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0章|導入──色は“無属性”なのに、私たちは意味をつける
色には、本来、重さも軽さもありません。
硬くも柔らかくもなく、温度もありません。
それなのに私たちは、平気でこう言います。
「この色は重いね」
「もっと柔らかい色にしよう」
「暖色でまとめよう」
物理学的にいえば、どれも根拠はありません。
色はただ、特定の波長の光が目に入り、脳がそれを認識しただけの現象です。
それでも私たちは、色に性格や感情、温度や重量までも与えます。
なぜこんな不思議なことが起きるのでしょうか。
このブログでは、心理学・言語学・デザインの3つの視点から、
「色にない属性を人が勝手につけてしまう理由」を解き明かします。
第1章|色は物理的に“無属性”──重さも温度もない存在
色とは何でしょうか。
科学的にいえば、色は物質の属性ではありません。
色は、特定の波長の光が目に入り、脳が作り出した感覚にすぎません。
たとえば、赤いリンゴを見て「赤い」と感じるとき、
リンゴ自体が赤い物質を放っているわけではありません。
-
太陽光や照明の白色光がリンゴに当たり
-
そのうち赤以外の波長が吸収され
-
反射した赤い波長が目に入り
-
網膜と脳がそれを「赤」として認識する
このプロセスのどこにも、重さ・硬さ・温かさは存在しません。
あくまで私たちが感じているのは「波長の違いによる視覚の差」だけです。
物理学的に言えば、色はただの電磁波の一部であり、
触れれば冷たいわけでも熱いわけでも、硬いわけでも柔らかいわけでもないのです。
💡 ワンポイントコラム:温度がありそうで、ない
「暖色」「寒色」という言葉がありますが、実際の光の温度とは無関係です。
赤い光が熱く、青い光が冷たいように思うのは、心理的・文化的な連想に過ぎません。
現実の物理現象でいえば、青い光のほうが波長が短く、エネルギーはむしろ高いのです。
第2章|それでも人は色に意味をつける──脳が生む“心理的属性”
物理的には何の属性もない色。
それでも私たちは、無意識のうちに色に性格や感情を与えてしまいます。
なぜこんなことが起きるのでしょうか。
1. 脳は「過去の経験」で色に意味を与える
人間の脳は、見た色を過去の経験と結びつけて解釈します。
たとえば、暗い色を見ると「重い」と感じるのは、次のような経験則があるからです。
-
重い物は影が濃く暗い → 暗色は「重い」イメージ
-
明るい物は光をよく反射する → 明色は「軽い」イメージ
-
暖かい物は赤みがある(火・太陽) → 赤系は「暖かい」イメージ
-
冷たい物は青白く見える(氷・金属) → 青系は「冷たい」イメージ
つまり脳は、現実の物理経験を視覚に重ねて、
色に勝手に“物理属性”を付けてしまうのです。
2. 感情も色に投影される
心理学では、色は感情と強く結びつくことが知られています。
これを色彩心理や色彩象徴と呼びます。
-
赤 → 興奮・情熱・危険
-
青 → 冷静・誠実・静けさ
-
緑 → 安心・自然・調和
-
黒 → 不安・威厳・死
-
白 → 清浄・無垢・空虚
こうした感情投影は、文化や言語にも深く入り込みます。
たとえば日本語の「青ざめる」「赤っ恥」「腹黒い」などは、
脳が感情と色を結びつけた結果を、言葉にしたものです。
3. 色は「見える情報」以上の物語を語る
心理学的に、人は視覚情報に意味を求める傾向があります。
無属性の色も、そのままでは満足できず、
「この色は重い」「この色は暖かい」と物語を作ることで安心するのです。
デザインや広告で色が人の心に響くのは、
この“勝手に物語を作る脳”のおかげといえます。
第3章|言語が作る色の世界──比喩表現と文化のちがい
心理学的に人が色に意味を感じるだけでなく、
その感覚は言語化されることで定着し、文化を形づくります。
1. 日本語に見る「色の比喩表現」
日本語は特に、色で感情や性格を表す比喩が豊富です。
-
重い色・軽い色 … 明暗を重量感に置き換える
-
柔らかい色・硬い色 … 優しさや冷たさの感覚を投影
-
暖色・寒色 … 温度ではなく心理的連想
-
青ざめる/赤っ恥/腹黒い … 感情や道徳までも色で表す
これらは、脳が感じた心理的属性を言語で固定化したものです。
一度言葉になると、その色の印象はより強固になり、世代を超えて共有されます。
