段ボールの語源と発祥|「段」と「ボール」の意味と日本だけの呼び名の秘密

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第0章|普段使っている“段ボール”──名前の意味、知ってますか?


当たり前すぎて意外と知らない「段ボール」という言葉

引っ越しの荷造り、宅配便の箱、スーパーの商品の仕分け──
私たちの生活のあらゆる場面に登場する段ボール。
ところで、この「段ボール」という名前がどこから来たのか、説明できるでしょうか?

「段がある厚い紙だから?」となんとなく想像はできても、その“段”が何を指すのか、そもそも“ボール”は何なのかまで知っている人は少ないはずです。
さらに言えば、この呼び方は日本独自のもので、海外ではまったく違う言葉が使われています。


名前の背景を知ると、段ボールが少し面白くなる

普段何気なく使っている物にも、歴史や文化が詰まっています。
段ボールの名前をたどると、そこには明治期の日本人が外国の新しい技術をどう受け止め、どう言葉にしたのかという物語があります。
この記事では、その語源と発祥をわかりやすくひも解き、日本にやってきた段ボールの歴史もあわせて紹介します。


第1章|「段ボール」という言葉の由来


「段」はどこから来たのか?

段ボールの“段”は、箱の厚みや等級を意味しているわけではありません。
これは、表と裏の紙(ライナー)の間に挟まれている**波形の中芯(フルート)**の山と谷の形──つまり“段々”を指しています。
この波形構造は、軽くて強度が高いという段ボールの最大の特徴。
山と谷の繰り返しが衝撃を吸収し、荷物を守る役割を果たします。


「ボール」は球じゃない

一方、“ボール”は英語の ball(球)ではなく、board(厚紙)を明治期の日本人が耳で聞き取り、カタカナ化したものです。
当時の日本では厚紙全般を「ボール紙」と呼んでおり、この言い回しがそのまま段ボールにも使われました。
つまり、段ボール=「段のある厚紙」という直訳的なネーミングなのです。


命名者は不明、でも時代背景が見える

誰が最初に「段ボール」と名付けたのかは、明確な記録が残っていません。
しかし、明治後期にはすでに製紙業界や貿易業界でこの言葉が使われており、業界内で自然に広まったと考えられます。
外国語を耳で聞いて日本語化する──そんな時代の空気感が、この名前には色濃く残っています。


第2章|段ボールの発祥地と世界での呼び名


発祥は19世紀後半のイギリス

段ボールの原型は、19世紀後半のイギリスで誕生しました。
最初は梱包用ではなく、帽子の内側の補強材として使われていたのです。
波形の紙を貼り合わせた構造は、軽くて形崩れしにくく、帽子の型をきれいに保つのに最適でした。


梱包材としての実用化はアメリカ

その後、この波形の紙を厚紙と組み合わせて強度を高める技術がアメリカで確立されます。
こうして現在の段ボールに近い形が生まれ、食品や機械部品などの輸送用資材として広く使われるようになりました。


英語での呼び名と「段」の意味の違い

英語では段ボールのことを “corrugated cardboard” または “corrugated fiberboard” と呼びます。
“corrugated” は「波形の」「しわの寄った」という意味で、日本語の「段」にあたります。
つまり、英語では“波形の厚紙”と表現しているのに対し、日本語では“段のある厚紙”と表現しているわけです。


世界の呼び名と日本語の独自性

国によって呼び名はさまざまですが、いずれも「波形構造」と「厚紙」を組み合わせた意味合いを持っています。
その中でも、日本語の「段ボール」は形状の特徴を直接的に表すと同時に、明治期の外来語の音写文化を色濃く残した、独特な命名だと言えます。


第3章|日本への伝来と国産化


明治後期、日本に初上陸

段ボールが日本に姿を見せたのは、明治後期から大正期にかけてのことです。
当初は海外からの輸入品に梱包材として使われ、日本国内ではまだ見慣れない存在でした。
この頃は「段ボール」という呼び名も一部の貿易業や製紙業界の間だけで使われていました。


初期は完全輸入品

当初の段ボールは、すべて海外で製造されたものを輸入していました。
その理由は、波形の中芯(フルート)を作る機械や厚紙の品質が、当時の日本にはまだ整っていなかったからです。
輸入段ボールは高級品であり、主に輸出用の精密機器や高額商品を守るために使われていました。


国産化の始まり

やがて国内製紙業の技術が向上し、段ボールの製造設備も整備されると、日本国内でも段ボールの生産が始まります。
大正期には、国産段ボールが一部の商業輸送に使われ始め、徐々に普及していきました。
特に輸出向けでは、国産段ボールに企業名や商品名を印刷する事例も増え、見た目と機能を兼ね備えた資材として進化していきます。


当時の記録に見る段ボール

当時の新聞広告や商標登録記録には、既に「段ボール」の表記が登場しています。
これらの記録は、段ボールが単なる資材ではなく、近代日本の物流と産業発展の象徴でもあったことを物語っています。


第4章|「段ボール」という言葉が全国に広がった理由


戦後の物流拡大と段ボールの普及

第二次世界大戦後、日本は復興とともに経済成長の波に乗ります。
この時期、全国で物資の輸送量が急増し、軽くて丈夫、しかも安価な梱包材として段ボールの需要が一気に拡大しました。
鉄道貨物やトラック輸送が主流になる中で、木箱よりも軽量で扱いやすい段ボールは、多くの業界で採用されるようになります。


メディアと広告による認知拡大

物流の現場だけでなく、段ボールという言葉は広告や新聞記事を通じて一般の人々にも広まりました。
商品のパッケージや輸送箱に印刷された「段ボール」という文字は、消費者の目に自然に触れ、生活の一部として定着していきます。
さらに、学校教育や図工の材料として段ボールが使われることで、子どもたちの世代にもその存在が浸透しました。


名前が定着した背景

段ボールは、機能面だけでなく呼び名のわかりやすさも普及の追い風になりました。
「段のある厚紙」という直訳的な名前は、初めて聞く人でも構造を想像しやすく、業界用語から一般語へと移行しやすかったのです。
こうして、段ボールという言葉は日本全国で日常語として根付きました。


第5章|まとめ:名前の背景を知ると身近な物も違って見える


段ボールという言葉は、「段」=波形の中芯(フルート)の段々、「ボール」=英語 board(厚紙)の音訳を組み合わせた、日本独自の呼び名です。
発祥は19世紀後半のイギリス、実用化はアメリカ、日本への伝来は明治後期。戦後の物流拡大をきっかけに全国へ広がり、今では生活に欠かせない存在となりました。

普段はただの箱としてしか見ていなかった段ボールも、その名前の成り立ちや歴史を知ると、少し違った目で見えてきます。
外国から伝わった技術を日本人が自分たちの言葉に置き換え、暮らしに溶け込ませてきた──段ボールはその象徴のひとつです。

これから宅配便の箱を開けるとき、もしかしたら中身だけでなく、「段ボール」という名前の背景にも思いを巡らせるかもしれません。


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