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0章｜導入──どうして12月は「師走」って呼ばれるの？
12月になると、街にもニュースにも
「いよいよ師走ですね」という言葉が自然と出てきます。
でも、よく考えると不思議です。
どうして12月だけが“走る”なんて落ち着かない名前を持っているのか？
その背景には、千年以上にわたって受け継がれてきた年末文化と、
言葉が形づくられてきた歴史の物語が隠れています。
1章｜師走とは？──日本の“年の締めくくり”を示す12月の呼び名
師走（しわす）は、旧暦12月の和風月名（わふうげつめい）。
現代では、新暦の12月も広く「師走」と呼ばれるようになりました。
もともとは、
一年の行事・仕事・家の営みを整えて、
新しい年神（としがみ）を迎える準備の月。
いまの「年末進行」「年の瀬」の感覚そのものが、
古代から続く“師走らしさ”なのです。
✅ 2章｜語源──「師が走る」は当て字として広まった説のひとつ
「師走＝師（僧）が年末の法事で走り回る」という解釈は、
古くから親しまれてきた“当て字の説明”として有名です。
ただし、語源そのものを示す根拠とはされにくく、
文献的には「後から漢字を当てた説明の一つ」と理解されています。
では、もとの言葉はどう生まれたのか？
●「年果つ（としはつ）」→「しはつ」→「しわす」説
古語の「年果つ（としはつ）」＝“年が終わる”という言葉が
音の変化によって「しはつ」、さらに「しわす」になったとする説があります。
・語の意味が「年の終わり」と一致する
・音韻の変化として自然である
こうした理由から、語源辞典などでも広く紹介される代表的な説です。
この考え方によれば──
師走という漢字は、あとから意味を重ねて当てられた表記ということになります。
●「仕果つ（しはつ）」＝仕事が終わる説
もうひとつ、意味の近い古語「仕果つ（しはつ）」
＝“務めを果たす・仕事が終わる”を語源に見る説もあります。
どちらも、
・年の終わり
・事が一区切りつく
というニュアンスを反映しており、
12月の慌ただしさを説明する語としてよく取り上げられる説です。
👉 共通するのは「年の終わり」を表す語から来ているということ
どの説も、“年末の忙しさと区切り”という日本の文化とよく合っています。
3章｜歴史と文化──年末は昔から“走るように忙しかった”
旧暦の日本では、12月は“年支度（としじたく）”の月。
家族、村、神社、お寺……あらゆる場が慌ただしく動きました。
・家の大掃除（煤払い）
・正月飾りの準備
・おせちの仕込み
・年神を迎える儀式
・一年の報告とお礼参り
・収穫の締めの祭り
古代人にとって1年の終わりは、
“気持ち”だけではなく生活そのものが忙しかった時期。
この空気感が積み重なり、
師走という言葉は千年を超えて受け継がれてきました。
4章｜現代の「師走」──SNSでも浸透する“年末の気ぜわしさ”
いまの私たちの12月も、やっぱり気ぜわしい。
・大掃除
・仕事納め
・年賀状
・帰省準備
・イベント
・忘年会
・クリスマス
SNSでも「師走」「年末進行」という言葉はよく使われ、
**“忙しいけれどちょっとワクワクする季節”**というニュアンスが
現代文化にも共通しています。
5章｜まとめ──師走は「年の終わりの忙しさ」を表す日本らしい言葉
師走とは、
“年の終わりを迎える忙しさ”を日本語が表現した言葉。
語源は「年果つ」が変化した説が有力で、
「師が走る」は後から生まれた親しみやすい解釈。
忙しいけれど、どこか温かい。
そんな日本の年末の空気を一言で言い表したのが、師走なのです。
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