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0章|導入──なぜ“カード”はあのサイズで、なぜ“カルタ”と似ているのか?
名刺、クレジットカード、ポイントカード、そして日本の「かるた」。
呼び名は違うのに、どれもほぼ同じ形・同じ感覚で手におさまります。
なぜ、世界と日本で“紙の小片”はこんなに似た文化になったのでしょう?
その答えは、**古代に遡る一つの言葉「charta(カルタ/カードの祖先)」**にあります。
語源からたどると、カードもカルタも“同じ紙文化の兄弟”だったのです。
1章|Cardの語源──ギリシャ語の「薄い木の板 khartēs」が原点
カード(card)のルーツは、ラテン語 charta。
さらにその語源は、ギリシャ語の khartēs(木の皮を薄く削ったシート)。
つまりカードの本質は
「薄い板状の情報媒体」
という極めてシンプルな概念。
だからこそ、
-
card(カード)
-
carte(証書・地図)
-
chart(図表)
-
character(文字)
など、多くの“情報に関わる言葉”がこの家系から派生していきます。
2章|歴史──中世ヨーロッパで「紙片=情報」の文化が生まれた
紙が普及し始めた中世ヨーロッパでは、
carte が 地図・書簡・証明書・記録 といった“情報を載せた紙片”そのものを指す言葉として使われるようになります。
地図(cartography)が“carte+graphy(記す)”なのもその名残。
「紙片=情報メディア」という考え方がここで定着し、
のちのカード文化の土台になります。
3章|トランプが「カードの形」に大きく影響した
14〜15世紀、ヨーロッパでカードゲームが広く普及し、
のちに playing card(トランプ)と呼ばれる紙札文化が定着していきます。
この時代のトランプは、
-
手の中に収まるサイズ
-
持ち運びしやすい厚紙
-
シャッフルしやすい縦横比
-
何度も扱える耐久性
といった“扱いやすさ”を重視して作られていました。
こうした工夫によって、
「手に馴染む小さな紙片」 というカードの基本イメージが、ヨーロッパ全域で共有されるようになります。
現在のクレジットカードやポイントカードの寸法が、
結果的にこのトランプの比率に近い形になっているのは、
人間が扱いやすいサイズが歴史的に似通ってきたためとされています。
断定できる因果関係があるわけではありませんが、
“人が扱いやすい紙片の最適解” が
時代を超えて似た形に落ち着いたと考えられています。
4章|カルタ(かるた)も同じ語源──ポルトガル語 carta が日本語化
16世紀、日本に南蛮船が来航し、
ポルトガル語の carta(カルタ:紙片・カード) がそのまま日本語化。
かるた=carta の完全な外来語
ここから日本独自の発展が始まり、
-
歌カルタ
-
百人一首
-
花札(これも“かるた”の一種)
など、世界でも珍しい「紙札文化」が育っていきます。
“カード文化の日本版の進化系=カルタ文化”と言ってもよいほど。
5章|カード&カルタは、どちらも“手に収まる情報メディア”
語源もルーツも使い方も、とにかく共通点だらけ。
-
カード:身分証、支払い、ポイント、ゲーム
-
カルタ:知識、遊び、記憶、学習
どちらも
「小さな紙片に情報をのせて持ち運ぶ」
という役割を一貫して担ってきました。
紙の歴史がそのまま現代まで続いている“生き残り文化”でもあります。
6章|なぜカードは“あの絶妙なサイズ”なのか?
現代のカードが「手に収まるあのサイズ」に落ち着いた理由は、
人間が扱いやすい紙片の寸法が、歴史的に似通ってきたことが背景にあります。
●① 人の手に合わせて最適化されてきた
トランプのスタンダードサイズ(ポーカーサイズ:約 88×63mm)は、
手の大きさ・視認性・扱いやすさを考慮して作られたと言われ、
“手の中で操作しやすい比率”として長く使われてきました。
●② クレジットカード時代(1950年代)
クレジットカードが登場したとき、
「財布に収まり、誰でも携帯できるサイズ」が必要とされ、
結果として ID-1規格(85.60×53.98mm) が国際標準に採用されました。
この規格は、トランプと完全に同一ではないものの、
「人が扱いやすい紙片の比率」 という点でよく似ています。
●③ 財布文化と人体サイズに最適化された結果
カードサイズは、手の可動域・指の長さ・財布のポケット寸法など、
複数の要素が組み合わさって最適化されたもの。
そのため、世界各国のカード類は
結果的に ほぼ同じサイズ帯に収束していった と考えられています。
“トランプ → クレジットカード”という直接的な因果というより、
「人が扱いやすい紙片の最適解が歴史の中で似た形になった」
という方が実態に近いと言えるでしょう。
7章|まとめ──カードとカルタは「同じ祖先=charta」を持つ紙文化
-
語源:カードもカルタも charta(薄い紙)
-
歴史:ヨーロッパの紙文化 → 日本のカルタ文化へ
-
サイズ:トランプの黄金比 → 世界規格へ
-
役割:ずっと「情報を載せた紙片」
カードとカルタは、
**紙の発明が生んだ“人類の情報メディアの原型”**と言っていいでしょう。
「薄い紙片に情報をのせる」という文化は、
数千年経ってもなお、人間にとって便利すぎる形だったのです。
◆ コラム|カードと同じ語源の“紙”の仲間たち
カード(card)も、カルタ(karuta)も、語源は古代ギリシャ語 khartēs(薄い板・紙)。
そこから“情報をのせた紙片”という概念がヨーロッパ全域に広がり、多くの言葉が同じ一族として育っていきました。
実は現代の生活にも、この “charta 系” の言葉がたくさん生き残っています。
● カルテ(Karte)
医療で使うカルテはドイツ語 Karte。
本来は 「カード・紙片」 の意味で、患者情報を紙カードに記録していたことが語源。
● アラカルト(à la carte)
フランス語 carte(紙・書かれた一覧)。
メニュー表が「紙」に書かれていたことから、
“メニューから好きに選ぶ料理”=アラカルト に。
● チャート(chart)
chart も charta の派生。
もともとは 紙に書かれた図や表 を指し、そこからグラフ全般の意味に広がった。
● カートン(carton)
carton=紙箱。
紙(charta)が厚くなり、箱として使われるようになった派生語。
● キャラクター(character)
ラテン語 charaktēr(刻み目 → 文字)が語源。
“紙に刻まれたしるし=文字” を表し、そこから「人物像」や「性格」の意味へ発展。
● まとめ:すべては「紙=情報メディア」から生まれた兄弟語
語源をたどると、
-
card(カード)
-
karuta(カルタ)
-
karte(カルテ)
-
à la carte(アラカルト)
-
chart(チャート)
-
carton(カートン)
-
character(キャラクター)
これらはすべて
“charta=紙”という一つのコンセプトから生まれた言葉。
紙は情報のメディアとして何千年も使われてきたため、
その名残が現代語の中に色濃く残っているのです。
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