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第0章|段ボールは強いのに、水と湿気には弱い理由
日常で感じる「ふにゃっとした段ボール」の正体
引っ越しのとき、宅配便を受け取ったとき、保管していた荷物を取り出したとき──手にした箱がふにゃっとしていて、底が今にも抜けそうになった経験はありませんか。
それは単なる古さのせいではなく、水や湿気が段ボールの強度を奪っている証拠です。
軽くて強いのに、水分には脆い素材
段ボールは、軽くて丈夫で加工性も高い万能素材です。数十キロの荷物を支えることもできるのに、水や湿気には驚くほど弱くなる──これは、素材である紙(セルロース繊維)の科学的特性に由来します。
本記事でわかること
本記事では、この弱点を科学的メカニズムと日常の実感の両方から解説します。
さらに、水や湿度から段ボールを守るための具体的な対策まで紹介します。
第1章|段ボールの強度は“乾燥状態”が前提
構造が生む軽くて強い性質
段ボールは、表面のライナー(平らな紙)と、内部の中芯(波型のフルート)を貼り合わせた三層構造です。
このフルート構造が、軽さと強度を両立させています。
たとえばAフルートやBフルートなど、波の高さやピッチの違いで強度や用途が変わります。
強度試験は湿度50%前後で行われている
圧縮強度や耐荷重の数値は、JIS規格などで湿度50%前後の乾燥環境を条件に測定されています。
つまり、カタログや仕様書にある「耐荷重○kg」は、あくまで乾燥した状態での性能なのです。
水分を含むと強度は急激に低下する
段ボールは紙でできているため、湿気を吸うと繊維が膨張し、結合が緩みます。
その結果、剛性が落ち、同じ荷重でも潰れやすくなります。
「昨日まで大丈夫だったのに、急に崩れた」という現象は、湿度の上昇によって強度が想定以上に低下した可能性が高いのです。
第2章|水が段ボールを弱らせる科学的メカニズム
紙は“セルロース繊維”でできている
段ボールの原料である紙は、木材などから作られるセルロース繊維の集合体です。
この繊維同士は水素結合という弱い結びつきで繋がっており、乾燥時には強度を発揮します。
しかし、水分が入り込むと、この結合が緩み、繊維同士の摩擦力も低下します。
水を吸うと形と剛性が変わる
段ボールが水を吸うと、セルロース繊維が膨張して紙がふくらみます。
フルート構造の波型部分もわずかに変形し、全体の剛性が下がります。
特に波型の芯材が潰れると、一気に耐荷重が低下します。
湿度が高いだけでも強度は落ちる
実験データでは、湿度80%以上になると圧縮強度が半分以下になる場合があります。
これは雨に濡れなくても、梅雨や海沿いの高湿度環境に長時間置くだけで起こる現象です。
湿気を吸った段ボールが“ふにゃっ”とするのは、こうした繊維の膨張と結合の緩みが原因です。
第3章|誰もが経験する“湿気で弱った段ボール”の実例
雨の日の宅配で底抜け
梅雨時や大雨の日、玄関先に届いた段ボールを持ち上げたら、底が“ベコッ”と抜けそうになった──そんな経験はありませんか。
外装はわずかな濡れでも、中のライナーと中芯まで水が染み込むと、あっという間に強度が半減します。
倉庫や物置での長期保管
湿気の多い倉庫や物置に積み重ねておいた段ボールは、下の段から潰れ始めます。
これは、長時間湿気を吸い続けたことで紙の繊維が柔らかくなり、荷重に耐えられなくなった証拠です。
カビ・変色・波打ち
高湿度の環境では、段ボール表面にカビが発生したり、色がくすんで茶色っぽく変色します。
また、フルート部分が波打って形が歪み、フタがきれいに閉まらなくなることもあります。
海沿いや梅雨の時期は特に注意
海辺や川沿いの地域は空気中の湿度が高く、梅雨や台風シーズンはさらに条件が悪化します。
濡れていないのに“弱くなった段ボール”ができあがるのは、この空気中の水分のせいです。
第4章|水と湿気から段ボールを守る具体的対策
ビニール袋や内袋で二重梱包
荷物を段ボールに詰めるとき、内側にビニール袋を敷くだけで水の侵入を大幅に防げます。
食品や衣類など湿気を嫌うものは、まず袋に入れてから段ボールへ。
地面から離して保管する
コンクリート床や地面に直接置くと、底面から湿気が上がります。
パレットや棚の上に置くことで通気性を確保し、湿気を逃がすことができます。
湿度管理で品質を保つ
倉庫や物置では除湿機や換気扇を活用し、湿度60%以下を目安に管理します。
家庭でも、押し入れに除湿剤を置くことで長期保管時の劣化を防げます。
短期間で使い切る運用
段ボールは繰り返し使えるものの、湿度が高い時期は劣化が早まります。
長期保管よりも、必要なときに必要な分だけ使うほうが品質を保てます。
第5章|まとめ:弱点を知れば品質は守れる
水と湿気は段ボール最大の弱点
段ボールは軽くて強く、環境にもやさしい万能素材ですが、水や湿気によって強度が大きく低下します。
その原因は、セルロース繊維が水分を吸って膨張し、結合が緩むという科学的な特性にあります。
保管環境で寿命は大きく変わる
同じ段ボールでも、乾燥した場所と湿気の多い場所では寿命がまったく異なります。
適切な保管環境を整え、必要なときに最高の状態で使えるようにすることが重要です。
製版・印刷でも環境は考慮されている
実は、段ボールに印刷する際の製版やインキ選びでも、湿気や水分を考慮することがあります。
印刷の品質を長く保つためには、素材だけでなく保管や輸送の環境も一緒に最適化する必要があるのです。
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