Xerox Altoとは?GUIとマウス操作が生まれた伝説のコンピュータをやさしく解説

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このブログはブログシリーズ「商用コンピュータとパソコンの進化」④です。

まとめはこちらから▶商用コンピュータとパソコンの進化|UNIVACからWindows95まで50年の歴史を総まとめ

前の記事はこちらから▶③Intel 4004とは?世界初のマイクロプロセッサと小型コンピュータ時代のはじまり


第0章|GUIって、誰が最初に作ったの?──画面とマウスの時代はここから始まった


🖥️ あたりまえの「マウスでクリック」は、昔はなかった?

今のパソコンやスマホを思い出してみてください。
画面にアイコンが並んでいて、マウスや指でポチッとタップすれば、
アプリが起動したり、ファイルが開いたりしますよね。

でも──
そんな**“画面を見て操作する”という当たり前の体験**は、
昔のコンピュータにはまったく存在しなかったんです。


⌨️ 昔のコンピュータは「黒い画面+文字」だけの世界だった

1970年代初頭までのコンピュータは、
まさに“専門家のための道具”でした。

  • 画面は黒一色

  • 操作はキーボードで文字を打つだけ

  • 間違えればやり直し

  • 命令も全部英語のコマンド入力

つまり、「見て、触って、直感的に操作する」なんてことは、
まったくできなかったのです。


🌟 そこに現れた、未来から来たようなコンピュータ──Xerox Alto

そんな「文字だけのコンピュータ時代」を大きく変えたのが、
1973年にアメリカの研究所で誕生した伝説のマシン──

💡 Xerox Alto(ゼロックス・アルト)

このコンピュータには、当時としては信じられない機能が搭載されていました。

  • 画面にアイコンが並び

  • ウィンドウをマウスで動かすことができて

  • 絵を描いたり、文章を書いたりできる

まるで、現代のパソコンやタブレットのような世界が、
この時点ですでに実現されていたのです。


🧠 GUIとマウス──すべてはここから始まった

このXerox Altoこそが、世界で初めて、

  • GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)

  • マウス操作

  • ウィンドウやアイコン、ポインタによる操作

を本格的に搭載した“触れるコンピュータ”だったのです。

👆 今では当たり前の「マウスでクリックして操作する」体験は、
実はXerox Altoから生まれたものなんですね。


🔍 なぜ私たちは「GUIのあるパソコン」を使えるようになったのか?

それから約10年後──Appleが「Macintosh(マッキントッシュ)」を発売し、
Microsoftが「Windows」を開発し、
GUIは一気に世界中に広がっていきます。

でもそのはじまりには、Xerox Altoという幻の名機があったのです。


🔜 次は:Xerox Altoってどんなマシンだったの?誰が作ったの?

次の章では、

  • Altoって、どこで作られたの?

  • 誰が関わったの?

  • なぜ一般には売られなかったの?

といった、Xerox Altoの正体と開発ストーリーをやさしく解説していきます。


第1章|Xerox Altoとは?GUIとマウスが初めて実装された伝説のコンピュータ


🏢 舞台はカリフォルニア、未来をつくる研究所「Xerox PARC」

1970年代、アメリカ・カリフォルニア州のパロアルトには、ひとつの特別な研究所がありました。
それがXerox PARC(ゼロックス・パーク)、正式には「Palo Alto Research Center」。

もともとはコピー機で有名なXerox社が、

「コピー機の先の未来、情報社会のための技術を開発しよう」

と立ち上げた先進研究拠点です。

ここに世界中から集まっていたのは、

  • 天才的なコンピュータ科学者

  • 新しい社会の在り方を考える発想力の持ち主たち

  • “ただ命令通りに動く機械”に飽き足らない未来志向の人たち

彼らが生み出したのが、**Xerox Alto(アルト)**という1台のコンピュータでした。


💻 Altoは「GUI」と「マウス」を最初に搭載したコンピュータ

それまでのコンピュータは、文字だけの黒い画面で、コマンド入力しかできませんでした。
ところがAltoは、当時としては考えられないような機能を持っていたのです。

  • 🖱 マウスでカーソルを動かして

  • 🪟 ウィンドウを開いて

  • 🧾 アイコンを選んで

  • 📄 文書を作ったり、絵を描いたりできる!

