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第1章|色は脳が作る──光・目・脳の仕組み
色の正体は“光の波”にすぎない
私たちが「色」と呼んでいるものは、物体に宿る性質ではありません。
リンゴの赤も、海の青も、物理的には電磁波の波長にすぎません。
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赤色に見える光:波長が長く、約700nm前後
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緑色に見える光:中くらいの波長で、約550nm前後
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青色に見える光:波長が短く、約450nm前後
つまり、現実に存在するのは「光の波の長さ」だけです。
色はまだ、この段階では存在しません。
網膜が光を電気信号に変える
人間の目の網膜には、色を感じる**錐体細胞(すいたいさいぼう)**が3種類あります。
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L錐体:赤に敏感(Long wavelength)
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M錐体:緑に敏感(Medium)
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S錐体:青に敏感(Short)
光が目に入ると、これらの細胞が反応し、電気信号を脳に送ります。
でもこの段階では、まだ「赤」も「青」もありません。
脳が受け取るのは、数値のような信号の組み合わせだけです。
💡 例えるなら…
光の世界は、ただのモノクロ信号のようなもの。
色は、脳が勝手に“翻訳”した結果にすぎません。
脳が信号に“色ラベル”を貼る
網膜から届いた信号は、後頭部の**視覚野(V1〜V4)**で処理されます。
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V1:形・明暗・動きなどの基本情報を処理
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V4:色の情報を統合して「赤」「青」「緑」と意識に上げる
このとき初めて、私たちは「赤いリンゴ」を見ていると感じます。
つまり、色は光ではなく、脳が作り出した主観の世界なのです。
言語が加わると“色の世界”が完成する
ここまでで作られた色の信号は、さらに**言語野(ブローカ野・ウェルニッケ野)**に送られます。
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名前がある色は、意識に上がりやすく、記憶に残りやすい
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名前がない色は、見えていても「存在しない」ものとして流れがち
この仕組みが、次章の「言語が色を変える」話に直結します。
脳は、言葉を使って世界に境界線を引く装置なのです。
💡 第1章のまとめ
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色は物体に宿るのではなく、光の波長+脳の処理で生まれる
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網膜は電気信号を送るだけ、色の正体は脳が貼るラベル
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言語がそのラベルを明確化し、初めて色は世界に存在する
次の第2章では、この「言葉が色を変える現象」を心理学の実験と文化比較で深掘りします。
第2章|言語が色を変える──色彩心理学と言語相対性
言葉がある色は、世界に“存在する”
あなたの目は、光の波長を正確に受け取っています。
でも、名前のない色は、脳にとってはただの「なんとなく違う光」にすぎません。
心理学では、これを**言語相対性(サピア=ウォーフ仮説)**で説明します。
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言葉は思考と知覚に影響する
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名前のある色は意識され、ない色は意識に上がりにくい
たとえば、空の色を指差して「青」と呼べる人と、そう呼ぶ言葉を持たない人。
見えている光は同じでも、脳の中の世界はまったく違うのです。
実験が証明する“言葉の色フィルター”
心理学・言語学の実験で、言語が色の認識を変えることは実証されています。
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ロシア語の青の実験
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ロシア語には青を分ける言葉が2種類ある
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голубой(ゴルボイ):明るい空色
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синий(スィーニィ):濃い青
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結果:ロシア語話者は青の明暗の識別が英語話者より速い
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ナミビアのヒンバ族の緑の実験
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緑系の語彙が豊富だが、青の語彙がほぼない
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結果:青と緑の区別は非常に遅いが、緑の微妙な差は一瞬で分かる
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パプアニューギニアのダニ族の明暗2色文化
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色語は「明るい=mola」「暗い=mili」の2種類のみ
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虹を見せると、2〜3色程度にしか区別しない
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💡 共通点
言語がある色はすぐ意識できるが、言語がない色は“世界に存在しない”ように扱われる。
言葉は色に境界線を引く道具
物理的なスペクトルは連続しています。
でも、人間は文化ごとに色を「区切って」理解しています。
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日本語:青と緑を分けるが、昔は「みどり」も「青」の一部だった
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英語:green / blue の2分割
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ロシア語:green / голубой / синий の3分割で、青の世界が広い
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ダニ族:明るい / 暗い の2分割で、虹は帯にしか見えない
言語は、脳にとっての色分けマーカーです。
言葉が増えるほど、世界は細かく見えていきます。
第2章のまとめ
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言語が色認識に影響することは心理学実験で証明済み
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名前のある色は意識・記憶・反応が速い
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文化ごとの色の世界は、言語が引く境界線によって形作られる
次の第3章では、さらに文化と歴史が作る色の世界を深掘りします。
「虹の7色」が世界共通ではない理由も、ここで明らかになります。
第3章|文化が作る色の世界
虹の7色は世界共通ではない
日本では「虹は7色」と教わりますが、実はこれは世界共通ではありません。
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日本や英語圏:7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)
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ドイツやフランス:5〜6色とすることが多い
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ナミビアのヒンバ族やパプアニューギニアのダニ族:虹は2〜4色程度
物理的には虹は連続した光の帯でしかありません。
私たちが7色と感じるのは、**文化が作った「色の区切り方」**なのです。
💡 豆知識
ニュートンが虹を7色に分けたのは、音階(ドレミファソラシ)の7音に対応させた説が有力です。
つまり、7色は科学的必然ではなく、文化的な美意識の産物です。
古代ギリシャ人は“青”を知らなかった?
