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0章|導入:「けんとう」問題、ややこしい問題
「この件、検討しておきます」
「だいたいの見当はついています」
こうした言葉を、私たちは日常でも仕事でも何気なく使っています。しかし、いざ文章にしようとすると、
「これ、検討? 見当? どっちだっけ…?」
と迷った経験はないでしょうか。
さらにややこしいのが「けんとうちがい」という言葉です。
「検討違い? 見当違い?」と混乱したことがある人も多いはずです。
実はこの2語は、意味も成り立ちも、はっきり違います。
今回は「検討」と「見当」の違いを、語源・歴史・使い方からわかりやすく整理していきます。
1章|まず結論:検討と見当の決定的な違い
最初に、結論から押さえておきましょう。
検討:しっかり調べて深く考えること
見当:だいたいの予想・目安
一言でまとめると、
-
論理的に考える → 検討
-
感覚的に予想する → 見当
です。
似ているようで、「思考の重さ」がまったく違います。
2章|「検討」の語源と成り立ち
「検討」は、漢語由来の言葉です。
「検」
調べる・確かめる
(例:検査・検索・検証)
「討」
論じる・考える
(例:討論・討議)
この2字が合わさることで、
👉 「調べて、考え抜く」
という意味になります。
もともと中国の漢文や公的文書で使われてきた言葉で、日本でも明治以降、行政・法律・学術分野で定着しました。
そのため「検討」には、
-
客観性
-
論理性
-
慎重さ
といったニュアンスが含まれています。
3章|「見当」の語源と成り立ち
一方、「見当」は日本語的な感覚の強い言葉です。
「見」
見る・気づく
「当」
当たる・一致する
つまり、
👉 「見て当てる」
という意味です。
もともとは、
-
方角を推測する
-
物の場所を探る
-
相場を読む
といった場面で使われてきました。
江戸時代には、商人や庶民の間で「見当をつける」という表現が広まり、日常語として定着していきます。
「見当」は、理屈よりも感覚に近い言葉なのです。
4章|歴史で見る使い分けの変化
歴史的に見ると、両者の役割ははっきり分かれていました。
江戸時代
-
見当:庶民の日常語
-
検討:ほぼ未使用
明治以降
-
検討:公文書・論文で普及
-
見当:会話中心で継続
つまり、
👉 「公の言葉=検討」
👉 「私的な言葉=見当」
という分化が進んだのです。
この背景が、現代まで続いています。
5章|検討と見当、なぜ混乱するのか?
では、なぜ私たちは迷うのでしょうか。
主な理由は3つあります。
① 音がそっくり
「けんとう」という発音が同じ。
② 両方「考えるっぽい」
意味が近く感じられる。
③ ビジネス文書の影響
両方が同じ場面に出てくる。
この3点が重なり、混乱が生まれます。
6章|「見当違い」はなぜ「検討違い」じゃないのか?
有名な混乱例を紹介します。
「けんとうちがい」
正解は、
👉 見当違い
です。
「見当」は予想・目星の意味でした。
そこに「違い」がつくことで、
👉 「予想が外れる」
という意味になります。
語源的にも非常に自然です。
一方、「検討」は「よく考えること」そのものを表す言葉です。
そのため、「検討違い」と言っても意味がはっきりせず、そもそもそんな日本語は使われません。
だからこそ、一般的に使われているのは「見当違い」なのです。
7章|検討と見当の正しい使い方と例文集
検討の例
-
この案を検討します
-
導入を検討中です
-
慎重に検討する必要があります
👉 判断前の思考に使う
見当の例
-
見当がつかない
-
大体の見当をつける
-
見当が外れた
👉 予想・感覚に使う
よくある誤用
❌ 検討がつく
⭕ 見当がつく
❌ 見当します
⭕ 検討します
ここは要注意ポイントです。
8章|文化的背景:「論理」と「感覚」の日本語
この2語は、日本人の思考文化も反映しています。
-
検討=論理・分析
-
見当=直感・空気
日本語は、この両方を大切にしてきました。
論理だけでもなく、感覚だけでもない。
両立させる文化が、「検討」と「見当」を共存させてきたのです。
9章|コラム:「検討します」は断り文句?
ビジネスでよく聞く、
「前向きに検討します」
実際には、
👉 ほぼ断り
である場合も少なくありません。
本来は「真剣に考える」という意味ですが、現代では「保留」「婉曲な拒否」として使われることも増えています。
言葉の意味は、時代とともに変化する例と言えるでしょう。
10章|まとめ|迷ったらこれだけ覚えよう
最後にここまでを整理します。
✔ 深く考える → 検討
✔ だいたい予想 → 見当
✔ 外れた → 見当違い
迷ったら、この3つだけ覚えておけば大丈夫です。
「検討」と「見当」は似ているようで、役割の違う言葉です。
意味を理解して使い分ければ、文章も会話も、より正確で伝わりやすくなります。
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