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0章|導入──なぜ「色」は英語で COLOR(カラー)というのか?
「色」は日本語では“いろ”。
英語では“カラー(color)”。
同じ現象を指しているのに、
なぜこうも違う音になったのか?
そして color という言葉は、そもそもどこからやって来たのか?
実は、英語の “color” は もとは「色」ではなく、“見た目・外見”を指す言葉 でした。
人間が「色」という概念を言語化し、
色をまとめて扱うようになるのは、文化が発達してからのこと。
つまり “色”というカテゴリ自体が、完全に昔からあったわけではない のです。
英語のcolor、日本語の色。
その背景には、視覚と言語の進化がありました。
では、color の語源から見ていきましょう。
1章|COLOR(カラー)の語源はラテン語「colōr(コロル)」だった
英語の color/colour のルーツは、
古代ローマで使われていたラテン語 「colōr(コロル)」 にさかのぼります。
そして驚くことに、この colōr は “色そのもの” を意味していませんでした。
本来の意味は──
「外見」「見た目」「表面の様子」「肌のつや」
つまり、物の表面が与える“印象”そのもの。
色を科学的に区別する以前、
人々は「色」を“光の波長”ではなく 外見(appearance)として理解していた のです。
●COLOR が英語に入るまでのルート
語源ルートはこうです:
-
ラテン語:colōr(外見・見た目)
↓ -
古フランス語:couleur(クルール)=色
↓ -
中世英語:colour(カラウル)
↓ -
現代英語:color/colour
ポイントは 英語が最初から持っていた言葉ではない ということ。
1066年のノルマン征服で、フランス語が大量に英語へ流入し、
そのときに colour(クルール) も入ってきました。
●実は、英語には元々「色」を表す別の単語があった
中世以前、英語では「hīew(ヒュー)」という語が
「色・色調・外観」を意味するメインの単語でした。
現在の「hue(ヒュー)」=色相 がその名残。
color はフランス語経由で入った“外来語”だったため、
意味の領域が重なりつつも、
次第に color が一般的な“色”の語として主流になっていった のです。
2章|文化の違い──“色”という概念は世界共通ではなかった
私たちは当たり前のように
「赤・青・黄色・緑…これらをまとめて“色”と呼ぶ」
と理解していますが、これは人類が最初から持っていた概念ではありません。
世界の言語研究では、
人類の“色名”には明確な発展段階があることが示されています。
●古代の色語はたったの数色だった
どの文化も最初は、
赤・黒・白 など、強いコントラストの色から語彙が生まれました。
・「赤」=血・火
・「白」=光・骨
・「黒」=闇・灰
といった“生存に直結する色”ほど、名前が早く付くからです。
多くの古代社会では、
「赤・黒・白」など限られた色名しかなく、
現代のような“色”という抽象カテゴリが発達していなかった文化もあった。
「赤い/青い」はあっても、
「色」という上位カテゴリはなかったということです。
●文化が豊かになるほど「色」という概念が生まれる
交易・工芸・染色・絵画が発展するほど、
人々は“色そのもの”を観察し、
次第にこう考えるようになります。
「これらの“見た目の違い”をまとめる言葉が必要だ」
ここで初めて「色」という抽象カテゴリが生まれ、
英語では color、日本語では「色(いろ)」が整備されていきます。
●日本語もかつては「色」という概念が弱かった
日本語も世界共通のパターンで、
古代には基本4色(赤・青・白・黒)が中心。
「緑」は“青の仲間”だったし、
「黄色」や「紫」は後から加わった色名。
つまり、
「色」という意識そのものは、文化とともに作られた“後発の発明”だった。
3章|語源から見える“色の本質”──COLOR は「見え方」のことだった
ラテン語 colōr(コロル) の本来の意味は
「外見・見た目・表面の様子・肌のつや」でした。
つまり、color は最初から “色=波長” を意味していたわけではなく、
もっと大きく、もっと曖昧な概念──
『人間の目にどう見えるか』という“見え方そのもの”を指す言葉だった。
ここに、色という概念の本質が現れています。
●色は物質ではなく“印象”だった
色は物の属性ではなく、
光と目と脳がつくる“感覚”です。
そのため、color は意味を広げていきます。
-
colorful personality(個性的な人)
-
add color to the story(話に彩りを添える)
どちらも「色」ではなく、
印象・雰囲気・キャラクター性 を指す表現ですよね。
これはまさに語源の名残。
color = 他者にどう見えるか(appearance)
という原義が残っているのです。
●日本語の「色気」「色づく」と同じ構造
面白いことに、
日本語でも似た意味拡張が起きています。
-
色気
-
色めく
-
色っぽい
-
色づく(雰囲気が出る)
どれも“純粋な色”ではなく、
見た目・雰囲気・気配 を表す言葉。
これは文化が違っても、
「色=印象」という理解が共通していたことの証拠です。
●語源を見ると、color の本当の姿が分かる
-
colōr は「外見」
-
外見を語るうちに「色」という要素が重要に
-
色が独立した概念になるにつれ、color=色が定着
いわば、見た目の中の“色の部分”だけを抜き出した言葉が
現在の color なのです。
4章|まとめ──COLOR は“外見”から生まれた言葉だった
英語の color(カラー) は、
もともとラテン語 colōr(外見・見た目) が出発点でした。
それが中世でフランス語 couleur へ受け継がれ、
ノルマン征服をきっかけに英語へ流れ込み、
現代の color/colour が成立します。
ここで分かるのは──
color は、最初から“色”を意味したわけではなかった。
人間の「見え方」を表す言葉だった。
さらに世界の言語史を見ると、
古代には「色」という抽象カテゴリすら存在せず、
赤・黒・白など限られた語しかありませんでした。
文化が発展し、染色・工芸・絵画が発達することで、
初めて「色」という概念が整理され、
色名が増え、“色”がひとつのカテゴリーとして成立します。
英語の color、日本語の色。
どちらも、もとは “見た目の印象”から出発した言葉 でした。
色とは、光でも物質でもなく、
人間が世界をどう感じたか──その歴史が作り上げた概念。
語源をたどると、
「色」という言葉がどれほど人間らしい発明かがよく見えてきます。
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