はじめに|「え、なんでこうなったの?」を防ぐために
「チラシの色がくすんでいる」「紙がヨレヨレ…」
印刷物を発注したのに、仕上がりに違和感を感じたことはありませんか?
印刷は、温度・湿度・紙質・インキの状態など、わずかな条件の差で結果が変わるとても繊細な工程です。
近年は短納期・小ロット印刷の需要が増え、スピードを重視しつつ品質を維持することが難しくなっています。
本記事では、印刷現場でよくあるトラブル8選を取り上げ、原因と対処法を印刷会社「株式会社新潟フレキソ」が分かりやすく解説します。
印刷物を発注する前に知っておくことで、色ズレ・ヨレ・ベタつきなどの失敗を未然に防ぎ、満足のいく仕上がりを実現しましょう。
よくある印刷トラブル8選とその原因・対処法
1. 印刷の色ズレ・色味が違う原因と対処法
主な原因
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RGBデータのまま入稿している
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色校正(色見本)を取っていない
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モニターと印刷機の色再現の違い
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用紙による発色差
対処法・予防策
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入稿前にCMYK変換を確認
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本機校正・簡易校正を取る
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DICやPANTONEなどの規格色を指定
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用紙サンプルを見て選定
印刷の色再現は、デジタル表示とは大きく異なります。
モニターで鮮やかに見えるRGBデータも、印刷用CMYKに変換すると沈んだ印象になることがあります。
また、用紙の種類やコートの有無によっても発色が変化するため、ブランドカラーなど重要な印刷では特に注意が必要です。
2. 印刷物の表面がベタつく原因と防止策
主な原因
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インキの乾燥不足
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高温多湿の保管環境
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PP加工時の温度・圧の不適切な設定
対処法・予防策
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乾燥工程を十分に取る
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季節・湿度に応じた加工条件に調整
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PP加工前に検品・中間乾燥を実施
特に納期が短い案件では、乾燥が不十分なままPP加工を行い、表面のベタつき・粘着残りが発生することがあります。
これは後工程にも影響し、印刷物がくっつく・剥がれる・クレームに発展するケースも。
印刷トラブルを防ぐためには、乾燥時間の確保と工程管理が鍵です。
3. 用紙の波打ち・ヨレが起こる原因と対処法
主な原因
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湿度の高い環境での保管
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両面印刷や加工による伸縮差
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インキやニスの厚盛り
対処法・予防策
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用紙保管時の湿度管理を徹底
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紙厚・紙質を見直す
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両面の加工条件を均一に設定
印刷用紙は湿気を吸いやすく、特に梅雨や冬場の湿度差で波打ちやヨレが起こりやすくなります。
印刷会社の倉庫では温湿度管理を行っていますが、現場搬入時の環境差でも紙が反ることがあります。
印刷前に紙質・加工環境の共有を行うことが大切です。
4. 擦れ・キズがつく印刷トラブルの原因と防止法
主な原因
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インキ乾燥が不十分なまま断裁・搬送
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静電気による摩擦
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用紙表面の脆さ
対処法・予防策
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乾燥時間をしっかり確保
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静電気除去装置を使用
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PP加工やニス引きで表面保護
チラシ・ポスター・パッケージなどは多くの人の手に触れるため、擦れやキズは品質低下の要因になります。
印刷用途に応じて、マットPP・グロスPP・ニス加工などの保護方法を検討するのがおすすめです。
5. 印刷物がカール(反り)する原因と対処法
主な原因
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片面のみPP加工を施している
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加工温度や圧の不均一
対処法・予防策
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両面PP加工を検討
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短冊状カットで事前検証
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加工温度・圧を均一化
冊子の表紙や台紙で片面だけPP加工をかけると、湿気や温度の影響で**カール(反り)**が発生します。
「納品後に平らに戻らない」というケースも多く、用途・保管環境の共有が予防の第一歩です。
6. ニスのムラや割れの原因と対策
主な原因
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ニス加工前のインキ乾燥不足
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ニスの粘度が適切でない
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加工速度・ローラー圧の不均一
対処法・予防策
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乾燥時間をしっかり確保
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加工機の点検・清掃を実施
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短納期時はPP加工へ切替も検討
ニス加工は光沢や質感を出すのに有効ですが、下地の状態が悪いとムラや割れの原因になります。
高級感を重視する印刷物では、事前のテスト加工・本機校正で品質を確認するのがベストです。
7. 見当ズレ・断裁ズレが起きる原因と防止策
主な原因
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用紙の伸縮によるズレ
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断裁・打ち抜き精度の誤差
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トンボ設計ミス
対処法・予防策
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塗り足し・トンボをしっかり確保
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加工機に適した用紙を選定
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見当合わせ作業を精密化
見当ズレ(印刷位置ズレ)は、ロゴや文字の欠け、デザインの歪みを招くトラブルです。
印刷データ設計時から塗り足しを確保し、断裁誤差を考慮したデータ設計を行うことが重要です。
8. 印刷後の臭いが気になるときの原因と対処法
主な原因
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溶剤系インキの使用
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接着剤・ラミネート剤の残留
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乾燥不足
対処法・予防策
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低臭インキ・無溶剤タイプを使用
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食品対応資材を採用
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乾燥・換気を徹底
食品や化粧品などのパッケージ印刷では、印刷臭は品質に直結します。
用途に合わせて低臭・食品包装対応インキを選定することが大切です。
なぜ起こる?印刷トラブルの“見えない原因”
印刷は「データを流して終わり」ではなく、現場環境・加工順序・素材の相性など多くの条件が関わります。
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季節・時間帯による湿度や温度の変化
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用紙の種類・厚み・コーティングの有無
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インキと乾燥時間の相性
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加工の順序(印刷 → PP加工 → 断裁など)
こうした現場条件の違いが、最終的な品質を左右します。
印刷会社と十分な情報共有を行うことで、トラブルのほとんどは防ぐことができます。
印刷トラブルを防ぐにはプロへの相談が最短ルート
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初めて印刷を発注する
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色味や仕上がりのイメージを正確に伝えたい
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過去に印刷トラブルを経験した
そんな時は、新潟の印刷会社 株式会社新潟フレキソへご相談ください。
印刷からPP加工・断裁・打ち抜きまで一貫対応。
経験豊富なスタッフが課題を丁寧にヒアリングし、最適な素材・加工・スケジュールをご提案します。