平和とは?意味・語源・由来を「平」と「和」から読み解く言葉の正体|和平との違いも解説

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0章|「平」と「和」、本当に仲がいい二文字なのか


「平和」という言葉には、
穏やかで、争いがなく、みんなが仲良くしている――
そんなイメージが自然とついて回ります。

けれど、漢字を一つずつ見てみると、少し様子が違います。
「平」も「和」も、感情や気分を表す字ではありません。

むしろどちらも、
状態・調整・安定といった、かなり現実的な概念を担っています。

なぜこの二文字が並んで「平和」なのか。
まずは、それぞれの辞書的な意味から確認していきましょう。


1章|平和とは?現代語としての意味


**平和(へいわ)**とは、辞書ではおおむね次のように説明されています。

  • 戦争や紛争がなく、世の中が穏やかであること

  • 大きな争いが起こらず、社会が安定している状態

ここで重要なのは、
平和は「気持ち」や「感情」を直接表す言葉ではない、という点です。

誰も怒っていない状態でも、
全員が満足している状態でもない。

争いが表面化せず、破壊的な衝突が起きていない状態
それが、現代語としての「平和」です。


2章|「平」の辞書的な意味


平=高低・偏りがないこと

まず「平」という漢字から見ていきます。

辞書における「平」には、主に次のような意味があります。

  • 高さや程度に差がないこと

  • 偏りがなく、均等であること

  • 変わったことがなく、通常であること

この意味は、「平等」「平常」「平凡」といった言葉にも共通しています。

ここで大切なのは、
「平」は良い・悪いを評価する字ではないという点です。

立派でも、理想的でもなく、
ただ「ならされている」「極端でない」状態を示す。
それが「平」という漢字の性格です。


3章|「和」の辞書的な意味


和=調和し、穏やかに収めること

次に「和」です。

辞書的に見ると、「和」には次のような意味があります。

  • 争いがなく、穏やかであること

  • 物事がうまく調子よくまとまること

  • 相手と折り合いをつけること

ここで注目したいのは、
「和」は単に同じになることを意味する言葉ではない、という点です。

意見や性質が違っていても、
それを無理にそろえるのではなく、
ぶつからないように調整し、穏やかに収める。

その状態を表すのが「和」です。

同じである必要はありません。
違いがあっても、衝突せず、乱れず、まとまっている。
それが「和」の本来のイメージです。

「和解」「調和」といった言葉からも分かる通り、
和は「完全な一致」ではなく、
対立やズレを穏やかに整えるための概念なのです。


4章|なぜ「平和」なのか


状態(平)+関係調整(和)

ここで、「平」と「和」を組み合わせて考えてみます。

「平」だけでは、
構造がならされていても、人の対立は残ります。

「和」だけでは、
関係を収めようとしても、土台が荒れていれば限界があります。

平和とは、

  • 状況や構造が極端に荒れておらず(平)

  • 人や集団の対立が、表に出ないよう収められている(和)

この二つが同時に成立している状態を指す言葉です。

つまり平和とは、
「仲がいい」状態ではなく、
争いが起こりにくい状態を表す言葉なのです。


5章|「平和」という言葉の歴史


「平和」という語自体は、中国古典に由来し、
世の中が安定している状態を表す言葉として使われてきました。

日本語として現在の意味で一般化したのは近代以降です。
西洋語 peace の訳語として定着し、
政治・国際関係を語る基本語彙になりました。

ただし、
古代は理想、近代は制度、
と単純に分けられるものではありません。

昔から「望ましい状態」を指す言葉であり、
近代以降は「管理・維持される状態」を示す言葉にもなった。
それが「平和」です。


6章|言葉としての「平和」と文化


「平和」には「和」という字が含まれています。
そのため、日本語では、

  • 衝突を表に出さない

  • 壊さず、保つ

といったニュアンスを強く感じる場面があります。

ただし、これは国民性の断定ではありません。
あくまで、日本語としての表現の傾向です。

「平和」は、
何も起きていない状態を指す、
静かな言葉でもあります。


7章|平和の使い方と例文


  • 平和な日常が続いている

  • 世界平和を願う

  • 比較的平和な時代だった

  • 平和ボケしている

肯定的にも、皮肉にも使われるのは、
平和が「当たり前」に見えやすい言葉だからです。


📌 コラム|「平和」と「和平」の違いとは?


「平和」とよく似た言葉に、「和平(わへい)」があります。
ニュースなどで、「両国が和平に合意した」という表現を目にしたことがある人も多いでしょう。

どちらも「争いがなくなること」を連想させる言葉ですが、
実は、この二つは役割がはっきり分かれています。


■ 和平とは「争いを終わらせるための合意」

まず、「和平」から見てみましょう。

和平とは、

戦争や対立を終わらせるために結ばれる合意

を指します。

ここで重要なのは、
和平は「状態」ではなく、行為・プロセスを表す言葉だという点です。

そのため、

  • 和平交渉

  • 和平協定

  • 和平合意

といった形で使われるのが基本です。

つまり、和平は「まだ争いが存在している段階」で使われる言葉なのです。


■ 平和とは「争いが起きていない状態」

一方の平和は、

大きな争いがなく、社会や世界が安定している状態

を指します。

和平によって争いが終わり、
その後に続く安定した状態。
それが平和です。

時系列で並べると、次のようになります。

  1. 対立・戦争が起こる

  2. 和平交渉・和平合意が成立する

  3. 平和な状態が続く

和平は「通過点」、
平和は「継続状態」と言えます。


■ 「和平=ゴール」「平和=維持」

もう少し整理すると、

  • 和平:争いを終わらせるための決断

  • 平和:争いが起きない状態を保つこと

という違いがあります。

和平は、一度成立すれば終わります。
しかし、平和は続けなければ意味がありません。

ニュースでよく見かける、

「和平は成立したが、緊張状態は続いている」

という表現は、その典型です。

「和平=平和」ではないことが、ここからも分かります。


■ なぜ「和平」という言葉が必要なのか

「平和があるなら、それでいいのでは?」と思うかもしれません。

しかし、「平和」は状態を表す言葉なので、

  • 平和する

  • 平和した

とは、普通言いません。

そこで、「和(やわらげる)」と「平(おさめる)」を組み合わせた、
動作として使える言葉が生まれました。

それが「和平」です。

つまり、

  • 平和:状態を表す言葉

  • 和平:行為を表す言葉

という役割分担ができているのです。


■ 一文で分かる違い

最後に、両者の関係を一文で表すなら、こうなります。

和平に合意して、平和につながる。

争いを終わらせる決断があり、
それを積み重ねて初めて、平和は続いていく。

この違いを知っておくと、ニュースの見え方も少し変わってきます。


■ コラムまとめ

  • 和平=争いを終わらせるための合意

  • 平和=争いが起きない安定した状態

和平はスタートライン。
平和は、その後の道のりです。


8章|まとめ


平和とは、「仲良し」ではなく「壊れていない状態」

平和は、感情の言葉ではありません。
満足や幸福を保証する言葉でもありません。

構造がならされ、
対立が表に出ていない。
その状態を、私たちは「平和」と呼びます。

当たり前に見えるほど、
実は条件の上に成り立っている。
それが、「平和」という言葉です。


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