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第0章|なぜ今でもバウハウスなのか?視覚とデザインの原点へ
現代に生きる「シンプルで伝わるデザイン」の源流
私たちが日常で目にするロゴ・ポスター・Webデザインの多くは、
「パッと見て理解できる」「印象に残る」という共通点を持っています。
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余計な装飾を排したシンプルな図形
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情報が整理されたレイアウト
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直感的に目に飛び込む色と形の組み合わせ
これらのデザインの源流は、100年以上前に誕生したバウハウスにあります。
ドイツで生まれたこの学校は、芸術と工芸、そして産業を統合し、
人が理解しやすく、機能的で美しいデザインを追求しました。
現代の広告・印刷・Webデザインにまで受け継がれているのは、
見た目だけでなく脳が自然に理解できるデザインを目指したからです。
脳科学とデザイン理論が出会った瞬間
バウハウスの思想は、同時代に発展した視覚心理学やゲシュタルト心理学の視点と重なり合う部分があり、後にその関連性が研究者によって指摘されました。
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人は世界を部分の寄せ集めではなく、全体として理解する
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見やすく、整理され、覚えやすいデザインほど脳に負担が少ない
この原理を実践したバウハウスは、単なる美術学校ではなく、
**人の認知に沿った「情報伝達の学校」**でもありました。
今、私たちが「伝わるデザイン」と呼ぶものの原点は、
すでに100年前のバウハウスにあったのです。
第1章|バウハウスとは?歴史と誕生の背景
1919年、ドイツ・ワイマールで誕生
バウハウス(Bauhaus)は、1919年にドイツのワイマールで設立されたデザイン・建築・工芸の教育機関です。
創設者は建築家ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius)。
彼は、第一次世界大戦後の混乱期に、芸術と工芸、産業を統合する学校を目指しました。
バウハウスの理念はシンプルです。
「芸術と技術の統一」──美しく、機能的で、誰にでも届くデザインを」
絵画や彫刻だけでなく、建築・家具・日用品・広告までを対象とし、
生活の中で機能するデザインを教育の中心に据えました。
時代背景と求められたデザイン
第一次世界大戦後のドイツでは、社会の復興と産業化が急務でした。
求められたのは、次のようなデザインでした。
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量産に適した、シンプルで再現性の高い形
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誰にでも伝わる、明快で無駄のない視覚情報
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生活を豊かにする、機能性と美しさの両立
バウハウスは、この時代のニーズに応える形で誕生しました。
単なる美術学校ではなく、**生活と産業に直結する“デザインの実験場”**だったのです。
第2章|人物像とバウハウスを支えた巨匠たち
創設者ヴァルター・グロピウス──芸術と産業を結んだ建築家
バウハウスの中心にいたのは、建築家**ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius, 1883–1969)**です。
彼は、芸術と工芸を切り離す従来の教育に疑問を持ち、
**「美は生活に役立つべき」**という理念を掲げました。
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美術と建築、工芸を一体化した教育カリキュラムを構築
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生活に溶け込む機能美を重視
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バウハウスを、芸術と産業を結ぶ総合デザイン学校に育てた
グロピウスの思想は、後のモダン建築・プロダクトデザインに大きな影響を与えました。
教育と理論を支えた教授陣
バウハウスには、後世に名を残す多くの芸術家・教育者が集まりました。
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パウル・クレー(Paul Klee)
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抽象画家として色彩と形の関係を探求
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芸術的感性と構造的理解を学生に伝えた
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ワシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)
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抽象絵画の先駆者
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色彩と感情、形態の心理的効果を研究
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ヨハネス・イッテン(Johannes Itten)
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有名なイッテンの色相環を考案
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色彩理論を教育に取り入れ、現代デザイン教育の基礎を築く
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ラースロー・モホイ=ナジ(László Moholy-Nagy)
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写真やタイポグラフィ、光のデザインを実験
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グラフィックデザインや広告表現に直結する基礎を作った
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彼らは、芸術の感性と科学的理論を両立させた教育を推進し、
バウハウスを単なる美術学校から現代デザインの揺りかごに押し上げました。
第3章|バウハウスが生んだデザイン理論と教育
シンプルでわかりやすいを科学する
バウハウスの教育は、単なる芸術の感性だけに頼らず、
人が理解しやすく、機能的なデザインを徹底的に追求していました。
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装飾を排したシンプルな形
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目的に沿った合理的な構造
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視覚的に整理され、伝わる情報設計
これは単なる美しさの追求ではなく、
「人にとってわかりやすい=脳が処理しやすい」デザインを作る試みでした。
色彩理論と形態教育
バウハウスの教育で特に重要だったのが、色彩と形態の科学的理解です。
