朱鷺色とは?日本の伝統色トキイロの意味・由来・カラーコード|新潟・佐渡と朱鷺の歴史を交えて解説

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第0章|導入──朱鷺色(ときいろ)とは何色?


朱鷺色とは?日本の伝統色のひとつ

朱鷺色(ときいろ)とは、淡い黄みを帯びた桃色を指す日本の伝統色です。桜色や桃色と並ぶやさしい色合いでありながら、ほんのりとした温かみを持ち、上品で落ち着いた雰囲気を漂わせます。
「朱鷺色とは何色か?」と問われれば、一言でいえば**“春の陽ざしを浴びた桜の花びらに、少し黄みを足したような色”**だと答えられるでしょう。


朱鷺色の由来は「朱鷺(トキ)」の羽の色

名前の由来は、新潟の象徴であり国の特別天然記念物でもある**朱鷺(とき)**です。普段は白い鳥に見えますが、翼を広げて飛ぶと、その裏側に淡いピンク色がふわりと広がります。この美しい一瞬の色を、人々は「朱鷺色」と呼びました。
つまり朱鷺色は、単なる色のカテゴリーではなく、**朱鷺という鳥の姿から生まれた“物語のある色”**なのです。


朱鷺色は新潟の心を映す色

桜色や藤色のように植物から名付けられた色は多いですが、鳥の名前がそのまま色名になった例はほとんどありません。朱鷺色はその数少ない一つであり、由来は朱鷺の翼に見える淡い桃色にあります。

この色名自体は、朱鷺が日本全国に広く生息していた時代から使われていたと考えられます。しかし20世紀に入ると朱鷺は急速に数を減らし、最後まで生き残ったのは新潟・佐渡の地でした。その歴史的経緯によって、朱鷺は「新潟を象徴する鳥」として人々の記憶に刻まれ、朱鷺色もまた「新潟の心を映す色」として強く結びつくようになったのです。

新潟に生き、新潟に守られた朱鷺。その羽に宿るやさしい色合いは、今では地域のブランドや観光のシンボルにも用いられ、伝統色でありながら現代の新潟を代表する色彩として生き続けています。


第1章|新潟と朱鷺──朱鷺色を生んだ風土


新潟は朱鷺にとって理想の環境

朱鷺(トキ)は、水辺に生きる生き物を餌とする鳥です。ドジョウやカエル、バッタやミミズなど、小さな生き物を田んぼや湿地で探しながら暮らしてきました。
そして新潟は、日本有数の米どころ。広大な水田が広がり、阿賀野川や信濃川がもたらす豊富な水と湿地環境は、朱鷺にとってまさに理想の餌場でした。人々の稲作文化と朱鷺の生態は、切り離せない関係にあったのです。


佐渡島が残した“朱鷺の避難所”

やがて全国の朱鷺が乱獲や農薬で減っていく中、最後の生息地となったのが新潟県佐渡島でした。島という隔離された環境により、近代化や都市開発の影響が本州よりも遅れ、田んぼと里山の伝統的な風景が長く残っていたのです。
「佐渡=朱鷺の里」というイメージは、この歴史から生まれました。そしてそこに息づく自然と文化が、後に朱鷺色という伝統色を人々の記憶に刻み込んだのです。


朱鷺色と新潟の文化的アイデンティティ

新潟県では今も観光パンフレットや地域ブランドに「朱鷺色」が積極的に使われています。それは単に美しい色だからではなく、新潟の自然・風土と切り離せない色だからです。
朱鷺色は新潟にしか生まれなかった色。朱鷺の存在があったからこそ、地域に「心の色」として根づき、全国に知られる伝統色となったのです。


第2章|朱鷺の歴史──全国の鳥から新潟だけに残った理由


日本中にいた朱鷺

現在では新潟を象徴する鳥として知られる朱鷺(トキ Nipponia nippon)ですが、かつては北海道から九州まで、日本各地の田んぼや湿地に広く生息していました。稲作の風景の中で群れをなす姿は、人々の暮らしに溶け込み、身近でありながらも美しい存在として親しまれていたのです。