まさに今のパソコンのような体験が、1973年の時点でそこにありました。


👨‍🔬 設計者たちの発想は「誰でも使えるコンピュータ」

Altoを開発した科学者たち(チャールズ・サッカー、ラリー・テスラー など)は、こう考えていました。

「コンピュータは、技術者だけのものじゃない」
「誰でも簡単に使える“道具”にしなければいけない」

この想いから生まれたのが、

  • グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)

  • マウスによる直感的操作

  • 書類を画面で作って、プリンターで出せる“ペーパーレス・ワークフロー”

今で言う**“オフィスのIT化”の原型**が、すでに形になっていたのです。


🤫 でも、なぜほとんどの人がAltoを知らないの?

それは──

💭 「Altoは一般には売られなかったから」

当時のAltoは、あくまで社内向けの研究機として開発されたもので、
量産もされず、価格も高く、世の中に出回ることはほとんどありませんでした。

だから、「実はすでにGUIやマウスは1973年にあった」という事実は、
一部の関係者や研究者だけが知っていた“幻の伝説”となってしまったのです。


📦 でも、Altoは確実に“次の時代”を生み出した

後のAppleやMicrosoftが、PARCでAltoを見て強い影響を受け、
現代のMacやWindowsへとつながっていきます。

つまり、Xerox Altoは「売れなかったけど、世界を変えた原型」だったのです。


🔜 次は:「GUIって何がすごかったの?」──視覚で操作するという革命の意味へ

次の章では、
コンピュータにとって「グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)」が、
どれほど画期的な発明だったのかを、わかりやすく解説していきます。


第2章|GUIの誕生──コマンド入力から“直感的に操作する”時代へ


⌨️ コンピュータは「文字で命令する」道具だった

1970年代初めまで、コンピュータを使うには専門的な知識が必要でした。

たとえば、ファイルを開くにはこんなふうに…


> OPEN FILE:REPORT.TXT


と、キーボードで命令を正確に打ち込む必要があったのです。

  • 命令文を覚えるのが大変

  • ひと文字間違えると動かない

  • 普通の人にはハードルが高すぎる…

つまり、コンピュータは**「賢い人だけが使える、特別な道具」**だったのです。


🖼 そこに登場したのがGUI=“グラフィカル・ユーザー・インターフェース”

GUI(ジーユーアイ)とは、
**Graphical User Interface(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)**の略。

かんたんに言うと…

💡「文字じゃなく、画面の絵やアイコンを見て、
マウスで操作できるようにする仕組み」のことです。

Xerox Altoは、GUIを世界で初めて本格的に搭載したコンピュータでした。


🪟 Altoの画面には「窓・アイコン・メニュー・ポインタ」が並んでいた!

Altoに搭載されたGUIの構成は、今でもおなじみの“あの画面”とそっくり。

この画面構成は「WIMPモデル」と呼ばれています。

WIMPとは? 意味
Window ウィンドウ(画面に重なる“窓”)
Icon アイコン(意味を示す絵)
Menu メニュー(選択肢を一覧で表示)
Pointer ポインタ(マウスで動かす矢印)

これにより、使う人は

  • 文字を覚えなくても

  • 英語がわからなくても

  • 直感的にクリックすれば操作できる!

