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第0章|導入──色が見えるのは“どこ”なのか?
👁️ 色は「どこで」感じているのか?
私たちは毎日あたりまえのように、赤い花を「赤い」と感じ、青空を「青い」と思っています。
けれど──その「色が見える」という現象は、目のどこで起きているのでしょうか?
角膜? 瞳? 水晶体?
実はそれらはすべて、“光を通すための部品”にすぎません。
🔬「色を感じる」その瞬間は、網膜の中で起きている
答えは、**目の一番奥にある「網膜(もうまく)」**という薄い膜。
その中に存在する「視細胞」という特殊な細胞が、
光を“電気信号”に変えることで、はじめて「見える」がスタートします。
しかもこの視細胞には、
-
色を感じるための錐体細胞(すいたい)
-
明るさを感じるための桿体細胞(かんたい)
という2種類があり、そこに**色を見分けるための“光センサー”(オプシン)**が組み込まれているのです。
📌 このブログでわかること
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「網膜とは何か?」「視細胞とは何か?」をわかりやすく解説
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ロドプシンとフォトプシン、それぞれの役割と違い
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人間が“赤・緑・青”で色を感じている理由
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そして、「色覚はどこで起きているか?」の答えにたどり着く
🧠 目は“映す”だけじゃない、“感じている”
カメラのセンサーや印刷物は、たしかに色を「再現」します。
でも、**人間の目だけが“色を感じる”**ことができます。
その感覚の起点──それが、**網膜の視細胞の中にある“たった数種類の分子”**なのです。
次章では、色覚の舞台である「網膜」のしくみから順に、
“見える”の正体をひとつずつひもといていきます。
第1章|網膜の構造とは?──視覚のすべてが始まる場所
🧪「網膜(もうまく)」は目のセンサーそのもの
人間の目の奥には、厚さわずか0.2ミリほどの薄い膜状の組織があります。
これが「網膜(retina)」と呼ばれる部分で、視覚のスタート地点です。
網膜はただの膜ではありません。
ここには「視細胞(photoreceptor cell)」という特殊な細胞が敷き詰められており、
入ってきた光を“電気信号”に変える、いわば“生体センサー”の集合体なのです。
🔍 網膜の位置と役割は?
網膜は目の一番奥──ちょうど目の裏側の内壁全体に広がる構造です。
カメラにたとえるなら:
-
角膜や水晶体=レンズ
-
硝子体=空気や距離
-
網膜=撮像素子(CCD)やフィルム
つまり、光を集めてピントを合わせるのが前段階。
その光を“感じて処理する”のが網膜の役割です。
🧠 網膜は“ただの壁”じゃない──複雑な神経構造
網膜の中には実に10層以上の細胞層があり、視細胞のほかにも:
-
双極細胞(視細胞の信号をまとめる)
-
水平細胞・アマクリン細胞(信号を調整・比較)
-
神経節細胞(最終的な信号を脳へ送る)
といった多段階の中継ネットワークが存在しています。
つまり、網膜は単なる“光の受け皿”ではなく、**情報処理を始めている“脳の出張所”**ともいえるのです。
📍 網膜内の“場所”によって、見えるものも違う
網膜はどこでも同じ性能ではありません。とくに重要なのが以下の3か所:
■ 中心窩(ちゅうしんか)・黄斑部
-
網膜のど真ん中にある部分で、視力が最も高い
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色覚と細かい視力を担う錐体細胞が集中
■ 盲点(もうてん)
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視神経が網膜から出ていく“出口”
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視細胞が存在しない=何も感じられない場所
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普段は脳が周囲から補完して“気づかせない”ようにしている
■ 周辺網膜
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視野の外側部分
-
桿体細胞が多く、暗所視や動きの検出に強い
🔑 網膜が“視覚の本丸”である理由
-
