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第0章|「お茶って緑なのに、茶色ってなに?」という違和感から始めよう
🍵 お茶の色って、緑じゃないの?
でも「茶色」って言うし、英語では「brown」。
……それってどういうこと?
お茶=緑色という常識
私たちは「お茶」と聞けば、緑茶や抹茶のような鮮やかな緑色の飲み物を思い浮かべます。
実際、日本でよく飲まれている煎茶や玉露は、葉も液体も美しい緑色をしています。だから「お茶=緑」と考えるのは自然なことです。
しかし、ここでふと疑問が浮かびます。
「茶色」って、本当に“お茶の色”なの?
「茶色」という言葉は、まさに「お茶の色」から来ているはずです。
でも緑茶の色は緑。じゃあ、“茶色”って何の色?
さらに混乱するのは英語との違いです。
-
「茶」= tea
-
「茶色」= brown
だったら tea color が「茶色」でしょ?と思ってしまいそうですが、
英語で tea color と言ってもあまり意味が通じません。
その代わりに使われるのが “brown” という言葉です。
つまり、日本語では「茶=緑」、でも「茶色=赤茶色」。英語では「茶=tea」、でも「brown=茶色相当」。──感覚も言葉も、全部ズレてるのです。
でも、見た目はだいたい同じ──そこに翻訳の魔法がある
言葉は違う。語源も違う。文化も違う。
でも見た目が「なんとなく似ている」からこそ、“茶色=brown”という関係が成立したとも言えます。
このブログでは、このちょっとした違和感を入り口に──
-
茶色の語源(本当にお茶の色なのか?)
-
brown のルーツ(なぜ毛皮や木の色が色名になったのか?)
-
翻訳の歴史(誰が茶色をbrownと訳したのか?)
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色と言語と文化の関係(世界では色の感じ方がこんなに違う)
といったテーマをわかりやすく掘り下げていきます。
色は、光の波長ではなく「文化と記憶」で見えているのかもしれない
目に見える色は、たしかに物理的には光の波長です。
でも「何色と感じるか」は、言葉と文化と記憶によって決まっている──そんな視点から、茶色とbrownをめぐる深くて面白い世界を覗いていきましょう。
第1章|茶色とは何か?──実は「緑茶」じゃなかった
茶色の語源は「緑茶の葉」ではなく、**煮出した“茶の液体の色”**だった。
緑茶の葉は緑、でも茶色の正体は「煮汁の色」
日本人にとって、緑茶=お茶という感覚は根強くあります。
たとえば煎茶、玉露、抹茶──どれも色は鮮やかな緑。
だからこそ、「茶の色」と言われると、つい緑っぽい色を想像してしまいます。
でも、「茶色」という言葉が指しているのは、**緑茶の葉の色ではなく、“淹れたお茶の液体の色”**です。
つまり、番茶や焙じ茶を煎じたときに出る、赤褐色〜茶褐色の液体こそが、「茶色」の語源となった色なのです。
江戸時代のお茶文化が「茶色」という色名を生んだ
「茶色」という言葉が定着したのは、江戸時代中期(18世紀頃)とされています。
この頃、庶民の間では高価な煎茶や玉露よりも、安価な番茶や焙じ茶が日常的に飲まれていました。
これらは、茶葉を焙煎したり、大きな葉を使っていたりするため、
液体の色が濃く、赤みがかった茶褐色になるのが特徴です。
つまり、江戸の町人たちにとって「お茶」といえば、**緑色ではなく“茶色っぽい液体”**だったのです。
このような日常の色が、やがて「茶色」という色名として定着していきました。
現代の感覚とは逆だった「お茶の色」
今でこそ「お茶=緑」のイメージが強くなったのは、近代以降に煎茶の品質が改良され、緑色の鮮やかな液体が一般化したためです。
でも「茶色」という言葉が生まれた当時は、
-
「お茶」=番茶・焙じ茶の茶褐色
-
「茶の色」=赤みのある茶色
だったのがごく自然な感覚でした。
言い換えれば──
「茶色」は当時の“リアルなお茶の色”だったのです。
だから、「お茶=緑」なのに「茶色=赤茶」という現象が起きる
これは混乱ではありません。