という**“誰でも使えるコンピュータ”**が実現されたのです。


🧠 目で見て、手で動かせることのすごさ

GUIのすごいところは、操作方法が**「言葉」から「イメージ」へ**と変わったこと。

  • 文章のアイコンをクリックすれば、文書が開く

  • ゴミ箱にドラッグすれば、ファイルが削除される

  • メニューを選ぶだけで、命令が実行される

つまり、視覚と思考が一致するという点が画期的だったのです。


🤖 コンピュータが「人に合わせてくれる」道具になった

それまでは、人間がコンピュータに合わせて学ぶ必要がありました。
でもGUIの登場で、逆にコンピュータのほうが“人間に寄り添う”ようになったのです。

🔁 「人間が使いやすいように」
🔁 「目で見て、直感で操作できるように」
🔁 「誰でも触れる道具に」

この変化は、パソコンだけでなく、
スマートフォン・タブレット・ATM・家電などにも影響を与え、
GUIは現代社会の“標準”になっていきました。


🔜 次は:「マウスって誰が作ったの?GUIとの関係は?」へ!

GUIと切っても切れない存在、それがマウスです。
次の章では、

  • マウスっていつ生まれたの?

  • 誰が発明したの?

  • Xerox Altoでどう使われたの?

などを、わかりやすく紹介します!


第3章|マウスの実用化──“クリック”という文化のはじまり


🐭 “マウス”という名前は、開発者たちのユーモアから生まれた

Xerox Altoの話に入る前に、気になるのはこの疑問。

「なんで“マウス”って呼ばれているの?」

この名前は、1960年代後半に自然に生まれたあだ名でした。

当時、アメリカ・SRI(スタンフォード研究所)のダグラス・エンゲルバート率いるチームが、
小さな木製の箱にケーブルをつないだ試作品を作ります。
それを見た誰かが、思わず口にしました。

💬「なんか……ネズミみたいじゃない?」

  • 小さな箱が“胴体”

  • ケーブルが“しっぽ”

──まさにマウスのようだったのです。
こうして、この装置は自然と**“mouse(マウス)”**と呼ばれるようになり、のちに正式名称になりました。

ちなみに技術文書では、“X-Y Position Indicator”(X-Y位置指示装置)という名称が使われていましたが、
現場の研究者たちは誰もそんな堅苦しい言葉を使わなかったそうです。


🖱 GUIとマウスを“実際の業務”に導入した最初期のコンピュータ──Xerox Alto

さて、この“ネズミのような装置”を、
実際にコンピュータ操作の中心に据えたのはどこだったのか。

それが、1973年に登場した**Xerox Alto(ゼロックス・アルト)**です。

Altoは**GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)**を搭載し、
画面上のアイコンやウィンドウを“視覚的に操作できる”ようになりました。
そのとき、欠かせなかったのがマウスです。

🧠 GUIが「目で見て操作する」仕組みなら、
🖱 マウスは「手で選んで動かす」ための道具。
この2つが組み合わさることで、私たちが知る“直感的な操作”が初めて実現したのです。


👆 「クリックする文化」は、ここから広がっていった

マウスで画面上の要素を選ぶとき、私たちは当たり前のように“カチッ”とクリックしますよね。
その「クリックして選ぶ」というGUI的な操作文化が一般化していくきっかけとなったのが、Altoでした。

たとえば──

  • 文書アイコンをクリック → ファイルが開く

  • ごみ箱にドラッグ&ドロップ → 削除される

  • メニューをクリック → コマンドを選択

こうした一連の「視覚×操作の融合」が、“クリック”という行為を日常化させた最初期の体験だったのです。

(※マウスによる選択操作自体は1968年のエンゲルバートによるデモでも行われていますが、
AltoではそれがGUI上の統合操作として一般業務に使われるようになりました。)


🧪 それまでは何を使っていたの?なぜマウスが必要だったの?

GUIが登場する以前、コンピュータ操作はほとんどキーボード入力だけでした。

  • 文字を打って命令を実行

  • ファイル操作やスクロールもコマンドで入力

しかし、GUIの登場によって「画面上の“位置”を直接指定して操作する」という新しい概念が生まれます。
これをキーボードだけで行うのはあまりにも不便でした。

🧭 だからこそ、「画面上の位置を自由に指し示す」ためのデバイスとして、
📍 マウスが不可欠な存在になったのです。


🧩 Altoが生んだ“マウスと画面の関係性”はいまも続いている

いま私たちが日常的に使っている──

  • Windowsのポインタ

  • Macのカーソル

  • デザインソフトのドラッグ操作

  • スマホのタップやスワイプ

これらはすべて、GUIとマウスによって生まれた
**「視覚と動作のリンク」**という発想の延長線上にあります。

その根っこにあるのが、1970年代のXerox Altoだったのです。


🔜 次は:「Altoにはどんなソフトが入っていたの?今につながる機能たち」へ!

