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🟡 第0章|点字とは?──目で見ず、指で読む“もうひとつの文字”
👆 見えなくても「読む」ことをあきらめなかった人たちへ
「点字(てんじ)」とは、指先で読むための文字です。
視覚に障がいのある人が、紙に打ち出された小さな凸(とつ)=点を触って意味を読み取ります。
6つの点を使った1マス(セル)が、文字・数字・記号などを表す仕組み。
この「6点式点字」は、実は世界共通のフォーマットなんです。
フランス語でも、英語でも、日本語でも、**同じ“点の構造”**で文字を作ることができます。
🔍 点字の仕組みは「6つの点の魔法」
点字1マスの中には、上から順に「1・2・3」、右に「4・5・6」という6つの点があります。
この**6点の組み合わせ(2⁶=64通り)**で、
「あ」「い」「う」「え」「お」から「数字」「アルファベット」「記号」までを表現するんです。
つまり点字は、
👁️ 見るのではなく、
🤲 感じて読む、
まさに“触覚の文字”といえます。
🌍 世界に広がるユニバーサルデザイン
街を歩けば、黄色い点字ブロックが目に入りますよね。
あれも点字と同じく「触覚で情報を伝えるデザイン」。
駅のホーム、横断歩道、公共施設、エレベーター、商品パッケージ、お札…。
私たちの生活の中には、点字とユニバーサルデザインがしっかり根付いています。
「目に見えないやさしさを、形にすること」
それが、点字が持つ最大の魅力です。
🧠 点字とは“情報のバリアフリー”
デジタル時代の今でも、点字は進化を続けています。
点字プリンター、点字ディスプレイ、スマホ連動の点字翻訳アプリまで登場。
AIが点字を自動生成したり、カメラで読み取って音声に変換できる時代になりました。
つまり、点字は単なる「点の模様」ではなく、
**誰もが情報にアクセスできる社会をつくる“鍵”**なのです。
💬 一文で言うなら
点字とは、「見えない人のための文字」ではなく、
「すべての人が“感じてわかる”文字」なのです。
このあと第1章では、
👉 点字を発明した青年ルイ・ブライユの物語を通して、
“なぜ人類は「触れる文字」を作ろうとしたのか?”をたどっていきます。
🕯️ 第1章|点字の誕生──ルイ・ブライユが生んだ“光のない読み書き”
👦 小さな事故が生んだ“読む自由”への渇望
1809年、フランスの小さな村・クーヴレにひとりの少年が生まれました。
彼の名は――ルイ・ブライユ(Louis Braille)。
3歳のとき、父親の工房で使っていた**錐(きり)で目を怪我し、両目を失明します。
光を失った少年が、それでも本を読みたいと願ったとき、当時の社会には「盲人が読む文字」**は存在しませんでした。
彼に与えられたのは、聖書の朗読を“聞く”ことだけ。
しかしルイはこう思ったのです。
「なぜ、見えないからといって“読む権利”を奪われなければならないのか?」
🕰️ 夜の軍隊がヒントをくれた
転機が訪れたのは、彼が10代の頃。
フランス軍で使われていた**「ナイトライティング(夜間符号通信)」という秘密の通信法に出会います。
暗闇でも声を出さずに情報を伝えるため、紙に点を打って意味を表す符号**を使う――。
それを読んだブライユ少年の脳裏に閃光が走りました。
「これは……目の代わりに“指で読む文字”にできる!」
🧩 世界を変えた“6つの点”
ブライユは、夜も寝ずに研究を重ね、
1825年、わずか16歳で「6点式点字」を完成させます。
縦3×横2の点配置をベースに、**点の位置の組み合わせ(64通り)**で
文字・数字・記号をすべて表現できる画期的なシステム。
「指先で読む」という発想が、ここに生まれました。
当時のヨーロッパでは「見えない人が読むなんて非現実的」と批判されましたが、
彼はあきらめずに改良を重ねました。
そしてやがて、この6点式は**“Braille(ブライユ)”として世界標準**になります。
✨ 世界共通のユニバーサルデザインへ
その後、ブライユの方式はヨーロッパ全土に広がり、
19世紀後半には英語、ドイツ語、スペイン語、そして日本語にも応用されます。
驚くべきことに――200年経った今でも、世界中の点字は基本構造が同じ。
つまりルイ・ブライユの発明は、
「言葉の違いを超えて“読む自由”を共有できる、世界初のユニバーサルデザイン」だったのです。
🕊️ ブライユが残した言葉(伝承)
「光を失っても、学ぶ光を手放すな。」
彼の点字は、見えない人のための“補助”ではなく、
**人間の尊厳そのものを支える「知の道具」**でした。
🇯🇵 第2章|日本の点字史──石川倉次が作った“日本語の点字”
📖 フランスの点を、日本の「音」に変えた男
点字がフランスで誕生してからおよそ60年後。
明治時代の日本でも、視覚障がい者の教育が始まっていました。
しかし当時使われていたのは、ローマ字を使った外国式点字。
日本語の「あいうえお」に合わない構造で、とても読みにくかったのです。
ここに登場するのが、教育者の石川倉次(いしかわくらじ)。
彼はこう考えました。
「日本語には日本語の点字が必要だ。」
そして1890年代、ブライユ式6点構造を応用して、
日本語の発音(五十音)に合わせた**「かな点字」**を完成させます。
🔠 “音を読む”日本語点字の誕生
石川倉次は、「漢字」ではなく「音」に注目しました。
日本語は表音文字の性質が強く、
一音ずつに点字を対応させる方が自然だったのです。
-
1マス=1音(例:あ・か・さ・た…)
-
行(か行・さ行…)ごとに「行符(ぎょうふ)」を付加して表現
-
濁点・半濁点も別の「符号」で表現できる
こうして誕生した日本語点字は、**“耳で聞いた音をそのまま書く文字”**として広がりました。
📚 広がる「読む自由」──点字図書館の誕生
1900年代初頭には、盲学校や図書館で点字図書の制作が始まります。
やがて「日本点字図書館」「桜雲会」などの活動が全国に広がり、
点字新聞・点字絵本・点字選挙公報・点字メニューなど、
社会のあらゆる場面に“触れて読む文化”が根づきました。
今日では点字はお札や医薬品ラベルにも記され、
情報バリアフリー社会の象徴となっています。
💡 まとめ:日本語の点字=音を可視化した文化
日本語点字は、「見る文字」ではなく「触れる音の文字」。
それは“日本語の音の美しさ”をそのまま点に変えた、
世界でも唯一の感性豊かな文字体系なのです。
🔷 第3章|点字の仕組み──6つの点が作る“64通りの世界”
👆 点字の基本構造:「6つの点」でできている文字
点字は、1マス(セル)に縦3点×横2点=6つの点が配置された構造をしています。
この6つの点には、左から右へ順に番号が振られています。
