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✅ 第1章|人間の目はなぜ“海を青く見る”のか──視覚のしくみと色の感じ方
私たちが「青い海」と感じる理由は、自然現象より先に、“目のつくり”が関係しています。
つまり、海が青いのではなく、青く“見えてしまう”ような視覚構造を人間が持っているのです。
人間の目のしくみ──S・M・L錐体が“青”を感じる理由
人間の目の網膜には、**3種類の「錐体(すいたい)細胞」**という色を感じるセンサーがあります。
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S錐体(Short):主に青系の短波長(約420nm)に反応 
- 
M錐体(Medium):緑系(約530nm) 
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L錐体(Long):赤系(約560nm) 
この仕組みを「三色視覚(トリクロマシー)」と呼び、現代のRGB表示の基礎にもなっています。
S錐体は数が少なく、しかも中心視野にはあまり存在しません。
にもかかわらず、私たちは青い色を背景の中で強く感じる傾向があります。
これは、視神経の補正機能や、明所視(明るい場面)での青への感度の高さが理由とされています。
つまり、明るくて広がりのある場所──たとえば海辺では、青を強く感じやすい構造になっているのです。
▶併せて読みたい記事 色が見えるしくみを徹底解説|網膜・視細胞・ロドプシン・フォトプシンの役割とは?
“海=青”は脳がつくるイメージ?──文化・心理が色を強化
さらに、文化的・心理的な連想も無視できません。
「海=青」「空=青」といった図像的な記憶が、脳のなかで青の認識を強化しているのです。
このように、私たちが「海は青い」と思う背景には、
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目の構造(生理的要因) 
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光の環境(物理的要因) 
- 
脳の先入観(心理的要因) 
という、複数の“見え方のレイヤー”が存在しているのです。
✅ 第2章|科学で解く海の色の理由──太陽光・水・空・プランクトンの関係
海が青く見える理由を、視覚ではなく自然科学の視点から見ていくと、そこには光、水、空気、生物が織りなす繊細なバランスがあります。
太陽光と波長──海に“残る色”はなにか
まず理解しておきたいのは、太陽の光は「白」ではないということ。
太陽光は、波長の異なる光が合わさったスペクトルでできています。プリズムで虹色に分かれるように、その中には赤・橙・黄・緑・青・藍・紫といったさまざまな色が含まれています。
この光が海面に降り注ぐと、水の性質によって色ごとの吸収率が変わるのです。
海水は赤を吸収し青を残す──吸収と散乱のしくみ
海水は、波長の長い光(赤・橙・黄)をよく吸収し、波長の短い光(青・紫)はあまり吸収せずによく通すという特性を持っています。
このため、海の深くまで届くのは青や緑の光であり、特に青い光は深い場所まで届いてから散乱します。
この散乱された青い光が、私たちの目に届くことで、「海が青く見える」のです。
海の水そのものは、実は無色透明。でも、光の吸収と散乱によって“青い色のように見える”──これが自然科学的な基本構造です。
空の青は映り込み?──海の青との本当の関係
よく誤解されがちなのが、「海は空の青を映している」という説明です。
これは完全な誤りではありませんが、主役ではありません。
空が海に映ることは確かにありますが、それは海面が鏡のように反射している場面だけ。
曇りの日でも海が青く見えることからもわかるように、空の色は補助的な要素にすぎません。
▶併せて読みたい記事 空はなぜ青いの?反射と散乱でわかる光と色のふしぎ【水平線が消える理由も】
プランクトン量で海の色が変わる──青・緑・褐色の違い
ここからが、視覚や光学だけでは説明できないもう一つの要素──生物の存在です。
海には目に見えない微小な植物、「植物プランクトン」が無数に漂っています。
彼らは**クロロフィル(葉緑素)**を持ち、赤や青の光を吸収し、緑の光を反射します。
つまり、植物プランクトンが多い海では、海の色が青ではなく“緑っぽく”見えるのです。
たとえば、栄養が豊富な内湾や沿岸ではプランクトンが大量発生し、東京湾のようにくすんだ緑色や褐色に見えることがあります。
一方、栄養塩が少なく透明度の高い熱帯の海、たとえば沖縄やハワイなどの外洋は、プランクトンが少なく“純度の高い青”が見えるのです。
この現象は「クロロフィル濃度」として人工衛星から観測され、海洋の栄養状態や漁場の調査にも使われています。
土砂・濁りが作る灰色の海──環境条件で色が変化
さらに、川の流入による土砂や、海底から舞い上がる有機粒子も、海の色を左右します。