次の章では──

  • Wordの原型?

  • お絵かきソフト?

  • メールやプログラミングまで?

Xerox Altoに搭載されていた“現代パソコンの原点”ともいえる
画期的なアプリケーションたちを紹介していきます。


第4章|Altoに搭載されたソフト──ワープロ・描画・メール・音楽まで


💻 「アプリケーションを使って作業する」という発想が形になった最初期の事例

いま私たちはスマホやパソコンで、
ワードで文書を書き、ペイントで絵を描き、メールを送り、音楽を作る──
そんな日常を当たり前のように過ごしています。

しかし、こうした「アプリケーション(アプリ)」という概念を、
GUIとともに“実際に動作する形”で示した最初期のマシンこそ、1973年の**Xerox Alto(ゼロックス・アルト)**でした。

Altoは、単なる計算装置ではなく、
**「文書を作る」「絵を描く」「通信する」など、目的別に使えるプログラム群を持った“ワークステーション”**だったのです。


🧾 1. 世界初のGUIワープロ「Bravo」──Wordのご先祖様

Xerox Altoには、マウスとキーボードで文書を編集できるソフトが搭載されていました。
その名は**「Bravo(ブラーヴォ)」**。

  • マウスでカーソルを移動

  • 書きたい位置をクリック

  • キーボードで文字を入力

  • フォントや段落を自由に調整

まるで今のMicrosoft Wordのような操作体験。
しかも、画面上で印刷結果をそのまま確認できる「WYSIWYG(ウィジウィグ)」型でした。

✍️ これは、のちにオフィスソフトの標準となる
「紙に書く前に、画面で文書を整える」
という発想を初めて実装した歴史的ソフトだったのです。


🎨 2. GUIだからこそできた描画アプリ──アートとコンピュータの融合

Altoには、グラフィック描画用のプログラム**「Markup」や「Draw」**も用意されていました。

  • マウスを動かして線を引く

  • 図形や文字を組み合わせてレイアウトする

  • 画像を画面上で視覚的に操作する

これらは、今で言うペイントツールやIllustratorの原型のような存在。
研究者たちはすでに**「コンピュータを創作の道具にする」**という発想を実験していたのです。

🖌️ 当時としては非常に先進的で、
GUIがなければ成立しなかった「絵を描くインターフェース」でした。


📩 3. 世界初期の社内ネットワークメール──“電子オフィス”のはじまり

さらにAltoは、Ethernet(イーサネット)を使ってネットワークに接続できました。
1970年代半ばには、研究所内で次のような使い方が実際に行われていたと記録されています。

💬 「同僚にメッセージを送る」
💬 「他の端末とファイルを共有する」

これは、今日の電子メール(E-mail)やクラウド共有、社内チャットの原型といえる仕組みです。
つまり、Altoのネットワーク環境はすでに**“デジタルオフィス”の未来像**を描いていたのです。


🎼 4. 音も扱えた──研究的ながら“音楽生成”の試みも

Altoの機能は、文字や画像だけではありません。
実験的ながら、音を制御するプログラムも開発されていました。

  • ビープ音を複数の音階に割り当てて再生

  • ソフトウェアで音の長さや順序を制御

  • 音階データをプログラムとして出力

本格的な音楽制作ソフトではありませんが、
「コンピュータで音を構成する」というアイデアを最初に試した一例といえます。

この試みは、後の**MIDI(音楽データ規格)デジタル音楽制作(DAW)**へとつながっていきました。


👨‍💼 Altoが見せた“未来のオフィス”──すべての作業を1台で

まとめると、Altoには以下のようなアプリケーション群がありました。

用途 搭載アプリ 現代との関係
文書作成 Bravo Word/Google Docs
図形・描画 Markup, Draw Paint/Illustrator
通信 E-mail Outlook/Slack
プログラミング Smalltalk Python, JavaなどOOPの原点
音楽 音階制御ツール MIDI/GarageBandの前身的試み