視覚の始まりは「光が網膜に届くこと」
-
でも真に大事なのは、「網膜がそれを信号に変えること」
-
光の粒=フォトンを、分子レベルで受け取り、神経信号に変換する場所こそ網膜
次章では、その網膜の中に並ぶ視細胞=桿体細胞と錐体細胞の違いを、より具体的に見ていきましょう。
第2章|視細胞の2種類──桿体細胞と錐体細胞の役割のちがい
👁️ 見える世界は「2つの視細胞」によって成り立っている
網膜の中にびっしりと敷き詰められているのが、視細胞(photoreceptor cell)です。
この視細胞には大きく分けて、以下の2種類があります:
-
桿体細胞(かんたいさいぼう / rod cell)
-
錐体細胞(すいたいさいぼう / cone cell)
それぞれがまったく異なる特性と役割を持っていて、
この2つが協力することで、私たちは昼も夜も、明るさも色も認識できるようになっています。
🔦 桿体細胞──暗い場所で“光の有無”を感知する
-
網膜全体に分布し、特に周辺部に多い
-
1億個以上存在し、数で言えば圧倒的多数
-
明るさや動きに敏感、モノクロ視覚の主役
-
非常に高感度で、わずかな光でも反応する
つまり桿体細胞は、
→ 「光があるか、ないか」
→ 「何かが動いた」
を瞬時に検知する、“夜目”や“視野の周辺感知”のエキスパートです。
📌 桿体細胞に含まれる光受容体タンパク質は**ロドプシン(rhodopsin)**のみ。
🌈 錐体細胞──明るい場所で“色と形”を感じる
-
主に網膜中央の黄斑・中心窩に集中
-
数はおよそ600万個程度
-
明るい場所でしか働かないが、高精細・高解像度
-
色の違いや細かい形を判別する
錐体細胞は、
→ 「それは赤か、青か、緑か?」
→ 「何の文字か、どんな顔か?」
というような、“ディテール”や“色の情報”を担当する昼間視の主役です。
📌 錐体細胞にある光受容体タンパク質はフォトプシン(photopsin)3種類(L/M/S型)。
🧪 桿体細胞と錐体細胞の比較表
特徴 | 桿体細胞 | 錐体細胞 |
---|---|---|
数量 | 約1億個 | 約600万個 |
分布 | 網膜の周辺部 | 黄斑・中心窩に集中 |
感度 | 高感度(暗所に強い) | 低感度(明所で働く) |
色覚 | なし(白黒) | あり(赤・緑・青) |
視力 | 粗い | 高精細 |
担当 | 暗所視、動き、光の有無 | 昼間視、色覚、形の認識 |
受容体 | ロドプシン | フォトプシン(L/M/S) |
🎯 2種類の視細胞があるからこそ、“万能な視覚”が成立する
暗い夜道でも、ネオンサインの色を見分けられる。
映画館で、画面の微妙な色調の違いに気づける。
これらはすべて、桿体細胞と錐体細胞の両方が働いているからできることです。
次章では、この2つのうち「暗所視」を支える**ロドプシン(rhodopsin)**の正体と、その働きについて詳しく解説していきます。
第3章|ロドプシンとは何か?──光を感じる“夜目のセンサー”
🌌 暗闇の中でも“見える”理由──それがロドプシン
真っ暗な部屋で、かすかな光だけを頼りに物の輪郭が見えた経験はありませんか?
それを可能にしているのが、**桿体細胞に存在する「ロドプシン(rhodopsin)」**という光受容体タンパク質です。
この物質は、人間の夜間視覚を支える“光スイッチ”の正体といっても過言ではありません。
🧪 ロドプシンの構造──2つのパーツでできている
ロドプシンは、以下の2つの成分からできています:
■ オプシン(opsin)
-
タンパク質本体
-
7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体(GPCR)
■ 11-シスレチナール(11-cis-retinal)
-
ビタミンA由来の色素分子
-
光を受けると構造が変わり、オプシンにスイッチを入れる
📌 この**“オプシン+レチナール”のセット=ロドプシン**です。
🔁 光を感じる流れ──ロドプシンの作動メカニズム
-
ロドプシンに光(フォトン)が当たる
-
レチナールが11-cis型 → all-trans型に“ねじれる”
-
オプシンの構造が変化
-
Gタンパク質(トランスデューシン)が活性化
-
イオンチャネルが閉じ、電位が変化
-
電気信号が脳へ伝えられる
🧠 つまりロドプシンは、光エネルギーを神経信号に変える分子装置なのです。
⚠️ ビタミンAが不足すると、ロドプシンが作れない
ロドプシンに必要なレチナールは、体内で**ビタミンA(レチノール)**から合成されます。
つまり、ビタミンAが不足するとロドプシンが合成できず、暗所で見えなくなる=夜盲症になります。
📌 よく言われる「にんじんは目にいい」は、ここから来た話です。
🟣 ロドプシンが“紫色”なのはなぜ?