むしろ、言葉が生まれた時代と今の生活文化がズレていることで起きた、自然な言語現象です。
-
緑茶のイメージが強くなったのは明治〜昭和以降
-
でも「茶色」という言葉は、もっと早い時代に定着していた
つまり、「茶色=お茶の色」説は間違っていません。
ただしそれは、“今のお茶”ではなく“昔のお茶”の色を意味しているだけなのです。
✅ 小まとめ:茶色はお茶の色、でも「葉っぱ」じゃなく「煮出した液体の色」
項目 | 内容 |
---|---|
茶色の語源 | 番茶・焙じ茶などの液体色 |
緑茶の普及時期 | 近代(煎茶・玉露など) |
言葉の成立時期 | 江戸中期〜後期(18世紀頃) |
文化的背景 | 庶民の生活で日常的に飲まれていた「茶色いお茶」 |
第2章|ブラウンとは何か?──自然物から生まれた色名
「ブラウン」は、お茶とはまったく無関係。
それは、動物の毛・木・皮・土──自然界の“暗い色”たちの象徴だった。
brown の語源は「毛皮」や「木の色」
英語の「brown(ブラウン)」という言葉は、語源をたどるとラテン語の brunus(濃い色)に行き着きます。
さらに古英語の brūn、ゲルマン祖語の brūnaz へとさかのぼると、その意味は──
“赤黒くてくすんだ、暗い自然物の色”
つまり、「brown」という言葉は、もともとお茶とは何の関係もない色名だったのです。
クマ・木・革──「自然のくすんだ色」が brown のイメージ
brown が指していたのは、こんなものたちの色です:
-
🐻 クマの毛(brown bear)
-
🌲 木の幹・樹皮
-
👢 なめし革・毛皮・皮製品
-
🌾 枯れ葉・土・こげた穀物
つまり brown とは、「自然界にある、赤みがかった暗い色のもの」をひとまとめにして生まれた色名なのです。
「色名」というより「素材名」からの発展
英語の色名は、視覚的な色そのものよりも**“物の見た目”を表す形容詞**から始まっているケースが多くあります。
-
silver(シルバー):銀
-
gold(ゴールド):金
-
olive(オリーブ):実の色
-
cherry(チェリー):果実の赤
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amber(アンバー):琥珀色
そして brown もまた、「毛皮や木のような素材」の色として認識されていた言葉だったのです。
brown は「視覚」より「感触」に近い色
日本語の「茶色」が“暮らしの中の煎じ色”から出てきたのに対して、
英語の「brown」は、“自然の中で触れるものの色”として感覚的に育ってきました。
それゆえに brown には、
-
温かみ
-
厚み
-
素朴さ
といった、素材的・感触的なニュアンスも含まれているのです。
✅ 小まとめ:brown は自然物の色。茶とは関係ない
観点 | brown(英語) |
---|---|
語源 | brunus(ラテン語)=濃い暗色 |
由来 | 動物の毛・木の皮・革製品など自然物 |
日本語との違い | 「茶色」のように液体や食品ではない |
色のイメージ | 赤黒く、深く、土っぽい/毛皮っぽい色 |
第3章|「茶色=brown」は誰が決めた?──翻訳が作った色の一致
茶色とブラウン──語源も文化も全然違う二つの色名。
でもなぜ「茶色=brown」が“当たり前”になったのか?
それは、翻訳と教育の歴史の中で自然に成立した、文化のすり合わせだったのかもしれません。
明治時代、西洋の「色名」が日本語に訳されはじめた
19世紀後半、明治維新とともに西洋の科学・文化・教育が一気に日本へ導入されました。
色彩学や絵画技法、印刷インキの知識、そして英語の美術用語──それらを理解し、教育に組み込むためには、色の名前も日本語に翻訳する必要がありました。
たとえば:
-
美術の教科書に出てくる “brown” は、日本語で何色と訳すべきか?
-
印刷用語として使われる “dark brown” に対応する日本語の色名は?
-
絵の具の名前 “burnt sienna” や “umber” は、どの色の仲間として教えるべきか?