これらのソフトがすでに50年前のAlto上で動いていたことは驚くべき事実です。
そしてこれらが示していたのは、まさに今日の「デジタルワーク環境」の雛形。

🧠 Altoは、私たちがオフィスや自宅で当たり前に行っている
“パソコン作業”の概念そのものを、世界で初めて具現化したマシンでした。


🔜 次は:「なぜAltoは普及しなかった? そしてAppleとMicrosoftへどう受け継がれたのか?」

この驚くべきマシンがなぜ世の中に広まらなかったのか。
そして、その思想を受け継いだのは誰だったのか──
次章では、Apple・ジョブズ・そしてMacintoshへの継承の物語を追っていきます。


第5章|なぜ普及しなかったのか?そしてAppleとMicrosoftへ継承された思想


❓ こんなにすごかったAlto、なのに…なぜ売れなかったの?

Xerox Altoは、1970年代に登場したにもかかわらず、
GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)やマウス、ネットワーク通信など、
現代のパソコンにつながる革新的な機能をすでに備えていました。

  • 画面で操作できるGUI

  • マウスによる直感的な入力

  • ワープロ・描画・メール機能

  • ネットワークでの情報共有

──まさに“未来のオフィス”を先取りしたコンピュータだったのです。

それなのに、なぜ「Alto」という名前を私たちはあまり知らないのでしょうか?

その答えは、とてもシンプルです。

💭 「Xeroxが、市販しなかったから。」

Altoはあくまで研究・社内利用向けの実験機として開発され、
一般販売されることはありませんでした。
つまり、家庭や企業が自由に購入できる製品にはならなかったのです。


🪶 補足:商用モデル「Xerox Star 8010」も登場していた

なお、Xeroxはその後、Altoの思想を受け継いだ
**商用GUIコンピュータ「Star 8010(1981年)」**を発売しています。
しかし、高価格(1万ドル以上)と販売戦略の難しさから普及は限定的で、
結果的にAlto同様、一般市場では広く知られることはありませんでした。

なぜゼロックスは、これほどの革新を持ちながら市場を掴めなかったのか──
次は、その背景を見ていきましょう。


🏢 Xeroxは「コピー機の会社」。ビジネスの土俵が違った

Xerox(ゼロックス)は、当時世界最大のコピー機メーカーでした。

  • 主力製品は紙ベースの複写機

  • 売上の大半もオフィス機器関連

  • ソフトウェアやパソコンのビジネス経験はゼロ

つまりAltoのような「革新的だけど未知の製品」は、
会社として本気で売る勇気も体制もなかったのです。

「すごいけど…どうやって売るの?」
「ニーズはあるの?サポートは?営業は?」
→ 誰も答えられなかった。

その結果、Altoは社内利用や一部研究機関で使われるだけの存在にとどまり、
世の中には広まらないまま終わってしまったのです。


😲 しかし、たった一人の“見学者”が歴史を変えることに…

1979年、Apple創業者のスティーブ・ジョブズが、
Xerox PARC(開発拠点)を見学する機会を得ます。

  • GUIの操作を見て衝撃を受ける

  • マウスでウィンドウを動かす姿に感動

  • 「これは世界を変える!」と直感する

ジョブズはその場でこう言ったと伝えられています。

💬「彼らは未来を発明していたのに、それに気づいていなかった!」


🍎 Apple Macintoshへ──Altoの思想が形を変えて生き残る

その後Appleは、GUIとマウスを取り入れた新製品「Macintosh(1984年発売)」を開発。

  • GUIがわかりやすく

  • マウス操作が誰でも使えるようになり

  • 一般向けに大ヒット

これによって、Altoの持っていた**「直感的に操作できるコンピュータ」の発想が、
ようやく
世の中へ届いた**のです。


💼 Microsoftも追随──GUIが業界標準に

Macの成功を見たMicrosoftも、
WindowsというGUIベースのOSを次々とリリース。

  • Windows 3.1(1992)