こうした物質が多いと、光が乱反射して濁りが増し、海が茶色や灰色に見えることもあります。
つまり、**「海の色=その海の状態を映すバロメーター」**とも言えるのです。
科学でわかった“海が青く見える理由”まとめ
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太陽光のうち、青い光だけが残って目に届く 
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空の青は一部反射されているが、主因ではない 
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プランクトンや粒子の存在が“海の色”を大きく左右する 
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見えている色は、その場の環境や生命の反映 
海が青い──その理由は、光、水、生き物、地形、空気すべてが関わる、**“自然の総合演出”**なのです。
✅ 第3章|スマホで見る青い海──RGBが作る“光の海”とその限界
私たちが日常的に目にする海の写真──Instagramの投稿、スマホの壁紙、旅行サイトのトップページ。その多くは、「RGB」という仕組みで作られた“仮想の海”です。
ここでいうRGBとは、**赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)**の3色の光を使って色を表現する「加法混色」の仕組みです。
スマートフォンやパソコンの画面、テレビなど、すべての“光るデバイス”はこのRGBによって色を表現しています。
RGBとは?──スマホやPCが“青い海”を作る仕組み
人間の目は、前章で述べたように3種類の錐体細胞(S・M・L)によって色を感じ取っています。
この原理を応用して、赤・緑・青の光を組み合わせることで、数百万色もの色をディスプレイ上で表現できるのがRGBの仕組みです。
たとえば:
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赤 + 緑 = 黄色 
- 
緑 + 青 = シアン(水色) 
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赤 + 青 = マゼンタ(赤紫) 
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すべての色を混ぜると白(光の3原色) 
この仕組みによって、ディスプレイ上の“海の青”も作られています。
現実の海は発光しない──発光(RGB)と反射の違い
ここで重要なのは、私たちが海で見ている青は「光っていない色」だということです。
海は太陽光を反射し、一部を吸収・散乱することで青く見える反射物体ですが、スマホ画面の海は光そのものを発しているのです。
この差はとても大きく、たとえば同じ“ターコイズブルー”でも:
- 
現実の海 → 水中の濁り・反射・透明感が入り混じった色 
- 
ディスプレイ → R=64, G=224, B=208 という「コード化された光」 
つまり、ディスプレイに映る海は、**光の三原色によって“作られた仮想の海”**にすぎません。
端末や設定で青が変わる──機種差・輝度・色温度の影響
RGBで作られた色は、ディスプレイの種類や設定によって大きく見え方が変わります。
- 
iPhoneで見る海と、Androidで見る海は微妙に違う 
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同じ写真でも、画面の輝度や色温度によって青の鮮やかさが変化する 
- 
写真アプリの「フィルター」で色味がいくらでも変えられる 
つまり、**ディスプレイの海は「真実の色」ではなく、「技術と設定によって変化する色」**なのです。
画像補正で“より青く”見える──フィルターとAI補正の実態
近年では、SNSや広告のために画像編集ソフトやAI補正が使われることが一般化しています。
特に「青い海」を魅力的に見せたい観光系サイトでは、現実の海よりもRGBを駆使して“より青く、美しく”見せるケースがほとんどです。
私たちはスマホで海を見るとき、“現実の海”ではなく、“美しく加工された仮想の海”を見ているのです。
まとめ:RGBの海=現実とは異なる“光の記号”
- 
スマホで見る海の色は「RGB」という光の三原色で作られたもの 
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ディスプレイの色は「発光している」ため、現実の海とは質が異なる 
- 
機種・画面・補正によって色味は変わる 
- 
つまり、スマホの中の海は「現実の海」ではなく、「演出された海」 
✅ 第4章|印刷で海の青を再現するには?──CMYKが描くもう一つの海
ディスプレイ上では美しく発光して見える“海の青”。
ではその色を「紙に印刷して残す」とき、同じように再現できるのでしょうか?