こうした実務的な問題に直面した翻訳者・教育者たちは、英語の色名に見合う日本語を“見た目の近さ”で当てはめていったと考えられます。
「brown=茶色」が翻訳として選ばれた理由
その中で、「brown」に割り当てられたのが「茶色」でした。
理由は、おそらくこうです:
-
見た目の印象が似ていたこと
-
語感が穏やかで違和感が少なかったこと
-
すでに日本語として「茶色」が生活の中で定着していたこと
つまり、「brown=茶色」は語源的な一致や文化的な対応ではなく、
実務的な翻訳上の“妥当な対応”として選ばれたのです。
教科書・辞書・教育現場で定着していった「茶色=brown」
こうして一度訳語として採用されると、「茶色=brown」は徐々に学校教育や辞書、印刷・美術業界の用語として定着していきます。
たとえば:
-
絵具セットの brown を「茶色の絵具」と説明する
-
brown bear を「茶色いクマ」と訳す
-
印刷の色指定で「brown=茶色インキ」として扱う
こうした表現が明治後期〜昭和初期の教科書や実用書に登場したと考えられており、教育の中で“茶色=brown”が当たり前のように教えられるようになっていったと見られます。
「見た目が似ている」からこそ、混乱なく受け入れられた
面白いのは、言葉の成り立ちはまったく違っても、“見た目”がそこそこ似ていたことで、誰も大きな違和感を抱かなかったことです。
たとえば:
-
茶封筒 = brown envelope
-
茶色の髪 = brown hair
-
茶色のシャツ = brown shirt
こうした日常的な表現でも、「茶色=brown」の組み合わせが自然に使われるようになり、翻訳でありながらも“違和感なく定着した”稀有な例になったのです。
でも──これは偶然の一致ではなく、“文化のすり合わせ”だった
「茶色」と「brown」は語源も背景も異なります。
茶色は煎じたお茶の液体の色。
brown は毛皮や木のような自然物の色。
それでも、「見た目が近くて便利だったからそう訳された」という、翻訳上の合理性と文化の融合によって両者は結びつけられました。
これは自然な一致ではなく、**翻訳・教育・生活の中で、徐々に“そういうものだ”と信じられるようになった“後付けの関係”**だったのです。
✅ 小まとめ:茶色=brown は、翻訳であり文化の妥協だった
要素 | 内容 |
---|---|
成立時期 | 明治時代の翻訳期(19世紀末〜) |
翻訳の背景 | 教育・美術・印刷分野で色名の訳語が必要になった |
対応理由 | 見た目が近く、すでに定着していた「茶色」が妥当とされた |
定着の経路 | 教科書・辞書・絵具・日常語として使われ、常識化した |
本質 | 文化的な一致ではなく、翻訳上の“合理的な選択” |
第4章|紅茶はbrownなのに、redでblack?──色名と文化の混線図
「紅茶」は赤?
「ブラックティー」は黒?
でも見た目はどう見ても茶色(brown)。
それでも、呼び名はred と black──そこに見えるのは、**色と文化の“ズレ”**です。
🍵 紅茶の見た目は、どう考えても「茶色」
まず冷静に観察してみましょう。
-
ストレートティーの液色:赤茶っぽい透明なブラウン
-
ミルクティー:淡く白濁したベージュ〜モカ系のブラウン
-
ティーバッグの染み:完全に茶色のシミ
どう見ても「red」でも「black」でもありません。
ビジュアルとしては“brown(茶褐色)”が最も的確です。
🇯🇵 日本語:「紅茶」=赤いお茶?
日本語の「紅茶(こうちゃ)」は、“紅”という漢字を使います。
これは「赤みのある華やかな色」「美しい色」「上品な色」といったポジティブなイメージを持つ漢字です。
-
紅花(ベニバナ)=染料にも使われる赤系の色
-
紅梅、紅葉、紅型(びんがた)など、雅な赤を意味する言葉が多い
つまり「紅茶」とは、見た目の赤み+美的価値観が組み合わさった日本独自の命名です。
🇬🇧 英語:「black tea」=黒いお茶?
一方、英語では紅茶のことを black tea と呼びます。
でも、紅茶って黒くないですよね?なぜ「black」?
