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はじめに:そのPP加工、本当に必要ですか?
名刺、パンフレット、パッケージ、冊子…。印刷物の世界では、ただ「刷る」だけで終わりではありません。
多くの人が「とりあえずPP加工(グロスで)」と頼むことがありますが、それが必ずしもベストな選択とは限らないのです。
PP加工には確かに魅力があります。ツヤ感、高級感、耐久性の向上――見た目も実用性も格段にアップします。
しかし一方で、「加工したせいで書き込めなかった」「予算オーバーになった」「雰囲気と合わなかった」という“ミスマッチ”の声も少なくありません。
そこでこの記事では、PP加工の基本と役割を再確認しながら、**「どんな時に必要か」「逆に不要なのはどんな時か」**を、プロ目線で具体的に解説します。
1. PP加工とは?必要かどうか判断するための基本知識
PP加工(ポリプロピレン加工)とは、印刷物の表面に薄いPPフィルムを貼ることで、見た目の質感と耐久性を向上させる後加工です。
使用されるのは主に次の2タイプ:
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グロスPP:光沢があり、発色が鮮やかになる。インパクト重視に最適。
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マットPP:反射を抑えた落ち着いた仕上がり。上品で高級感がある。
PP加工の効果まとめ:
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印刷面の保護(キズ・汚れ・湿気から守る)
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見た目の向上(高級感・ブランド感アップ)
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摩擦や汚れに強くなり、長期使用に耐える
これだけ聞くと「全部にやったほうがいいのでは?」と思われがちですが、“すべての印刷物に必要”ではないのです。
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2. プロが見る!PP加工が「必要なケース」
「PP加工を施した方が良いかどうか」は、見た目の印象+使われ方+保存期間+想定される環境を踏まえて判断すべきです。以下のような条件に当てはまる場合は、PP加工が非常に効果を発揮します。
✔️ 長期間使用される印刷物
一度配布して終わりではなく、繰り返し使用される用途の印刷物には、PP加工がほぼ必須と言えます。たとえば:
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営業パンフレット・カタログ:1ヶ月以上顧客に手元で使われる
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商品案内:展示会や営業先で繰り返し提示される
-
店舗用メニュー:毎日手に触れる、飲み物や油汚れも想定される
こうした印刷物は擦れ・角折れ・インキの剥がれが発生しやすく、PP加工で保護しなければ早々に劣化してしまいます。
特に表紙やカバー部分だけでも加工しておくと、仕上がりの耐久性が飛躍的に向上します。
✔️ 高級感・信頼感を演出したい場面
企業案内や高級ブランドのパンフレットなどでは、見た目の“仕上がり感”が企業や商品の信頼性に直結します。
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グロスPPなら「鮮やかでインパクトのあるビジュアル演出」
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マットPPなら「落ち着いた上品なトーンで安心感を演出」
このように、印刷物自体が“営業マンの代わり”になるようなシーンでは、PP加工は見た目と印象を左右する武器になります。
✔️ 汚れ・水濡れ・摩耗が想定される環境
店舗や野外、飲食を伴う環境などでは、印刷物が物理的な影響を受けやすくなります。
例:
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飲食店のテーブルに置くメニュー表 → 水や油に触れる可能性あり
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屋外の掲示用POPやポスター → 雨や湿気による劣化のリスク
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手提げ袋やパッケージ → 持ち運びによる摩擦・傷に注意
こうした環境下で未加工のまま印刷物を運用すると、すぐに色褪せたり、角が折れて安っぽく見える原因になります。
PP加工はそれらをしっかり保護し、ブランドイメージを維持するための盾のような役割を果たします。
✔️ プレゼンや展示会などで“競争”が激しい場面
他社との比較が避けられない場面では、視覚的な第一印象の差が、選ばれるか否かを分けることもあります。
