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0章|「絵画って、絵と画で“えとえ”だよね?」という素朴な疑問
「絵を描く」
「画面構成」
「絵画鑑賞」
日常的に使っているこれらの言葉は、どれも「え」と読みます。にもかかわらず、日本語には「絵」と「画」という二つの漢字があり、さらにそれを組み合わせた「絵画」という言葉まで存在しています。
もしまったく同じ意味なら、どれか一つに統一されてもよさそうなものです。それでも分かれて残っているということは、きっとそれぞれが担っている役割が違うからなのでしょう。
この記事では、「絵」「画」「絵画」の違いを、意味・語源・歴史・文化・使い方から整理しながら、なぜ“え”が三つに分かれているのかをひもといていきます。
1章|まず結論:絵・画・絵画は「対象」ではなく「視点」が違う
最初に整理しておくと、三つの言葉は次のように理解すると分かりやすくなります。
-
絵:見えたもの・感じた印象を「絵」としてとらえる言葉
-
画:線・区切り・構造として「画」としてとらえる言葉
-
絵画:それらを作品・ジャンルとしてまとめて語るときの言葉
つまり違いは、「何を指すか」という対象の違いというより、どこから語るかという立ち位置の違いに近いものです。
辞書的には「絵」と「画」はほぼ同義として扱われることもあります。ですが、現実の日本語では、言葉の選び方によってニュアンスが変わる場面も少なくありません。
2章|「絵」とは何か──感じたものを“絵にする”言葉
「絵」は、三つの中でも特に感覚に近い言葉です。
漢字の「絵」は、旧字の「繪」でも表され、糸を表す部首を含みます。成り立ちとしては「糸」と「會(会う・集まる)」の組み合わせで、もともとは色糸を集めて刺繍をしたり、模様を作ったりする意味合いから発展したと説明されます。
ここがおもしろいポイントで、「絵」という言葉の起点には、必ずしも“紙に描く”だけではなく、色や素材を組み合わせて「模様や像を作る」行為が含まれていたのです。
そこから意味が広がり、現在の「絵」は、
-
見たものを写したもの
-
頭に浮かんだイメージ
-
感情や印象を形にしたもの
といった幅広い対象を指すようになりました。
子どもの落書きでも、メモ帳のスケッチでも、イラストでも、「絵」は成立します。正確さや技術よりも、まずは「描いた」「表した」「似せた」という行為そのものに軸がある言葉と言えるでしょう。
3章|「画」とは何か──線を引き、区切り、構成する言葉
一方の「画」は、「絵」と似ているようで性格が違います。
「画(畫)」の原義は、簡単に言えば線を引いて区切ることです。境界を引き、範囲を分け、構造を作る。つまり「画」は、感覚というよりも、整理や設計の発想と相性がいい言葉です。
このニュアンスは、現代の語彙にもはっきり残っています。
-
区画
-
計画
-
画面
-
映画
これらに共通しているのは、「雰囲気」や「感情」ではなく、構造・枠・設計・配置という視点です。
だから「絵」を“画”として見るとき、私たちは自然と「何が描かれているか」だけではなく、線・配置・バランス・構図といった枠組みに目が行きます。
「画面構成」という言葉が成り立つのは、この「画」が“構造の言葉”だからです。
4章|なぜ「絵画」という言葉が必要だったのか
では、なぜ「絵」と「画」を組み合わせた「絵画」という言葉があるのでしょうか。
「絵」は親しみがあり、感覚に近い一方で、意味が広く、日常の落書きやイラストまで含み得ます。「画」は構造・設計に寄るため、図や設計図のような意味にも引っ張られます。
その中間にある、もう少し整理された言い方――
つまり「作品としての“え”」をまとめて語る言葉として、「絵画」という言葉が便利になっていったと考えると自然です。
「絵画」は、単なるお絵かきでも、単なる図面でもありません。作者が意図をもって形を整え、技法を用い、鑑賞される対象となる。そうした表現・技術・作品性を含んだ言い方として、「絵画」は用いられやすい言葉なのです。
5章|歴史から見る「絵」「画」「絵画」の役割
歴史的に見ても、この三つの言葉の役割は整理されてきました。
古代から中世にかけて、描かれる“え”は宗教・記録・装飾としての役割を担ってきました。ここでは、意味や配置、象徴性が重要になりやすく、構造的な「画」の感覚が強くなります。
近世以降になると、個人の表現や美意識が前に出てきます。ここで「絵」という感覚的な側面がより表面化していきます。
さらに近代に入り、美術館・展覧会・美術教育のような制度が整うと、「絵画」は作品ジャンルとして語られやすくなっていきました。つまり「絵画」は、単なる言葉というよりも、文化として整理された枠組みを帯びた言い方でもあります。
6章|日常語と専門語の使い分けに出る違い
この違いは、日常の言葉遣いにもはっきり出ています。
たとえば、
-
絵がうまい
-
絵を描く
-
子どもの絵
こういう表現には親しみがあり、「絵」が自然です。
一方で、
-
画家
-
画面構成
-
絵画史
となると、専門性が前に出てきます。分析や評価、学術的な分類に近い場面では、「画」「絵画」という語が選ばれやすいのです。
無意識のうちに、私たちは「絵」で感じ、「画」で分析し、「絵画」で語っています。
7章|言葉が変わると、見え方も変わる
同じ作品でも、言い方を変えるだけで見え方が変わります。
「いい絵だね」と言えば、感情や印象の話になります。
「画面が強い」と言えば、構図や配置の話になります。
「近代絵画として重要だ」と言えば、歴史や文脈の話になります。
言葉が違うということは、見ている角度が違うということです。
そしてそれこそが、「絵」「画」「絵画」が分かれて残った理由なのかもしれません。
まとめ|「えとえ」ではなく、感覚と構造の重なり
「絵」と「画」は、同じものを指しているようで、見ている場所が違います。
-
絵:感じる側の言葉
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画:組み立てる側の言葉
-
絵画:作品として整理された文化の言葉
絵画とは、感覚だけでも、構造だけでも成立しない表現です。
だからこそ「絵」と「画」の間に立つ言葉として、「絵画」という呼び方が今も生きているのでしょう。
同じ「え」なのに分かれているのは、日本語がそれだけ“見る”という行為を、繊細に言葉へ落とし込んできた証拠なのかもしれません。
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