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ヨハネス・イッテンの色彩教育
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色相環や補色関係を体系化し、心理的効果まで考慮
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現代デザインや印刷の色設計の基礎になった
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基礎造形教育(Vorkurs)
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点・線・面、立体の構成原理を徹底的に学ぶ
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視覚的に整理された「伝わる形」を生み出す訓練
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これらは後に、ゲシュタルト心理学の視覚原理とも自然に結びつき、
バウハウス教育は「美しさ」だけでなく認知科学的に理解しやすいデザインを実現しました。
第4章|現代デザイン・印刷・広告への影響
ロゴ・ポスター・Webデザインの基本はバウハウス
私たちが日常で目にする企業ロゴやポスター、Webデザインの多くは、
バウハウスの思想を色濃く受け継いでいます。
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装飾を削ぎ落としたシンプルな図形
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情報が整理されたわかりやすいレイアウト
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視線誘導を考えた余白や構図
これらはすべて、**「機能的で伝わるデザイン」**を重視したバウハウスの教育から生まれた考え方です。
現代のグラフィックデザインやUIデザインは、
無意識のうちに100年前のバウハウスのDNAを受け継いでいます。
印刷と情報伝達に生きる思想
バウハウスの理念は、印刷や広告の世界でも力を発揮しました。
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見出し・本文・画像を整理するレイアウト設計
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読み手の視線を自然に誘導し、情報を効率的に伝える
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フォントやタイポグラフィの重視
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装飾的な書体よりも、読みやすく明快な文字を優先
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色と形の最小限化
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目に留まりやすく、印象に残るデザインを実現
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この考え方は現代でも、チラシ・パンフレット・Web広告に直結しています。
つまり、「伝わる印刷物・広告」はバウハウスの哲学の延長線上にあるのです。
第5章|脳科学とUI/UXデザインへの接続
視覚心理学とゲシュタルト原理の応用
バウハウスのデザイン思想は、単に美術や建築の世界にとどまらず、
現代の脳科学やUI/UXデザインにも直結しています。
人の脳は、情報を一字一句順番に処理するのではなく、
全体の形や構造を先に把握してから、細部を補完する傾向があります。
これは、ゲシュタルト心理学が示す**「全体は部分の総和と異なる」**という原理そのものです。
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近接や類同の原理を使えば、情報のグループ化が自然にできる
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図地反転や余白を意識すれば、主役と背景が明確になり視線誘導が容易
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単純で安定した形は、脳に負担をかけず記憶にも残りやすい
現代のUI/UXデザインは、まさにこの脳が理解しやすい情報整理を前提に成り立っています。
▶併せて読みたい記事 ゲシュタルト心理学──“全体で世界を見る”視覚の法則とデザインへの応用
現代のWeb・アプリ・印刷デザインに続く流れ
スマホアプリやWebサイトを開いた瞬間に、
ユーザーはデザイン全体を一目で把握し、重要な情報に意識を向けます。
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見やすいボタン配置や色分けは、バウハウスが重視した機能的で直感的なデザインの延長
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情報量が多くても、グループ化と余白で整理すれば脳がすぐに理解できる
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印刷物でも、見出し・本文・画像を整理したレイアウトは同じ効果を持つ
つまり、バウハウスが100年前に追求した理念は、
デジタル時代の情報設計や広告最適化にも生き続けているのです。
第6章|まとめ:バウハウスは100年後の今も生きている
バウハウスが示したデザインの本質
バウハウスは、単なる美術学校ではありませんでした。
芸術・工芸・産業を結びつけ、生活に役立つデザインを追求する場だったのです。
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「美しいものは、人にとって使いやすく、理解しやすいべき」
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装飾に頼らず、機能性と情報伝達を重視
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デザインを、脳が自然に理解できる形にすることを目指した
この考え方は、100年たった今も広告・印刷・Webデザインに息づいています。
視覚・心理・産業を結ぶ知の橋渡し
バウハウスの教育は、心理学と脳科学の知見とも自然につながっています。
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ゲシュタルト心理学が示す「全体で理解する」視覚特性
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ヒューベル&ウィーゼルの研究が明かした「脳が特徴を抽出する仕組み」
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これらの知識をデザインに応用したのがバウハウスの強み
結果として、バウハウスは
美術・科学・産業を横断するデザインの総合知となりました。
▶併せて読みたい記事 ヒューベル&ウィーゼル──一次視覚野と単純型・複雑型細胞が解き明かす“脳が作る映像”
現代へのメッセージ
スマホのUIやWebサイト、広告やパッケージデザインまで、
バウハウスの理念は今も人の脳に優しいデザインとして生きています。
伝わるデザインは、人間の認知に寄り添ったデザインである。
100年前に生まれたその思想は、
デジタル時代の私たちにとっても変わらぬ指針となっています。
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