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0章|色の恒常性とは?光が変わっても色が同じに見える理由
色の恒常性(Color Constancy)の定義
私たちが日常で目にする物体の色は、実は照明や環境光によって変化しています。
しかし、夕焼けのオレンジ色の光の下でも白い紙は白く見え、蛍光灯の下でもリンゴは赤く感じられます。
このように光の条件が変わっても物体の色をほぼ一定に知覚できる脳の仕組みを「色の恒常性(Color Constancy)」と呼びます。
なぜ脳は色を補正するのか
色の恒常性は、脳が周囲の光源の色や背景の影響を推定し、視覚情報を“補正”することで実現されています。
この補正機能のおかげで、私たちは日常生活で物体を安定した色として認識でき、混乱することなく環境に適応できます。
カメラのホワイトバランスとの比較
カメラの「ホワイトバランス調整」は、この脳の働きをヒントに作られた機能です。
写真や映像の色味を整えるのと同じように、人間の脳も常に色の編集者として働いているのです。
第1章|色の恒常性の仕組み──脳が行う自動ホワイトバランス
光源の違いで色はどう変わる?
物体の色は、実際にはその表面で反射した光の波長によって決まります。
昼間の太陽光の下では青白く、夕方の太陽光では赤みがかり、蛍光灯やLED照明では独特の色味を帯びます。
つまり、網膜に届く光の情報自体は常に変化しているのです。
脳が光の影響を推定し補正する
ここで活躍するのが脳の自動補正機能=色の恒常性です。
脳は視覚野で、周囲の明るさや光源の色を推定し、対象物の色を「本来の色」に近づけて解釈します。
この補正のおかげで、照明条件が変わっても私たちは同じ色を安定して認識できます。
カメラのホワイトバランスは脳の仕組みを模倣
カメラのホワイトバランス機能は、この脳の補正能力を参考に開発されています。
写真や動画で白いものを白く見せるための調整は、人間の視覚システムの仕組みを技術化したものなのです。
第2章|脳の役割と視覚野V4──記憶で色を補正するトップダウン処理
視覚野V1〜V4の役割
色の恒常性は、目だけでなく脳の高次視覚処理によって成立します。
網膜から届いた光の情報は、まず一次視覚野(V1)で明るさや輪郭などの基本情報に分解されます。その後、V2・V3を経てV4に送られ、ここで「色」としての解釈が行われます。
V4は色補正の中枢
研究によれば、V4は周囲の光源の影響を推定し、色の見え方を補正する中枢です。
V4が損傷すると、色を認識できなくなる「大脳性色覚異常」が起こることからも、色の恒常性の要となる領域であることがわかります。
記憶と経験を利用したトップダウン処理
さらに脳はIT野や海馬などの記憶領域と連携し、「リンゴは赤」「バナナは黄色」といった知識や経験をもとに色を安定させます。
このように上位の情報で知覚を補正する仕組みを「トップダウン処理」と呼びます。
色の恒常性は、このトップダウン処理の代表例なのです。
第3章|色の恒常性の事例と応用──美術館・写真・印刷で活躍
日常生活での色の恒常性の実例
夕暮れのオレンジ色の光の下でも、白い紙は白く、リンゴは赤く見えます。
蛍光灯の青白い光や屋外の自然光でも、物体の色をほぼ一定に感じられるのは色の恒常性のおかげです。
この能力がなければ、世界は常に照明の色に左右され、不安定な見え方になってしまいます。
美術館や照明設計での活用
美術館やギャラリーの照明は、観覧者の色の恒常性を利用して作品が自然に見えるよう設計されています。
適切な照明環境を整えることで、作品の色を忠実に再現できるのです。
カメラ・印刷・デザインへの応用
カメラのホワイトバランス機能や、印刷物の色管理も色の恒常性をヒントに作られています。
デザイナーや印刷技術者は、色の恒常性を理解することで、より正確な色再現や見え方の調整が可能になります。
「色は脳が解釈している」という前提を知ることが、魅力的なビジュアル作りの第一歩です。
第4章|まとめ──色の恒常性が教える「色は脳が作る世界」
色の恒常性(Color Constancy)は、光源や環境が変わっても物体の色を安定して知覚できる脳の仕組みです。
視覚野V4を中心に、脳は経験や記憶をもとに色を補正し、世界を“見やすい”状態に編集しています。
つまり私たちが見ている色は、単なる光の反射ではなく脳の計算結果なのです。
この仕組みを理解すると、写真や映像のホワイトバランス調整、印刷物の色再現、デザインにおける配色戦略など、あらゆるビジュアル表現が「脳の視覚処理」を前提に成り立っていることがわかります。
色の恒常性は、科学だけでなく美術や技術の世界でも重要な概念なのです。
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