  • Windows 95(1995)

  • 世界中のパソコンにGUIが広がる

つまり今、私たちが使っているWindowsやMac、スマホのUIも──
すべてはXerox Altoの思想を受け継いで進化した結果なんです。


🔁 Altoは売れなかった。でも、世界を変えた

Xerox Altoは商業的には失敗に終わりました。
でも、その技術・発想・思想はAppleやMicrosoftを通じて現代社会へとつながっているのです。

  • Altoがあったから、GUIが生まれた

  • GUIがあったから、マウスで操作できるようになった

  • マウスがあったから、パソコンが“誰でも使える”道具になった

そしてその延長に、今のスマホやタブレット、アプリ文化があります。


🔜 次は:まとめ──Xerox Altoが教えてくれた“触れる未来”の原点

次の章では、ここまでの内容をまとめながら、

  • Altoがなぜ伝説的なのか

  • 現代にどう影響しているのか

  • 次につながる進化は何か?

をやさしく振り返っていきます!


第6章|まとめ:Xerox Altoが教えてくれた、“触れるコンピュータ”の原点


👀 文字だけの時代から、「見て、触る」コンピュータへ

1973年──Xerox Altoが生まれたことで、
コンピュータは**文字で命令する“難しい機械”**から、
**画面を見て、マウスで触って使える“身近な道具”**へと変わりはじめました。

  • 画面にウィンドウアイコンが表示され

  • マウスでポインタを動かして

  • メニューから直感的に操作できる

この体験は、それまでの常識をくつがえす、まさに**「人にやさしいコンピュータ」の誕生**だったのです。


🧠 Altoは、“未来の暮らし”の青写真だった

今、私たちが当たり前のようにやっていること:

  • パソコンで文書を書く(ワープロ)

  • マウスで絵を描く(お絵かきソフト)

  • メールを送る(電子コミュニケーション)

  • ネットワークでファイルを共有する(クラウド)

  • 音楽を作る、聞く、編集する(DAW)

  • アプリで仕事をする(オフィススイート)

これらのすべての原型が、Altoの中にはすでにあったのです。


😢 売れなかったけれど、世界は確実に変わった

Xerox Altoは商業的には成功しませんでした。
一般販売もされず、世の中の注目を浴びることもなかった。

でも──

  • スティーブ・ジョブズが見学し、Appleへ受け継がれ

  • GUIとマウスはMacintosh、そしてWindowsへ

  • 現代のパソコン、スマホ、タブレットへと続いていった

つまり、Altoの失敗は“静かな革命”だったのです。


📱 いま、あなたが使っているそのスマホにもAltoの思想が生きている

  • 画面のアイコンをタップしてアプリを開く

  • 写真をドラッグしてアルバムに入れる

  • メールを書く・送る・読む

  • ファイルをクラウドに保存する

これらの行動のすべては、**Altoが最初に見せてくれた“未来の体験”**なのです。


🔭 次回は──「1975年|Altair BASIC」

コンピュータに“言葉”を教えた青年たち

Xerox Altoが「見る・触る」体験を与えた一方で、
その2年後、コンピュータに“話しかける言葉”=プログラムを広めた人たちが現れます。

それが──

💬 Altair BASIC(アルテア・ベーシック)と、若き日のビル・ゲイツとポール・アレン

「画面がある」
「触れることができる」
「でも、それだけじゃ動かない」

では、コンピュータに何を“話しかける”か?

それを解決したのが、ソフトウェアのはじまり──Altair BASICです。


▶次に読みたい記事 「商用コンピュータとパソコンの進化」Altair BASICとは?ビル・ゲイツが作った“最初のパソコン言語”をやさしく解説


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