その中で、PP加工された印刷物は「洗練されている」「しっかり作られている」という印象を与えるため、資料の信頼性やブランド評価にも影響を与えます。
3. 逆にPP加工が「不要なケース」
一方で、すべての印刷物にPP加工を施すと、コストがかかるだけでなく、機能的に逆効果になる場合もあります。以下に、PP加工を避けた方が良い具体的なケースとその理由を紹介します。
✘ 書き込み・記入が必要な印刷物
PP加工を施すと、水性ペン・鉛筆・ボールペンでの筆記が非常に困難になります。表面がつるつるしてインキをはじいてしまうため、記入用途のある印刷物には向きません。
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セミナーやイベントで使用するアンケート用紙
-
来場者記入式の申込書や同意書
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メモスペース付きのパンフレットや資料集
これらの用途では、PP加工は実用性を阻害してしまう可能性があるため、あえて加工を避ける選択が正解です。
💡現場の工夫:
表紙や背表紙だけPP加工を施し、内面は未加工にするという「部分加工」の設計も効果的です。
✘ 短期的に配布・消費されるもの
数日〜1週間以内に消費・廃棄される印刷物に高価なPP加工を施すのは、費用対効果の面で合理的とは言えません。
例:
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折込チラシやポスティングDM
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展示会のノベルティパンフ(その場で回収する前提のもの)
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社内向けの一時的な資料
こうした用途では、情報が伝われば十分で、装飾性や耐久性をそこまで求められないことが多いため、加工は省略する判断が現実的です。
✘ コストや納期に制約がある案件
PP加工を加えることで、印刷納期が+1〜2営業日かかることが一般的です。また、小ロットで加工をすると、単価が割高になることも。
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急ぎの印刷案件(即納/当日仕上げ)
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予算が厳しいプロジェクト
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小ロット・テスト印刷段階の案件
こうしたケースでは、PP加工を省略するだけで工程が1つ減り、納期も費用もスリムになるため、あえて「今回は無し」という判断が正解になることもあります。
✘ 見た目より“手軽さ”や“書き心地”が重視される場面
PP加工を施すことで、印刷物の“書きやすさ”や“手触りの素朴さ”が損なわれることもあります。たとえば:
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手渡しメモ、伝票、領収証の控え
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子ども向け教材プリント
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書店で配布されるお試し読み小冊子
こうした場面では、あえて加工せず「紙そのものの手触り感」や「自由な使いやすさ」を残す方が、ユーザーに寄り添った仕様になります。
このように「PP加工が必要かどうか」は、見た目の演出だけでなく、使い方・読み方・書き方・捨て方まで含めた“体験設計”として判断することが重要です。
4. よくある「失敗例」から学ぶPP加工判断のコツ
PP加工は、見た目も品質も向上させてくれる非常に優れた加工です。しかし、選び方を間違えると“かえってマイナス”になることもあるのが実際のところ。
ここでは、印刷業の現場でよくあるPP加工に関する失敗例と、その原因・回避策を詳しくご紹介します。
❌ 失敗例①|冊子表紙にグロスPP → 「ツヤツヤすぎて安っぽくなった」
▶ 実際のシーン
展示会用のサービス紹介冊子で、「高級感を出したいから」とグロスPPを全面に採用。
仕上がってみると、反射が強すぎて照明の下で読みにくく、ツヤがテカリすぎて安っぽい印象に。
▶ なぜ失敗?
「高級感=ツヤ」という思い込みから、用途や環境を無視して選定してしまったパターン。
▶ 回避ポイント
-
落ち着いたブランドイメージにはマットPPの方が好ましいことが多い
-
使用シーン(室内照明/蛍光灯下など)を事前に想定しておく
❌ 失敗例②|アンケート用紙にマットPP → 「誰も書き込めない!」
▶ 実際のシーン
イベント配布資料として冊子+アンケートを一体化。見た目を揃えるため全ページにマットPPを施した結果、ペンや鉛筆で全く書き込めず参加者が困惑。結局、回答率が激減。
▶ なぜ失敗?