文化差は歴史にも現れます。
古代ギリシャの文献には、海を**「ワインのような色」**と表現した記述があります。
青色を指す明確な言葉がなかったため、海は赤黒い色として比喩されたのです。
同様に、古代の多くの文化で青や緑の区別は曖昧でした。
日本語でも、信号の「青信号」のように、昔は緑も青に含まれていました。
文化が色を分ける境界線を引いたことで、初めて「緑」が独立したのです。
白と黒は色か?文化で変わる認識
白と黒の扱いも文化によって大きく異なります。
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西洋美術・デザイン
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白と黒は「無彩色」とされ、色の外側に置かれることが多い
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映画の「白黒(black and white)」も「色がない」前提
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東洋文化・日本
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白と黒は象徴的な意味を持つ特別な色
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白=清浄、神聖、始まり
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黒=闇、終わり、虚無
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書道や水墨画では、白と黒だけで世界を表現する
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💡 心理学的に見ると
白や黒は光の有無として目には認識されているが、文化がその価値や分類を変える。
つまり「色かどうか」は物理現象ではなく、文化的な判断です。
文化が違えば、世界の色も違って見える
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虹の色数、青と緑の境界、白と黒の扱い──
これらはすべて文化が作る色の世界の証拠です。 -
同じ光でも、言語と文化によって違う世界が見えていることになります。
次の第4章では、さらに時代の流れに目を向けます。
人類の歴史とともに、色の世界がどのように進化してきたのかを見ていきましょう。
第4章|時代とともに進化する色の認識
色の世界は言語と文化とともに広がった
人間の目の構造は、縄文時代も現代も大きくは変わっていません。
それでも、私たちの色の世界は明らかに昔より豊かです。
その理由は、言語と文化が色の世界を細分化してきたからです。
色は、光があるだけでは世界に存在しません。
脳が作り出し、言葉がラベルを貼ったとき、初めて「世界にある色」になるのです。
人類の歴史は、まさにこのラベルを増やしていく過程でもありました。
縄文時代:自然に根ざしたわずかな色
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縄文人が見ていた世界は、物理的には現代と同じ光に満ちています。
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しかし、言葉としての色はごく限られていたと考えられます。
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赤=血や朱
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白=骨や雪
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黒=炭や土
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青=水・空・植物の若い緑まで含む「あお」
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ポイント
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生活に必要な色だけが名前を持ち、他は連続した“帯”として処理されていた
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「言葉がない色は意識に上がらない」世界観
平安〜江戸時代:色名が爆発的に増えた
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貴族文化・宗教儀礼・染織技術の発展で、色は社会的な意味を持つように
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平安時代
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「襲(かさね)の色目」で、紅梅・萌黄・藤紫などの繊細な色名が生まれる
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江戸時代
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流行色ブームで、納戸色・藍鉄・黄土色など多彩な色名が登場
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町人文化と染色・着物商人の発展が背景
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💡 心理学的に言えば
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言語が増えることで、脳が世界を細かく意識できるようになる
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江戸時代の染め職人や商人は、現代のデザイナーに近い色認識力を持っていたと考えられる
近現代:科学とデジタルで“数値の色”へ
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明治以降、化学染料・印刷技術・分光学が普及
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外来色名(オレンジ・ピンク・ベージュなど)が流入
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現代では、
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JIS規格やPANTONEなどで数千色を管理
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RGB・CMYKでデジタル的に色を数値化
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💡 ここでの進化の本質
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言語が発達 → 世界の色を意識化
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科学とデジタル → 言語を超えて“測れる色”に進化
時代とともに進化する色認識のまとめ
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縄文:自然と生活に必要な色だけ
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平安・江戸:社会・美意識・流行で色が多彩に
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現代:科学・デジタルで数値化され、誰でも精密に扱える
言語が進化するたびに、私たちの世界は細分化され、色の認識力は進化してきたのです。
次の第5章では、同じ理屈を子供と大人の色の世界の違いに当てはめていきます。
同じ目でも、言葉と経験の差で見える世界は変わります。
第5章|子供と大人で違う色の世界
目は同じでも、色の世界は違う
子供も大人も、網膜の構造はほぼ同じです。
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錐体細胞は生後数か月で機能が整い、光の波長はちゃんと受け取っている
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つまり、物理的には同じ光の世界を見ている
では、なぜ大人のほうが色を細かく認識できるのでしょうか?
