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0章|導入──こたつの中、なんで赤いの?
冬、こたつに足を入れた瞬間の、
あの「ぬく……」という感覚。
ふと中をのぞくと、
こたつの奥は ぼんやり赤く光って います。
「赤い=熱そう」
「赤外線って赤いんだっけ?」
「赤外線そのものが暖かいの?」
──実はこの疑問、
こたつの仕組みを考えるうえで、かなり本質を突いています。
こたつの暖かさは、
単に温度が高いから生まれているわけではありません。
熱がどう伝わるか
赤外線がどんな性質を持つか
人間がどう感じ取るか
これらが重なり合った結果として、
あの独特の「ぬくさ」が生まれているのです。
1章|こたつの正体は「光」ではなく「熱の伝え方」
まず大前提として。
こたつは、
部屋全体を暖めるための装置ではありません。
エアコンやファンヒーターは、
主に「空気」を暖め、その空気で人を包み込みます。
一方、こたつは、
人の体そのものを直接暖めることを主眼に置いた暖房です。
ここが決定的な違いです。
こたつの中で起きているのは、
-
空気が暖まる量は比較的少なく
-
体に直接熱が届く割合が大きい
という状態。
つまり、こたつは
熱の届け先を意図的に絞った暖房だと言えます。
2章|赤外線って赤なの?──名前に騙される赤外線の正体
ここで、よくある誤解を整理しておきます。
赤外線は「赤い光」ではありません。
赤外線とは、
-
可視光である「赤」よりも
-
さらに波長が長い
人間の目には見えない電磁波の一種です。
光の並びを大まかに並べると、
紫外線
紫
青
緑
黄
赤
赤外線
マイクロ波
という位置関係になります。
赤外線は、
「赤の仲間の色」ではなく、
赤の外側にある見えない領域なのです。
3章|赤外線は「暖かい」のではなく「温める」
ここが、こたつ理解の核心です。
赤外線そのものを
人が「暖かい」と直接感じているわけではありません。
赤外線は、
-
触れられず
-
見えず
-
それ自体を感覚として捉えることもできません
では、なぜ暖かく感じるのでしょうか。
赤外線の役割は、
物質に吸収されることでエネルギーを伝えることです。
赤外線が体や物に当たると、
-
分子や原子の動きが活発になり
-
その結果として温度が上がる
この変化を、
私たちは「暖かい」と感じています。
つまり赤外線は、
-
熱そのものではなく
-
熱が生じるきっかけとなるエネルギー
だと考えると、理解しやすくなります。
4章|こたつが人間にちょうど良すぎる理由
こたつのヒーターは、
主に次の部位を集中的に暖めます。
-
足
-
すね
-
太もも
これらは、
冷えを感じやすい場所であると同時に、
体感温度に大きく影響する部位です。
この部分が温まると、
-
皮膚温が上がり
-
寒さを感じにくくなり
-
全身が楽に感じられる
という変化が起こります。
その結果、
室温はそれほど高くなくても、体は暖かい
という状態が生まれます。
これは、
空気を均一に暖める暖房では
得にくい感覚です。
5章|こたつはなぜエアコンより「ぬくい」と感じるのか?
理由は、熱の伝わり方の違いにあります。
エアコン
-
空気を暖める
-
足元は冷えやすい
こたつ
-
体に直接熱が届く
-
冷えを感じやすい部分を先に暖める
人は、
足元が冷えると、
全身が寒いと感じやすくなります。
こたつは、
この「寒さを感じやすい入口」を
先にカバーする構造になっています。
そのため、
実際の温度以上に
「ぬくい」と感じやすいのです。
6章|こたつの赤は、暖かさの原因ではなく「人のための色」だった
こたつの中をのぞくと、
ヒーターは 赤く光って 見えます。
この光を見ると、ついこう思ってしまいます。
「赤いから暖かい」
「この赤が、熱の正体なんだろう」
ですが、ここは一度整理しておきましょう。
赤く見えること自体が、
こたつの暖かさの原因ではありません。
こたつの暖房の主役は、
ヒーターから放射される 赤外線 です。
赤外線は人の目には見えませんが、
体や物に吸収されることで温度を上げる性質を持っています。
この赤外線が、こたつの「ぬくさ」を生み出しています。
では、なぜヒーターは赤く見えるのでしょうか。
それは、赤外線を十分に放射するため、
ヒーターが ある程度高い温度で動作している からです。
高温になった発熱体は、その結果として
可視光として赤っぽく発光 します。
私たちが見ている赤い光は、
赤外線そのものではなく、
熱せられた発熱体の副産物 なのです。
ここで重要なポイントがあります。
技術的に言えば、
ヒーターを赤く光らせなくても、赤外線で暖めることは可能です。
実際、床暖房やパネルヒーターなど、
光らない赤外線暖房はすでに多く存在しています。
それでも、こたつのヒーターが赤く見える設計が
長く使われてきたのには理由があります。
-
赤外線を安定して多く放射できる温度帯であること
-
動作していることが一目で分かること
-
人が見た瞬間に「暖かそう」と感じられること
これらを同時に満たす、
もっとも分かりやすい形だった からです。
つまり関係はこうなります。
赤いから暖かい のではなく、
赤外線で暖める設計の結果、赤く見えている。
こたつの赤は、
物理的に必須だったわけではありません。
しかし、人が安心し、直感的に理解できるという点で、
非常に合理的な選択でした。
こたつの赤は、
熱の色ではなく、
**人に伝えるために選ばれた「暖かさの翻訳」**だったのです。
7章|こたつは「熱」と「人間」を最適化した発明
こたつは、
-
空間全体を無理に暖めず
-
必要な部分にだけ熱を届け
-
人の感覚に合わせて設計されている
という点で、非常に合理的な暖房です。
その結果、
-
消費電力が比較的少なく
-
体感としては十分暖かく
-
つい離れにくくなる
という特徴が生まれます。
こたつが長く使われ続けているのは、
単なる習慣ではなく、
理にかなった構造を持っているからだと言えるでしょう。
まとめ|赤く見えるけど、こたつは光じゃなくて思想だった
こたつの暖かさは、
-
赤い光の色そのものでも
-
不思議な効果でも
ありません。
目に見えない赤外線というエネルギーを、
人間の感じ方に合わせて使っている結果です。
赤く見えるのは演出であり、
本質は、
「どう暖めるか」ではなく
「どこを、誰を暖めるか」
そこまで考え抜かれた、
非常に人間的な暖房なのかもしれません。
✍️コラム①|なぜ「赤=あたたかい」と感じるのか
赤があたたかい色だと感じられるのは、
人類が長い時間をかけて積み重ねてきた
経験の影響が大きいと考えられています。
火、太陽、血、炉、夕焼け──
生きるうえで重要だったものの多くが、
赤系の色と結びついてきました。
一方で青は、
夜
影
水
氷
遠さ
といったイメージと結びつきやすい色です。
そのため文化や地域が違っても、
赤は「近い・活動的・熱」
青は「遠い・静か・冷」
として無意識に整理されやすいのかもしれません。
こたつの赤は、
物理だけでなく、
こうした記憶にも作用する色なのです。
✍️コラム②|もし、こたつの光が青だったら
もし、こたつの中が
赤ではなく、青く光っていたら──
たぶん、
足を入れる前に一瞬ためらいます。
実際の暖かさは変わらなくても、
人は色から先に寒暖を想像してしまう。
こたつの赤は、
熱そのものではなく、
安心を感じさせる色。
だから今日も、
青いこたつは見かけないのかもしれません。
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