また、朱鷺は和歌や物語、絵巻物にもたびたび登場し、その優雅な姿は吉兆を示す「めでたい鳥」として描かれることもありました。本来「瑞鳥(ずいちょう)」は鳳凰などの想像上の鳥を指しますが、現実の鳥として朱鷺もまた縁起の良い象徴とみなされていたのです。

つまり朱鷺は、かつては“どこにでも見られる身近な鳥”であると同時に、“めでたさを表す特別な鳥”でもあったのです。


絶滅の危機に追い込まれた理由

しかし明治時代以降、状況は急変します。
朱鷺の美しい羽は装飾品や武具に使われ、高値で取引されたため乱獲が進みました。さらに農薬の普及や湿地の開発により餌場が失われ、昭和に入ると全国で急速に数を減らしていきます。
「かつては身近な鳥」が、気づけば「絶滅危惧種」と呼ばれる存在へ──。


なぜ新潟だけに残ったのか?

朱鷺が最後まで生き残ったのは、新潟県の佐渡島でした。かつては日本全国にいた朱鷺が姿を消していった中で、佐渡にいた朱鷺だけが条件に恵まれて生き延びたのです。

その理由は、単に自然が豊かだったからではなく、いくつもの要因が重なり合っていました。

  • 豊かな水田と湿地:冬でも雪解け水が流れ込み、ドジョウやカエルなど餌が安定して確保できた

  • 狩猟圧の弱さ:羽根や肉を狙った乱獲が本州より少なく、比較的安全だった

  • 農薬や開発の影響が遅かった:佐渡では近代化の進行が緩やかで、昔ながらの農村景観が長く残っていた

  • 島という隔絶性:外部からの開発や人の移動が制限され、環境が守られやすかった

  • 偶然の要素:研究者も指摘しているように、最後に残ったのが佐渡だったのは「条件が整ったことに加え、偶然の巡り合わせ」も大きい

こうした複合的な要因が重なり、朱鷺は佐渡で生き残りました。
その歴史によって「朱鷺=新潟」という強いイメージが生まれ、朱鷺色もまた新潟を象徴する色として定着していったのです。


第3章|朱鷺の保護活動と再生──絶滅寸前からの復活


絶望的な状況から始まった保護

1960年代、日本の里山から朱鷺の姿はほとんど消え、佐渡にかろうじて生き残るのみとなっていました。その衝撃が広がる中、1967年に「佐渡トキ保護センター」が設立され、飼育・人工繁殖の挑戦が始まりました。

野生から姿を消した朱鷺

1970年代以降、朱鷺はさらに数を減らし、1981年には国内最後の野生個体5羽が捕獲され、自然界から姿を消しました
そして、2003年10月10日、日本産最後の朱鷺「キン」が36歳で死亡。これにより日本由来のトキは完全に絶滅したとされます。

中国からの贈り物と人工繁殖の成功

転機となったのは、1999年に中国から「友友(ヨウヨウ)」&「洋洋(ヤンヤン)」のつがいが贈られたことです。季節を重ねたその年の春、ついに人工孵化でヒナ「優優(ユウユウ)」が誕生し、日本初の人工繁殖に成功しました。
この出来事はただの飼育技術の成功以上のものとなり、「国際協力によって命をつないだ象徴的な瞬間」として語り継がれています。

野生復帰への挑戦とステップアップ

野生復帰への計画は着実に進められました。2007年には野生復帰ステーション(順化訓練施設)を設置し、野外での生存能力構築に向けた訓練が本格化しました。
そして2008年9月、第1回の試験放鳥が実施され、小型ケージから飛び立つその姿は多くの人に感動を与えました。

“人が守った自然”の象徴へ

その後、地域住民や行政、研究者が一体となり、トキが餌をとれる水田や里山環境の復元に取り組みました。その成果は確実に目に見える形で現れ、現在では野生下での自立繁殖も成功しています。2022年時点で、佐渡島の野生下トキは500羽を超える規模にまで回復しました。


第4章|朱鷺色の特徴とカラーコード


朱鷺色はどんな色?