答えは、言語と経験が脳に作る色の地図にあります。
言葉が増えると色は世界に現れる
心理学の研究では、
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名前のある色は記憶に残りやすく、識別も速い
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名前のない色は、見えていても意識に上がりにくい
幼児の色の世界
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赤・青・黄など、ざっくり3〜5カテゴリで認識
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「きれい」「暗い」など感覚的な表現が中心
大人の色の世界
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語彙が増える分だけ色の境界を細かく意識できる
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「ピンクと赤」「水色と青」「紺と藍」など、思考と行動に反映される
💡 心理学的には
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言語は脳の注意を色に向けるスイッチ
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言葉があると「そこに色がある」と意識し、世界が細かく見える
職人・デザイナーは“さらに別の世界”を見る
言語と経験の積み重ねは、色の世界を飛躍的に広げます。
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染織職人、絵師、印刷オペレーター、デザイナー
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似た色の中でもわずかな違いを瞬時に識別
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言語化(赤みが強い藍、くすんだ黄緑)と経験で記憶が強化
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この状態は、心理学的にはカテゴリ化+長期記憶の強化。
まさに、言語と経験が作る“拡張された色の世界”です。
子供→大人→職人で進化する色の世界
まとめると、同じ光を見ても、世界の色はこう進化します。
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子供(幼児)
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物理的には見えている
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言語が少ないため、意識はざっくりカテゴリーのみ
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大人
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言語と経験で世界が細分化
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記憶・行動・判断が速くなる
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職人・デザイナー
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言語+経験で脳の色地図が極端に精密化
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他人には同じに見える色も、別物として認識できる
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💡 重要なポイント
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見えている光は同じでも、言語と経験が世界を拡張する
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言葉を持つことが、世界をより豊かに“見せる”鍵になる
次の第6章では、この記事全体をまとめながら、
「言葉と脳が作る、あなただけの色の世界」 という結論にたどり着きます。
第6章|まとめ:言葉と脳が作る“私だけの色”
色は現実ではなく、脳の中の物語
ここまで見てきた通り、色は単なる物理現象ではありません。
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光はただの電磁波
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目はそれを信号に変換するだけ
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脳がラベルを貼って初めて“色”になる
さらに、言語がその世界を完成させることを心理学が示しています。
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名前のある色は意識され、記憶に残り、行動につながる
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名前のない色は、見えていても意識されず、世界に“存在しない”のと同じ
つまり、私たちの世界は脳と言葉が作る主観の地図の上に広がっているのです。
文化も時代も、人の色の世界を変えてきた
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古代ギリシャ人は青を持たず、海は「ワイン色」だった
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日本でも、昔は緑も青に含まれ「青信号」と呼ばれている
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縄文の色は数色しかなく、江戸で爆発的に色名が増え、現代は数値の世界になった
同じ太陽の下でも、見えている世界は文化と時代で違う。
そしてその違いを作るのは、やはり言葉と脳なのです。
あなたの“好きな色”は、誰の世界にもないかもしれない
最後に、この記事を読み終えたあなたに問いかけます。
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あなたが「好きな色」は、世界のどこに存在しているでしょうか?
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その色は、光の波長でしょうか? それとも、脳が作った物語でしょうか?
答えはシンプルです。
その色は、あなたの脳と、あなたの言葉の中にだけ存在しています。
色は光と脳と文化の共同作品。
言葉を変えれば、世界は違う色に見え始めます。
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