頼できる箱のかたちとして、これからも使われ続けるでしょう。

あなたの会社でも、あなたの家でも、そして日本中の物流の現場でも。
A式段ボールは、いつだって静かに“中身”を支えています。


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