朱鷺色(ときいろ)は、淡い桃色にほんのり黄みを加えた色合いです。桜色や桃色と並ぶやさしい和色ですが、単なるピンクよりも柔らかく落ち着きがあり、大人っぽい気品を感じさせます。
「朱鷺色 何色?」と聞かれれば、**“春の朝日に照らされた桜の花びらに、少し温かみを足した色”**と表現できるでしょう。


桜色や桃色との違い

  • 桜色 … やや青みを帯びた淡いピンク

  • 桃色 … 明るく鮮やかなピンク

  • 朱鷺色 … 黄みがかった落ち着いたピンク

この違いが、朱鷺色を「やさしい」「上品」と感じさせる理由です。桜色が華やか、桃色が可愛らしいのに対し、朱鷺色は“しっとりとした和の美”を漂わせます。


朱鷺色のカラーコード

デザインや印刷で使える朱鷺色の目安となるカラーコードは以下の通りです。

  • RGB:244, 177, 170

  • CMYK:C0 / M30 / Y20 / K0

  • HEX:#F4B1AA

※伝統色には厳密な規格が存在しないため、これは一般的に使われる近似値です。ウェブや印刷の現場では、この数値を基準に朱鷺色を再現できます。


デザインや印刷での使いどころ

朱鷺色は「淡さ」と「温かみ」を兼ね備えた色なので、背景色やアクセントカラーとして幅広く使えます。特に名刺やチラシのワンポイントに取り入れると、柔らかさと上品さを同時に演出できます。
新潟に関わる観光ポスターや商品デザインで朱鷺色がよく使われるのは、地域性と色のイメージが一致しているからなのです。


第5章|朱鷺は本当に朱鷺色?──羽毛の色の秘密


普段の朱鷺は「白い鳥」

朱鷺色という名前から、朱鷺(トキ)が全身ピンク色の鳥だと思う人もいるかもしれません。ですが実際の朱鷺は、普段は白から淡い灰色に近い羽をまとっています。遠目にはサギやコウノトリのように見え、「本当に朱鷺色なの?」と疑問を持たれるのも当然です。


飛び立つ瞬間にだけ現れる色

朱鷺が翼を大きく広げて飛び立つとき、その翼の裏側や風切羽が淡い桃色──朱鷺色に輝きます。
止まっている時には目立たないのに、空へ羽ばたいた瞬間だけ見える色。この“一瞬の美しさ”が、人々の記憶に強烈に残り、やがて伝統色の名前にまでなったのです。


色の正体は「食べ物」にあり

朱鷺の羽毛に見える淡いピンク色は、実は食べ物に含まれるカロテノイド色素が原因です。
フラミンゴがエビや藻を食べてピンク色になるのと同じ仕組みで、ドジョウや小魚、昆虫を食べることで羽毛に色素が沈着し、朱鷺色が生まれます。飼育環境や食べ物によっては、色が薄くなり白っぽく見える個体もいるのです。


人間が「理想化」した色

つまり朱鷺は「常に朱鷺色の鳥」ではありません。実際には白を基調としつつ、飛翔の瞬間にだけ現れる“淡い桃色”を人間が理想化して言葉にしたのが朱鷺色なのです。
自然の一瞬を切り取って文化に昇華させる──この感覚こそ、日本人の色彩感覚の豊かさを示しているといえるでしょう。


第6章|なぜ朱鷺色だけが色名になったのか?


昔の色名は「自然物」から生まれた

現代の私たちは「赤=波長の長い色」「青=光の波長の短い色」というふうに、科学的に色を定義します。ですが昔の人々にとって色とは、自然に存在するものから連想する感覚的なものでした。
桜色は桜の花、藤色は藤の花、藍色は藍染め、紫は紫草──こうした自然物の名前が、そのまま色名になっていたのです。


朱鷺は「身近で特別な鳥」だった

では、なぜ朱鷺(トキ)の名が色に結びついたのでしょうか?
その理由のひとつは、朱鷺がかつて日本中で見られるほど身近な存在だったことにあります。田んぼで稲作をする人々にとって、朱鷺が水辺でエサをついばむ姿は日常の風景でした。

