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✅ 第0章|段ボールの“中身”って、見たことありますか?
段ボールは“茶色い箱”じゃない?
段ボールって、どれも同じように見えますよね。茶色くて、軽くて、荷物を守ってくれる──それだけに思えるかもしれません。でも実は、段ボールの本当の性能は中身の紙で決まるのです。
表から見えない「中芯」という存在
段ボールは、外側と内側の紙(ライナー)に挟まれて、真ん中に波状の紙が入っています。この“波”を形づくっているのが、「中芯(ちゅうしん)」と呼ばれる紙です。ふだん目にすることはないけれど、強さ・軽さ・使いやすさのカギを握る重要な素材です。
強さも、重さも、印刷も──全部「中芯」次第
中芯の種類やグレードによって、段ボールの性能は大きく変わります。重たいものを運ぶ箱には丈夫な中芯、軽くてやわらかいものにはしなやかな中芯が選ばれます。印刷の乗りやすさや、箱のつぶれにくさも、この中芯の特性に左右されているのです。
中芯を知れば、段ボールがちょっと面白くなる
この記事では、「中芯とは何か?」「なぜ重要なのか?」「どんな種類があるのか?」を、やさしく、でもしっかり解説します。段ボールを開けるたびに「この中芯はどんなタイプだろう?」なんて思えるようになるかもしれません。
✅ 第1章|中芯とは?──段ボールの“真ん中”を支える正体
段ボールの中心にある“もう一枚の紙”
段ボールは、外から見ると一枚の紙の箱に見えますが、実は三層構造でできています。
表と裏を挟むように、真ん中には波形の紙が入っている──これが「中芯(ちゅうしん)」と呼ばれる紙です。
この中芯が、段ボールの「軽さ」と「強さ」を両立させている、いわば縁の下の力持ちなのです。
なぜ“波形”にするの?
中芯の紙は、平らではなく波のように加工されて使われます。この波のことを「フルート」と呼びます。
この形状にすることで、縦方向に対してとても強くなり、押しつぶしにくくなるのです。
つまり、中芯は「紙そのものの強度」だけでなく、「形による強さ」まで計算されたパーツなのです。
中芯は“紙の種類”の名前
ここでよくある誤解があります。
「フルート」と「中芯」は同じではありません。
中芯とは、波形に加工される前の“紙の種類”そのものを指します。
たとえば同じBフルートでも、中芯のグレードによって強さや柔らかさ、印刷の仕上がりが大きく変わります。
つまり、中芯は“段ボールの性能”を決める紙
段ボールの強度、軽さ、折りやすさ、つぶれにくさ、さらには印刷品質まで──
それらの多くは、目に見えないこの中芯が決めているのです。
中芯を知ることで、「なぜこの段ボールはしっかりしているのか?」「なぜあの箱は潰れやすいのか?」という疑問にも答えが見えてきます。
✅ 第2章|中芯とフルートの違い──よく混同される2つの言葉
どちらも“段ボールの中身”だけど、意味が違う
段ボールの構造に関する用語で、よく混乱されるのが「中芯」と「フルート」。
どちらも段ボールの“中の波部分”に関係していますが、実はまったく違う意味を持っています。
中芯=使われている“紙の種類”
中芯とは、段ボールの波型部分に使われる紙の素材そのものを指します。
「C160」や「C180」などのように、強度や厚みの違いでグレード分けされています。
この紙は、波に加工される前はただの平らな紙ですが、段ボールの性能を決めるうえでとても重要です。
フルート=波の“形・サイズ”のこと
一方、フルートとは中芯を波型に加工したあとの形状そのものを指します。
たとえば:
-
Aフルート … 高さがありクッション性が高い
-
Bフルート … 高さは低めだが、表面が滑らかで印刷に向く
-
Wフルート … 2層構造でAとBを重ねたタイプ
つまり、中芯は紙の“質”、フルートは**その紙の“折り方”や“高さ”**の違いです。
同じフルートでも中芯次第で性能が変わる
ここが重要なポイントです。
たとえば「Bフルート」の段ボールでも、中芯が硬いか柔らかいかで、仕上がりは大きく変わります。
-
柔らかい中芯 … 手で潰しやすく、折り目がつきやすい
-
硬い中芯 … しっかり立ち上がり、箱としての形をキープ
つまり「どのフルートか」だけでなく、「どんな中芯を使うか」も、段ボールの性能に直結しているのです。
次は、その中芯にどんな種類・スペック・グレードがあるのかを見ていきましょう。
✅ 第3章|中芯の種類とスペック──実はグレードがたくさんある!