“筆記性”の必要性を見落としたまま、統一感を優先してしまった例。
▶ 回避ポイント
-
書き込みスペースにはPP加工を避ける or 加工を部分的に制限する
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「マットPP=書けそう」という誤解に注意(実際は滑る)
❌ 失敗例③|短期イベントのフライヤーにマットPP → 「コストオーバーで予算難民」
▶ 実際のシーン
1日限りの地域イベント用フライヤーに高級感を出そうとマットPP加工を全体に実施。
ところが予算が膨らみ、他のツール(ポスター・ノベルティ)の予算が圧迫されて中途半端に。
▶ なぜ失敗?
印刷物全体のバランスを見ずに、“一枚だけの完成度”に偏った設計をしたことが原因。
▶ 回避ポイント
-
使用期間・目的・処分前提の印刷物にはコスト最適化が大切
-
「目立たせたいもの」と「費用を抑えるべきもの」を分類する
❌ 失敗例④|小ロット名刺にPP加工 → 「納期が間に合わない!」
▶ 実際のシーン
フリーランス開業に合わせて名刺を急ぎで発注。「こだわりたい」とマットPPを選んだが、加工の関係で納期が+2日かかり、開業イベントに間に合わず…。
▶ なぜ失敗?
納期への影響を事前確認せずに、加工優先でオーダーしてしまった。
▶ 回避ポイント
-
納期に余裕がない場合は、未加工や即納対応の仕上げを優先
-
加工が必要でも「当面は簡易版→後日こだわり版」と段階を分けるのも有効
❌ 失敗例⑤|メニュー表に加工なし → 「3日でボロボロに…」
▶ 実際のシーン
飲食店がオープンに合わせて急遽作成したメニュー表。印刷コストを抑えるためPP加工を省いた結果、数日で油染み・水シミ・角折れが目立ち、清潔感が大幅ダウン。
▶ なぜ失敗?
使用環境と耐久性のバランスを甘く見た結果、印刷物の寿命が極端に短くなった。
▶ 回避ポイント
-
毎日使用・人の手に触れる印刷物にはPP加工が不可欠
-
特に飲食・医療・サービス業では「耐久性=信頼感」に直結する
💡 失敗を防ぐための「加工設計」3つの心得:
-
「見た目のため」ではなく「目的のため」に選ぶ
→ ビジュアルに惑わされず、「この印刷物は何を果たすのか?」を軸に判断。 -
使う人の“体験”をイメージする
→ どこで/誰が/どんな環境で触れるのか?にフォーカスして素材を選定。 -
“全部同じ”にしない勇気を持つ
→ 表紙だけPP、中面は未加工など、メリハリある加工設計が最もスマート。
このように、PP加工は「万能」ではなく、「適材適所」で使い分けることで真価を発揮します。
5. プロが実践する「3軸判断法」で迷いを防ぐ!
PP加工の有無を判断するために、私たちが現場で使っている考え方があります。それがこの「3軸評価」です:
軸 | 考えるべきポイント |
---|---|
用途 | 長期使用?短期配布? |
印象 | ブランド感を出す?実用性重視? |
実用性 | 書き込みがある?汚れやすい? |
この3軸をバランスよく見ていくと、「やるべき加工」か「今回は不要」かが明確に判断できるようになります。
6. まとめ:PP加工は“必要な時に、最適な形で”が正解!
PP加工は、確かに印刷物の価値を大きく高める力を持っています。
ただしそれは、“必要な時に正しく使われた場合”の話です。
「全部にグロスPP!」という判断ではなく、
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どう使われるのか?
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どう見せたいのか?
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本当に加工する必要があるのか?
これらを一つひとつ検討しながら、目的に合った最適な加工を選ぶことが、印刷物を“成果につながるツール”にする最大のコツです。
▶ 迷ったら、現場のプロにご相談ください!
「この印刷物、PP加工すべき?」「マットとグロス、どっちが正解?」
そんなお悩みに、私たち新潟フレキソが実践的なアドバイスを差し上げます。仕上がりの用途・印象・コストバランスまで、最適な方法をご提案します!
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