さらに朱鷺は、吉兆を運ぶ「瑞鳥」として和歌や物語にも登場する、縁起の良い鳥でもありました。つまり人々にとって朱鷺は「よく見る鳥」かつ「神聖な鳥」という二重の意味を持っていたのです。


一瞬の美しさが「色」になった

朱鷺は普段は白っぽい鳥ですが、翼を広げて飛ぶ瞬間にだけ現れる淡い桃色が人々の目に強烈な印象を残しました。
その美しさは「桜の花の色」と同じように、誰もが共通して知る色として語られ、やがて「朱鷺色」という名前に定着していったのです。


朱鷺色が残った理由

朱鷺色は、単なる自然物由来の色以上の意味を持ちました。

  • 美しさ:飛翔時の鮮烈な色合い

  • 身近さ:日本中で見られる存在だった

  • 神聖さ:瑞鳥としての文化的地位

この三拍子がそろったからこそ、朱鷺色は「わざわざ鳥の名前をつけた特別な伝統色」として後世まで残ったのです。


第7章|朱鷺色が象徴する意味──やさしさと再生の色


朱鷺色の持つイメージ

朱鷺色(ときいろ)は、本来は朱鷺の羽に由来する淡い桃色を指す伝統色です。古典において「やさしさ」や「希望」を象徴する色とされたわけではありませんが、その柔らかな色合いは現代の私たちに自然とそうした印象を与えます。

特に、朱鷺が絶滅の危機から守られ、再び佐渡の空を舞うようになった歴史と重ね合わせて、朱鷺色は「守りたいもの」「未来へ受け継いでいくもの」を象徴する色として新たな意味づけが加わりました。桜色が春の出会いと別れを思わせる色なら、朱鷺色は“復活”や“希望”を感じさせる現代的なシンボルカラーといえるでしょう。


絶滅から復活した物語が色に宿る

朱鷺は一度、日本の野生から姿を消しかけました。しかし新潟・佐渡での保護活動によって、再び大空を舞うまでに復活しました。この「失われかけた命を守り抜いた物語」が、朱鷺色に新たな価値を与えています。
朱鷺色はただの伝統色ではなく、**“再生のシンボルカラー”**として語られるようになったのです。


新潟のブランドカラーとしての朱鷺色

新潟県や佐渡市では、観光パンフレットや商品デザインに朱鷺色がしばしば使われています。地域のロゴやキャラクター、観光PRに登場するピンク色の多くは朱鷺色を意識したもので、「新潟といえば朱鷺」「朱鷺といえば朱鷺色」というイメージが自然に結びついています。
観光資源や地域ブランドにとって、朱鷺色はまさに最適な色彩となっているのです。


朱鷺色の意味を一言でいうなら

朱鷺色とは、「命をつなぐやさしい色」であり、「失われかけた自然を未来へ託す色」です。古来の由来に加えて現代的な意味が重ねられ、ただの色彩を超えて、新潟の心と結びついた特別な色となりました。


第8章|まとめ──朱鷺色は新潟を語る色


朱鷺色は“淡いピンク”以上の意味を持つ

ここまで見てきたように、朱鷺色(ときいろ)は単なる「淡い桃色」ではありません。
朱鷺がかつて日本全国で暮らし、最後に新潟・佐渡にだけ残った歴史。飛び立つ瞬間にしか見られない美しい羽色。そして絶滅の危機から人の手で守り抜かれた物語。これらすべてが重なって、朱鷺色は**「自然と人間が共に紡いだ伝統色」**となったのです。


新潟を象徴する伝統色として

新潟に暮らす人々にとって、朱鷺色はただの色ではなく「地域の記憶を映す色」です。観光や地域ブランドに活用されるのも、その色が新潟の自然や文化と切り離せないからです。
桜色が日本の春を象徴するように、朱鷺色は新潟の自然と文化を語る伝統色として、これからも受け継がれていくでしょう。


未来へ受け継がれる朱鷺色

朱鷺が再び大空を舞うように、朱鷺色もまた未来へ受け継がれていきます。
やさしさと希望を象徴するその色は、新潟の風景とともに、これからも人々の心に残り続けるでしょう。


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