中芯にも“等級”があるって知ってましたか?
一見するとただの再生紙のように見える中芯ですが、実は細かくグレードが分かれています。
段ボールの強さや用途に合わせて、中芯も**「選ぶ時代」**になっているのです。
中芯の坪量と用途の目安
中芯には坪量(1㎡あたりの重さ)があり、この数値が高いほど紙が厚く、強度も高くなります。坪量は通常「g/㎡(グラム・パー・平方メートル)」で表されます。
一般的な目安は以下の通りですが、標準とされる坪量は業界や用途によって異なります。
-
120〜140g:軽量物向け。宅配や日用品向けではこれを標準とするケースも多い
-
160g:強度を重視した標準仕様。輸送負荷の高い荷物や繰り返し使う箱に多い
-
180g:強化仕様。重量物や長距離輸送向き
-
200g以上:高強度。重量物や過酷条件に適す
坪量の選び方は、輸送中のつぶれ防止や印刷面の安定性に直結します。見えない部分だからこそ、用途に合ったグレード選定が重要です。
強さを測る指標「RC値(リングクラッシュ)」
中芯の強さは、単に“厚ければいい”というものではありません。
段ボール業界では、「リングクラッシュ値(RC値)」という試験で、中芯の**つぶれにくさ(圧縮強度)**を測っています。
RC値が高ければ高いほど、荷重に耐える力が強く、輸送中の潰れや変形を防げます。
印刷や加工にも関わる“しなり具合”
中芯のグレードが変わると、段ボールの「しなやかさ」や「反り」具合も変化します。
特に印刷を伴う段ボールでは、中芯の硬さや波の整い方によってインキの乗りやすさや絵柄の安定性にも影響が出ます。
たとえば:
-
高密度・高強度の中芯 → フルートがキレイに立ち上がり、印刷面が平滑
-
軽量で柔らかい中芯 → 波が乱れやすく、印刷ムラが出やすいことも
中芯は「コスト・性能・用途」のバランス選び
もちろん、グレードが高ければコストも上がります。
だからこそ段ボール製造現場では、何を入れるか・どう使うかに応じて、毎回中芯を選定しています。
つまり、中芯選びは「価格の話」ではなく「設計の話」。
ここに、段ボールという“紙の工業製品”の奥深さがあります。
次は、そんな中芯が段ボール全体にどう影響するのかを、具体的に見ていきましょう。
✅ 第4章|中芯が変わると、段ボールはどう変わる?
中芯は“見えない設計図”
段ボールの表面からは見えないけれど、中芯は箱の性格を決める設計図のような存在です。
同じ形、同じサイズの段ボールでも、中芯のグレードや性質が違えば、まったく別モノの箱になります。
柔らかい中芯か、硬い中芯かで大きな差
たとえば──
-
柔らかい中芯を使うと…
軽くて折りやすいが、荷重に弱く潰れやすい -
硬い中芯を使うと…
しっかりしていてつぶれにくいが、若干重く、コストもやや高め
この違いは、配送現場や保管時の安全性にも関わってきます。
印刷にも影響する「フルートの立ち方」
中芯の性質は、波形(フルート)の立ち上がりにも影響します。
特に、段ボール印刷の仕上がりにおいては、フルートがきれいに立っていることが非常に重要です。
-
中芯がしっかりしていれば → 表面が平らで、印刷がきれいにのる
-
中芯が柔らかすぎると → 表面にたわみやムラが出て、文字や絵柄が不鮮明に
つまり、中芯次第で**“見た目の品質”まで左右される**のです。
軽量化と強度のバランスをとる“設計力”
近年は「できるだけ軽く、でも強く」というニーズも高まっています。
そこでよく使われるのが、「軽いライナー紙」と「高強度な中芯」を組み合わせた設計。
この方法なら、箱の自重を抑えながら、潰れにくい性能を両立できます。
ただし、中芯の品質が悪いとこのバランスが崩れやすくなるため、選定には慎重さが求められます。
中芯は“箱の使いやすさ”まで変えてしまう
段ボールを「折る」「開く」「詰める」「捨てる」──
こうした操作感にも、中芯のしなり具合や反発力が大きく関係しています。
-
開けにくい
-
折りにくい
-
すぐヘタる
こうした使いにくさも、実は中芯が原因のことが多いのです。
中芯は、段ボールの“内部パーツ”でありながら、性能・印刷・使いやすさにまで広く関与しているということが分かってきたかと思います。
次はそんな中芯が「見えない」からこそ起きている、意外な落とし穴を掘り下げます。
