ようこそ![新潟市の印刷会社・株式会社新潟フレキソ] のブログへ 企業・個人事業主様の印刷・販促物制作をサポートしています。
0章|「ウケる」って、何を受けているの?
「それウケるw」
「まじでウケるんだけど」
私たちは日常の中で、ほとんど無意識にこの言葉を使っています。
けれど、ふと立ち止まると不思議です。
“ウケる”って、何を受けているのでしょうか。
笑い?
評価?
それとも空気?
実はこの言葉、もともとは「笑える」という意味ではありませんでした。
出発点は、もっとシンプルな動詞──**「受ける」**です。
そしてそこから、文化とともに意味が少しずつ変化していきました。
1章|現代の「ウケる」の意味を整理する
まず、いま使われている「ウケる」の意味を整理してみましょう。
大きく分けると、主に三つあります。
ひとつ目は、もっとも一般的な
**「笑える」「おもしろい」**という意味。
二つ目は、
**「ツボに入る」「じわじわくる」**という、やや主観的な反応。
三つ目は、
**「人気がある」「評判がいい」**という評価語の用法です。
たとえば、
「この芸人、若者にウケてるよね」
という場合は、笑った“自分の反応”ではなく、“世間の評価”を指しています。
ここで重要なのは、「面白い」との違いです。
「面白い」は対象そのものを評価する言葉。
一方「ウケる」は、自分(あるいは観客)の反応が起きたことを示す言葉です。
つまり、「ウケる」は出来事ではなく“反応”を語る言葉なのです。
2章|ウケるの語源の核は「受ける」
では、原点に戻ります。
「受ける」という動詞は、古くからある日本語です。
受け取る。
引き受ける。
身に受ける。
どれも「何かがこちら側に届く」イメージがあります。
この基本的な意味から派生して生まれたのが、
評価や反応を受けるという用法です。
たとえば芝居や演芸の世界では、
「客に受ける」
「ウケがいい」
という言い方がありました。
ここでの「受ける」は、
拍手や笑い、喝采といった“観客の反応を受け取る”という意味です。
つまり本来の「ウケる」は、
笑いそのものではなく、反応を得ることを指していたのです。
3章|ウケるは演芸文化から若者言葉へ
「ウケる」という言葉が広く浸透した背景には、日本のお笑い文化があります。
寄席や漫才、テレビのバラエティ番組では、
「ウケる/すべる」という対比がよく使われます。
ウケる=反応が良い
すべる=反応がない
この対立構造は、とても分かりやすい。
そしてやがて、「客にウケる」から一歩進み、
「これウケる」=「これ、笑える」という意味へと転化していきました。
主語が変わったのです。
観客が笑う
→ 私が笑う
→ 私が思わず反応してしまう
こうして「評価語」だった言葉は、
「感情の即時表明」へと変化しました。
4章|ウケるはなぜ広まったのか
「ウケる」は短く、軽く、テンポがいい。
少なくとも1990年代後半から2000年代初頭には、若者語として広まっていったそうです。
この頃、テレビのバラエティ番組やお笑い文化は広く浸透し、「ウケる/すべる」という対比も一般化していました。
広がっていた背景の一つとして考えられるのは、会話のスピード感です。
「面白い」と言うよりも、「ウケる」のほうが軽い。
評価を説明する言葉ではなく、反射的な反応を示す言葉だからです。
説明ではなく、共有。
「これは面白いよ」と論じるのではなく、
「今、私は笑った」という事実をそのまま差し出す。
この言葉は、
場の空気を共有するための合図として機能します。
笑いの質を分析する語ではなく、
反応が起きた瞬間を示すサイン。
それが、現在の「ウケる」です。
5章|ウケるの使い方とニュアンスの違い
実際の会話では、微妙なニュアンスの差があります。
・それウケる(純粋な笑い)
・なにそれウケるんだけど(驚き+笑い)
・逆にウケる(意外性や軽い皮肉)
・この商品は若者にウケる(評価語)
ここで気をつけたいのは、
「ウケる」が強く主観に寄った言葉だということです。
「私は今、反応している」という宣言に近いため、
文脈によっては“相手を笑っている”ように聞こえることがあります。
真剣な相談や深刻な場面では、軽すぎると受け取られることもあるでしょう。
また、改まった場面や目上の相手との会話では、使いにくいと感じる人もいます。
軽さは、この言葉の魅力です。
同時に、その軽さこそが使いどころを選ぶ理由でもあります。
6章|まとめ:「ウケる」は反応の言葉
「ウケる」の語源は「受ける」。
本来は、
反応や評価を受け取ること。
そこから演芸文化を通じて
“笑いを取る”意味が強まり、
さらに若者会話で
“私が笑った”という主観的な意味へと変化しました。
つまりこの言葉は、
対象を評価する言葉ではなく、
反応が成立した瞬間を示す言葉なのです。
だからこそ私たちは、
説明より先に、思わずこう言ってしまう。
「それ、ウケる。」
🔗こちらの記事もおすすめ
■希望と願望の違いとは?|意味・使い分けと「希・望・願」の違いからわかる“ねがい”の正体
■対象・対照・対称の違いとは?|意味・語源・使い分けをわかりやすく解説
■作る・造る・創るの違いとは?全部「つくる」だけど、実はこんなに違う意味と使い分けをやさしく解説
■きついとは?意味・語源・由来・つらいとの違いまでわかりやすく解説
■ムカつくとは?意味・語源・由来をわかりやすく解説|意外と古い言葉!?なぜ“怒りの言葉”になったのかまで
■破茶滅茶・滅茶苦茶・無茶苦茶・目茶苦茶の違いとは?|「茶」の意味と語源をわかりやすく解説