その理由は──
**“発酵(酸化)工程で茶葉が黒っぽく変化するから”**です。
つまり、英語圏の命名は **液体の見た目ではなく「製法(工程)」**に基づいているのです。
💬 見た目と名前が合っていないのは、どちらも文化的な理由
呼び名 | 由来 | 何を見てる? |
---|---|---|
紅茶(日本語) | 「赤くて美しい」液体の色 | 見た目+美的イメージ |
black tea(英語) | 発酵で黒くなった茶葉 | 製造工程・素材の変化 |
実際の色(現物) | 赤茶〜焦げ茶(brown) | 物理的な見た目 |
こうして見ると、どちらの言語もそれぞれの文化の価値観に沿って「色の名付け」をしていることがわかります。
🧠 見ている色は同じ、でも呼び名が違う
-
日本人:「赤くてきれいなお茶。だから“紅”」
-
英語話者:「黒くなった茶葉のお茶。だから“black”」
-
第三者:「ん?どっちも“brown”でしょ?」
これは、「色の名前」が物理的な見た目ではなく、
言語と文化が注目する“意味”に引っ張られて決まるという、非常に面白い例です。
✅ 小まとめ:紅茶の色は brown。でも呼び名は red と black
項目 | 内容 |
---|---|
実際の色 | 茶褐色(brown) |
日本語の名付け | 赤み+上品な美的感覚=「紅」 |
英語の名付け | 製法・素材由来=「black」 |
見た目との一致 | どちらもズレてるが、文化的には納得されている |
第5章|色名はなぜ“物質”から作られるのか?──茶色もbrownも“手に取れる色”
色名の多くは、“目で見た色”ではなく、“手で触れた素材の色”から名づけられてきた。
茶色も、ブラウンも──その例外ではありません。
🍵 茶色の語源は「お茶の液体の色」
前章までに見た通り、茶色は「緑茶の葉」ではなく、煎じたお茶の液体(番茶・焙じ茶)の色が語源です。
つまり、飲んで、見て、触れることができる実在のものに由来しています。
このように、色名が「手に取れる素材」を基準に生まれているのは、日本語に限らず世界共通の傾向です。
🌲 brown の語源も「毛皮・木の色」
英語の brown も、語源をたどると「毛皮」「木の皮」「革製品」など、自然界にある赤黒い素材の色が出発点でした。
ここにも、「目で見た抽象的な色」ではなく、実際に存在する物質が基準になっています。
つまり、**茶色も brown も、どちらも“物質ベースの色名”**なのです。
🎨 世界の色名の多くは「素材」に由来している
この傾向は、世界中の色名を見ても明らかです。
色名 | 由来する物質 |
---|---|
インディゴ(indigo) | インド藍(植物染料) |
セピア(sepia) | イカ墨(かつての顔料) |
カーキ(khaki) | 土埃(ヒンディー語で「土の色」) |
ターコイズ(turquoise) | 鉱石(トルコ石) |
ローズ(rose) | バラの花 |
サフラン(saffron) | サフランの雌しべ(高級香辛料) |
これらはすべて、**視覚より先に“名前の元になったものがそこにある”**色名です。
🧠 色は「目」よりも先に「手」で認識されてきた
現代人にとって「色」はディスプレイや印刷物で定義される“抽象的な概念”かもしれません。
しかし歴史的には、色はもっと身体的で、生活の中で手に取れる具体的な素材の色として認識されていました。
つまり──
色はまず「物質」だった。
その物質を通して、人は「色という概念」を育ててきたのです。
✅ 小まとめ:「茶色」も「brown」も、“目で見る色”ではなく“暮らしの中の素材の色”だった
色名 | 由来 | 特徴 |
---|---|---|
茶色 | お茶の煮汁(番茶・焙じ茶) | 飲み物から生まれた“液体色” |
brown | 毛皮・木・皮など自然素材 | 素材の風合いと色合いを重視 |
共通点 | 実体のある物質から生まれた色名 | 視覚だけでなく“手触り”の記憶を伴う |
第6章|色の感覚は世界共通じゃない──言語と文化が“色”を作る
赤・青・緑──みんな同じ色を見ていると思っていませんか?
でも実は、“何色として感じるか”は、国と言語で大きく異なります。
🌍 色は「目で見る」だけでなく、「言葉で感じている」
人間の目は、光の波長に応じて色を感じます。
これは生物としての共通仕様ですが──
「それを何色と呼ぶか」は、言語と文化によってまったく異なるのです。
たとえば:
-
信号の緑を、日本では「青信号」と呼ぶ
-
ロシア語には「青」を意味する言葉が2種類ある(後述)
-
一部の民族では、緑と青の区別すら存在しない
👉 色は「見える」けれど、「感じる色」は言語によって変わるのです。
🇷🇺 ロシア語の青:синийとголубойは“別の色”
ロシア語では「青」を表す言葉が二つあります:
-
синий(スィーニィ):濃い青、ネイビー、藍色
-
голубой(ガルボーイ):明るい青、水色、空の色
これは、日本語の「青」と「水色」よりもはっきりと“別の色カテゴリー”として認識されています。
ロシア人にとってこの2つは“違う色”であり、色覚実験でも区別の速度が速いことが示されています。
🇳🇦 ヒンバ族(ナミビア):言葉がなければ、色が見えない?