ロドプシンは、人の可視光の中で**短めの波長(およそ498nm)**に吸収ピークを持ちます。
これにより、わずかに紫〜赤褐色に見える性質があり、光を吸収するたびに脱色する(ブリーチング)という特徴も持っています。
🧪 その波長域を“最も効率よく吸収できる”ために紫に近い色をしているのです。
📌 ロドプシンまとめ
-
ロドプシンは桿体細胞にある光受容体タンパク質
-
構造はオプシン+11-シスレチナール
-
光を受けて構造変化し、電気信号を発生させる
-
暗所視(夜間視覚)を可能にする中心成分
-
ビタミンA不足=夜盲症のリスク
次章では、もうひとつの主役──**色覚のセンサー「フォトプシン」**について見ていきます。
赤・緑・青が見える仕組みを、“たった3つのタンパク質”から解説します。
第4章|フォトプシンとは?──色覚をつくる3種類のセンサー
🌈 人間の色覚は“たった3つのセンサー”でできている
私たちが「赤い」「青い」「緑っぽい」と感じることができるのは、
**錐体細胞(すいたいさいぼう)の中に存在するフォトプシン(photopsin)**というタンパク質のおかげです。
このフォトプシンは、光の波長に応じて3種類があり、
それぞれ赤・緑・青の光に感度を持つ──まさに生体内のRGBセンサーなのです。
🧪 フォトプシンの種類と特徴
フォトプシンは以下のように分類されます:
フォトプシン名 | 波長感度の範囲 | 対応する色 | 別名オプシン |
---|---|---|---|
S型 | 約420nm | 青〜紫 | S-opsin(short) |
M型 | 約530nm | 緑 | M-opsin(medium) |
L型 | 約560nm | 赤〜橙 | L-opsin(long) |
この3つのセンサーがそれぞれ異なる範囲の光を検知し、
その比率から脳が「色」を判断しているというわけです。
📌 フォトプシンもロドプシンと同様、
オプシン+11-シスレチナールという構造を持ち、光の受容で電気信号を生み出します。
🧠 色の正体は“比率”でしかない
ここで驚くべき事実をひとつ:
🔍 人間の色覚は、3つのフォトプシンの“相対的な反応比”で決まっているだけ。
たとえば、赤と緑の中間の光が目に入ったとき、
L型とM型の両方が同時に反応するので、脳はそれを「黄色」と認識します。
つまり「黄色」というフォトプシンは存在しない。
3種類のセンサーの“比率のグラデーション”が色覚の正体なのです。
🔬 ヘルムホルツの三色説と完全に一致
このしくみは、19世紀にトーマス・ヤングとヘルマン・フォン・ヘルムホルツが提唱した
**「三色説(Young–Helmholtz theory)」**そのものです。
👓 「人間の目には3種類の色センサーがあり、それぞれ赤・緑・青に反応している」
という仮説が、現代の分子生物学によって錐体内の3種類のオプシン(=フォトプシン)として実証されました。
📌 フォトプシン=三色説の実体化
これは科学史における“予言的中”の好例です。
▶併せて読みたい記事 ヘルマン・フォン・ヘルムホルツとは誰か?──ヤングの三色説を実証した“感覚科学の巨人”
🧬 色覚異常とフォトプシン
-
L型やM型が欠損・異常な場合:赤緑色覚異常(色弱)
-
S型が欠損:青黄色覚異常(稀)
-
すべての錐体細胞が欠損:完全色覚異常(全色盲/モノクロ視)
つまり、たった1種類のオプシンが欠けるだけで色の世界は大きく変わる。
それほどまでに、フォトプシンは色覚にとって重要なのです。
📌 フォトプシンまとめ
-
フォトプシンは錐体細胞にある光受容体タンパク質
-
3種類(L/M/S)で、それぞれ赤・緑・青の光に反応
-
構造はロドプシンとほぼ同じ(オプシン+レチナール)
-
三色説と一致し、人間の色覚の科学的基盤を支えている
-
色覚異常はフォトプシンの欠損・異常で発生する
次章では、ここまでの話を一度整理し、
「人間は“どこで色を感じているのか?”」をもう一度振り返ります。
第5章|まとめ──色を感じているのは、目の“この一点”だった
🧠「色が見える」は、目の奥の“微小な分子”から始まる
ここまでの話を振り返ると、
私たちが「色が見える」「明るさを感じる」といった視覚体験をしているのは、
すべて目の中の“網膜”にある視細胞のおかげでした。
とくに──
-
暗い場所で働く桿体細胞(ロドプシン)
-
色を見分ける錐体細胞(フォトプシン)
という2種類の視細胞が、
それぞれ光を検知して電気信号へと変換することで、視覚がスタートしています。
🎯 色は“外の世界”には存在しない──それは網膜で感じている感覚
この事実はとても重要です:
✅ 色は網膜の中のフォトプシンの反応によって“生まれている”感覚であって、
✅ 世界に“赤”や“青”というラベルが貼られているわけではない。
つまり、赤く見えるのは、L型フォトプシンが強く反応しているから。
青く見えるのは、S型が反応しているから。
🔬 それらを相対的に解釈して“色”として認識しているのは脳ですが、
「色そのものを感じ取っている」のは、まさに網膜内のたった3つの光センサーなのです。
📸 カメラは色を“記録する”、私たちは色を“感じる”
カメラやディスプレイは、RGBの光を組み合わせて“色を再現”します。
しかし、人間の目はその光を感覚として“感じ取って”いる。
✅ 色覚とは「物体の色」ではなく、「目のセンサーが反応した結果、生まれる体験」。
この視点を持つと、
「色が見えるとはどういうことか?」という問いが、
物理から生物へ、そして感覚へと接続されていきます。
🔖 まとめ:色覚は、網膜の中の“たった3つの受容体”から生まれる
要素 | 内容 |
---|---|
場所 | 網膜の錐体細胞内 |
センサー | フォトプシン(L型・M型・S型) |
働き | 光の波長に応じて反応し、電気信号を生む |
結果 | 脳が色として“解釈”する |
つまり | **色は網膜でしか感じられない“主観的現象”**である |
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