答えは──部分的にはできるが、完全には無理です。
なぜなら印刷の世界では、光ではなく“インク”で色をつくるからです。
CMYKとは?──インクで色を作る“減法混色”の原理
印刷で使われるのは、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の4色です。
これは減法混色と呼ばれ、光ではなくインクが光を吸収することで色を見せる仕組みです。
ディスプレイと違い、印刷物は「自ら発光せず、外からの光を反射する」反射型メディアです。
この構造の違いが、海の青を印刷で完全再現できない最大の理由になります。
なぜ印刷で“海の青”は難しい?──RGBの純青は再現不可
RGBでは青(#0000FF)を光で“作る”ことができますが、CMYKではそれができません。
なぜならシアン(C)とマゼンタ(M)を重ねても、RGBで言う“純青”にはならないからです。
印刷で青を作るときの配色例:
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深海ブルー:C=100%, M=80%, Y=0%, K=30% 
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ターコイズ:C=70%, M=0%, Y=20%, K=0% 
このように、シアンとマゼンタを主軸に構成しますが、どうしても“にごり”が出てしまうため、
ディスプレイで見るような澄み切った青は再現しづらいのです。
美しい青を出す印刷テク──用紙・ニス・特色(DIC)活用
それでもプロの印刷現場では、海の青をなるべく綺麗に見せる工夫が多くなされています。
たとえば:
- 
**コート紙(光沢紙)**を使い、光の反射を強める 
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グロスニスやクリアPPなどで表面に透明感を加える 
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色設計の段階でC(シアン)を基調に他色を極力抑える 
また近年では、特定の色域を広げるために**特色(スポットカラー)**を使い、CMYKでは出せない青を再現する印刷方法も登場しています(例:DICの特色ブルーなど)。
紙に残る“もう一つの青”──印刷が与える質感と記憶
スマホの画面で見る海は、発光する美しさがあります。
それに対して、印刷物で見る海の色は、沈んだ、やや抑えられた印象になります。
でもそれは欠点ではありません。
印刷の海には、“静かに手に残る記憶”のような趣きがあるのです。
RGBが「見せる色」だとしたら、CMYKは「残す色」。
紙の上の海は、インクの粒で光をなぞるように描かれた、もう一つの青なのです。
まとめ:CMYKの海=印刷が語る静かな青
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印刷ではRGBのように発光できないため、“澄んだ青”が苦手 
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CMYKではシアンを基軸に青を作るが、限界がある 
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印刷物の色は、光を吸収し反射する“間接的な青” 
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特殊印刷や用紙選定によって、印刷でも海の魅力を引き出すことは可能 
✅ 第5章|結論:海の色の“本当の正体”──見る人・場所・技術で変わる青
「海はなぜ青いのか?」──この問いに対する“正解”を探してきた私たちは、ここでようやく、ある一つの結論にたどり着きます。
それは、**「海に“本当の色”は存在しない」**ということです。
なぜなら、海の色は、見る人・見る場所・見る方法によって、まったく異なる顔を見せるからです。
“主観としての青”──見る人が変われば海の色も変わる
人間の目は、青に対して敏感に反応する構造を持っています。
S錐体による生理的感度、脳の心理的補正──そうした機構が働くことで、私たちは海の中に「青」を見いだします。
でも、それはあくまで**人間の脳が再構成した“主観的な青”**にすぎません。
“環境としての青”──場所・透明度・生態系で色が決まる
沖縄の海は透き通ったターコイズブルー、東京湾の海は緑や灰色。
その違いは、太陽光、水の透明度、クロロフィル濃度、懸濁物、反射の角度……
あらゆる自然条件によって変化します。
つまり、「海が青く見える」とは、**物理現象と生態系の“その瞬間の結果”**に過ぎないのです。
“技術としての青”──スマホ・印刷・写真で変わる見え方
スマホの画面に映る海は、RGBによって作られた“発光する仮想の青”。
印刷物に残された海は、CMYKのインクで再現された“吸収して反射する沈んだ青”。
同じ「海」という題材でも、再現の手段が変われば、その色の印象も意味もがらりと変わります。
結論:海の“本当の色”は状況で変わる
もし「本当の海の色」があるとするなら、それは**“誰が、いつ、どこで、どう見たか”によって決まる色**なのかもしれません。
科学でさえ、写真でさえ、画面の中でさえ、海の青は“確定された実体”ではなく、“見え方の積み重ね”でできているのです。
物語としての青──自然と記憶が交差する色
スマホの中の青い海にも、印刷された旅行パンフレットの海にも、
そして、記憶のなかで少し色あせた夏の日の海にも、
それぞれに違った“青”がある。
海の色は、技術と記憶と自然が交差する、私たちだけの青なのです。
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