ナミビアの先住民族・ヒンバ族の言語では、「青」と「緑」を区別する語が存在しません。
そのため、ヒンバ族の色彩識別テストでは、
-
緑の中に1色だけ青を混ぜても、区別できない
-
逆に、彼ら独自の緑系の分類には非常に敏感
これは、「言葉が色の感覚を決めている」可能性を示す強力な例とされています。
🗣️ 日本語の「青」は緑を含む
-
信号の「青」
-
ネギの「青い部分」
-
青虫・青リンゴ・青海苔…
実際には緑色なのに、“青”と呼ぶ習慣は日本語独特のもの。
これは、かつて「緑」という語が一般に浸透していなかった時代の名残です。
📚 色のカテゴリーは「目」ではなく「脳」が決めている
-
色は連続した波長のグラデーションなのに、なぜ私たちは「赤」「橙」「黄」…と段階的に区切れるのか?
-
その境目をつくっているのは、脳の言語処理と記憶のシステムです。
つまり──
色とは、“世界をどう切り分けるか”という文化的判断の結果なのです。
✅ 小まとめ:色の見え方は世界共通だが、「感じ方」は言語と文化で決まる
観点 | 内容 |
---|---|
視覚の構造 | 人類共通(波長による知覚) |
色名の分け方 | 言語ごとに異なるカテゴリ |
感覚の影響 | 言語が色の境界を生み出す |
色の感覚 | 見るだけでなく「呼ぶこと」で感じている |
第7章|結論:色は光ではなく“文化と記憶”でできている
色とは、光の波長である。
でも私たちが見ている「茶色」や「ブラウン」は、単なる波長では説明できない。
それは、**文化と記憶のフィルターを通して“感じている色”**なのです。
🔦 色の正体は「電磁波」──でもそれだけでは見えない
物理的に言えば、色は光=可視光線の波長です。
-
赤:長い波長(約700nm前後)
-
青:短い波長(約450nm前後)
-
緑:中間の波長(約530nm前後)
しかし──
茶色(brown/茶色)には、対応する波長が存在しません。
なぜなら茶色は「暗いオレンジ」や「暗くくすんだ赤」のように、背景や明るさ・周囲との比較で生じる視覚的現象だからです。
つまり、**物理的な色ではなく、脳が作り出している“関係的な色”**なのです。
🧠 私たちは“知っている色”しか見えていない
たとえば──
-
「これはチョコレートの色」と知っていると、茶色に見える
-
「これはコーヒーの色」と思えば、ブラウンに感じる
-
でも、その色だけを切り取って見せられると、赤茶なのか黄土色なのか迷ってしまう
👉 私たちは色を「光の情報」だけでなく、**“過去に見たことがある記憶”**と結びつけて認識しているのです。
🧳 色名とは、“文化が付けたタグ”である
「茶色」や「brown」という言葉は、それぞれ**日本文化と英語圏文化が世界に貼った“タグ”**のようなもの。
-
お茶の色 → 茶色
-
毛皮の色 → brown
物理的に見ればほとんど同じ色でも、
何に由来するか・どう呼ぶかによって、その色の“意味”も“感覚”もまるで違ってくるのです。
🌏 言葉が違えば、世界の色も変わる
-
tea = 緑
-
tea color = brown
-
茶 = お茶
-
茶色 = 焙じ茶の液色
-
brown = クマ、木、皮の色
同じ世界を見ていても、言語が変われば“見え方”も“価値”も変わる。
それが、色の本質であり、**文化がつくる「視覚の物語」**なのです。
✅ 最終まとめ:茶色とブラウンは、色の言葉が語る“文化のちがい”
視点 | 茶色(日本語) | brown(英語) |
---|---|---|
語源 | 煎じたお茶の液色 | 毛皮・木・皮など自然物 |
認識軸 | 飲み物・日用品・暮らし | 素材・自然・感触 |
色の性質 | 赤茶〜黄土系、くすみ感 | 赤黒〜焦茶系、厚み感 |
本質 | 光の色ではなく、文化と記憶がつくる色 |
📝 エピローグ|茶は“tea”、でも茶色は“brown”──それって、なんか面白い。
お茶の葉は緑なのに、「茶色」という色がある。
英語でお茶は “tea” なのに、「茶色」は “brown”。
でも、そのどれもが、まちがっていない。
色の名前は、ただのラベルではなく、
**その文化が世界をどう感じてきたかの“記録”**なのです。
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