✅ 第5章|中芯は“見えない”からこそ、差がつく
外からは分からない“中身の品質”
段ボールを手に取っても、中芯の状態は外から見えません。
そのため、見た目が似ていても、中芯のグレードや品質には大きな差があることがあります。
一見同じサイズ・同じ厚みでも、
-
高品質な中芯 → 強くて長持ち
-
低品質な中芯 → すぐ潰れたり、反ってしまう
という違いが、実際の使用場面で顕著に現れます。
「安い段ボール」はどこでコストを削るのか
価格を下げる方法はいくつかありますが、そのひとつが中芯のグレードを下げることです。
外側のライナーは見た目で分かりやすいので、削れるのは見えない部分…つまり中芯。
結果として、
-
輸送中に箱がつぶれやすくなる
-
印刷が波打ち、仕上がりが不安定になる
-
保管中に湿気でふやけやすい
といったリスクが高まります。
長期的なコストはむしろ高くつくことも
中芯の品質を落として作られた段ボールは、使い勝手や耐久性で劣ります。
輸送中の破損や再梱包の手間が増えれば、結果的にコストが上がる可能性があります。
だからこそ、段ボールの価値は“見えない部分”で決まると言っても過言ではありません。
中芯のこだわりはブランド力にもつながる
企業によっては、商品の安全性やブランドイメージを守るため、あえて高品質な中芯を選ぶケースもあります。
「箱を開けた瞬間のきれいさ」や「型崩れしない美しさ」は、購入者の印象を左右するポイントです。
見えないからこそ疎かにされがちな中芯ですが、ここにこそ差別化の余地があります。
次は、その中芯をどうやって選べばいいのか、ポイントを解説します。
✅ 第6章|中芯の選び方──梱包するモノとの相性が命
梱包する“中身”が中芯を決める
段ボールの中芯は、「何を入れるか」によって最適なものが変わります。
同じ箱の形でも、中芯のグレードを間違えると、運搬中に潰れたり、逆に無駄に重くなったりします。
軽いものには“軽量中芯”
お菓子や衣類、プラスチック製品などの軽い荷物には、軽量タイプの中芯が向いています。
軽量中芯は、コストを抑えつつ、必要十分な強度を確保できます。
重いものには“高強度中芯”
書籍、瓶、金属部品など重量のある荷物には、坪量やRC値が高い中芯を選びます。
高強度中芯は、箱全体をしっかり支え、長距離輸送でも形崩れを防ぎます。
湿気や水分が多い環境では“耐水中芯”
冷蔵・冷凍食品や湿度の高い倉庫での保管には、防湿・耐水性のある中芯が有効です。
中芯自体に耐水加工を施すか、ライナーとの組み合わせで対策します。
長距離輸送なら“潰れ強度”を重視
トラックや船での長距離輸送では、荷物の上に別の荷物が積まれることも多く、潰れ強度が重要です。
RC値の高い中芯を選び、輸送中の安全性を確保します。
段ボール会社は毎回“設計”している
実は段ボール会社では、案件ごとに中芯を選び直しています。
箱の形、輸送距離、保管環境、印刷の有無など、さまざまな条件をもとに、最適な中芯を組み合わせているのです。
次は、これまでの内容をまとめて「中芯を知ると段ボールが面白くなる」という視点で締めくくります。
✅ 第7章|まとめ:中芯を知ると、段ボールがもっと面白くなる
見えない“芯”がすべてを決める
ここまで見てきたように、中芯は段ボールの強度、軽さ、使いやすさ、そして印刷の仕上がりにまで影響を与える、まさに箱の心臓部です。
外からは見えないけれど、その選び方ひとつで箱の性能は大きく変わります。
中芯は段ボールの“設計思想”そのもの
軽量化を優先するのか、耐久性を重視するのか──
その答えは、中芯のグレードや種類に現れます。
つまり、中芯は単なる材料ではなく、段ボールをどう使うかという設計思想の反映なのです。
知れば選び方が変わる
中芯の役割や種類を知ると、「この箱はなぜ丈夫なのか」「この箱はなぜ潰れやすいのか」が理解できるようになります。
それは、ただの茶色い箱が緻密に設計された工業製品であることを知るきっかけにもなります。
次に段ボールを手にしたら…
もし次に段ボールを開ける機会があれば、ぜひ耳を澄ませるように箱の中を覗いてみてください。
見えない中芯の存在に気づけば、段ボールの見方が少し変わるはずです。
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