場合とは?意味・使い方をわかりやすく解説|「場面」や「時」との違いまで整理【場合によるって何?】

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0章|導入──「場合による」って、結局どういう意味?


「それは場合によります」
「場合によっては〜」
「その場合は、こうしてください」

私たちは毎日のように「場合」という言葉を使っています。
にもかかわらず、「場合とは何か?」と改めて聞かれると、意外とうまく説明できません。

状況?
条件?
タイミング?

どれも近いようで、少しずつ違う。
「場合」は、日本語の中でも意味が分かっているようで、輪郭がはっきりしない言葉です。

この記事では、「場合」という言葉を
意味・漢字・使い方の観点から整理し、
最後に「場面」との違いまで含めてひも解いていきます。


1章|場合とは?意味の基本


**場合(ばあい)**とは、

ある条件・状態・前提のもとで起こる事柄や、その成り行き

を表す言葉です。

辞書では、「ある事情・状況」「もしある事が起こったとき」といった意味で説明されます。

重要なのは、「今まさに起きている事実」そのものではなく、
ある条件が満たされたときに成立する事柄を指している点です。

  • 雨が降った場合

  • 予定が変更になった場合

  • 緊急事態が起きた場合

これらはいずれも、「今はそうではないが、もしそうなったら」という
仮定を含んだ表現です。


2章|漢字から見る「場合」──「場」と「合」


「場合」という言葉は、漢字を見ると構造が見えてきます。

  • 人が集まる場所

  • 転じて、状況・局面・舞台

  • 合う

  • 合致する

  • 一致する

この二字を合わせた「場合」は、

ある状況(場)と、条件が合致したときに成り立つこと

を表す言葉だと捉えることができます。

単なる「とき」や「瞬間」ではなく、
状況と条件が噛み合った一点を示す表現として考えると、
多くの用例が理解しやすくなります。


3章|文化的な役割──なぜ「場合」はよく使われるのか


「場合」という言葉が使われる文脈を見ていくと、
ある共通した使われ方が浮かび上がります。

それは、

断定を避け、判断を一度保留する

という働きです。

「必ずこうなる」と言い切るのではなく、
「そうなる場合もある」と表現することで、
状況が変わる余地を残します。

この言い方は、責任を曖昧にするためというよりも、
条件によって結論が変わりうることを前提にする思考に近いものです。

「場合」は、物事を白黒で即断せず、
条件ごとに整理して考えるための言葉として機能しています。


コラム①|「場合」と「場面」は何が違うのか?


「場合」とよく似た言葉に、**場面(ばめん)**があります。

  • その場合は〜

  • その場面では〜

どちらも自然に聞こえますが、指しているものは異なります。

場面とは、

ある出来事が起きている具体的な状況・光景・シーン

を表す言葉です。

漢字で見ると、

  • 場:場所・状況

  • 面:表に現れている様子・側面

つまり場面は、目に浮かぶワンシーン
出来事の「切り取られた瞬間」を指します。

一方で、

  • 場合:条件・前提・分岐

  • 場面:情景・シーン

という違いがあります。

迷ったら、

  • 「もし〜なら」→ 場合

  • 「そのときの光景」→ 場面

と考えると、ほぼ間違いありません。


4章|使い方と例文──便利すぎる「場合」


日常会話

  • 雨の場合は中止します

  • 忙しい場合は無理しないで

ビジネス・文章

  • 不具合が発生した場合はご連絡ください

  • やむを得ない場合を除き、返品は不可とします

「場合」は非常に便利な言葉ですが、
使いすぎると何も決めていない文章になりやすい点には注意が必要です。

本当に条件分岐が必要かどうかを意識して使うことで、
文章はぐっと明確になります。


まとめ|「場合」とは、考えを整理するための言葉


「場合」とは、

状況と条件が重なった一点を指し、
未来の分岐を想定し、
結論を条件ごとに整理するために使われる言葉です。

だからこそ日本語では、
物事をはっきり言い切らずに考えを進めたいとき、
自然と「場合」という言葉が選ばれます。

「場合による」という一言には、
日本語の思考の癖が、静かに表れています。

そして「場合」という言葉は、
物事を決めないための言葉ではなく、
決める前に、考えるための言葉なのかもしれません。


コラム②|場合に「時」は含まれるのか?──「時と場合による」から考える


「時と場合による」という表現があります。

もし「場合」が「時」を完全に含んでいるなら、
この言い回しは重複していて不自然なはずです。
それでも違和感なく使われているのは、
「時」と「場合」が別の軸を指す言葉だからです。

は、「いつか」という時間の軸
場合は、「どんな条件か」という判断の軸

たとえば「夜の場合」と言うことはできますが、
これは時間そのものを指しているのではなく、
時間を条件の一部として扱っているにすぎません。

整理すると、

  • 時=タイミング

  • 場合=条件の組み合わせ

という役割の違いがあります。

結論

場合に「時」は含まれているとも言えます。
ただしそれは、
**時間としての「時」ではなく、条件として扱われた「時」**です。

だから日本語では、
時と場合による」と、
時間と条件を分けて考える言い方が自然に成立するのです。


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