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0章｜導入──「新春をことほぎ」とは？
正月の挨拶文で見かける
**「新春をことほぎ」**という表現。
やさしい響きなのに、どこか格調高くて美しい。
でも、よく考えると
「ことほぎってどういう意味？」
「寿ぎ？ 言祝ぎ？ どっちが正しいの？」
と、細かい部分が曖昧になりがちです。
実はこの言葉には、
**“言葉で新しい春を祝福する”**という
日本語ならではの深い文化が宿っています。
1章｜「ことほぎ（言祝ぎ・寿ぎ）」の意味──言葉で祝う古い習慣
「ことほぎ」は、古語 言祝ぐ（ことほぐ） が語源。
言（こと）＋祝ぐ（ほぐ）＝言葉で祝う
という意味に由来します。
ここで知っておくべきポイントは2つ。
■ 言祝ぎ（ことほぎ）
……語源に最も忠実な本来の表記。
“祝いの言葉を述べる”という意味が直接伝わる表現。
■ 寿ぎ（ことほぎ）
……「寿（ことぶき）」の字を使った当て字。
古典や祝辞ではよく使われる、より雅な表現。
どちらも正しく、
「ことほぎ」の正しい漢字表記として採用できます。
2章｜歴史背景──言霊信仰と賀詞文化の中で育まれた言葉
日本では古くから、
“良い言葉には力がある”＝言霊（ことだま）
という考え方がありました。
年の始まりに良い言葉を贈ると、
その一年が幸福に満ちると信じられてきたのです。
この信仰が正月文化と結びつき、
「賀」「寿」「慶」「頌」などの賀詞とともに、
**“ことほぎ＝祝いの言葉を贈る行為”**が定着しました。
3章｜なぜ正月に“春”？──旧暦の名残としての「新春」
現代の1月は真冬ですが、
旧暦では 立春（2月上旬）前後が一年の始まり。
そのため、正月は
「新しい春の訪れ」＝新春
と捉えられていました。
古い言語文化の名残として、今も年賀状では
「新春」「迎春」「初春」「頌春」など
“春”の語を使う伝統が続いています。
4章｜現代での使い方──年賀状・挨拶文の自然な使い方
「新春をことほぎ」は、
ビジネスでも丁寧で、やや格調高い表現。
使い方の例：
-
新春を寿ぎ、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
-
新春を言祝ぎ、旧年中のご厚情に深く感謝いたします。
どちらの表記でも正しいですが、
やわらかくしたいときは
**ひらがなで「新春をことほぎ」**が無難です。
5章｜まとめ──言葉に祈りをこめる、日本らしさ
「新春をことほぎ」とは、
“新しい春を言葉で祝う”
という、とても純粋で美しい日本語。
・語源は古代から続く「言祝ぎ」
・雅な書き方として「寿ぎ」も正しい
・正月＝春という旧暦文化の名残
・言霊信仰に根ざした祈りの表現
短い言葉ですが、
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