2. 英語にも存在する色の比喩
英語にも同様の現象がありますが、ニュアンスが少し違います。
-
Feeling blue … 悲しい(青=憂鬱)
-
Red with anger … 怒りで赤くなる(赤=興奮)
-
Green with envy … 嫉妬する(緑=未熟・毒)
-
Black humor / White lie … 道徳や価値観を色で表す
色彩の感覚は世界共通でも、どの感情をどの色に結びつけるかは文化によって異なります。
3. 言語が色の「性格」を強める
心理学だけなら感覚は曖昧ですが、
言葉にするとそれは社会で共有される認知になります。
-
「この青は冷たい」→ 言語が印象を固定
-
「この赤は熱い」→ デザインの選択や購買行動にも影響
色に物理的属性はなくても、
言語が“色の性格”を作り、人間の行動にまで影響するのです。
📑 日本語における“色”の比喩表現一覧
カテゴリ | 表現例 | 意味・ニュアンス |
---|---|---|
心理・感情系 | 青ざめる / 赤っ恥 / 黒い噂 / 白ける | 感情や心理状態を色で表現する |
恋愛・性的比喩系 | 色気 / 色香 / 色恋沙汰 / 色好み | 魅力・恋愛・性的ニュアンスを表す |
社会・立場系 | 無色透明 / 色が付く / 同じ色 / 特色 / 色分け | 立場・評価・傾向・区別を色にたとえる |
物理・実態系 | 色紙 / 色鉛筆 / 色見本 / 色ガラス | 実際に色がある物や素材を指す |
第4章|デザイン・広告に活きる“色の擬似属性”
色に重さも温度もありません。
それでも、デザインや広告の世界では、
**「重い色」「柔らかい色」「暖色」**といった擬似的な属性が日常的に使われています。
なぜなら、人間の脳がそう感じるからです。
心理学的に成立する擬似属性は、そのまま視覚マーケティングの武器になります。
1. 広告デザインにおける色の心理活用
企業や広告は、人間の心理を逆手に取って色を設計します。
-
高級感を出したい場合
黒や深い青などの「重い色」を使うと、落ち着きと重量感を演出できる -
親しみ・やわらかさを出したい場合
ピンクやパステル調の「柔らかい色」が有効 -
注意を引きたい場合
赤やオレンジなどの「熱い色」が、視線を自然に誘導する
こうした色の選択は、物理法則ではなく心理的比喩に基づいています。
2. パッケージ・商品デザインの例
-
お菓子や子ども向け商品 → 明るく軽やかな色調で「楽しい・軽快」の印象
-
高級時計・車の広告 → 黒・シルバー・深緑など「重い色」で信頼感と高級感
-
夏向け飲料のラベル → 青・水色中心の「冷たい色」で涼感を演出
ここでも、色は本来冷たくも重くもないのに、
脳が勝手に感じる属性を利用することで売上や印象が変わります。
3. デザイン現場での言語化
デザイナー同士の会話でも、擬似属性は当たり前のように飛び交います。
-
「この色、もう少し軽くしよう」
-
「ここは暖色でまとめよう」
-
「この青は硬いから、丸みのあるフォントと合わせよう」
色の物理的属性はゼロでも、言語化された擬似属性が意思疎通の共通言語になっているのです。
第5章|まとめ──色は無属性なのに、人は意味をつけ、言葉を生む
ここまで見てきたように、色には本来、重さも温度も強さも存在しません。
それでも私たちは、無意識のうちに色に性格や感情を与えてしまいます。
-
脳の心理学的な反応で、過去の経験と結びつき
-
言語によって、「重い色」「柔らかい色」「暖色」と固定され
-
デザイン・広告でその擬似属性が実用化される
こうして、色はただの電磁波でありながら、
人間社会では豊かな物語をまとう存在になりました。
💡 言語と色の逆転現象
もともと、人は色を言葉で認識するところから始まりました。
「赤」「青」「緑」と名付けることで、色は私たちの世界に現れました。
ところが今では、色そのものが逆に言葉を生んでいます。
-
「青ざめる」「黒い噂」「赤っ恥」「無色透明」
-
「お金に色をつける」「色気」「特色」
色は無属性でありながら、
言語と心理がそれに意味を与え、
さらに色が新たな言葉や文化を生む。
この循環こそが、色と言語の不思議であり、人間の認知の面白さなのです。
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